最推しの羽川翼と付き合いたい 作:羽川翼はヤベー奴
①只野→只之に変更します。読み方は『ただの』のままです。
②章タイトルに『贋物語』を付け足しました。理由は投稿した話の小説タイトルとかの良いタイミングで、出そうとか企んでいましたが、どうやらそのタイミングが多分無いだろうと気付いてしまったからです。
想定が甘過ぎました、反省します(4敗)
あれは小学三年生のときのこと。
「前世から好きでした!付き合って下さいっ!」
「えーと……その、ごめんね?この世界に生まれる前の記憶は私には無いんだよね。だから、ごめんなさい……」
振られました。完璧に振られました。うばあ……もう終わりだぁ……。
「な゛ら、これ゛から゛も゛ぉ……友達でい゛でくれ゛まずがぁ゛……!」
「う、うん……私も
「よし、分かった。ありがとね!それで今さ、母ちゃんがおやつ作ってくれてるんだ。家に食べに来なよ!うん、食べに行こう!レッツゴー!おーっ!」
「え、ええっ!?切り替えが早いすぎない!?それにまだ何も返事してないよ私っ!?」
原作の戦場ヶ原を手本にして早めに告白してみたけどダメだったかー。まあ、恋心も分かってない子供時代だし勝算も何もないか。
焦りは禁物だ。じっくりゆっくりやっていこう。
「パンケーキ……ウマウマ」
「すごい、断る暇もなかった……。あっ、それとご馳走になってます。只之君のお母さん」
貪り食いながら振られたショックを癒していると、おずおずと羽川が母に感謝を述べている。うんうん可愛いな~、酒の肴ならぬパンケーキの肴だ。
まあ、固形物だけどパンケーキをカレー同様に飲み物だと思い込めば大丈夫だな。
「バフオッ!?……ボフフッ!?ゲホッ!ゴホッ……!」
「ああ……っ!飲み物も飲まずにそんなに一気にたべちゃうからだよっ!ほら、お茶を飲も?」
天使か。天使だったわ。
もう、可愛い。既にデロデロに甘やかしてやりたい。くっ!俺の身体が大人だったら……ッ!
「(というか、それを可能にする転生特典とかマジで無いの?原作知識が特典ですって言われても納得とかできないんだけど?)」
だから、羽川も救うのも簡単ではない。それこそ、俺を好きになって貰っても羽川が不幸なら何の意味もないのだ。
「(と、なれば……資金力か)」
安直だけど間違ってはいない筈だ。貝木も金があれば何でも買えるって言ってたし。
「……ねえ、羽川。お金持ちの男ってカッコイイよね?」
「え?ど、どうかなぁ?でも、お金だけに囚われた人っていうのも寂しいと思うけどなぁ私は」
すごいちゃんとしてるし、良い子だ……でも、違うんだよ羽川!今の俺が欲しい言葉はそんな言葉じゃない!
「───けど、経済力がある男って魅力的だよねっ!世間一般でもそれが大多数の声なんだし!」
「えっ、う、うん……まあ、お金があるってことはそれだけ心に余裕を持ちやすいってことだから、もしかしたら心が豊かな人になることもあるかもね」
よーしよし、良い感じだ!でも、もっとだよ羽川っ!俺のやる気を上げてくれッ!オラッ!もっと来いよ!
「じゃあ、俺が将来お金持ちになることを応援してっ!」
「え?あっ、う、うん……た、只之君、頑張れー?」
「ヘーイ!オーディエェェエエンスゥッッ!!まだまだ大きな声を出せるだろー!?ヘイ、カモンッ!プチョヘンザ!」
手を上げるサインをして、羽川の手を上げさせる。
「イ、イエーイッ!只之君、カッコイイー!お金持ちになってー?」
「センキュー!!レディース・エ~ンドゥ・ジェントルメ~ン!お金持ちの男と付き合いたいかぁーい?」
「イェーイッ!」
「モテモテの家庭的なエリートイケメンと付き合いたいかー!?」
「イエーイッ!」
「遊園地を始めたとしたテーマパークを遊び尽くしたいかー!?」
「イエーイッ!!」
「最高のコール、ありがとおおおおっ!!シャレオツなアクセや服も大盤振る舞いだあー!安定資産である
「あっ、意外に現実的だ」
いや、ブランド品買っても使わないでしょあなた。実用的で価値あるものを買えばいいかな。市場価値が変動しやすいからやっぱり金とか?
