【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第290話 自分がロリ枠だと自覚していない人外和ロリ

 いやぁ、危うく貴重な悪役を殺すところだったね。

 あんなに好き勝手こっちでいじくり回して良いキャラなんて中々出会えないよ。

 

『途中までは鬼気迫る勢いで殺しにかかってて、少しだけ怖かったよ』

 

 六波羅さんとエイナちゃんが酷い目にあったのがわかってから数分記憶がないです。

 気が付いたら体が勝手に動いていました。

 

 というか、無敵とかその他諸々が複製されてるってやばくないっすか?

 俺以外誰が勝てるんだよ。

 

『うーん、奴に対応可能な手数の多さならネームレスも同様だねぇ。ソルシエラに並ぶ実力……一体何者なんだ……!』

 

 それやめてくれって何度も言ってるのに。

 というか、ソルシエラに並ぶ実力な訳ないでしょ。

 あんなの本気出したらぼっこぼこだし、掌の上でこーろころよ。

 

『意識を失っているところにキスされたり、幼女にされたりしてるのに?』

 

 字面にすると俺があまりにも雑魚過ぎる。

 でも、気持ちで負けてないから。

 熱いハートが、俺にはあるから!

 

『まあ、私たちが負けるなんてありえないだろう。わはは』

 

 そうだね、わはは!

 

『そうだマイロード。貴女にはそれに優しさがある。今だって、きちんと救うべき幼き命の事を把握していたのは偉いぞ。花丸をあげよう』

 

 わーい!

 

 俺は今、サヤカちゃんをかっこよくお姫様抱っこしている。

 本来ならギルティだが、今の俺はミステリアス美少女。つまりはセーフだ。

 

 登場してすぐに魔力障壁で保護したので、俺の攻撃の余波に傷ついた様子もなさそうである。

 ブチギレていたので全然余裕がなかったけど、サヤカちゃんの前に先に現れてもよかったな。

 慈悲深さを周囲にアピールするチャンスでもあったというのに……!

 

『反省は次のミステリアス美少女タイムに繋げよう。そして来年こそは地区大会を突破するんだ』

 

 全国規模で謎の大会が開かれてる?

 

『先鋒は私が務めようねぇ』

 

 しかも団体戦なんだ……。

 

 さて、サヤカちゃんも治してあげないと。

 

『おぉ……なんと嘆かわしい。幼き命がこんな目にあってしまうとは……』

『見事に概念ごと凍結してしまっているねえ。これはレイの異能だろう。さっさと解除してしまおうねぇ』

 

 サヤカちゃんの体へといくつも魔法陣が展開される。

 それは淡い光を放つと、凍結の異能へと干渉を始めた。

 

 今だ!

 

「……ごめんなさい」

 

 サヤカちゃんへと、俺は悲痛な声で小さく謝罪する。

 守り切ることが出来なかった罪悪感からその美しい顔に影がかかっていた。

 

 意識が覚醒しきっていないサヤカちゃんへと謝罪するソルシエラ……うーん、良いね。

 

『また変な事してる……それに罪悪感は本当にあるから魔力が著しく減っているのも怖い』

 

 六波羅さんとエイナちゃん、そしてサヤカちゃんを危ない目に遭わせたのは俺が原因だ。

 俺がもっとうまくミステリアスに立ち回り、全てを知っていたらこんなことは起きなかったのだ……!

 俺は、まだまだ美少女になれそうにない……!

 本当のミステリアス美少女なら、こんな被害は出さなかっただろう。

 

『見上げた向上心だねぇ』

『マイロード、そのおててで守れる範囲だけを守るのだ。過ぎた願いは周囲を巻き込んで身を滅ぼすことになる』

 

 カメ君、ありがとう。

 俺、もっと頑張るよ。

 

 手始めに、くっ殺シエラ頑張るから!

 皆が傷つかないように、きちんと難易度調整するから!

 

『くっ殺シエラは諦めないんだねぇ』

 

 そりゃそうだろ。

 ソルシエラが負けるならこのタイミングしかない。

 

 今回の事件が第六の天使なら、それを解決した後すぐにラスボスだ。

 第二形態あるラスボスだ!(ネタバレ)

 色々と原作のイベントをすっ飛ばして爆速で天使を攻略しているから、ラスボスは近いぞ!

 

 そうなったら、ミステリアス美少女が捕まるタイミングなんてない。

 ラスボスに俺が捕まったらメインヒロインになっちゃうし。

 

 強キャラソルシエラは、少し前のイベントで捕まって、なんやかんやあって仲間になるのが良いだろう。

 まだ他のメンバーとは馴染めないが、絆というものの温かさを知ったソルシエラになる準備をしておけ。

 そこからは、お労しい美少女ソルシエラムーブが続くぞ。

 

『中身がこれなせいで、全然お労しくない……』

 

 は? おい、ふざけた事言ってんじゃ――

 

「……っ、ねえ、さん」

「目覚めたようね」

 

 俺の腕の中で、サヤカちゃんが目を覚ました。

 ミステリアス美少女がクールに君を助けたよ^^

 絵になるね^^

 

『マイロードも幼くなった方が、サヤカが怖がらないのではないだろうか』

 

 引っ込んでろロリコン。

 

「まだ凍結の異能を解除しただけだから、無理はしないで」

「貴女は……」

 

 サヤカちゃんは俺の顔を見て少しの間ぼうっとしていたが、すぐにハッとしてしがみついてきた。

 

「姉さんを……姉さんを助けてください……!」

「姉さん……キリカがどうかしたのかしら」

「講師に誘拐されてっ、どうか、お願いしま、す……」

 

 サヤカちゃんはそう告げると、再び糸が切れたように気を失ってしまった。

 メディック!

