あと5話くらいで一旦終了する予定です
煙が立ちこめる道路の中心で、オールマイトは静かに息を吐いた。
先ほどまでの交戦で、三人は完全にバラバラだった。
爆豪は“倒す”ことに固執し、緑谷は“逃げる”ことに徹しようとし、界離はその間で二人を制御しきれずにいた。
(・・・また、仲が悪くなってしまったか)
入学後、界離のお節介もあって改善されていた緑谷と爆豪の関係。
体育祭や職場体験を経て、ようやく“同じ方向”を向き始めたと思っていた。
だが、今回の試験では再び険悪になってしまっていた。
価値観の違いは、時に武器になる。
だが今は、完全に足を引っ張り合っていた。
(本当なら・・・私が間に入ってやりたいところだが)
オールマイトは拳を握りしめる。
だが今は試験中。
そして何より、界離自身にも“乗り越えるべき課題”がある。
界離の個性は、あまりにも万能すぎる。
結界、身体強化、炎、幻惑、機動力。
その全てが高いレベルで噛み合っている。
(オール・フォー・ワンは・・・必ず結城少年を狙う)
その確信が、オールマイトの胸に重くのしかかっていた。
界離は、未来のヒーローの中でも“異質”だ。
その力は、象徴の後継者である緑谷とは別の意味で危険だ。
だからこそ――守らなければならない。
ヒーローとして。
平和の象徴として。
そして、一人の教師として。
(結城少年が指示を出して一時撤退した。ならば――若者の未来は・・・私が守る!!)
彼なら、きっとなんとかしてくれる。
そう信じていたオールマイトは気合を入れ直し、腕を振るった。
黒煙が一気に吹き飛ぶ。
視界が開けた瞬間。
「ッ!?」
オールマイトの目が見開かれた。
正面から爆豪が飛び出してくる。
爆風を纏い、獣のような勢いで一直線に。
ワンテンポ遅れて、背後から緑谷が滑り込む。
黒鞭を地面に突き刺し、反動で加速しながら。
そして――ビルの屋上から、木刀を構えた界離が飛び降りてきた。
炎の軌跡を引きながら、一直線にオールマイトの頭上へ。
三方向同時攻撃。
(・・・やるじゃないか!!)
驚きと同時に、オールマイトの口元が吊り上がる。
「まだまだ甘い!!」
オールマイトは地面を殴りつけた。
ドォン!!
衝撃波が三人の進撃を止める。
爆豪の足が一瞬止まり、緑谷の滑り込みが弾かれ、界離の落下軌道がわずかに狂う。
そのまま、最も近くにいた爆豪へ腕を伸ばす。
「まずは一人!!」
爆豪の頭を鷲掴みにした――その瞬間。
「・・・なに?」
爆豪の体が霧のように崩れ、瓦礫へと変わった。
ダミーだ。
「ほう・・・!」
オールマイトが気づいた瞬間――
ドンッ!!
瓦礫に付着していた爆豪の汗が爆発した。
続けざまに、緑谷と界離の姿も瓦礫へ変わり、連鎖的に爆発が起きる。
「なるほど・・・!」
オールマイトは後方へ跳躍し、爆風を避けた。
◇◇◇◇
路地裏を駆け抜ける界離たちの耳に、爆発音が響いた。
「始まった・・・!」
「よし、作戦通りだね!」
「急ぐぞ!!」
界離は振り返らずに叫ぶ。
「ダミーの足止めなんて、ハッキリ言ってアテには出来ない! 交戦するにしても、できるだけゴール近くで――」
言い終える前に。
「遅いぞ、ヒーロー諸君!!」
「ッ!?」
オールマイトが路地裏の出口を塞ぐように立っていた。
その姿は、まるで“逃げ道を計算して待ち構えていた”かのようだった。
「くっ・・・!」
界離が反射的に結界を展開するが――
「甘い!!」
オールマイトは三人の胸ぐらを同時に掴み、そのまま地面へ叩きつけた。
ドガァッ!!
