貞操逆転世界のヒロアカー序ー   作:あかんヤー

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今回でようやくリメイク前のあのエピソードに入れました。

リメイク界離君がどう動くか、お楽しみに


第4話:蛙の涙

[b:【誰か】クラスの空気がギスギスしてます【アドバイスプリーズ】]

前スレ>>【至急!】誰か手を貸してください【鍛えないといけないんです】

前々スレ>>【お待たせ】僕はどうすれば良い?2【誰かアドバイスくれ】

 

1:貞操逆転ヒロアカ転生者

前スレを建ててから一年とちょっと。

スレ民同士で争いが起きた時に使える決闘システム“バトルモード”を使ってリサリサネキと風柱ニキに鍛えてもらいながら、無事小学校に進学した俺氏。

「友達100人できるかな!」と意気込んだのも束の間――クラスの空気がとんでもなくギスギスしてしまいました

 

2:貞操逆転ヒロアカ転生者

という訳で、このクラスの空気を改善したいので可及的速やかに有用なアドバイスください。

できれば俺以外傷つく人が極力出ない方向で

 

3:迅雷風柱

なにが「という訳」なんだァ?

 

4:男女比1:30世界のアイドルリーダー

なんやろう・・・原因がめっさ想像できると言うか、多分君がきばっても逆効果にしかならへんと言うか・・・

 

5:男女比1:30世界のアイドルメンバー4

どうもできんさ。諦めろ

 

6:男女比1:30世界のアイドルメンバー5

以上!閉廷!解散!お疲れ様でした!!

 

7:貞操逆転ヒロアカ転生者

>>5

>>6

ちょっとそこ!?帰らないでください!!

確かにアイドルリーダーニキの言う通り、原因多分俺かもしれないですけど!

でもだからって、折角同じクラスになれたのに、このギスギスした空気のままあと半年過ごすなんて悲しすぎるじゃないですか!

 

8:男女比1:5世界の大学生

原因自覚してるのか・・・君、クラスメイトに何したの?

 

9:貞操逆転ヒロアカ転生者

何をしたってそりゃ・・・

・早く仲良くなりたいから、朝は笑顔で大きい声で全員に挨拶

・隣の席の子が教科書忘れたら机くっつけて一緒に見る

・ノート忘れた子には5ページほどあげる

・昼休みは全員で遊ぶ。アウトドア派とインドア派の希望を交互に叶える

・休んでる子の家にプリント届ける日は真っ先に立候補

・・・まあ、これくらいかな

 

10:転生森の民

いややり過ぎだろ!?

男女比1:1世界の小学校低学年でもここまでグイグイ来る子いねえよ!

 

11:転生Dキッズ

アイドルニキたちに貞操逆転世界の女の子事情を教わったから言えるけど・・・君のやったこと全部アウトだよ!

鴨がネギ背負って来るどころか、

自ら調理して鍋にインして“EAT ME♡”って肉食獣の耳元で囁いてるレベルだよ!!

 

12:貞操逆転ヒロアカ転生者

艶やかに囁くって何!?

ルパン三世の不◯子か俺は!?

 

13:転生森の民

まだ不◯子の方が優しいよ!

君の場合、打算なしの本心からの行動だから余計に女の子たちの脳と心を燃やしちゃってるんだよ!

 

14:転生波紋使い

確認したいんだけど・・・

梅雨ちゃん、あなたに毎日べったりしてなかった?

近づいてくる子たちを番犬みたいに威嚇してなかった?

 

15:貞操逆転ヒロアカ転生者

ちょっと待ってください・・・確かにしてました!

俺が他のクラスメイトと話してると間に割って入ってきたり、休み時間はいつも膝枕で昼寝したりしてました!

 

16:迅雷風柱

思いっきり“私のもの”アピールしてんじゃねェか!

何今までほったらかしにしてんだバカもん!!

 

17:貞操逆転ヒロアカ転生者

仕方ないだろう!?

俺、前世じゃ恋人どころか友達だって片手で数えられるくらいしか居なかったんだぞ!

