【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第406話 8‐11 始まりの星を詠う君へ

 決戦が終わり、やがてソルシエランドにも朝が来る。

 鏡界に朝日は昇らない。

 しかし、それは間違いなく彼女達にとっては待ち望んだ明日の景色であった。

 

「……終わったのね」

 

 崩れ落ちた夜空の隙間から、極彩色の空が姿を現す。

 来た当初は荘厳であったホシヨミキャッスルは、今やその外観を半ば残すばかりの残骸となった。

 

 ソルシエラはそれを眺めながら、静かにほほ笑む。

 その姿は、いつもの彼女に戻っていた。

 あれは一夜の夢であったのだと、そう告げているかのように。

 

「ソルソルー!」

「ふふ、はしゃぎすぎよ」

 

 駆け寄ってきたガーデナーは、両腕を広げてそのままソルシエラの胸へと飛び込んだ。

 抱きしめられた彼女は驚きに息を呑みながらも、すぐにその小さな体を受け止め、背中に腕を回す。

 

「もう、仕方のない子ね」

「すうぅぅぅぅ……はあぁ……すうぅぅぅぅぅ!」

「……が、ガーデナー?」

「求道者、そいつ多分めっちゃ匂い嗅いでる。肺を求道者の匂いで満たそうとしてる」

「……」

 

 ソルシエラの顔から笑顔がすっと消える。

 同時にガーデナーの背後に魔法陣が浮かび上がり、鎖が発射された。

 

「あぁっ、まだ細胞にまで染みていないのに!」

「……変態ね」

 

 吐き捨てたソルシエラは、ガーデナーを鎖でグルグル巻きにして見下ろす。

 タイツとスカートの合間に見える影の領域も、それはそれで良いとガーデナーは深く頷いた。

 

「何を頷いているのかしら」

「……えへへ、ソルソルが本当に帰って来たんだなと思って」

 

 ガーデナーは誤魔化すように笑う。

 しかしその言葉は同時に本心でもあった。

 

 予想していなかったその言葉にソルシエラは思わず動きを止める。

 小さく開いた口は、驚いたまま固まっているようだ。

 が、すぐに彼女は呆れたように笑い背を向ける。

 そして大鎌を担いでさっさと一人、帰路についてしまった。

 

「……貴女に呼ばれたら、帰ってくるに決まっているじゃない」

 

 そよ風にかき消されてしまう程に小さな声で少女は答える。

 しかし、当の本人は聞こえていない様子でにへらと笑っていた。

 

「あー、もう帰っちゃうのー? ホシヨミキャッスルで記念撮影しようよー!」

「しないわよ、くだらない」

 

 ソルシエラの後を追うようにガーデナーは駆けだす。

 それを見てラッカ達は顔を見合わせると、彼女達を追いかけた。

 

「帰ったらパーティーしようよ。ダルいから私は食べる係ね」

「食ってばかりだと牛になるぞ、小娘」

「お前人のこと言えないだろ……」

「ふふふ、お料理は任せてください」

 

 晴れ晴れとした表情で少女たちは騒がしく楽し気に話し合う。

 中心のソルシエラは、会話には混ざることなく静かにその会話に耳を傾けている。

 

「ごはんだって! ソルソル、好物とかある?」

「キッシュ」

「そうだったんだ……!」

 

 ガーデナーの問いに簡潔に答えたソルシエラは、またその騒がしさに浸るように少しだけ目を閉じた。

 風に乗り、たくさんの声が聞こえる。

 不要無用と切り捨てかけたそれらが、今は随分と身近にあった。

 

「……本当に、騒がしいわね」

 

 孤独の星を謳うには少しだけ騒がしい。

 この帰路こそ彼女にとっての新たな始まりだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 で、終わると思ったか?

 はははは、最近のソシャゲはイベスト終了後にプチストーリーがあると遥か東国より伝わった見聞録で読んだことがある。

 

『出身どこ?』

 

 ?

 サムライの国だけど?