アスファルトが砕け、粉塵が舞う。
「ぐっ・・・!」
「かっ・・・!」
「結城君!!」
三人が転がりながら体勢を立て直す。
(さて・・・どう動く?)
オールマイトは三人を観察する。
爆豪と緑谷が瓦礫に変わった瞬間、オールマイトは反射的に距離を取った。
だが――何も起きない。
「・・・ハッタリか」
そう呟いた瞬間。
「ハッタリじゃねぇよ・・・!」
オールマイトの背後に、爆豪が現れた。
右手が、オールマイトの後頭部へ迫る。
「やられる前に・・・ぶっ倒す!!」
爆豪の右手が、オールマイトの後頭部へ迫る。
ほんの数センチ。
あと一歩で届く――そう思えた。
だが。
「遅い!!」
オールマイトの巨体が、まるで未来を見たかのように滑らかに横へ流れた。
爆豪の掌は空を切り、逆にオールマイトの手が爆豪の手首をがっちりと掴む。
(やっぱり・・・速ぇ!!)
爆豪の顔が歪む。歯を食いしばりながらも、オールマイトの動きを見極めようとする。
だが――
「残念だったな、爆豪少女」
オールマイトが爆豪を地面へ叩きつけようとした、その瞬間。
爆豪の身体が――霧散した。
「またダミーか!!」
オールマイトが目を見開く。
掴んでいたはずの爆豪は瓦礫へと変わり、粉々に砕け散った。
そして。
「
オールマイトの足元から、爆豪が飛び出した。
地面に潜んでいたのではない。瓦礫の影に紛れ、界離の結界で気配を消していたのだ。
爆豪は籠手のピンを引き抜き、最大火力をオールマイトの顔面へ叩き込む。
轟音が響き、爆炎がオールマイトの顔を包む。
反動で地面が抉れ、周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。
だが――
「ぐっ・・・!」
オールマイトは踏みとどまった。
顔に直撃したにもかかわらず、膝すらつかない。
(・・・化け物かよ!!)
爆豪が舌打ちする。
オールマイトは煙の中から腕を伸ばし、爆豪を捕らえようと動き出す。
その瞬間。
「させない!!」
緑谷の黒鞭が、オールマイトの足に巻き付いた。
鞭が足を掬いあげ、オールマイトのバランスがわずかに崩れる。
そこへ――
「風の呼吸・陸ノ型――
界離が風を巻き上げながら突撃した。
乱流が渦を巻き、斬撃がオールマイトの身体を襲う。
足が地面から離れた、その瞬間。
「マンチェスタァァァァァァ!!」
緑谷が背後から飛び込み、踵蹴りを叩き込んだ。
「スマァァァァァァッシュ!!」
オールマイトの身体が地面に叩きつけられ、砂煙が舞い上がる。
◇◇◇◇
「す、すごい・・・! 三人で、オールマイトを!」
「界離ちゃん、緑谷ちゃん、爆豪ちゃん・・・三人とも」
「これ・・・もしかして勝っちゃうんじゃ!?」
A組がざわめく。
だが、リカバリーガールは首を横に振った。
「・・・いや、まだだねぇ」
相澤も腕を組んだまま、淡々と告げる。
「オールマイトは・・・こんなもんじゃない」
◇◇◇◇
砂煙の中から、ゆっくりと影が立ち上がる。
ほとんどダメージを受けていない。
「よくやった・・・だが!!」
オールマイトが一瞬で間合いを詰め、緑谷の頭を掴んだ。
「ぐっ・・・!」
「出久!!」
界離が木刀を投げる。
「甘い!!」
オールマイトは首をわずかに傾け、木刀を避けた。
だが――木刀が、緑谷に変わった。
「デトロイト・・・!!」
「ッ!?」
「スマァァァァァァッシュ!!」
緑谷の拳がオールマイトの顔面に迫る。
オールマイトは腕で防ごうとするが――掴んでいた緑谷が、爆豪に変わった。
「閃光弾《スタングレネード》!!」
爆豪の掌から白光が炸裂し、オールマイトの視界が奪われる。
その隙に、緑谷のデトロイトスマッシュが直撃した。
「風の呼吸・壱ノ型――
界離が渦巻く突風を生み出し、オールマイトを閉じ込める。
風圧がオールマイトの身体を削り、動きを封じる。
「真正面から来るか・・・!!」
オールマイトが拳を構える。
「
