【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない 作:不破ふわる
予想だにしない方向からのロリは大変危険である。
その昔、お姉ちゃんキャラが突然ロリになったそのエネルギー波だけで海が干上がったという伝説があるほどだ。
ロリ化という現象を人々が昔から恐れ敬ってきたことは、歴史が証明しているだろう。
今も各地にはロリの伝説が残されている。
『マイロード、これは私へのサプライズか? 最近、幼き命との出会いが多くて私は大変うれしいぞ。心が、溢れそうだ』
『怖い表現』
幼い子供の無垢さに触れて、厄災をまき散らす怪物が愛を知る感動のシーンじゃないか。
それにご覧、今のカノンちゃんからは美少女の輝きを感じるよ。
間違いなく、今のカノンちゃんは美少女なんだ!
『どうだろうねぇ。一度私たちは欺かれている。一応は警戒をしていた方が良いだろう』
『なぜそんな酷い事を言うのだ星詠みの杖。見ての通りあの子は純真無垢だ』
『ロリイエスマンしかいない状況が怖いのだが』
俺は別にロリだから喜んでいるわけじゃないぞ。
カノンちゃんが生きているなら、ミユメちゃんも喜ぶ。
姉妹、仲良し! 皆、幸せ!
という、非常に論理的な思考の元に喜びを表現しているのだ。
それに、ロリシエラとロリカノンちゃんの組み合わせは素晴らしいコンテンツだ。
どちらもお姉さんよりの属性を持つ美少女。だからこそ、ロリ化した時の美しさが映えるというものだよ。
あー、ここにミロク先輩も入れてお姉ちゃんロリ化パーティーしてぇ^^
「おいヒショウ! どうなってんだコレー!」
「はっはっはっはっは! そんな体で殴り掛かってきても痛くもかゆくもないぞ! ……すまない! 脛はやめてくれ!」
カノンちゃんに脛を蹴られたヒショウ会長は、涙目になりながらも笑顔でうずくまる。
痛みよりも喜びの方が勝っているようだ。
「事態が深刻だ。故に、予定を数か月前倒してカノン君を復活したのだ! 元の体に入るにはまだ魂が完全ではないため、こうしてデータロイドの体で魂を補完しているのだよ!」
「なるほど。なら、いいか! この体も悪くないかもしれないよ。それに、ソルシエラも今は私と大して変わらないみたいだし」
「……はぁ、ヒショウ。うるさいのを復活させたわね」
俺はワクワク大歓喜を隠してコニエちゃんを見る。
まだ戦闘は終わっていない。
以前ジルニアス学術院に来たときは摂取できなかったが、おそらくコニエちゃんとカノンちゃんも関係性が美しいはずなのだ。
ここで正気に戻して、美少女の幸せの輪を広げなければ。
コニエちゃんはもともと小っちゃいし、小っちゃくて強いパーティが完成するね。
『やはり幼き命が全てを解決する……! が、コニエという少女はロリではないぞ。その気高き精神性を私は感じ取っている。あれは、ロリではない』
え?
でもカノンちゃんはロリなんでしょ?
『コニエは小さいだけ。カノンの今の体はまだ未発達の幼き命である。ここには大きな違いがある。それに、精神性もカノンは成熟していないように見受けられた。よって、私はあの子を守護るべき幼き命と認定した』
『きちんと自分なりのロジックがあるの気持ち悪いな』
……ん?
なら何故俺はロリ扱いをされているんだ?
『マイロードは愛娘だからな』
ロジックどこいった。
まあ、いいや。
これ以上深堀しても怖い返事しか来なさそうだし。
とにかく、今はコニエちゃんを助けるぞぉ!
