【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第401話 8‐6 始まりの星を詠う君へ

 た、大変だぁ!

 破滅のソルシエラに吸収されてしまったぞ!

 

 まさか俺を吸収することが目的だったなんて……!

 くっ、一瞬の隙を突かれて大変なことに!

 

 ガーデナーちゃん、俺が内側から押さえている間にどうにかするんだ!

 いい感じのセリフを言ってくれたら、きっとソルシエラは破滅のソルシエラから分離するぞ! そして流れで銀星冠装形態をお披露目だ!

 

 自分、スタンバイ出来ています!

 いつでもどうぞ!

 

『内側から食い破るとかこれもう極悪敵キャラだろ』

『おぉ……ついでに破滅のソルシエラを幼くすることは可能だろうか。その方が勝率が最強無敵%上昇するので、破滅のソルシエラを幼くすることを強く推奨する』

『ばかみてえな理屈^^』

『主殿が無事なのは良い事じゃが、今も破滅のソルシエラと戦っている我たちは中々に厳しいぞ! 我、さっき普通に殺されかけたのじゃ! あいつ躊躇ないぞ!』

『躊躇がないのはこっちもなんだよなぁ』

 

 安心しろ赫夜牟君。

 破滅のソルシエラの体と意識を乗っ取り、最後には傀儡にするから。

 致命傷になるような攻撃は避けるよ^^

 

 奴の意識があるのは今だけだ。

 ソルシエラとして俺の目の前に現れたのが仇となったな。

 他の美少女だったら手は出せねえが、俺が元になったコンテンツなら別だ。

 

『ひえ』

『なぜ怯える? 相棒がお前を助けてやると言っているのだから喜べ。感謝しろ^^』

『そ、それはそうなのじゃが……』

 

 あんまりに完璧な作戦だから、動揺しちゃったかな?

 

 さて、カメ君進捗はどうだい?

 

『既に75%の掌握に成功した。……しかし、どうやらこちらに気が付いて抵抗してきているな。……おぉ、マイロード気を付けろ。奴の構造が変わった』

 

 カメ君の言葉に疑問を投げかけるよりも早く、それは実感として現れた。

 今までは意識だけが漂っていたのだが、気が付けばしっかりと地に足を付けている感覚がある。

 明かり一つない夜の街に放り出されたのかと錯覚してしまう暗闇に、俺は取り敢えずソルシエラっぽく構えを取った。

 

「……出てきなさい」

「――いや、もう本当にそういうの良いですから……」

 

 声が聞こえ、明かりが一つ灯る。

 青白い焔が目の前に現れ、ゆらゆらと揺れていた。

 その焔は、今まで見たどの焔よりも優しく、そして温かい。

 

 これが……ぬくもり……。

 何故だろう。美少女エネルギーに近い何かを感じる。

 

「貴方が今代の星詠みですね。間違いでは……ないですよね……そうですよね……」

 

 何故か絶望した声色で焔はそう問いかけてきた。

 どうしたのだろう。何か嫌な事があったのだろうか。

 

「ええ、そうよ」

「またその演技……。私は理想の再構築システムとして残された求道者の意志の残滓です。ソルシエラバトルを管理、運営していました」

「そう。なら、貴女を倒せばここから出られるという事ね」

「いいえ」

 

 焔ははっきりと否定する。

 

「もう貴女達は無条件で外に出します。どうか出て行ってください」

「^^」

「何故笑っているのですか……!?」

「くっ……絶対に私は負けないわ。例え力を奪われようとも……必ず勝つ!」

「話が通じない……?」

 

 俺は焔をキッと睨みつける。

 焔は困惑するようにゆらゆらと揺れるだけだ。

 

「全部、私の判断ミスが招いた結果です。まさか、こんな人間の理想と融合してしまうとは……」

「……その口ぶり、貴女は何かを知っているの?」

「はい。だって、そもそも貴方をこの世界に呼び寄せたのは私ですから」

「なるほど。破滅のソルシエラではなく、正確にはシステムである貴女がソルシエラバトルに無理やり引きずりこんだのね」

「いいえ、私が言っているのはそもそもの話。貴方が那滝ケイとしてこの世界に降り立った時の話です」

「……っ!」

 

 はわわ……!