風圧が渦をかき消し、界離の突風が霧散する。
だが――界離は慌てない。
「弐ノ型――
四つの斬撃が、オールマイトへ襲いかかる。
そのうち一つが――オールマイトの脇腹、オール・フォー・ワンにつけられた古傷に触れた。
「ッ・・・!」
オールマイトの身体がわずかに揺れ、血が滲む。
「今だ!! 二人とも!!」
「
界離が叫んだのに合わせて、爆豪が波紋を纏って錐揉み回転しながらオールマイトに迫る。
「
緑谷が跳躍しながら三代目継承者の個性で両脚にエネルギーを溜める。
「スマァァァァァァッシュ!!」
二つの攻撃が、同時にオールマイトへ迫る。
波紋を纏った爆豪の爆破と、緑谷の飛び蹴り。
二つの軌跡が交差し、オールマイトの胸部へ――
「・・・見事だ」
その一言だけを残し、オールマイトは真正面から直撃を受けた。
轟音。
爆風。
砂煙。
象徴の巨体が、地面を滑りながら吹き飛ばされる。
瓦礫が砕け、地面に深い溝が刻まれた。
砂煙が晴れた時――オールマイトは仰向けに倒れていた。
「・・・やった・・・のか?」
爆豪が息を荒げながら呟く。
「まだ・・・油断は・・・」
緑谷が警戒しながら近づこうとする。
だが――
「いや、今だ」
界離が静かに言った。
木刀を握りしめ、オールマイトの腕へカフスを叩きつける。
カチリ。
その音が、試験の終わりを告げた。
『第十試合――結城界離・緑谷出久・爆豪勝己チーム、クリア!』
スピーカーから響く機械音声。
三人はしばらく動けなかった。
緊張が解け、膝が震える。
「・・・勝った・・・の?・・・僕たちが・・・」
緑谷が呆然と呟く。
「当たり前だ・・・! 俺たちが!」
爆豪は疲れと誇らしさが混ざったような顔で拳を握る。
界離は静かに息を吐いた。
(・・・本当に、勝てたんだ)
胸の奥が熱くなる。
~~~~
「界離ちゃん!!」
「緑谷君!!」
「爆豪!!」
「すごい・・・すごいよ三人とも!!」
モニタールームに戻った瞬間、A組全員が雪崩のように押し寄せてきた。
「結城君、オールマイトに勝ったんだよ!? すごすぎるよ!!」
「緑谷君も! 爆豪君も! あれは・・・あれは・・・!」
「爆豪、やるじゃねぇか!」
「界離ちゃん、かっこよかった!!」
界離たちは押しつぶされそうになりながら苦笑する。
「ちょ、ちょっと・・・! みんな・・・!」
緑谷は涙目で抱きつかれ、爆豪は「触んな!!」と怒鳴りながらもどこか満更でもない顔をしていた。
数時間後、教室に相澤先生が入ってくる。
「結果を発表する」
A組全員が息を呑む。
「――全員合格だ。赤点なし。よくやった」
「やったああああああ!!」
「全員で合宿行ける!!」
「よかったぁぁぁ!!」
教室が歓声に包まれる。
だが相澤先生は続けた。
「ただし青山、芦戸、麗日、上鳴、切島、緑谷、爆豪、結城。お前ら八人は赤点ギリギリだ。気を抜くな」
「・・・やっぱりか」
界離は苦笑する。
「僕も・・・ギリギリ・・・」
緑谷は肩を落とす。
「クソが・・・!」
爆豪は机を小突き、悔しさを露わにした。
「――そっか・・・それでお前ら三人ともオールマイトと闘い続けてたのか」
放課後。
界離、緑谷、爆豪は轟とトレーニング用に借りた演習場で合流していた。
「ああ・・・倒す。絶対にな」
そっぽを向きながら出た爆豪の声は、焦りと決意が混ざっていたが、どこか誇らしげだ。
「じゃあ・・・始めようか。時間がある限り」
戦闘態勢を取りながら、界離が静かに切り出す。
轟も緑谷も、爆豪も界離のように戦闘態勢に切り替える。
「・・・あの未来を変えるために」
「うん。オールマイトが死ぬ未来を・・・絶対に変える」
四人の視線が交わる。
同じ決意を持つ四人は、今日もまた密かに特訓を続ける。
平和の象徴――オールマイトの死を阻止した未来を、この手につかみ取るために。
◇◇◇◇
1:男女比1:30世界のアイドルリーダー
ほな全員そろったところで、界離君の期末試験突破を祝って――
乾杯や!!
