【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない 作:不破ふわる
許せねえなぁ!
ソルシエラを巨乳のセクシーお姉さんにするなんてよぉ!
『まあまあ落ち着いて^^』
何笑ってんだ!
いいか、ソルシエラってのは今が完全な状態なんだよ!
多少成長して背丈が伸びようとも、ああはならないんだよ!
そもそも背徳の名前であの胸は何だ! その胸で星詠みが務まるわけないだろ!
背徳って言葉の意味を理解してんのか!?
むしろお清楚なシスターだからこそ、汚したくなるのが背徳じゃねえのか!?
アレじゃあ据え膳だろ! 目の前にジャンクフードみてえなコンテンツ吊り下げて、これが背徳ですって出されて誰が納得すんだよ!
全然背徳じゃないよあんなの!
ソルシエラバトルの運営はとち狂ったのか!? 元々巨乳なら文句はないよ。セクシーでもおかしくない。
けどソルシエラは違うだろ!
そう言うのはこっちで想像するからこそ美しいんだろうが!
運営で勝手に正解を用意されると俺の想像の余地がないんだよ!
これからソルシエラのえちえちには必ずあの背徳のソルシエラが付いて回る事になる。
もう呪いだろこれ! 俺、運営に呪いかけられちゃったよ!
『……ちょ、落ち着けって^^』
そもそも俺というソルシエラはあんな姿に成長するまでの未来をそもそも思い浮かべないんだよ!
今を生きるのに必死で、近い未来に自分は死ぬと理解しているのにどうしてあんなふざけた姿のソルシエラがお出しされる……?
ソルシエラが夢想するのは未来じゃない。自分が星詠みではなかったありもしない過去と現在なんだ!
けっして、豊満に育ったどスケベな自分では断じてない!
仮に未来を思い浮かべるとしても、学園卒業までしか想像しない。いや、想像できないのがソルシエラなんだよぉ!
おい運営、今からでも遅くはないから背徳のソルシエラを、通常ソルシエラと同等のボディバランスにしてお清楚シスターにしないか?
それでもなお背徳を名乗っているからこそ、完璧な調和が生まれるんだ。
これがパーフェクトハーモニーだろ!
『赫夜牟、今マイロードは少しだけおかしくなっている。お茶を待っている間、宿題をやろう』
『わかったのじゃ』
背徳のソルシエラという名前を抜きにすれば、あのキャラ造形も悪くはない。
ああいうストレートなキャラも界隈には大切な栄養だ。
だからこそソルシエラで消費してしまったのがもったいないんだよ!
これが本当にソシャゲなら、今頃タイムラインにはお気持ちの長文が溢れかえっているだろうなぁ!
『今の君みたいにね』
は? 俺は生産者なんだから当然の抗議に決まっているだろ!
俺が丹精込めて育てたソルシエラコンテンツを、あんなジャンクフードに変えられてどうして我慢が出来ようか……!
『といわれてもねぇ、既に彼女は背徳のソルシエラであるわけだしねぇ。ソルシエラの願望から生まれた存在であることは確定しているのだから受け入れるしかないだろう。そもそも、痛いの痛いの飛んでいけが元なんだから何が起きてもおかしくはない筈だ』
……いいや、違う。
『え?』
確かに美少女エネルギーはソルシエラによく似ている。
今まで出会ったソルシエラと同質だ。
だからこそ、これは俺が作り出した『人工的潜在意識ソルシエラ』から生まれた者たちだと信じていた。
『潜在意識を人工的に作ってる……?』
それは勿論。
俺という美少女生産者が表に出ないように二重底にしないとねぇ。
だからこそ断言できる。
ソルシエラの欲望に、えちえち巨乳お姉さんになる願望はない!
どんな美少女エネルギーを感知しようが、認めない!
俺の魂が別界隈のコンテンツだって叫んでんだよ!
『まあまあ。で、結局君は何が言いたいんだい?』
あいつソルシエラじゃないです。
というか、ソルシエラバトルが欺瞞の可能性が高いです。
彼女は、ソルシエラですか?
いいえ、彼女は別のコンテンツです。
『解釈不一致でとんでもない事言い始めた』
そもそも今まで会って来たソルシエラ達は、本当にソルシエラなのかな?
くそっ、最初から聖シエラに出会えていれば、このソルシエラバトルの裏に潜む大きな野望に気が付けたというのに。
『勝手に野望を付け足すな』
……よし、俺は決めたぞ星詠みの杖君。
『また変な事考えてるねぇ』
今から絶望のソルシエラをぶっ倒しに行こう^^
俺単騎でも正直ボコボコに出来るだろ。
そして力を吸収して破滅に殴り込みに行こう。
イベントを、ショートカットする!
