【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第236話 へんそう

 

 はい、俺は信じていた二人に裏切られました。

 一体、誰のことを言っているでしょーか?

 

『祠か……実に興味深い。日本に古来から存在するミステリアスポイントだねぇ』

『確かに幼き命の波動を感じたのだ……座標も合っている筈。もしや、位相がズレたのか?』

 

 話をきいてねえなコイツら。

 

 聞いてますか、星詠みの杖! カメ君!

 

『あー、はいはい聞いているよ^^ ごめんね気が付かなくて。……まあ、本当は慌てる君が見たかったのだが』

 

 わざとかよ。

 後で君にはソルシエラ攻めのイラストを一か月間投稿し続ける刑に処す。

 神妙にして待たれよ。

 

『別にいいよ^^』

 

 コイツ無敵か?

 

『マイロードすまない……。どうやら、幼き命に出会うためには何か仕掛けを解く必要があるようだ。二度も私が観測間違いを起こすとは思えない』

 

 こっちもこっちで諦めてないし……。

 

『でも祠は気にならないかい?』

『マイロード、あの祠は何かあるぞ』

 

 どっちも祠気にしすぎじゃない?

 つまり、どうしたいの?

 

『『ぶっ壊したい』』

 

 罰当たりにも程があるだろ。

 アイ兄さんとカイ兄さんのエモ美少女会話見てたでしょ?

 あれを見てなお、美少女を曇らせるというのか?

 

 曇るのは俺の役目だ!

 

『そんなこと言って、君も気になってるだろう? 壊そうじゃないか。ミステリアス美少女がビビってるのかい?』

『一緒にトイレに行ってあげるから安心するのだマイロード……』

 

 ビビってねえよ。

 俺は、祠を壊すのは反対だと言ったんだ。

 

 それよりも、既に中には何も居なかったの方を俺は推すね!

 

『ほう』

 

 正直、今まで那滝家に封じられていた存在とか大したことは無いよ。

 原作でも出てこなかったし。

 

 だから、祠を壊しても出てくるのは、たぶん小っちゃなダンジョン主とかでしょ。

 

『!』

 

 いや、ロリという意味での小っちゃな、じゃなくてね。

 

 俺が言いたいのは……中身だけ抜き取って勝手に魔改造して使役しようぜ! ってこと!

 既に祠の詳しい情報は無くなったらしい。

 ならば、後から俺が勝手に尾ひれをつけようが問題はない!

 

 俺もリュウコちゃんみたいにかっこいい召喚獣が欲しかったんだよ!

 

『成程……。出所不明の怪物を使役するソルシエラか。周囲からはよりミステリアスに映るだろうねぇ』

 

 というわけで、俺は祠の中身を全部抜いてみた、をやります。

 

『小僧、あの祠の中身を抜いたんか……!』

 

 見た事ないタイプの洒落怖?

 

『マイロード、私はジャンル的には召喚獣ではないのか?』

 

 どちらかというとマスコットでは???

 小さいカメ君の時は可愛いし。

 

『マイロードも可愛いぞ』

 

 きゃっ♥

 

『親子愛だねぇ』

 

 って事で、今から祠についての情報収集を始めます。

 那滝家は歴史があるからね、きっといい感じの書物とかに書いてるでしょ。

 

『今から調べるのかい? 』

 

 そうです。

 そして、今から三手に分かれようと思います。

 

 はい、二人とも出てきてくださーい^^

 

「わぁい^^」

 

 俺は星詠みの杖君とカメ君を体外へと放出した。

 

 0号と小さなウミガメが俺の目の前に現れる。

 森の中では随分とミスマッチな光景だった。

 

「私も良いのか?」

「良いよ。君は情報収集とか得意そうだし」

「だが、ウミガメが浮遊していているところを見つかったらどうするのだ。私のこのミニボディでは、幼き命に愛されてしまうぞ」

「半分都合の良い杞憂じゃねえか」

「いいから、さっさとこれに乗り移りたまえ」

 

 そう言って0号は砂シエラを拡張領域から引っ張りだした。

 無表情で直立不動のソルシエラを見ていると、何故だか背徳的な気分になってしまう。

 

「エッチだねぇ^^」

「今から乗り移るものにそんな感想を抱くな。しかし、私ではロリシエラにしかなれない……どうしたものか」

「とりあえず、挑戦してみたらどうだい? 私を真似てみると良い」

 

 そう言うと、星詠みの杖君はさっと姿を変えた。

 薄手のカーディガンに、ロングスカートを組み合わせたお清楚ゆるふわロング。

 

 誰が間違うものだろうか。

 その姿こそ、ヒノツチ文化大祭において特定層から神とあがめられた『★ヨミ@依頼受け付け中』である。

 

「★ヨミ先生!」

「はっはっは、サインを上げようねぇ^^」

 

 そう言って★ヨミ先生は俺に拡張領域から取り出したサイン色紙を差し出してきた。

 俺はそれを受け取り、深々と頭を下げる。

 