2:男女比1:5世界の新社会人
乾杯!
3:転生元トップレス
乾杯
4:スレ仲間一同
乾杯!
5:貞操逆転ヒロアカ転生者
皆さんありがとうございます・・・
まあ赤点ギリギリとあんまり喜べない結果でしたけど
6:男女比1:30世界のアイドルメンバー5
何言ってんだオメー
オールマイト相手に白星上げたんだから充分だろ
7:異世界森の民
おまけにA・B両方のクラスで合計十二人の面倒も見ながらなんだからな
8:異世界Dキッズ
改めて振り返っても界離君だけ難易度高すぎィ
お姉さんたちにバレて抗議の電話入れられても文句言えないだろうな雄英
9:雷門中のエアコンヒーロー
それはそれとして、爆豪があんなに悩んでたなんて意外だったな・・・
そういうの気にしねえ奴だと思ってた
10:男女比1:30世界のアイドルメンバー4
普段の粗暴を越えた言動を見てたらそう思うのも無理ないが、かなり繊細な面も持ち合わせてるからな・・・爆豪は
11:転生波紋使い
原作でもオールマイトの引退が自分のせいだって悩んで抱え込んだりしてたわね
12:国家元首なMS乗り
その点も界離のおかげで解消されそうだから、ひとまずは安心だな
13:転生ユザレ
でも大変なのはこれからよね・・・
林間合宿に神野事件、ヒーロー仮免試験ってイベント目白押し
14:キューピット岩柱
おまけに界離君が緑谷と爆豪の仲を取り持った影響で爆豪が軟化したから、林間合宿のイベントがどう変化するかも不明だ
原作で
15:貞操逆転ヒロアカ転生者
確かに・・・
ただ単に暴れ回るだけになるならそこで全員ぶっ倒せば解決になりそうですけど・・・
16:迅雷風柱
あの神がンなゆるい展開許すかぁ?
案外お前狙いで来るかもしんねぇぞ
17:貞操逆転ヒロアカ転生者
それは俺が気をつければ何とかなりそうだな・・・
問題は壊理ちゃんたちに飛び火しないかだけど
18:男女比1:30世界のアイドルリーダー
壊理ちゃんらの心配も大事やけど、ほかにも不安要素ぎょうさんあるよなぁ
19:異世界森の民
・エドマフィラを寄生させた治崎と、個性消失弾のサンプルを有している『角の女たち』
・脳無をビースト・ザ・ワンに変貌させた謎技術の出どころ
・公安委員会
・・・今のところ不安要素はこのくらいか
20:男女比1:30世界のアイドルメンバー5
味方のはずの公安委員会が不安要素とか勘弁してほしいよな・・・
お邪魔虫な味方とかストレス溜まるだけじゃねえか
21:貞操逆転ヒロアカ転生者
ま・・・まあ頑張ります
――ほんと滅茶苦茶頑張ります!!