貞操逆転世界のヒロアカー序ー   作:あかんヤー

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貞操逆転世界のヒロアカ、前回の三つの出来事
1つ.wave.6からヒーローコスチュームが解禁される
2つ.界離と緑谷の戦いで緑谷が波紋を披露
3つ.麗日お茶子の存在しない記憶に侵食され、界離が負けかけるのだった


第30話:決戦の行方wave.8〜wave.9

「あ゛あ゛あ゛〜・・・」

「いい加減そのダミ声を止めろMt.レディ」

 

 警備に入っているヒーロー用の休憩室でテーブルに突っ伏しダミ声を出すMt.レディと、そんな彼女を諌めるシンリンカムイとデステゴロ。

 

「流子、やけ食いも程々に」

「うるっさいわね!いいじゃない別に」

 

 その隣のテーブルでは、ピクシーボブがたこ焼きや焼きそばといった露天で売られていた食品をやけ食いしており、他のメンバーたちが宥めている。

 

「どうせ私なんて、高校生相手に唾つける行き遅れババアですよ・・・。いい歳こいてニャンニャン言ってる痛いおばさんですよ」

「それは私たちにも刺さるからやめなさい」

「どうせ私なんて懲りない女ですよ。中学の時で懲りたなんて言っといて、ちょっと優しくされたらすぐ堕ちちゃうチョロい女なんですよ」

「誰も言ってないぞそんなこと」

 

 二人とも昨日からこんな調子である。具体的には、騎馬戦で界離がお茶子ちゃんの存在しない記憶に便乗してからである。

 

「まず二人とも、ハッキリ好きじゃないと言われた訳ではないのだから、諦めるのは早いんじゃ・・・」

「嫌いな奴に嫌いってハッキリ言える男がいる訳ないじゃない!逆ギレした女にレイプされること警戒して何も言わずにフェードアウトが関の山よ!」

「そうよ後輩!結局女なんてちょっと会話しただけで浮き足だってフラれて、男なんて女心を弄ぶだけ弄んでトンズラするのがオチなのよ!」

 

 シンリンカムイが慰めようとするが、Mt.レディとピクシーボブには全く通じる様子はなかった。

 

◇◇◇◇

 

 一方その頃、wave.8を迎えた界離たちは不運にもエンデヴァーとエンカウントしてしまっていた。

 

「初めまして。素晴らしい試合の数々、拝見させて貰っている」

「・・・光栄です」

 

 優しげな声とは裏腹に、まるで品定めをしてるかの様な目つきに肩を貸していた緑谷*1は萎縮してしまい、たまたま一緒だった爆豪は露骨に不機嫌な顔をしている。

 

「爆破の個性、高い身体能力に加え、鞭のようなエネルギー体を操る個性、幻覚を含め多種多彩な技を駆使する個性、皆とても素晴らしい力だ。さぞご家族は鼻が高い事だろう」

「・・・そうですね」

 

 界離も平静を装おうと努めているが、あんな話*2を轟から聞いてからそんなに時間が経ってないため動揺が声の震えとして出てきてしまう。

 

「ご用件はそれだけでしょうか?試合まであまり時間がありませんので」

「いや、要件は他にある。うちの焦凍にはオールマイトを超える義務がある」

 

 ボロが出る前に、さっさと立ち去りたい界離だったがエンデヴァーに呼び止められたため立ち止まらざるを得なくなる。

 

「今はまだ本来の力を出せていないが、君たち()()との試合は焦凍にとって有益な経験となるだろう。くれぐれも、みっともない試合はしないでくれ」

 

 言外に()()()()()()()()()()()と言っているエンデヴァーに、既に試合を終えた爆豪は今にも爆発しそうなくらい顔を歪める。

 

(顔は完全に冷さんなのに、あの目つきは完全に原作エンデヴァーだよ・・・てか、下手したら所業は原作よりも悪化してるのか)

「他所の事情に首を突っ込むべきじゃないのは承知していますが、凍焦さんがオールマイトを超えないといけないのは貴方のためじゃないんですか?」

「何だと?」

 

 緑谷の言葉に、エンデヴァーの目つきが更に鋭くなる。

 

「貴方が凍焦さんに期待するのは母親として当然なのかもしれません。でも、夢を()()のと()()()()()のは同じじゃ無いと思ってます」

「凍焦さんには凍焦さんの頑張るがあります。自分の願望を押し付ける事は本当に正しい事でしょうか?」

 

