【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第417話 新たな一日と始まりの星

 ソールソルソル!

 ミステリアス美少女がコンテンツを見逃すわけがないソルねぇ!

 

 どれだけソシャゲ時空に身を置いていようが、このコンテンツアイから逃れる事は不可能ソルよ!

 

『うんうん、今の記憶喪失状態だからこそペロペロ出来る良いコンテンツだったねぇ。ミズヒやヒカリによって、強さを追い求める理由について考え始める無垢シエラ。ここから彼女はどう動くのか、目が離せないねぇ』

『でも最後にはあの体に戻るんですよね? あの自我を上書きするのはあまりにも惨いのでは……?』

 

 大丈夫だよ。あの無垢シエラには後で別の体を用意してあげるから。

 

 ソルシエラを人工的に作り出す計画――造星計画。

 人造のソルシエラを大量に作り出す工程で、唯一のイレギュラーかつ失敗作として生み出された(から)シエラ。

 空っぽで自我の無かった筈のその体に、偶然が重なり無垢シエラの魂が宿る。

 

 彼女は組織の研究所から抜け出し、自分をかつて助けてくれたフェクトム総合学園へと向かう。

 そして造星計画の恐ろしい全貌を伝えようとしていた。

 同時期、フェクトム総合学園の二年生クラムとヒカリはソルシエラの偽者が現れたという報告を聞き事件の調査に繰り出しており――。

 

『なんか始まったな』

 

 無垢シエラを仲間にするなら、専用イベントがないとね^^

 まさか今更実は双子とか出来ないからさ。

 

『ふむ、だが宿る理由はどうするんだい? 君が介入しているなら解決していなければ矛盾が発生してしまうだろう。あくまで偶然に無垢シエラの自我が宿る。そんな都合の良い理由があるのかい?』

 

 ソルシエラは無垢シエラとしての自我を保管していた。

 仮にも星詠みになり得る可能性が在る存在をデータロイドとして存在させるわけにもいかない。

 

 なので、安らかな夢を見せて鏡界で保管していた。

 が、しかしその鏡界と空シエラが偶然に接続してしまい意識が宿ってしまう。

 

 これでどうでしょうか。

 矛盾などはないコンテンツに仕上がったと思いますが!

 

『うーん……ヨシ^^』

 

 わぁい!

 

 無垢シエラには期待をしているよ。

 特に、無垢シエラとソルシエラに挟まれるクラムちゃんが見たいねぇ。

 素直にミロク先輩に甘える無垢シエラを見て、少し羨ましそうにしてしまうソルシエラも見たい!

 

『見たいも何も自分次第なんだよなぁ』

 

 そして無垢シエラには度々曇って欲しい。

 ソルシエラと同じはずなのに、自分は全然同じように戦えないと悩んで欲しい。

 俺はもう曇るとかそういう次元にいないので、代わりに君が曇ってくれ無垢シエラ。

 君が生まれてくれて良かったよ。

 HAPPY BIRTHDAY!

 

『自分の分身だと容赦がないねぇ』

『おぉ……だがそれは少し可哀そうではないか……いや、しかしマイロードが無邪気に喜んでいるなら……お、ぉ?』

『おいカメがバグったぞ』

 

 カメさんてつだってー!

 

『おぉ、わかった。全て従おう』

『倫理観がロリに掌握される瞬間を見たねぇ』

『して、その無垢シエラを受け入れるイベントとやらはいつやるのじゃ?』

 

 まあ、状況が落ち着いたらでいいんじゃないっすかね。

 どうせまだ最終決戦まで時間はあるし、戦領祭の少し前辺りに適当に事件起こしておけばいいでしょ! わはは!