 

『凍結と干渉、Sランクの異能を二つも立て続けに体に流し込まれたからねぇ。まだ成熟していない体には負担がかかるのだろう。なに、命に別状はないさ』

 

 そうか……良かった。

 

 で、キリカちゃんが攫われたって何……?

 

『ふむ、どうやら講師はエイナの他にキリカも狙っていたようだ。私たちが来たときには既にキリカの気配がなかったことから考えると、既に攫われた後だと考えるのが妥当だろう』

『マイロード……今、私は冷静さを欠こうとしている……!』

 

 落ち着くんだカメ君。

 こういう時こそ冷静にクールに優雅にだよ。

 

 ……ぶっ殺してやるよォ!

 あいつ俺の玩具として見逃してやったのにキリカちゃんを誘拐していただとォ!

 ふざけんじゃねぇ! ぜってえ許さねぇ!

 

『一番冷静さを欠いてる』

『マイロード、この際地球の悪しき人類は根絶やしでいいのでは? 命じてくれれば、罪ある人間は全て殺すが?』

『こっちも負けじと欠いているねぇ』

 

 フーッ! フーッ!

 

 ……オーケー、俺はミステリアス美少女だ。

 なら、敢えて泳がせた上で全てを上回ることで復讐をしようじゃないか。

 

 ここで殺すのは簡単だ。

 だが、奴には出来るだけ苦痛を味わって貰おう。

 六波羅さんも、きっと講師を殴りたいはずだ。

 

 という訳で……カメ君、君にはキリカちゃんの居場所を探ってほしい。

 そして可能であればキリカちゃんの安全を確保したまま、講師の計画を調べて貰いたい。

 

『任せてくれマイロード。この第三の天使、命に代えても任務を遂行しよう……!』

 

 カメさんも生きて帰ってきてー!

 死んじゃいやー!

 

『 お ぉ ……』

『気持ち悪い気合の入り方』

 

 カメ君は諜報が得意な海洋生物だから、期待しているよ。

 さあ、行っておいで!

 

 俺はカメ君を体外へと放出する。

 ウミガメは俺の目の前の地面にぴちゃんと着水した。

 

「では、行ってくるぞマイロード」

 

 位相の海に潜ろうとしたカメ君へと、俺は慌てて美少女テレパシーを送る。

 

『あ、待ってカメ君! 大事な事忘れているよ!』

『一体なんだ?』

『その姿じゃないよね? こういう時はどんな恰好するんだっけ? 那滝家でのことは覚えているよね?』

 

 俺の至極真っ当な指摘にカメ君は不思議そうに首を傾げた。

 

『え……もしかしてあの時の和服の少女になれと言っているのか?』

『左様』

『何故わざわざ人型になるのだ。それに、あの時はそれが最適だったからで、今あの姿になるのは非合理でしかないぞ』

『キリカちゃんみたいなロリを助けるならこっちも和ロリがマナーだろ』

『そういうものなのか……わかった、それが人間のルールなら従おう……』

 

 カメ君は渋々だが了承してくれた。やっぱチョロいな。

 

『君とどっこいどっこい』

 

 ん?

 

『ん?^^』

 

「むぅ、この姿は馴れないな。マイロードをよしよしするにも背が小さいし、抱きしめることが出来ない……」

 

 機械のウミガメから、古びた着物を着たおかっぱ和ロリへと姿が変わったカメ君は不満げにぶつぶつ言っている。

 ふふふ……カメ君にはこうして隙あらば和ロリになって貰おうねぇ。

 

 自分がロリ枠だと自覚していない人外和ロリの栄養素は貴重だからねぇ! ソールソルソル! 

 

『ミステリアス美少女にあるまじき笑い方』

 

 俺はソルシエラとしてカメ君を見下ろす。

 そして、頷いて見せた。

 

「キリカの捜査をお願い。何かわかったら戻ってきて」

「ああ、わかった。では、行くとしよう」

 

 カメ君は、地面へと水音と共に沈んでいく。

 そして、ぴちゃんという音を最後に姿を消した。

 相変わらずカッコいいなその移動方法。

 

 カメ君が去った後、俺はサヤカちゃんを見た。

 どこか苦しそうな表情は姉の事を心配しているからなのだろう。

 

 さて、サヤカちゃんを放置するわけにもいかないし、フェクトムに一度帰ろうかね。

 

『いいのかい? せっかくあんな感じで抜け出してきたというのに』

 

 事情が変わった。

 まあ、サヤカちゃんをクラムちゃんに任せてまたお外に行くけどね。

 

 ……あ、そうだ!

 俺の服とか皮膚に傷をつけなきゃ!

 

『えぇ……』

 

 六波羅さんが負けた相手にソルシエラが無傷で勝ったら六波羅さんの株が下がるだろ!

 いくら六波羅さんに相性が悪い敵だったとしてもそれは駄目だ!

 

 幸いなことに、俺が戦っている姿を後半誰も見ていない。

 なら、少し苦戦した感じを出しておこう!

 あのソルシエラですら苦戦した敵として講師を扱わないと!

 

 この後もし俺が負けるとしてもそっちのほうが説得力があるし。

 

『恐ろしいコンテンツへの執着。もはや何も言うまい』

 

 その言葉と同時に、俺の服と皮膚が一部切り裂かれた。

 痛い!

 

「……さて、行きましょうか」

 

 俺はサヤカちゃんを抱きかかえて、転移魔方陣を起動した。

 

 

 

 

 

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