「ありがとうございます! でも、本人相手にソルシエラのR-18イラストが描かれた色紙は渡さない方が良いと思います!」

「^^」

「笑ってんじゃねえぞ、後で全部没収だからな」

 

 危なくソルシエラがえちえちで溢れる所だった。

 身内に敵がいるというのは恐ろしい。

 

「さあ、私を見てやってみると良い」

「わかった。マイロード、見ていてくれ。私は必ず期待に応えよう」

 

 そう言って、カメ君は砂シエラの中へと飛び込む。

 そして間もなくその体を掌握したカメ君は、砂シエラの体を一瞬スライムのように変化させてその姿を変えた。

 

 当然、ロリシエラである。

 

「あぁ……」

「予想はしていたけど、流石だねぇ^^」

「手の施しようがないかもしれない。カメ君は間違いなく病気だ。いや、もはや個性だこれ」

 

 ロリシエラとなったカメ君を撫でながら、★ヨミ先生は笑みを浮かべる。

 その光景だけ見ると、凄くほんわかして最高だ。

 

「だが、ロリシエラだとここでは目立つねえ。それと、話が色々とややこしくなる。カメ、もっとこう別のロリにはなれないのかい?」

「こうだろうか」

 

 ロリシエラが首を傾げる。

 すると、その体が一瞬歪み、全く別の幼女へと姿を変えた。

 

 茶髪の長い髪をポニーテールに結び、なぜかランドセルを背負った体操着姿の幼女。

 彼女は一瞬ランドセルの重さにバランスを崩しかけたが、★ヨミ先生の脚にしがみついてなんとか立て直した。

 

 ディテールが細かくて嫌だなぁ。

 

「どうだろうか」

「ロリに対するポテンシャルが凄い^^」

「なぜ学校にいくスタイルなんだ……」

「違う、これは下校だ」

「なんだよコイツ」

 

 キッと睨み返すカメ君を見て、俺はそうこぼさずにはいられなかった。

 

「やはりロリだと上手くいくんだねぇ。もういっそのことこれでいいんじゃないかい?」

「こんな由緒ある家にこの下校スタイルのロリがいたら違和感しかねえだろ。ここ、山の中だぞ。それに、書物を調べたりするには見た目が変だろ」

「でもこの恰好で賢いの良くない?」

「ギャップ需要の話はしてねえんだよ」

 

 星詠みの杖君はもう駄目だ。

 隙あらばコンテンツを生み出す美少女クリエイターの怪物になってしまった。

 

 常識人の俺がなんとかしなければ。

 

「今、自分が常識人だとか思っただろ^^」

 

 当然のように思考を読む★ヨミ先生を無視して、俺は屈みカメ君を見る。

 こうしてみると、本当に幼女でしかないな。

 

「カメ君、もっとこう……田舎っぽいのがいいな。それで、この家にいてもおかしくはないような感じが好ましい。こういうのは、相応しい恰好があるんだよ」

「……ふむ」

 

 カメ君は目を閉じる。

 そして数秒してカッと目を見開いた。

 

「ラーニング完了」

 

 姿が再び変わる。

 今までの現代ロリから一転、その姿は古びた和服を着たおかっぱロリになっていた。

 

「祠で封じられている側だろこれ」

「この場所では、こういう恰好が相応しいのではないのか? 人間とは難しいな」

「ああっ、元々人間じゃないからより人外和ロリっぽさが強調されている」

 

 くすんだ赤色の着物といい、やたら古びた鞠といい、何処に出しても恥ずかしくない人外和ロリである。

 本当なら、髪を白くしたいところだが、今回は目立たない様に黒だ。

 

「バレそうになったら、鞠で遊びながらそれっぽいこと言うんだ。そして、その後は隙を見てその場から消えるといい。それで君は完成する^^」

「余計な知識を吹き込むな」

「わかった」

「わかるな」

「よし^^」

「よしじゃねえ」

「あえて鞠だけその場に残すのは?」

「応用するな」

 

 カメ君はロリの事となると貪欲に知識を吸収する。

 そのうち、星詠みの杖君の歪んだ知識に汚染されそう。

 

 やはり、ここはまともなミステリアス美少女である俺が見ておかなければ。

 

「今、自分の事をまともなミステリアス美少女と思っただろ^^」

「…………さ、さあ、これから情報収集をしようか! 困ったことがあったらすぐに脳内エマージェンシーを出すように」

「流したねぇ^^ ビビってる姿も可愛い^^」

 

 コイツを祠に封印した方が良いのでは……?

 

「では二人とも、三時間後に俺の脳内に集合で――散ッ!」

「^^」

「さらば」

 

 ★ヨミ先生はその場で転移魔法を使い消え去り、カメ君は足元を水に変えてその中へと沈んだ。

 

 そういうかっこいいことを出来ない俺だけがその場に残される。

 虫の声一つしない静かな森の中ポツンと残されて、一抹の寂しさがあった。

 

「……さ、行こうかな」

 

 あまりここに残っているとまたアイ兄さんに見つかって怒られてしまう。

 

 俺は二人とは違い、徒歩で移動を始めた。

 

 

 

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