 

『サムライがソシャゲの話をする訳ないだろ』

『おぉ……赫夜牟よ、パーティーを楽しむと良い。そしてマイロードよ! やはり私のキッシュが好物なのだな! 是非ともまた作ってあげよう!』

 

 またも何も一度も作って貰ってないけどね。

 

『? 先日、遠足用のお弁当に持たせてあげたではないか』

『遠足にキッシュ入れるとか狂ってんだろ^^ あと、遠足もねえよ^^』

『キッシュって美味しいのじゃ?』

 

 美味しいよ。

 

『じゃあ食べたいのじゃ!』

『おぉ安心しろ赫夜牟よ。既に、シェフシエラにレシピを授けている。戻れば食べることが出来るだろう』

『楽しみなのじゃ! 主殿がそこまで言うのなら、きっと赤子をふんだんに使った料理に違いないのじゃ! じゅる……』

 

 うん、赫夜牟君は一度『美味=赤子』の図式を捨てようか。

 このままだとソウゴ君との邂逅イベントでうっかり赤子食って登場してそうだから。

 これから強化アイテムになろうとしているのじゃロリが赤子食って登場は流石にヴィランが過ぎるよ。最後まで和解しないタイプの怪物になっちゃう。

 

『のじゃ……わかったのじゃ……』

『おぉ、偉いぞ赫夜牟』

『素直で物分かりが良いのは評価点だねぇ。はっはっは、気が向いたら君の新形態の外装だけでも作ってやるとしようか^^』

『ありがとうなのじゃ、カメ先生! 星詠みの杖先生!』

『私も先生か。悪い気はしないねぇ』

『おぉ、コンテンツについて良く学ぶのだ。だが、悪い所は真似してはいけないぞ』

『おやおや、まるで私に悪いところがあるみたいじゃないか^^』

『『はっはっはっはっは』』

 

 はっはっはっはっ!

 ほら、赫夜牟君も笑って!

 のーじゃっじゃっじゃ!って。

 

『えっ、なんなのじゃその狂った笑い方は……』

『笑え^^』

『……のーじゃっじゃっじゃ!』

『よし^^』

 

 うんうん、この笑い方はアンソロジーか巻末おまけ四コマでのみ使おうね。

 そうした方が、本編の恐ろしい赫夜牟君とのギャップによるコンテンツが――。

 

『ああああああああああ! もう嫌です!! 助けてええええええ!』

『急にうるさいなこいつ^^』

『テム子よ、一体どうしたのだ』

『どうしたじゃないですよ。さっきからずっと頭のおかしい会話をして、どういうつもりですか? 精神攻撃ですか? 私を遠回しに殺そうとしていませんか?』

 

 ……?

『『『……?』』』

『なんで全員が疑問に思っているんですか! それに、さっきの形態は何ですか! どうしてあれ程の力を扱えるんです?』

 

 美少女コンテンツがあるなら、使えなきゃおかしいよ。

 

『おかしいのはあなた達ですよ』

『冷静に考えたまえ、数の利はこちらにある。まだやるかい? ^^』

『……っ、とにかくもう私を解放してください。そもそもシステムである筈の私をここに閉じ込めてどうするつもりなんですか』

 

 破滅のソルシエラの力はソルシエラでも完全に吸収することはできなかった。

 しかしこのまま鏡界に解き放ってしまうと再び破滅のソルシエラとして復活する可能性がある。

 そのため、ソルシエラは一つの策を講じた。

 

『急に流暢に……いや、前から流暢ではありましたね……』

 

 ソルシエラの策。

 それは、破滅のソルシエラの力を別のソルシエラへと作り替える事であった。

 二度と破滅を理想として追い求めないように、ソルシエラが作り替えた少女の名は『信愛のソルシエラ』。

 

『勝手に増やさないでください』

 

 まだまだ幼い信愛のソルシエラは、ソルシエランドの管理者となるためソルシエラについて回り勉強中!

 ソルシエラバトルが終わった後も、ガーデナー達はまだまだやる事がいっぱいのようで……?

 

『……えっ、なんか始めようとしてます?』

 

 記憶喪失コンテンツを現実世界でまだ堪能しているので、もう少しこっちにお邪魔する口実を……。

 

『延長でお願いします^^』

『おぉ……テム子よ、可愛く作ったから期待しててほしい』

『小っちゃい者同士仲良くするのじゃ。ちなみに、逆らったら杖の方の先生がめっちゃ怖いから気を付けるのじゃ』

『^^』

『ひぇ』

 

 さ、そろそろ記憶喪失コンテンツの方も、火の加減を見ておかないと。

 中まで味は染みたかな?

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