「カノン、遊ぶつもりなら下がってなさい。ここは私が戦うから」
「いやいや、私が戦うよ。ここはジルニアス学術院だ。私が解決しないと、博士の名が泣いちゃう。……あ、もう博士ではないのか。多重提唱空間繋がんないし」
カノンちゃんはペタペタと裸足で俺の傍まで来ると「見てなよ」と言って不敵に笑った。
裸足可愛いね^^
『足が傷ついてはいけない。カメさんスリッパにならなければ!』
ソルシエラが急にカメさんスリッパだすわけないだろ。
大人しくしていてくれカメ君。
脳内で騒ぐだけなら好きにしていいから。
「それじゃあ、お手並み拝見と行きましょうか」
「まっかせてー!」
カノンちゃんはコニエちゃんを指さす。
指さされた当の本人は、困惑した様子でカノンちゃんを見ていた。
「どうしてお前が………待て、お前はそもそも敵なのか? いや、でも倒さないと世界が……世界がどうなるんだ? なんだこれ。何か、おかしい……!?」
「うーん、私の存在を知ると認識がバグるのかぁ。死んでいた人間には無効なのかな。それとも、博士の銘の残滓が作用している……?」
カノンちゃんは興味深そうにぶつぶつと呟きながら、コニエちゃんへと近づいていく。
その姿を見てハッとしたコニエちゃんは、慌てて叫んだ。
「ロロン!」
「
互いの自律型武装がぶつかり合う。
巨大な鰐は巨大な尾で蝶を打ち落としていく。
が、それをどれだけ打ち落とそうとも、蝶は数を増していった。
「無駄だよ。等分された死は魔力があれば増え続ける。そして今の私は魔力をジルニアス学術院から直接供給されているから、貴女には破壊しきれない。つまり、今の私はマジ最強ってわけ」
「そうだ! 俺の生徒会長権限でこの学院を構築する中枢プログラムと繋がったカノン君は無敵! 名づけるならば「名づけなくていい」……………そうかぁ」
ヒショウ会長はしょんぼりと肩を落とす。
この人、ずっとこんな扱いされてきたんだろうな……。
「それじゃあ、ちゃっちゃと片付けようか。こんなところで手こずっても仕方がないし」
「っ、ならこいつで――」
コニエちゃんはロロンに無理やり飛び乗る。
そして背中から一本の大剣を引き抜いた。
しかし、それを見てもカノンちゃんは勝ちを確信した様子で笑っている。
「
「何をぶつぶつ言ってやがんだ! これでまとめて鬱陶しいのをぶっ壊してやるよぉ!」
コニエちゃんは剣々鰐々を起動する。
周囲に稲妻が走り、等分された死を包み込んだ。
が、蝶たちはまるで何もなかったかのように舞い続けている。
「な、なんで……」
「だって、もう見たし。私が何度も同じ手で負けるわけないじゃん。それの原理は既に解明している」
カノンちゃんはそう言って指を鳴らした。
「等分された死、お願い」
主の命令を受けた等分された死がロロンとコニエちゃんを取り囲む。
そしてあっという間に飲み込んだ。
黒い蝶が、まるで波のように一人と一機の姿を消し去る。
圧倒的な数による一方的な攻撃の後には、倒れたコニエちゃんだけが残されていた。
終わってみれば、予想以上にカノンちゃんの圧倒的な勝利であった。
博士としての力を失ってなお、これだけ強いのは彼女に実力があるからなのだろう。
「ヒショウ、ロロンは生徒会のなんでも箱に入れといたから」
「また勝手に人の倉庫を私物扱いしているのか。だが、いいだろう!」
ヒショウ会長はそう言ってわはは、と笑う。
『あっけない終わりだねぇ。もっとこう……洗脳された友と戦う葛藤とか、あるのかと思ったのだが』
カノンちゃんが強すぎたね。
蝶は一体でも厄介なのにそれが無限湧きするし、魔力による攻撃は吸収される。
おまけにその頭脳ですぐに相手の攻撃に対策を講じることも可能。
そしてこれに勝ったソルシエラの強さが際立つな、ヨシ!