これで絶望まで巨乳だったら目も当てられないからさっさと処分するぞ!
『えぇ……』
でもこのソルシエラバトルというコンテンツを台無しにしてはいけないよ。
途中でわざとガーデナーちゃん達に止められて、その無謀さと責任感故にあの子たちと戦ってしまう事にしよう。
ガーデナーちゃんに迷惑を掛けたくないから自分一人で戦う事にしたのに、結局ガーデナーちゃんと戦う事になるなんて。
なんて美しい自己矛盾なんだ……!
『やっぱりソルシエラバトル楽しんでない?』
こんなに多種多様なソルシエラを見れる機会は滅多にないからね。
だからこそ、修正してあげているのだよ。
破滅のソルシエラもとい運営、ぜってえ許さねえ!
って訳で、今からボロボロなのに一人で絶望のソルシエラの所へと向かうソルシエラをやります。
ごめんな悲シエラ、俺はもう行くよ。
せっせと看病しているところ悪いが、俺にはやらなきゃいけない事があるんだ。
■
兵士エラ達と共に看病をしていた悲哀のソルシエラは、ふと違和感に気が付いた。
「……魔力が、増幅している」
ベッドで眠るソルシエラの魔力が、異常な速度で増えている。
それはまるで大波のように荒々しくそして巨大であった。
「献身のソルシエラの力を吸収して体に異常が起きている……? 看病係さん達、急いでお水と魔力抑制剤を――」
兵士エラに指示を飛ばしたまさにその時であった。
ベッドの上で、ついにソルシエラが目を覚ました。
「……行かなきゃ」
「オリジナル、目覚めたのですか!? ……あ、だっ、駄目です。まだ寝ていないと!」
悲哀のソルシエラはソルシエラを押さえつけようとするが、今の彼女はその力をほとんど吸収されたただの少女である。
あっけなく押しのけられてしまった。
「ごめんなさい、私はどうしても行かなくてはならない」
「ど、どこにですか?」
「献身のソルシエラの力を得た影響かしら。今の私には絶望のソルシエラがいる場所がわかる。奴は、私を呼んでいるわ」
「絶望……!? だ、駄目です。あの子は一人で戦いを挑んで勝てる相手ではない。今、ガーデナー達が背徳のソルシエラを倒しに行っています。だから、その帰還を待って皆で行きましょう!」
「それでは駄目よ」
ソルシエラは首を振る。
「これは私が原因で生まれてしまった争い。なら、私が片付けるのが当然でしょう。絶望を倒して……破滅も私が殺すわ」
それは決意であり、義務でもあった。
星詠みである自身が、事件の原因となってしまった罪悪感があるのだろう。
ソルシエラは怒りに満ちた表情でこぶしを握る。
そして悲哀のソルシエラの制止も聞かずにベッドから抜け出した。
「力も殆ど戻ったわ。これならきっと……っ」
大鎌を召喚した瞬間、ソルシエラの足元がふらつき倒れそうになってしまう。
しかし彼女は銀の鎖で大鎌を手繰り寄せると、それを支えに転倒を免れた。
どう見ても万全の状態ではない。
それどころか、体調は悪化しているように見えた。
「駄目ですオリジナル!」
「ふふっ、貴女は大人しくここで待っていなさい」
まるで子供でも相手にするように、ソルシエラは悲哀のソルシエラの頭を撫でる。
そして転移魔法陣を展開した。
「っ、警備係さん達! オリジナルを止めてください!」
「もう遅いわよ、館長さん」
兵士エラ達は一斉にソルシエラへと駆け寄るが、地面から発射された銀の鎖が全員を的確に縛り上げその場に拘束する。
その間に、ソルシエラは転移魔法陣を潜り抜けてしまった。
「ま、マズイです」
悲哀のソルシエラは顔を青くして叫ぶ。
「お手紙係さんに至急ガーデナーの元へと向かうように言ってください!」
ソルシエラのいなくなった部屋で、慌ただしく兵士エラ達は動き出す。
悲哀のソルシエラは、ソルシエラの消えた場所を見つめながら顔を顰めた。
「自罰のソルシエラ……あまりにもその名にふさわしい生き方ですね」
『で、場所はわかるのかい?』
『美少女エネルギーを感知したから大丈夫! 今行くぞ絶望! ソルシエラコンテンツは誰かを悲しませるための道具じゃねえ! 俺とソルシエラでバトルだぁっ!』
『おぉ……これで今日の宿題は終わりだ。後でカメさんシールをあげよう』
『やったのじゃ。これで20枚集まったから、ご褒美がもらえるのじゃ!』