それにちょっとイケメンになれたからって、笑顔で話しかけただけで女の子が惚れるなんて、出来の悪いなろう小説みたいなことが現実で起こるわけないだろ!

 

18:男女比1:30世界のアイドルメンバー5

出来の悪いなろう小説www

まあ普通はそう思うよな・・・だが残念ながらお前が転生したのは男女比が狂った貞操逆転世界だ!

 

19:男女比1:30世界のアイドルメンバー4

その世界の女子は全員、“自分に優しくしてくれる異性=自分のことが好き”

と勘違いする、ある意味地雷物件ばかりなんだよ!

だからお前の言う“出来の悪いなろう展開”なんて、起きて当然なんだよ!

 

20:貞操逆転ヒロアカ転生者

なん・・・だと・・・・・・

 

21:男女比1:30世界のアイドルリーダー

さて・・・界離くんに現実を突きつけたところでこれ以上弄るんは可哀想やし、真面目に対策考えよか

 

22:男女比1:5世界の大学生

一番簡単なのは“女子に優しくしない”ことなんだろうけど・・・ここまで来たらもう手遅れだろうし

 

23:迅雷風柱

真面目に嫌なことされたら突き放す・・・しかねェだろうなァ。

そうやって適切な距離感を刻んでいくしかねェ

 

24:貞操逆転ヒロアカ転生者

トホホ・・・

貞操逆転世界で女子に優しくすることがこんなにデカい影響を与えるなんて・・・

タイムマシンがあるなら前世の俺に伝えに行きたいよ・・・『大袈裟に誇張しすぎだ』って笑ってたけど全部本当だって・・・

 

25:転生波紋使い

過ぎたことをクヨクヨしても何も始まらないわよ!

あなたを転生させた神だって、この展開を望んでたのかもしれないんだから、地獄行きにならないで済むと前向きに考えなさい!

 

26:貞操逆転ヒロアカ転生者

そうですよね!

逆にここまで波瀾万丈なら、地獄送りなんて言ってた神様も満足してくれるかもしれませんよね!

そっか・・・うっかり忘れてたけど、これで良いのかもしれないのかぁ

 

27:転生Dキッズ

リサリサネキ・・・こいつに余計な入れ知恵しちゃったんじゃ・・・

 

28:男女比1:30世界のアイドルメンバー4

こいつ、多分またやらかすぞ

 

29:転生波紋使い

そうかもしれないわね・・・でも私は謝らないわ。

あんだけ苦労したのなら、きっと自力で上手くやっていけるはずよ

 

30:男女比1:30世界のアイドルメンバー5

仮面ライダー剣の烏丸所長やめーや!

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 走る。

 息が切れても、足が痛くても、雨で視界が滲んでも――走る。

 

(梅雨ちゃん・・・どこに行ったんだよ)

 

 胸が痛い。

 寒さのせいじゃない。

 自分のせいで、梅雨ちゃんが泣いた。

 自分のせいで、梅雨ちゃんが傷ついた。

 

(俺が・・・守れなかった)

 

 その事実が、胸の奥を締めつける。

 雨が顔に当たるたび、梅雨ちゃんの泣き顔が脳裏に浮かぶ。

 

あの時――

 

 体育館で見た梅雨ちゃんの表情。

 驚き、悲しみ、怒り、絶望。

 全部が混ざった、あんな顔。

 

(あんな顔・・・させたくなかったのに)

 