 

『はわわ……!』

『おぉ……』

『この世界……? 主殿は別の世界から来たのじゃ? なら、この世界の常識が通用しないのも、常軌を逸した行動をとるのも納得じゃな!』

『赫夜牟、お前後で裏に来い^^』

『ひえ』

 

 ソシャゲイベントの裏でまさかのとんでも爆弾発言をされてしまった。

 こういうのって、ふんわり謎のまま終わるものだと思っていたんだけど……明確に誰かの意志が介入していたんだね。

 

「詳しく聞かせて頂戴」

「だからその演技はもういいのに……。はぁ、かつて私の本体は求道者という名前でした。銀の黄昏の戦士であり、教授に抗った者の一人。ですが、力及ばず勝利することはできなかった……」

 

 ここラッカちゃんに教えて貰ったところだ!

 

『覚えててえらい』

 

「けれど、求道者は最後まで抗いました。銘を奪われないように咄嗟に別の位相世界へと飛ばしたのです。そして長い時間をかけて銘を完全に復活させ、教授に再び挑むつもりでした」

「……そうなのね」

「途中までは順調でした。死んだ人間の体へと入り込み、その人間の理想を引き継ぐことで銘を修復する。この作業を数千回は繰り返したでしょうか。私は完全に復活する目前まで来ました。……ですが、その、最後の理想が……」

「それが私だったのね」

「その思わせぶりな口調止めてくれませんか。ずっと見てたので貴方の中身は知っているんですから」

「^^」

「その笑顔もやめてください。……銘の修復として最後に選んだ人間が持つ理想は、これまでにない程に強い輝きを放っていました。だから、私は迷わずそれを受け継ぎ、ラッカちゃんがいる世界へと舞い戻ったのです。あの時、きちんと成分表を見ていればこんな事には……っ」

 

 どうしてさっきからこの焔は後悔をしているのだろうか。

 今のところ、美談にしか聞こえないのだが。

 

「そもそもどうして理想だけ受け継いだのに自我があるんですか……? 何故貴方が体の主導権を握っているのです……? 確かに私は求道者の残したシステムでしかありませんが、それでも理想に体の主導権を奪われる訳がない筈……」

 

 どうやらシステムちゃんは困惑しているようだ。

 ならば仕方がない。この姿で心の内を明かすのは俺のコンテンツルールに反するのだが、特例だ。

 まともに会話をしてあげよう。

 

「システムちゃん、愛だよ」

「システムちゃんではないですし、答えも意味不明です……。貴方は、ソルシエラバトルがどうして生まれたか知っていますか?」

「理想を研磨し、昇華させるため。そう聞いたわ」

「そうですね、その通りです。そうして少しでもまともな理想にしたかったんです。求道者のかつて持っていた願望と掛け合わせて薄めればちょうどいい理想が出来ると思っていましたが、ちょっと貴方の側が強すぎます。ソルシエラバトルが進めば進む程に貴方の理想が強化されていく様は恐怖すら覚えました」

「えへへ……」

「褒めてないんですよ……。とにかく、ソルシエラバトルはもうおしまいです。貴方達の勝ちです。後生ですから、その力でどうか教授を尊厳のある倒し方で何卒……!」

「……ええ、貴女の言葉は確かに受け取ったわ。教授も私が止める」

「またスイッチ入った……」

 

 要するに、俺は求道者から力を受け継いだミステリアス美少女って事だな!

 事実確認ヨシ!

 

『ヨシ!』

『おぉ……このシステムはこのまま消すのはもったいない。幼き命にしよう』

『カメ先生、流石にそれは……』

 

 確かに、ここまで頑張ってくれたならシステムちゃんにも何かご褒美が必要だな。

 

「……何か良くない事を考えていないですか?」

「ふふっ、確かに破滅のソルシエラにとっては良くないことかもしれないわね」

「だーかーらー! もう出て行っていいですって! そしたらソルシエラバトルも終わりですから!」

 

『マイロード、破滅のソルシエラの主導権を完全に奪ったぞ!』

 

 でかした!

 

「あっ……えっ……破滅のソルシエラとの接続が……?」

 

 ▼ システムちゃんは困惑している!

 

「システムちゃん、確かに俺達は勝つだろう。けどね」

 

 俺はまっすぐな思いをシステムちゃんへと伝えた。

 

「コンテンツには流れってもんがあるんだよ……!」

「もう嫌だ……」

 

 さあガーデナーちゃん!

 こっちはもう準備出来ているぞ!

 ソシャゲストーリーとしてお出しする時はさっきの一部余計な会話はカットしていい感じに編集するから気にするな!

 

 うおおおおおおおおお!

 

『流石相棒だ。自分がこの世界に来た理由とか微塵も興味がないんだねぇ』

『おぉ……システムは信愛のソルシエラとして最後に生まれ変わるのはどうだろうか』

『カメ先生……許してやって欲しいのじゃ……せめて最後は安らかに……』

 

 

 

 

 

 

 

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