【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第344話 2‐2 その愛は誰が為

 場は混沌を極めていた。

 パティシエの恰好をしている六波羅さんはまだわかる。

 きっと、ソシャゲの別衣装なのだろう。

 武器も、見た目がキュートすぎるが問題ない。

 

 問題は、俺自身。

 というか、ソルシエラであった。

 

「では一曲目! 行くよー!」

「……死になさい」

 

 俺は砲撃を放つ。

 躊躇はない。

 何故なら、俺というソルシエラはそうするべきだからだ。

 

 フリフリ衣装で可愛いね♥

 でも、死んでね♥

 

「あぶなーい☆」

 

 アイドルシエラは俺の砲撃を真っ二つにした。

 ……やっぱりどう見ても収束斬撃である。

 

 クソっ、俺なんて砲撃しか出来ねえのになんであっちはそういう器用な事が出来るんだよ!

 

 鎖も転移も使用不可なんだぞこっちは!

 星詠みの杖君ー! カメ君ー! 助けてー!

 

「ちょっとちょっと! ()の癖にライブの邪魔しないでよね☆」

「は?」

 

 俺が不利であることに変わりはないが、それはそれとしてコンテンツ生成は継続である。

 目の前のアイドルシエラは、ソルシエラにとっては許せない存在だ。

 そんな彼女を前にしたソルシエラは間違いなく怒る。

 

 きっと裏の世界で生きてきたソルシエラには眩しく見えるんだろうね♥

 人を殺した自分には表舞台で皆に愛される資格なんてないと思っているんだろう♥

 

「ガーデナー、アレはさっさと殺すべきよ」

「ソルちゃんは歌わないの?」

「……ふふっ、貴女も消し炭になりたいようね」

「ごめんごめん! やめて、その鎌こっちにちらつかせるのやめて!」

 

 ガーデナーちゃんは、ソルシエラの少女としての面を引き出してくれるから今までとは違うコンテンツ生成が出来て良い。

 きっと、本編だけ追っている人にはわからないソルシエラの本音とかが聞けたりするんだろうな(他人事)

 

「とにかく、アレは間違いなくこの世に存在してはいけない存在よ」

「そんなこと言わないで☆ これからは私が……ううん、私たちが本物になるんだから☆」

「……は?」

 

 俺の知らないところで勝手に限定イベント進行してない?

 あいつ、もしかして俺より全知じゃない?

 

「その顔、やっぱり知らないんだね☆ 姫はよくオリジナルを引っ張ってこれたものだよ☆ それも、0号や天使を引き剥がす形で干渉するなんて☆」

「少し貴女に興味が湧いたわ。せっかくだし、その四肢を切り刻んで拷問してあげる」

「キャハハッ、無理だよ今の貴女には。それに……そんな事をしなくても教えてあげるよ☆」

 

 アイドルシエラは、あざといポーズを取りながらウインクをする。

 

「13人のソルシエラが最後の一人になるまで戦う。そして勝者が、真のソルシエラとして自身の願望を叶えることが出来るんだ☆ その名も、ソルシエラバトル」

 

 マズイ、俺のイベントな筈なのに俺が置いていかれている。

 というか、ソルシエラバトルってなんだよ。もっとネーミングセンス磨けよ。

 

「貴女はその優勝賞品って訳☆ 今の本物は貴女。だけど、戦いが終わる頃には……誰が貴女になっているだろうね☆ キャハッ☆」

「……私は私よ。そのふざけた名前の児戯も終わらせてあげる」

 

 混ぜてー^^

 

「無理無理☆ 干渉の力をほとんど使えないでしょ? 0号がいない貴女なんて、ただの抜け殻だもんね☆」

 

 は?

 美少女エネルギー舐めんなよお前。

 

「あー可哀そうな私☆」

「同情する必要はねぇよ、てめェも死ぬんだからなァ」

 

 両手を広げてクルクルと回りながら笑うソルシエラの背後で六波羅さんがホイップソードを振り下ろす。

 が、アイドルシエラはそれを見ることすらせずに回避した。

 

「無理だよ☆ 貴方との戦闘経験がある私には攻撃は当たらないゾ☆ 」

 

 次の瞬間、アイドルシエラは転移した。

 空中に現れたアイドルシエラは、巨大な砲撃陣を展開する。

 

 アレが、いつも俺がぶっ放している収束砲撃であることはすぐに理解できた。

 

 ま、まずいぞ!

 俺にはアレを受けきる手段が今はない!

 はわわ……!

 

「キャハッ☆ 一番星の輝きを教えてあげる!」

 

 魔力がアイドルシエラへと集まっていく。

 阻止しようと攻撃を六波羅さんが仕掛けているが、黒い天使が次々と現れて近づけない。

 

 クソっ、天使を操るとかズルだろ!

 こっちにもそういう使い魔がいれば……!

 …………ん? そういえば一人研修中の奴いなかったか?