 胸が痛い。

 息が苦しい。 でも止まれない。

 界離の脳裏に、放課後の出来事が蘇る。

 

~~~~

 

「ねえ結城くん。あたしたちこれから遊びに行くんだけど、一緒に行かない?」

「えっ・・・俺このあと買い物にいk」

「じゃあ行こっか!今すぐ早く!!」

 

 終礼が終わり、帰り支度をしていた界離にあまり話したことのない女子4人が声をかけてきた。

 匂いで嫌な予感がした界離は、とっさに「買い物がある」と嘘をついて断ろうとしたが有無を言わせず腕を掴まれ、そのまま体育館へ連れて行かれる。

 そこには――手首を顎に添え、「オーッホッホッホ!」とテンプレートなお嬢様喋りをする入学初日から嫌でも印象に残るクラスメイトがいた。

 界離を連れてきた四人も、よく見ればその“お嬢様”の取り巻きだった。

 

「えっと・・・一体何の用で?」

「単刀直入に申します。結城界離さん――このわたくしのものになりなさい!」

「・・・ごめん!俺、君のこと全く知らないから・・・せめて友達からで」

 

 やんわり断ったつもりだった。

 傷つけないように。

 相手を否定しないように。

 でも――それが間違いだった。

 

「そうですね・・・結城さんでしたらそう言いますわね。でしたら――」

 

 次の瞬間、彼女たちから滲み出る“悪意の匂い”に気づいた時には遅かった。

 お嬢様が万力のような力で界離の肩を掴み、そのまま口を塞いできた。

 舌を入れられるのだけは必死に阻止しながら、肩に置かれた手を引き剥がそうと必死にもがいていたその時――

 

「界離・・・ちゃん」

 

 震える声。

 震える匂い。

 梅雨ちゃんだった。

 振り返ると、取り巻きの女子3人が嫌味な笑みを浮かべ、その後ろで梅雨ちゃんが立ち尽くしていた。

 界離は慌てて唾液を拭い、声をかけようとした瞬間――頬に衝撃が走った。

 舌で叩かれたのだと気づいたのは、頬の濡れた感触を確かめた時だった。

 そして女子8人は、待ってましたと言わんばかりに梅雨ちゃんを非難し始めた。

 

(そうか・・・それが狙いか!)

「待って梅雨ちゃん!違うんだ、これは!」

 

 連れて行こうとする女子たちの手を払い、涙を溜めた梅雨ちゃんの元へ向かおうとしたが――それより先に逃げ出してしまった。

 界離も鞄を取りに行くことすら忘れ、脇目も振らずに梅雨ちゃんの後を追った。

 このままじゃ、二度と梅雨ちゃんに会えなくなる――

 そんな悪い予感を振り払うために。

 

◇◇◇◇

49:男女比1:5世界の大学生

界離くん聞こえる!?

 

50:貞操逆転ヒロアカ転生者

大学生ニキ!?このスレは一体!?

 

51:男女比1:30世界のアイドルリーダー

君の先行きが不透明やさかい、別の転生者の力借りて君の様子を見とったんや。

せやから何が起きたかは知っとるで

 

52:男女比1:30世界のアイドルメンバー4

んな事より梅雨ちゃん大丈夫なのかよ!?

こんなイベント原作にはカケラもないぞ!!

 

53:男女比1:30世界のアイドルメンバー5

元が主人公14歳スタートだし、貞操逆転要素ある時点で原作崩壊は当然だろ!

それより今一番梅雨ちゃんの手がかり持ってるのは界離くんだ。

心当たりはないのか!?

 

54:貞操逆転ヒロアカ転生者

分からない。一緒に遊んだ場所なら一通り探したんだけd――

 

55:迅雷風柱

どうした界離?界離!?

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「寒いわ・・・」

 

 蛙吹梅雨は、茂みで作った小さな“かまくら”の中で膝を抱え、震えていた。

 冷たい空気が肌を刺し、指先の感覚はもうほとんどない。

 カエルの個性を持つ彼女にとって寒さは天敵。

 このままでは本当に冬眠してしまうかもしれない。

 それでも――家には帰れなかった。

 界離に、手をあげてしまったから。

 胸の奥が、ずっと痛い。

 息を吸うたび、胸のどこかがひび割れるように痛む。

 