 怖いだろうに、それを我慢してエンデヴァーに物申す緑谷。界離と爆豪も感化されたのか、目から遠慮や我慢が消える。

 

「凍焦さんは人間です。貴方の野望を叶える為の道具じゃありません」

「ヒーローとは他人(ひと)より()()()()()()()()であり、人であると俺は思っています。力を求めるだけの兵器(マシーン)じゃない」

「今のあんた、とてもヒーローには見えんぞエンデヴァー・・・あと、オールマイトを超えるのはアンタの娘じゃねえ。俺だ!」

「生意気なこと言ってすみません。失礼します」

 

 エンデヴァーがどんな顔をしていたかは、振り返らなかった界離たちは分からない。でも、少しでも響いてくれている事を願って界離たちは試合に向かうのだった。

 


 

『さあさあさあ、やって参りましたぞwave.8第三試合!戦うのは今大会最も注目されているこの二人!ラビットヒーローミルコの弟子にして、今年の実技試験を主席で突破した期待の超新星!!結城界離!』

『対するは、No.2ヒーローエンデヴァーの娘!これまでの試合を全て氷の力だけで制してきた怪物!!轟凍焦!』

『お互いにまだ秘めてる力を持っている者同士の戦い。アタシは、お兄ちゃんが紅白饅頭頭さんの氷と炎両方を打ち破って勝つ未来に一票で』

『合理性に欠く実況だな、結城妹』

『うるっさいですね。それを言うならあなたが雄英に居る事自体が合理性に欠くんじゃないんですか?ゾンビ教師』

 

 プレゼント・マイクと愛狸、相澤先生の実況のギスギスしたやり取りに少し申し訳なく思う界離だが、今気にすることはそれじゃないと切り替え轟と向き合う。

 なおその隣の第四試合コートでは、完全におまけ扱いされていることにキレる爆豪とそれを宥める緑谷で一悶着あったそうななかったそうな。

 

「悪い結城、少し良いか?」

「どうした?」

 

 いざ試合が始まろうとした矢先、轟に呼び止められる。もしかしたら原点(オリジン)を思い出せたかと淡い期待を抱いたが、鋭さの衰えていない目付きから上手くいっていない事を突きつけられる。

 

「お前に言われて、空を見上げてみたよ。お前の言った通り、凄く綺麗な青空だった。それに観客席も、TVで観た事のあるヒーローが何人も居た」

「そっか・・・」

「だがそれだけだ・・・俺があいつを否定するために、お父さんの力でNo.1になることは変わらない」

「なら、俺もとやかく言わない。ただ一つ・・・受けてたつさ!」

 

『レディ・・・スタート!!』

 

 試合開始の合図と共に、轟の右足を起点に勢いよく生み出された氷が界離に迫るが、"アイスピック"の掛け声と共に右腕を突き出し氷を砕く。

 

『おおっと結城界離、轟の氷塊を見事に砕いた!今のは釘パンチの一種か!?』

『あれはアイスピック・・・貫通力を高めた一点集中型の釘パンチだ』

 

 ミルコが技を解説している間も、轟と界離の生成と破壊の応酬は続く。

 

「どうした轟!この程度の技に破壊されるようなヘナチョコ技じゃあ、No.1どころかエンデヴァーだって倒せないぞ!」

「っ・・・黙れ!!」

 

 界離の挑発に乗った轟が瀬呂を屠った時よりも巨大な氷塊を生み出す。

 迫り来る氷塊に勝負あったと誰もが思いかけた。

 

「十八連・・・ツインネイルガン!!」

 

 界離の出した両腕でのパンチ。それによって巨大な氷塊は粉々に破砕され、欠片が粉雪のようにスタジアムを舞う。

 

『何だ何だ何が起こったああッ!?轟の氷塊がたった二発のパンチで粉々だあ!!こんなことあり得るのかおい!?』

『いや・・・二発じゃない。分かり辛いが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()で十八回もパンチを叩き込んだんだ』

『よく分かったなイレイザー。あれは"ネイルガン"・・・釘パンチを通常時より強く速く数発分を()()で放つ派生技さ』

 

 大氷塊を砕いた界離は、轟の元に真っ直ぐ突っ込んでいく。

 轟は界離の足を止めようと氷を生成し続けるが、フェイントを交えた縦横無尽の動きを捉えることが出来ず接近を許してしまい腹に一撃を喰らう。

 

