【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第196話 ワチャワチャ真夜中交流会

 

 どうやら、ソルシエラの粗悪なコピー品が出回っているらしい。

 

 ゆ、許せねぇ……!

 

『でも一人くらいは貰ってもいいんじゃないかな。本物に近づくように調きょ……いや、洗の……、まあ、上手く使うさ^^』

 

 絶対に渡さない。

 そんなソルシエラ育成キットみたいな扱いしないでくれよ。

 普通に由々しき事態だよ。

 

『君だけのソルシエラを作ろう!』

『マイロードの言う通りだ。私が言えたことではないが、天使にソルシエラを量産する手筈が整っているのならマズい事になるぞ。いくら個体としては弱くとも、干渉の能力を持った存在はマズい。人類の危機だ。世界の幼き命達が危ない』

 

 カメ君……!

 

『だが仮にロリシエラが量産されたら……?』

『……え?』

 

 おい、負けるなよ。

 天使としての意地を見せてくれ。

 

『君の望むがままのロリシエラが作れる。とても魅力的ではないか?』

『……っだが、それは私のエゴだ。私はあの子に自由に育って欲しいんだ。あの子はね、縛られてはいけないんだよ。自由に、そして孤独すらも愛する子になって欲しいんだ。マイロード、君は君のままで大きくなるんだぞ』

『予想以上の答えだ。驚いたよ……!』

 

 変態と変態が生産性のない会話してる……。

 架空の俺と何をしたらそんなクソデカ感情を入手できるんだ。

 

 とにかく、偽者はぜーんぶ抹殺ね!

 そもそもトアちゃんを襲っているような奴を野放しに出来るかよ。

 

『危険だから全国のおもちゃ屋さんから回収だねぇ』

 

 ソルシエラ育成キットってホビー扱いなんだ……。

 

「状況が変わったな。まさか、これ程大事になるとは」

「ソルシエラの偽者だもんね……あ、ミズヒちゃん私と一緒に写真撮ってー。SNSにあげるから」

 

 このタイミングで……?

 

「いえーい」

「い、いえーい?」

 

 リュウコちゃんに流されるままに、ミズヒ先輩はピースサインを作る。

 そして、首を傾げながらパシャリ。

 

 一人だけ余裕をぶっこいてるリュウコちゃんは「これでバズる……そして、人気投票を……」とか言いながらスマホをいじっていた。

 君さぁ、何しに来たの?

 

「リュウコちゃん! 悪のダークソルシエラ軍団はまだまだいるはずです! 油断は駄目ですよ!」

「はっはっは、大丈夫だって。だって、私、クールに倒して見せたしぃ? いやぁ、初めて会った時から、ソルシエラは倒せそうだって思ってたんだよねぇ」

「調子に乗ってるー!?」

 

 ヒカリちゃんの驚く声に、リュウコちゃんは照れながら頭を掻く。

 いや、褒めてないっす。

 

 この美少女、合流してからずっとこの調子であった。

 

 一度、生徒会に報告しようとコガレ先生が離れた今、リュウコちゃんとの交流を深めるために、仲良くお話タイム中だ。

 が、偽シエラを倒したリュウコちゃんは、調子に乗っており端的に言ってうぜえ。

 

 美少女に思うべきではないのだが……調子乗んなリュウコ。

 

「それに、そっちも三人で倒したんでしょ? 私は一人だったけど☆」

「いや、殆どヒカリ一人だったな。特に障壁を破ったのは見事だった」

「えへへ……」

 

 ヒカリちゃんが照れ臭そうに笑う。

 そんなヒカリちゃんを見て、リュウコちゃんは驚いたように口を開けた。

 

「嘘……障壁を破った……? 私みたいに不意打ちからの毒でじわじわと殺したんじゃなくて……?」

「リュウコ、どうした?」

 

 ミズヒ先輩は不思議そうに首を傾げる。

 どうやらリュウコちゃんの言葉は後半聞こえていなかったらしい。

 

 確かに、ソルシエラを真っ向から倒すというのは普通の考えじゃないかもしれない。

 リュウコちゃんのように搦手などを使う方が確実で安全だ。

 

 まあ、本物はそれでも負けないがね!