「(だけど、これでやる気が出たぜ!俺はお金持ちになって羽川を幸せにして見せる!)」
その後に、母親に頭を叩かれて正気に戻るとモソモソとパンケーキを食べた。……そう言えば、今の時代はまだパンケーキじゃなくてホットケーキが主流か。
よく羽川分かったなー……と言いたいが、まあ、あの羽川だ。英語くらいこの時期から分かっていても不思議ではない。
その日の夜に思った。
「羽川を養子に引き取ると言うなら、養育費やら生活費の金は必ず無くちゃならない。俺が駄々をこねても羽川がウチの養子になれる可能性は極めて低いんだから、まずはその辺りから攻めないと」
他人の子供を養子に引き取りたいと考える親は極少数だろう。その価値観が間違っているとは思わない。
でも、両親を説得できなければ羽川は地獄の家庭環境で過ごし、愛されることを知ることなく成長してしまうのだ。
「だからこそ、性急に大金がいるんだけど、どうしたものかな……」
だから、すぐに大金を稼げる方法を考えてみよう。
宝くじ?──NOだ。前世では買っていないのだから、番号なんて当然知らない。
競馬?──NOだ。上記と同じ理由。前世でギャンブルはしなかった。
「……だから、正攻法のギャンブルやってみるか」
それ即ち、漫画の賞に応募をすることである。入賞をすれば百万円や二百万円は稼げるだろう。
もし、連載となればもっと稼げるだろうけど、そうなると身体を鍛える暇がなくなるから悩みどころではある。
まあ、何かをするにも最低限の元手にはなる筈だ。
「もし、漫画を描く才能がなかったら……いや、ダメだよな。それだけは」
『化物語』が掲載されたのは2006年から刊行されて、2009年にアニメ化をされた。このまま成長をすれば高校三年生になる頃には2009年になっていることから、この世界はどうやらアニメ時空のようだ。
「それはやっちゃダメだろ……いや、でも他のやり方で大金を得ることなんてなぁ……」
それこそ、音楽コンクールで入賞するという手もあるが、音楽センスが本当にあるかも分からないし、あの『化物語』の世界なのだから当然怪異が存在している。
つまり、戦闘力が無いことで死んでしまう可能性が高いということだ。これから先も羽川と共に居る人生設計のため、怪異の対抗手段である空手を辞めることはできない。
「だから、空手を辞めさせられるだろう音楽関係はできないし……やっぱり漫画しかないのかなぁ」
確か、小学生の受賞者もいた筈だ。絵は基本的に努力したものが上手くなる世界だから、俺でも可能性がないわけではない。
「この幼い時期からガチで取り組めるのは間違いなくプラスだ。十年……いや、五年で賞を取れるように頑張ろう」
それにもし千石と関り合いになるのだとしたら、漫画関係はある程度知識を詰め込んだ方が良い筈だ。空手とか何にも通じないであろう神撫子相手だと一方的に殺される。
千石撫子と仲良くなりたいなぁ……殺されないために。
「俺という異分子のせいで、神撫子の前に阿良々木や戦場ヶ原と共に羽川が立ち塞がるかもしれない。ぶっちゃけると千石撫子って羽川と関係性がまるでないから、神様に成り上がろうが成れ果てろうがどうでもいいんだよなー。
大したことは為し遂げれないまま、普通に幸せになって貰った方が千石は万事丸く収まる感じがするし。うん、それがいい」
そんな勝手極まる理由で人のこれからを将来を決めた。全ては羽川と結ばれるために。
「……で、あれから三ヶ月が経ったわけなんだけど」
俺は部屋に似つかわしくない目の前のアタッシュケースを見る。そのアタッシュケースは……なんかもう色々と怖い。どうしてこんなことに……?
「もしや、俺の転生特典は黄金律だった……?」
現在、約一億円が入ったアタッシュケースが目の前に置かれていた。