『どうした轟!?氷の威力とスピードがだいぶ落ちているぞ』

『低体温症じゃないの?』

 

 追撃を仕掛けてくる界離を追い返そうと氷を使い続ける轟だが、明らかにスピードと精度が落ちてきている。

 霜が降りた体は震え、肌は青白く息も白くなるなど素人目に見ても低体温症になりかけてるのは明らか。だが、それでも左の力()を意地でも使おうとしない。

 

「ゴホッ!・・・負けるわけには、いかない!」

「轟凍焦さん!」

 

 口から火を吹きながら一瞬の隙をついて肉薄した界離が轟を抱きしめ、コマのように体をひねり高速回転させる。

 

「な…!何を…」

 

 結界を使い空気を圧縮させて生じた熱により霜が解け、低下した体温が上がったおかげか肌の色も血色が良くなってくる。

 

「今こそ、左の力を使うべきだっただろ!左の炎だって、君の力であることには変わらないはずだろ」

 

 轟の顔が赤くなり、客席からは再びブーイングが飛び交ったが界離は気にしない。

 

「俺は・・・炎だけは使わねえ。エンデヴァー(あいつ)になんかなってたまるか!」

 

 怒りに呼応したかのように、大氷塊が再び界離に迫る。

 

「それは違う!」

 

 界離は避けることなく、大氷塊へ突っ込んでいく。

 

「周りが何と言おうと、生みの親が誰であろうと君は君だ!君の個性(ちから)も、ヒーローになりたいって思いも君だけの物だ!!エンデヴァーじゃない!」

「なりたい自分に、なっていいんだ」

「誰・・・?」

 

 迫ってくる界離の姿と言葉に輪郭がぼやけた誰かが重なった轟は無意識に炎を出すが、陽華突を交えた五連釘パンチを防ぐには至らず直撃をくらい、場外へ吹き飛ばされる。

 

『決まったああッ!!無敗同士の対決、勝ったのは結城界離だあ!』

 

 無敗、そしてビルボードチャート上位ヒーローに師事する者同士の戦いは界離の勝利で決着がつく。なお、その隣では波紋疾走(オーバードライブ)を完全に使いこなしていた爆豪とまだ未完成な緑谷のオラオララッシュの果てに爆豪の勝利で幕を閉じたのだった。

 

◇◇◇◇

 

581:迅雷風柱

界離・・・轟のことは残念だったな

 

582:貞操逆転ヒロアカ転生者

気にしてませんよ!元々そんな簡単にいくとは思ってませんでしたから

 

583:国家元首なMS乗り

だが無駄にはなっていないはずだ。緑谷の負担が減った事を祈ろう

 

584:男女比1:30世界のアイドルメンバー5

にしても緑谷と爆豪の試合もすごいもんだったよな。

前waveよりも波紋疾走(オーバードライブ)を使いこなしていた緑谷も、波紋で手汗をミサイルみたいに飛ばして遠距離攻撃手段を確立していた爆豪もヤバすぎだろ・・・

 

585:貞操逆転ヒロアカ転生者

それな!

こっちは数年がかりで物にしたのに、こうもあっさり習得されるのは結構キツイなぁ・・・

 

586:男女比1:30世界のアイドルメンバー4

仕方ないんじゃないか?

界離のオリジナル(竈門炭治郎)は才能にはあまり恵まれてなくて、長く続けた鍛錬で得た力で戦い抜いた男だ。

だとしたら界離もそうなってる可能性だってあるかもしれんさ

 

587:貞操逆転ヒロアカ転生者

だとしたら、なおさら頑張らないとな。

炭治郎だって、きっと同じ場面に出くわしても諦めずに頑張り続けるでしょうし

 

588:男女比1:5世界の新社会人

その意気だよ界離くん!