 

『空無カノンの事を覚えていないのかい? 思いきり、搦手で負けてたじゃないか』

 

 最後に勝ったんだからいいだろ!

 あれもミステリアス的には勝利だろうが!

 

『油断大敵だマイロード。小さな油断が、いずれ大きな隙となる。戦局を見極めるのだ』

 

 急に真っ当な事を言うな。

 

「本物のソルシエラはあんなに弱くないぞ。相当に弱体化されている。戦ってみて分かったが、魔力量が違う」

 

「へ、へぇ。ま、まあ二人もSランクがいれば、余裕じゃない?」

 

 声震えてますよ^^

 

「ミズヒの言う通りです! いいですか、本物はもっと強くて凄いんです! ねっ、ケイ!」

「え? ああ、うん……」

 

 真面目にソルシエラのヤバさを伝えるミズヒ先輩と、なぜかムキになってソルシエラの凄さを伝えるヒカリちゃん。

 

 そして、そんな二人を前にして自分だけ不意打ちだった事にショックを覚えるリュウコちゃん。

 

 割と平和そうな雰囲気だが、ここにいる子たちが無自覚強キャラなだけで、事態はそこそこ深刻だと思う。

 

『まあ、あの程度の個体なら実際それぞれが各個撃破出来るしねぇ。思ったよりも弱いよ。やはり美少女の輝きを識らない者は駄目だ』

 

 言われてみれば、魔力量は大したことは無いように感じた。

 あくまで、見た目だけ。

 

 問題は、どれだけの数の偽ソルシエラがいるかだろう。

 仮に数万単位で偽ソルシエラがいたら、それで中央都市を襲うだけで大被害である。

 

 そして、俺にも風評被害がヤバイ。

 

「でっでも実は、私と君たちで倒した偽者で全部だったりしてね。これで後は平和にお茶会をして解散「あー! また出ましたー!」……えぇ!?」

 

 ヒカリちゃんが指さす方を見れば、そこには偽シエラの姿があった。

 もう、沢山いるじゃーん……。

 

「……成程。ケイ、ヒカリ、捕獲のチャンスだ」

「わかりました」

「え?」

「はい! 生け捕りですね!」

「え? え?」

 

 リュウコちゃんだけが、フェクトム総合学園のノリに置いていかれている。

 前もそうだったね、君。

 

「生け捕り? なんでそんな危ない事を? 猫ちゃんじゃないんだよ???」

 

『可愛いネコちゃんだよ^^』

 

 君のは偏見かつ意味が違うねぇ。

 

『猫耳ロリシエラ……?』

 

 もっと違うだろ。

 何言ってんだ。

 

「生体のまま持ち帰れば、何かわかるかもしれない」

「次は捕まえますよー!」

「危ないって! 殺しちゃおう? ステルスからの不意打ちした方が絶対確実だって。人じゃないから罪にも問われないし!」

「……?」

 

 ミズヒ先輩は首を傾げた。

 

「なぜ勝てる相手にそんな回りくどい事を? リュウコも真正面から打ち勝ったのだろう? Sランクが二人もいれば、と言ったのはリュウコじゃないか。二人もいるなら、生け捕りも可能なはずだ」

 

 哀れリュウコちゃん、完全敗北。

 

 よーし、追い打ちかけちゃおうねぇ^^

 

「あれ、もしかしてリュウコちゃんさ」

 

 俺はリュウコちゃんに近づき、笑みと共に言った。

 

「ビビってる……?」

「は、はぁ!? なっ、舐めないでよね! こんなの余裕だわ。本物の怖さに比べたら偽者なんてちょちょいのちょいよぉ!」

「「「おー」」」

 

 胸を張るリュウコちゃん。

 それに手をパチパチ叩いていると、偽シエラが砲撃陣を展開した。

 

 俺達はすぐに迎撃出来るように構えたが、前に踏み出したリュウコちゃんが手で制する。

 