 

「な、なんかヤバそうなの準備してない!? ねえ、ソルちゃんアレって大丈夫なやつ!?」

「私が扱える中でも最大威力の収束砲撃陣ね。恐らく鏡界一帯の魔力を集めている最中よ」

「ひ、ひえ! 急いでこっちも準備しないと……!」

 

 ガーデナーちゃんが腰のホルダーに手を掛ける。

 が、俺は彼女の前に大鎌を召喚して阻止した。

 

「待ちなさい。アレは下手に受け止めれば大きな爆発が起きる。だから……ここは私に任せて」

「大丈夫なの……?」

「あら、信用されていないのね。まあ、出会って間もないのだから無理もないけれど」

「違うよ、体だよ。無理しているんじゃない?」

「……別に、いつも通りよ」

 

 成程^^

 ガーデナーちゃんも、そういう些細な演技に気が付いてくれるタイプか。

 これはコンテンツの作り甲斐があるぞぉ。

 

 ……じゃなかった。

 

「集中するから、少し黙ってなさい」

 

 俺はそう言って大鎌を地面に突き立てる。

 そして、地面に巨大な赤紫色の魔法陣を展開した。

 

 うーん、確か星詠みの杖君が前に作ってくれた魔法陣はこんな感じだったような……。

 

「ほォ、何か面白そうな事してやがるな」

 

 六波羅さんは、それとなく天使から俺を庇いつつ興味深そうに笑う。

 流石六波羅さん、こういう時の気遣いがカッコいいなぁ。

 

 では、その好意に甘え、期待に応えるとしよう。

 

「……」

 

 俺は目を閉じる。

 そして、自分の奥深くへと意識を沈めた。

 

 魂の中に美少女エネルギーで作り上げた牢獄の中、感覚を頼りにそれを掴み上げる。

 

『なっ、何じゃ!?』

 

 お、繋がったね^^

 

『ひ、ひえ……、前に我の出番はないと言っていたではないか!? せ、説教か? 我がのじゃロリ講習を三分だけさぼったのがバレたのか!?』

 

 いいから、来い^^

 こっちは脳内が静かで狂いそうなんだ^^

 

『ひえ……な、なんじゃぁ……』

 

 さて、それでは登場していただきましょう。

 のじゃロリ、仮免試験前の赫夜牟ちゃんです^^

 

 

 

 

 

 

 何かが来る。

 その予感に、ガーデナーは無意識のうちにホルダーの種子を手に取り握りしめていた。

 それが、味方の少女が呼び出そうとしているものだとしてもである。

 

「少し遊んであげるわ」

 

 赤い魔法陣から現れたのは、一体の怪物。

 竜が如き体に、甲冑のような体表。

 全長50メートルを超える深紅のムカデであった。

 

 それは、かつて日本を滅亡寸前まで追い込み、時代を支配した怪物である。

 ダンジョン黎明期の主にして、惨劇の王。

 その名を――赫夜牟。

 

「ふふっ、まさかこれを使うことになるとは思わなかったわ。光栄に思いなさい、紛い物」

「うへーそんな気持ち悪いのコンプライアンス違反だよ☆ 可愛くないー! もっと手足にシュシュを付けるとかしたら? まあ、その前に消し炭にするけど☆」

 

 アイドルシエラは、大鎌の柄を地上のソルシエラへと向ける。

 そして、そのトリガーを引いた。

 

「バン☆」

 

 爆発的な魔力が放たれ、滝のような轟音と共にソルシエラへと迫る。

 対して、ソルシエラはその白く細い指先を砲撃へと向けるだけだった。

 

「喰らえ」

 

 主の命令に、赫夜牟が吠えその体を持ち上げる。

 そして、砲撃を視た。

 

 瞬間、辺りの時間の流れが無理やり変更される。

 光のごとき速度で向かっていた収束砲撃は、まるで水飴が落ちてくるようにゆっくりと進む。

 

「何が起きてるの!?」

「停滞と加速。この子が使う権能の一つよ」

 

 ソルシエラは笑みを浮かべたまま、その光景を見つめていた。

 

 赫夜牟は砲撃に自ら飛び込むと、吸収を始める。

 そして、数秒もすれば全ての魔力を完全に自分の糧としてしまった。

 

「赫夜牟からしてみれば、ご馳走でしかないわ。で、誰が消し炭になるのだったかしら……?」

「このー! そんなデータ私達にはないよ☆! 」

「そう。無知なのね」

 

 ソルシエラはそう言って不敵に笑う。

 が、傍にいたガーデナーは気が付いていた。

 

(顔色、さっきよりも悪くなってる……!)

 

 無理をしているのは明らかである。

 ならば、とガーデナーはソルシエラを庇うように前に立った。

 

「……なんの真似かしら?」

「攻撃を受け止めてくれてありがと! でも、私にも仕事をさせてよ。ガーデナーの名が泣いちゃう」

 

 あくまで、自分の名誉のためであると言い訳をしてガーデナーはホルダーへと手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『う、受け止め切れなかったのか……!? 顔色が優れないみたいだが、大丈夫か主殿!?』

『別に平気^^ これは演技だからね^^』

『何故そのような事をするのじゃ……!?』

 

 

 

 

 

 

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