(わたし・・・最低だ)

 

 蛙吹梅雨は普通の女の子だった。

 優しい父と母に育てられ、ヒーローに憧れ、友達と笑い合う、ごく普通の女の子。

 ただ一つだけ、普通じゃないことがあった。

 

――結城界離という“男の子”が、ずっとそばにいた。

 

 この世界では珍しい、男の幼馴染。

 しかも同じ家で暮らしているという特別。

 最初は特別だと思わなかった。

 でも歳を重ねるにつれ、界離がどれほど“特別”なのか本能で理解していった。

 周りの男子は、女子を避ける。

 怖がり、怯え、近づこうとしない。

 でも界離だけは違った。

 いつもと変わらない笑顔で話しかけてくれる。手を引いてくれる。困っていると助けてくれる。

 その優しさが、胸の奥を温かくしてくれた。

 

(界離ちゃんがいれば・・・わたし、寂しくない)

 

 女子の友達が減っていくのは寂しかった。

 でも界離がそばにいてくれるだけで、その寂しさは埋まった。

 いつか結婚するんだ――母のベッドの下に隠されていた薄いマンガみたいに。

 そんな未来を疑いもしなかった。

 だけど――

 その“特別”は、あっけなく壊れた。

 

「知ってる蛙吹さん?蛙はお姫様にはなれないんだよ」

 

 取り巻きの女子に囁かれたその言葉は、梅雨の胸に深く突き刺さった。

 そして――体育館で見せつけられた“キス”。

 界離が、他の女の子に。

 自分の知らない女の子に。

 胸の奥が、焼けるように熱くなった。

 痛くて、苦しくて、息ができなかった。

 気づいたら――界離の頬を叩いていた。

 

(わたし・・・界離ちゃんに、ひどいことをした)

 

 自分の手が震えている。

 心も、体も、全部が震えている。

 “特別”だと思っていたのは、自分だけだったのかもしれない。

 

(もう・・・界離ちゃんとは一緒にいられない)

 

 その考えが頭から離れない。

 何度否定しても、胸の奥で黒い声が囁く。

 

“蛙はお姫様にはなれないんだよ”

 

(わたしなんかが・・・界離ちゃんの隣にいていいはずない)

 

 涙が止まらない。

 寒さで震えているのか、悲しさで震えているのか分からない。

 眠気が襲ってくる。

 このまま眠ってしまえば、全部忘れられるかもしれない。

 そう思い始めた、その時。

 

「梅雨ちゃん!」

「かいり・・・ちゃん?」

 

 聞き間違えるはずのない声。

 その声が、凍りついた心を一気に溶かした。

 次の瞬間、界離が全身ずぶ濡れのまま抱きしめてきた。

 体温が伝わる。

 震えが止まらない。

 

「界離ちゃん・・・どうしてここが?」

「新しい秘密基地が出来たって言ってたよね。その時、君から“嗅ぎなれない花の香り”がしたんだ。同じ花を見つけて、咲いてる場所を教えてもらった」

 

(そんな・・・わたしの匂いだけで・・・?)

 

 胸が締めつけられる。

 嬉しくて、苦しくて、泣きそうになる。

 

「ごめんなさい界離ちゃん・・・わたし」

「梅雨ちゃん・・・俺にとって君は大切な友達なんだ。だから、苦しい時は苦しいって、辛い時は辛いって、ちゃんと怒ってほしい。一人で抱え込まないで・・・だって俺にとって、君はもう――」

 

「家族みたいなものなんだから」

 

 その言葉が、胸の奥に優しく落ちた。

 でも同時に――胸の奥が、また痛んだ。

 

(家族・・・わたしは、それ以上になりたかったのに)

 

 界離が梅雨にもたれかかる。

 彼の体は冷たく、傷だらけだった。

 大人たちが駆けつけ、界離を連れていく。

 梅雨の意識は安心と疲労で沈んでいく。

 その中で――

 界離の足が、靴も履かずに血だらけなのが見えた。

(あんなに傷だらけになってまで・・・わたしを探してくれたのに・・・それでも・・・わたしは――)

 

“蛙はお姫様にはなれないんだよ”

 

(・・・やっぱり、界離ちゃんのそばにはいられない)

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