「そこまで言うなら見せてあげるよ。捕まえればいいんでしょ! 龍位継承――バジリスク!」

 

 リュウコの背後にいたバルティウスが、その体を大きな蛇へと変えていく。

 

 それは翡翠色の鱗を持ち、王冠のように角を連ねた伝承の獣。

 人々が恐れる怪物の一体であった。

 

「バルティウス、お願い!」

 

 リュウコの言葉に反応し、バルティウスはその双眼で偽シエラを捉える。

 すると、次の瞬間には砲撃陣が機能を停止して、偽シエラ本人も動きを止めた。

 

 偽シエラが、まるで石になったかのように動かない。

 リュウコちゃんは、その場から動くことなく偽シエラを無力化したのだ。

 

『動けないソルシエラ……閃いた^^』

 

 絶対やめろ。

 何する気かわからないけど、やめろ。

 

「さ、さあ今のうちにメッチャ強い縄とかで縛って! それか、六波羅さんかタタリちゃん呼んでー! 私とバルティウスはこのまま動けないからぁ!」

 

 一瞬、本当に一瞬だけカッコよかったリュウコちゃんは、次の瞬間には情けない声と共に此方へ振り向いた。

 ちょっと泣きそうになっている。

 

「……そう言えば、どうやって拘束すればいいんだ?」

「あっ、確かに。どうすればいいんでしょうか」

「今から紐でも持ってきます?」

「なんでそんな行き当たりばったりなんだぁ! それがフェクトム総合学園の常識なの!?」

 

 イカれたメンバーを紹介するぜ!

 

 ミロク先輩がいないと、どこか抜けてるミズヒ先輩!

 クラムちゃんがいないと、何も考えずに行動するヒカリちゃん!

 本来は用意周到完璧美少女、銀の鎖で拘束なんてお手の物、しかし今はケイなので動くことが出来ない俺!

 

 俺達、行き当たりばったりーズ!

 けど、割と何とかなっちゃう! 皆、才能の塊だもんね!

 

『マイロード、それはとんでもない驕りでは?』

 

「焔で巻けるか?」

「光翼使います?」

「あ、それなら俺の短刀で麻痺を試した方が……」

「何でも良いから早くしてぇ!? 例え偽者でもソルシエラを拘束しておくのすっごい怖いんだけ――あっ」

 

 リュウコちゃんの漏らした言葉につられて見てみれば、そこには偽シエラだった砂の山があった。

 捕獲失敗である。

 

「また砂になっちゃいましたー!」

「成程、どうやらバジリスク程度の魔力圧でも掛け続ければ殺せるみたいだね。耐久はそこまで強いわけじゃない」

「コアでなくとも、障壁を突破して本体を叩くことができれば討伐は可能という事だろうか……」

 

 ミズヒ先輩とリュウコちゃんはそうして真面目に話し合う。

 

 俺とヒカリちゃんは、協力して袋の中に砂を詰める事にした。

 

 と、丁度その時だ。

 

「み、皆さんお待たせしましたー」

 

 報告の終わったコガレ先生がパタパタとこちらに駆けてくる。

 そんなコガレ先生に、リュウコちゃんは胸を張って言った。

 

「遅いですよコガレ先生! 既に、もう一体私が倒しちゃいました!」

「えぇっ!? リュウコちゃんが自主的に!?」

「私の印象どうなってんすか」

 

 コガレ先生は、サッと顔を逸らして答えない。

 その様子を見てリュウコちゃんが追求しようとすると、コガレ先生は声を被せて言った。

 

「とりあえず、調査は一時中断。こ、これからダイヤ生徒会長による緊急会議が行われます! Sランクの皆さんには、会議に参加して貰います!」

 

 それは、素人目に見てもわかる異常事態故の会議であった。

 少なくとも、俺とヒカリちゃんの出る幕ではない。

 

 Sランクという称号を背負う彼女達だけがこの会議に参加できるのだろう。

 

「えぇっ、会議ぃ……? 私、そういうの嫌なんだけど」

「私は構わないです。お力になれるのなら」

 

 同じSランクでも反応がこうも違うんだ……。

 

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