 

589:転生元トップレス

おい、wave.9第一試合が・・・緑谷と轟の戦いが始まるぞ

 

 

◇◇◇◇

 

 緑谷と轟の試合は、前waveの界離との戦いの繰り返しと言われる展開だった。

 轟が生み出した氷塊を緑谷がデラウェアスマッシュで砕き*3、また生成しては砕かれるのを繰り返しては接近されて格闘戦に挑まれる。体に霜が降りてきたため動きにキレがなくなるなど。

 つまらなかったのか、観客の中にはブーイングを出す者まで現れてくる。

 

 いい加減炎使えよ。やる気がないなら帰れ。

 

 初めて出た(界離にとっては)まともなブーイングに何で原作では出なかったんだろうと不思議に思っていたら、原作でもあった緑谷と轟のやり取りが始まっていた。

 

「君の、力じゃないかッ!!」

 

 その言葉を聞いた轟から氷に匹敵するほどの炎が生み出される。

 

「・・・ったく。お前も結城も、お節介が過ぎんだよ」

「余計なお節介は、ヒーローの本質だからね・・・結城君も、同じこと言ってたよ」

 

 ようやく迷いを吹っ切れたのか、穏やかな笑みを浮かべながら炎も使って攻めてくる轟。氷と違って精度はイマイチだが、出力の高さは目を見張るものがあり掠めただけでもアウトだと見てるだけでも伝わってくる。

 一方の緑谷も黒鞭だけでなく、体を浮かせるなどこれまでとは違う動きも加えて轟を翻弄する。

 

「出久・・・黒鞭に加えて"変速"と"浮遊"まで使えるようになったのか」

 

 一進一退の攻防に先ほどまでのブーイングは消え去り歓声が上がるが、制限時間も迫ってくる。

 双方共に当たれば勝利が決まる大技を持っているが当てることが出来ず、残り時間が一分を切る。

 

「しかたねえ・・・うまく調整できないが、やってみる!」

 

 轟が氷と炎を同時に出し、それを両手に集めて混ぜ合わせ始める。

 

「あれは赫灼熱拳・燐の真似事か!?でもどうやって知ったんだ?」

『もしかして、あの時のアレを実践したのか?』

 

 VIPルームで轟の新技に驚くスレ仲間たちの元に、界離からメッセージが届く。

 

『あの時のあれって、何だ界離?』

『USJ襲撃の前にさりげなく言ったんです。相反する属性の技を打ち消し合うことなく混ぜ合わせて放てたら最強じゃないかって・・・轟、あれ聞いてたんだ』

 

 界離曰く、ある日ラゴラスエヴォ*4が頭に浮かんだので昼休みの雑談中に何気なく口にしたらしい。

 いつの日か轟が炎を受け入れてから、特訓の際の道標になれば良いな位にしか思ってなかったから耳に入っていたのは予想外だったと。

 

◇◇◇◇

 

(轟さん・・・結城君のアドバイスを実践してるんだ)

 

 炎と氷が混ざっていくのを眺めながら、緑谷は応援席にいる界離の事を考えていた。

 初めて会った時から、無個性で燻っていた自分の背中を押してくれて、雄英に入ってからも圧倒的な実力を見せつつ自分たちを引っ張り続けてくれ続けた不思議な男子。

 

「僕だって、僕だってやってみせるさ!結城君みたいに」

 

 全身にワン・フォー・オールと波紋の力を駆け巡らせ、更に昨日から()()()()()()()()にもスイッチを入れる。

 緑色の雷と深緑のオーラに加え、目から青色のオーラを出した緑谷と轟が動き出したのはほぼ同時だった。

 氷と炎に緑谷の拳が当たると同時に大量の蒸気が発生し、遅れて大きな衝突音が発生する。

 

『轟凍焦場外!勝者、緑谷出久』

 

 舞台を包む蒸気が晴れ、そこには怪我した右腕を、それでも力強く突き上げた緑谷が真ん中に立っていた。

 

『マジか!?緑谷勝ちやがった!連敗を止めたのは、緑谷だああ!!』

 

 盛り上がる観客とプレゼント・マイクとは対照に、界離とスレ仲間たちと相澤先生の表情は険しかった。

 

「不味いな・・・いくら何でも個性の開放が早すぎる。これじゃあ、緑谷の腕だけじゃなくて足も使い物にならなくなるかもしれない」

『早めに鍛えたのか裏目にではじめてるな・・・これは想定外だ』

 

 緑谷の体を守るために波紋を教えたのが裏目に出た事に歯噛みする界離たち。

 とりあえず今は体育祭に集中して、対策は後日考える事にして、wave.10の最終戦に備える事にする界離だった。

*1
前waveの疲れがまだ完全回復していないようだ

*2
弐拾漆話参照

*3
指が壊れてない事に界離は密かに安堵した

*4
ウルトラマンマックス第30話に登場した怪獣




バトル描写がムズくてなかなか筆が進まない

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