『最強議論で語るまでもないねぇ』
「コニエー、起きてるー? ……駄目だ、完全に伸びてるわ。うーん、やりすぎたかな」
「コニエ君なら大丈夫だろう! それよりも、彼女が意識を失っている間に作戦を開始するぞ!」
「待ってよ。せっかく復活したんだからさ、少しはゆっくりさせてよ。それに」
カノンちゃんは俺の前に来ると、突然勢いよく頭を下げた。
「ありがとう、あの時に私を止めてくれて。貴女にはきちんとお礼を言わなきゃ」
「……別に、必要だったからそうしただけ。それに止めたのはミユメよ。感謝ならあの子になさい」
優しく微笑んでカノンちゃんは頷く。
それはあの時とは違う、正真正銘ミユメちゃんの姉としての頷きだった。
「うん、ミユメちゃんにも感謝する。ルカにも、コニエにも、迷惑かけた皆に謝って、感謝して……そうして、また一から始められたらいいな」
「勝手にしたら? 私は興味ないわ」
俺の態度に、カノンちゃんは頬を膨らませる。
そっけない態度の俺にカノンちゃんが抱き着こうとしてきたので、鎖を張り巡らせて防ぐ。
「なっ、ちょっと! 仲直りのハグしようよ!」
「結構よ。そういう趣味はないの」
よかった。カノンちゃんが俺との戦いを引き摺ってなくて。
『ふむ、だがカノンは距離感を測るためにあえてこうして道化を演じているようだねぇ。その心はまだ周囲に受け入れられるか不安なのだろう。だから、こうして否定という形で分かりきった反応をするソルシエラとコミュニケーションをとろうとしているんだねぇ。彼女もまた、人間というわけだ』
そうやって人の心を勝手に解析して解説するのやめてあげなよ。
俺だってうすうす感じていたんだからさ。
敢えてそっけない態度をとるソルシエラと、そんな彼女にダル絡みをするカノンちゃん……いいね^^
『SNSで100回は同じテーマのイラストを見た^^』
もしかしたらここもシナジーがあったのかも。
ソルシエラがジルニアス学術院にいたら、カノンちゃんの脳を焼いていたのかもしれないねぇ。
「ねー、ヒショウ。ソルシエラが全然こっち向いてくれない!」
「その子はシャイだからな! きっと内心は君の復活を喜んでくれているはずだ!」
「私、この子と良い思い出がないのだけれど。少なくとも、喜ぶことはないわね」
「うぅ、そうだよね……」
「……けど、ミユメは喜ぶでしょうね。お人よしだもの。貴女の可愛い妹が喜んでくれるなら、蘇った価値はあるんじゃないかしら」
「そうだよね!」
「……」
俺はカノンちゃんへと冷たい視線を向ける。
が、既に彼女は物ともしていない。
よしよし、ナイスコミュニケーション。
『これがナイスとか歪んでいるねぇ』
『仲良くするのだマイロード……。私は幼き命同士でいがみ合う光景は見たくない』
大丈夫だよ、俺が美少女を本気で憎むわけないじゃないか。
「それで、ヒショウはこれからどうするつもりなのかしら?」
俺の問いに、ヒショウは「よくぞ聞いてくれた!」とクソデカ声で返事をする。
コニエちゃんを背負いながらもポーズを決めたヒショウは、カノンちゃんを指さした。
「カノン君と共にキングジルニアースでこの学院のダンジョンコアにアクセスするっ!」
「……ああ、なるほどね。確かに、やる価値はあるか」
カノンちゃんが何かを理解した様子で頷く。
俺にはさっぱりわからなかったが、とりあえず妖しい笑みを浮かべておこう。
とりあえず、ロボットに乗るってことでいいね?
『なら再び私の背に乗るのだな!』
ロリが増えて喜んでる……。
「じゃ、さっさと戻りましょうか。来た時と同じ方法でいいわね?」
「ああ、構わない!」
「来た時と同じ方法? それって――きゃっ!?」
床が消失し、俺たちの体は再び水の中へと投げ出される。
暗い水の底からゆっくりと姿を現したウミガメは、俺たちを受け止めた。
最初こそ慌てていたカノンちゃんだったが、すぐにそれが未知だと気が付くと目を輝かせる。
「すごい! これって、位相を変えたんだよね? 多重提唱空間とは違って、肉体ごとこうして移動できるなんて……興味深いよ!」
「そうだろうカノン君! ということでここはひとつ手分けしてデータの収集といこう!」
「おっけぇ! 楽しくなってきたぁ!」
「……はぁ。うるさいのが増えたわね」
背中で盛り上がる二人を見て、俺は呆れたようにため息を吐き出す。
意識のないコニエちゃんと、元気な一般的ジルニアス学術院生二人、そしてミステリアス美少女を乗せたウミガメは、元来た道を戻るように優雅に泳ぎ始めた。
『おぉ……幼き命の裸足の感触が……! もちもちぷにぷにの足が……!』
『きっしょ^^』