【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない 作:不破ふわる
第311話 序章、バカップルと屋根裏の変態達
六波羅達は講師を倒して、フェクトムへと戻ってきていた。
講師を倒せたことで、事態は好転したかに思えたが未だに学園都市の空は薄暗く事態の解決には至っていない。
が、そんなことも脳内お花畑の彼女にとってはどうでもよい事だった。
「えっへへ……リーダー。好きですよぉ」
「おい、メカニック。これもこの手錠の副作用か?」
医務室で、体の検査をさせられたまま六波羅は若干苛立ちながら言った。
が、ミユメはそんな彼女に恐れることなく首を傾げる。
「しゅきしゅきLOVEリングにそんな副作用はないと思うっすけど」
「そんな名前なんですかこの手錠! リーダー、まるで私たちの関係を表しているようですねぇ!」
「うるせェ……」
エイナは、人生で初めての得も言われぬ幸福の絶頂にいた。
自分の思い人と結ばれることになるとは思わなかったので、気分はとてもハッピーである。
正直、もう世界とかデモンズギアの役目とかどうでもよかった。
家に帰ってくんずほぐれつしたかった。
「リーダー、せっかくならフリフリのお洋服着ましょうよぉ。ほら、脚もこんなにすらっと伸びてすべすべで」
「……っ、触り方が気持ち悪ィんだよ」
脚を撫でられた六波羅は、ついに堪え切れなくなったのかエイナへとアイアンクローを放った。
が、いつもよりも手が小さいのでうまく決まらず、むしろエイナの笑みを増長させる結果に終わる。
「えっへへへへへ……おてて、小さいですねぇ!」
「おいメカニックゥ! どうして俺は戻らねェんだァ!」
「うーん……なんでだろう……。
「きっと私たちの愛が無限のエネルギーを生み出したんですぅ」
「お前一旦口閉じてろ」
「リーダーの唇で閉じてくださぁい」
「なんだこいつ……」
六波羅は浮かれまくりの相棒にドン引きしつつ、迫る顔を押しのけながら話を強引に変えた。
「で、状況はどうなってんだ。こっちはさっき話した通りだが」
「僕達には進展はありませんでした。しいて言えば、御景学園ではユキヒラ生徒会長、騎双学園ではレイ生徒会長との状況の確認をミズヒさんがしてくれた、くらいでしょうか」
「一度、千界学園にも寄ったのですがそこには誰もいなかったそうです。生徒一人見当たらなかったと」
ミロクはトウラクの言葉をそう補足した。
「現状はあまりよくねェか。おい、お前はどう思う」
「えっ、私?」
「お前もSランクだろうが」
突然話を振られたリュウコは、困ったように笑みを浮かべるのが精いっぱいだった。その後ろでは、綺麗な宝石のように変化したバルティウスと九重達が遊んでいる。
「うーん……やっぱり理事長を探したほうが良いと思うなぁ」
「ってなると、アリアンロッドを取り戻さないとね」
「他には……あ、そう言えばソルシエラは? あの子と六波羅さんは出会ったんでしょ? あの子を仲間に加えれば、なんか解決できそうじゃない?」
「「「「……」」」」
「え、何で急に黙るの? なんか、変な事言った……?」
ミロクや六波羅から始まり、包帯の整理をしていたクラムの手も止まる。
リュウコはどっと汗をかきながら、助けを求める様にミズヒを見た。
「なるほど、君もSランクなのか」
「うん! 私は九重、よろしくねミズヒお姉ちゃん!」
『私はハチノミヤですです』
「駄目だ、ほっこり交流会に夢中だ……!」
哀れ、リュウコは至極当然の発言をしたにも関わらず蚊帳の外だったために、勝手に追い詰められていた。
(もうソルシエラには頼りすぎねェ方がいいな)
(ケイ君ばかりに無茶をさせるわけにはいかない。ルトラのアップグレードさえ終われば……)
(ケイ君……大丈夫でしょうか……。あの聖遺物が守ってくれればいいのですが)
(ケイケイケイケイケイケイケイケイ――)
それぞれのクソデカ感情が渦巻く中、しどろもどろになって何故か泣きそうになっていたリュウコへと救いの手が差し伸べられた。
「皆っ、ジルニアス学術院から連絡だよ!」
「と、トアちゃーん!」
「リュウコちゃん……今度はどうしたの?」
「わからないけど……たぶん今回は悪くないよぉ!」
抱き着き喚くリュウコの頭を慣れた様子で撫でながら、トアは一つの仮想モニターを展開した。
そこには、青い髪の青年――ヒショウが映っている。
『諸君、見えているだろうか! 今、俺は君たちの熱いヒラメキ魂に直接語りかけているッ!』
『ややこしいから変なこと言わないでくださいヒショウ』
「あっ、ヒショウ会長! それにルカさんも! ご無事だったすね!」
ミユメは二人の姿を見て、涙を浮かべながら安堵した。
そんな彼女を見ながら、ヒショウは力強く頷き拳を天に掲げる。
『問題ない! 俺達は不滅だからな! そしてっ、お待たせしたな諸君!』
言い終わると同時に、何故かヒショウが三度それぞれ別の角度から映し出された。
『我々ジルニアス学術院はこの事態を収拾する術を見つけたッ!』
その言葉は、今何よりも待ち望んでいたものだった。
■
どうもこんにちは、屋根裏から四つん這いで失礼します。
『TS六波羅さんが女の子なままで、だんだん不安になっていくコンテンツ』運営代表のソルシエラです。
皆さま、楽しんで頂けていますでしょうか。
リリースから現在に至るまで、およそ5000兆人のユーザーにお届けしてきましたこのコンテンツ。
次バージョンでは、さらなる新体験をお約束しましょう。
『神運営』
『おぉ……九重とキリカ……。あの場に今すぐカメさんクッションになって混ざりたいぞ……』
別コンテンツのユーザーも混じってるな……。
という訳で……あれあれぇ!
何故か六波羅さんが可愛い女の子の姿から戻れなくなっちゃったよぉ!?
どうしてだろう!
『きっとどこからかエネルギーを送られているに違いない。それもきっと、美少女を愛する素敵な存在からのプレゼントだろうねぇ』
見ましたか?
いつもの癖でアイアンクローしようとして、おててが小っちゃかった六波羅さんは。
可愛いねぇ。ベッドの上で胡坐なんてかいていられるのも今の内だからね♥
『あるいは、ちいちゃいちいちゃいホットパンツを履かせるのもアリだ。君だけの六波羅カスタマイズをしよう!』
俺は親戚の集まりで会える気の強い姉ちゃんスタイル!
『私はああ見えておしとやかな一面もある清純スタイル^^』
『幼き命スタイル』
続々登場、TS六波羅さんカスタマイズシリーズ!
『……で、六波羅で涎ジュルジュルのところ申し訳ないが、どうやら私たちが何もしなくとも事件は解決しそうだぞ』
『流石、現人類は優秀であるな』
そうだね、まさか解決の糸口を自ら見つけるとは。
流石は偉大な原作キャラ様と美少女達。
なら、彼女らに答えるのが星詠みの務めというものだ!
解決法が分かったのなら、皆の動きが予想できる。
予想できるという事は、今度こそくっ殺シエラが出来る!
『カ ー ニ バ ル 開 催 』
『だが危ない事は駄目だぞマイロード』
大丈夫大丈夫。
今度はイレギュラーもなさそうだし、クールに負けるから。
という訳で『そんな……ソルシエラが負けるなんて……!』作戦を開始するぞッ!
『『応ッ』』