 

『これを邪悪と言わずになんと言うのですか!』

『企画会議では?』

『これが会議? イエスマンしかいない腐った組織でそんな事をして意味があるんですか?』

 

 こんなにやる気に満ち溢れた同志たちの会議をそんな風に言わないでよテム子。

 そんなこと言うなら……うん、このコンテンツの共同責任者として任命しようかな。

 

『えっ』

 

 君には造星計画事件を俺と共に見て欲しい。

 そして知って欲しいんだ。どんなコンテンツの裏にもあっちぃあっちぃ魂があるって事を。

 自分で作り上げたコンテンツを味わうのは格別であるということを知って欲しい。

 

『地産地消の良さは格別だからねぇ』

『おぉ……それは良い提案だ』

『…………ノーコメントじゃ』

『^^』

『いいと思うのじゃ! 賛成じゃ!……スマヌ』

『い、嫌です! 断固拒否します!』

『あんなにソルシエラ作って意味の分からない事をしていたんだから今更だろ。ソルシエラ作ってお人形遊びするの得意だろう?』

『アレはソルシエラバトルはお人形遊びじゃないです!』

 

 そんなに緊張しないでよテム子。

 初めは誰だって初心者さ。怖がることはない。

 

 それに、そもそも君が俺をソルシエラバトルに巻き込まなかったら無垢シエラは生まれなかったんだ。

 つまり彼女の生みの親は君でもあるんだよ?

 それなのにテム子は知らないふりをして放置するの?

 それこそが非情であり邪悪なんじゃないかな?

 俺、そういうのは良くないと思うんだけどどう思う?

 

『い、いやそれは……』

『論理は常に我々の味方だ^^ 大人しく投降したまえ^^』

『っ、私は……無力です……ッ!』

『わ、我は何も生み出してないからセーフじゃな! な!?』

『お前はソウゴの時に特大コンテンツがあるだろ^^』

『ああっ!(絶望)』

 

 うんうん、皆で良いコンテンツを生みだして行こうねぇ。

 さ、そろそろ無垢シエラにも朝が訪れるようですよ……?

 今日はどんな一日が待っているのかな?

 

 

 

 

 

  

 カーテンの隙間から差し込む柔らかな朝の光が、部屋を淡く照らしていた。

 鳥の声が遠くで微かに聞こえ、窓の外では風が枝葉を揺らしている。

 静けさに包まれたその空間の中で、ケイはゆっくりと目を開けた。

 

「んぅ」

 

 まつげの間から覗く瞳はまだ眠たげで、光を受けてわずかに揺らめく。

 寝返りを打つと、長い髪が枕の上を流れ、淡い銀の糸が朝の光を受けてきらりと光った。

 

「まだ、ねむいな……」

 

 しばらくぼんやりと天井を見つめていた彼女は静かに息を吸い込み、吐き出す。

 その脳裏には、昨晩のミズヒとヒカリの戦いが浮かんでいた。

 眠ったとしても、あの時に見た物や感じた物を忘れることはないだろう。

 

「起きないと」

 

 やがて上体を起こしたケイは、髪をかき上げる。

 指の間を滑る蒼銀の髪が、さらりと音を立てて肩に落ちた。

 

 部屋の中はまだ少し薄暗く、机の上には本が一冊。

 見覚えのない白い本であった。

 いや、それはノートと呼ぶべきだろうか。

 昨晩までは机の上になかったそれに首を傾げたケイは足をベッドから下ろし、裸足で床に触れる。

 

「0号が置いたのかな?」

「――ああ、そうだとも」

「ひゃっ!?」

 

 すぐに返事が来るとは思わず、ケイは情けない悲鳴をあげる。

 びくっと跳ねた肩を見ながら、壁際に体を預けていた0号は満足そうに微笑んでいた。

 

「私からのちょっとしたプレゼントだ。受け取りたまえ」

「プレゼント?」

「日記帳さ」

 

 中を見る様にと促され、ケイはその表紙をめくる。

 そこには何も書かれていない。

 まっさらで空虚なページは、まるで今の自分を表しているかのようだった。

 

「かつての君は日記をつけていた。そうすることで思考が上手く纏まるらしい。せっかくだから、今の君もどうかなと思ってね」

「……ありがとう、0号」

 

 ヒカリ達との交流を経て、ケイは少しだけ前向きになっていた。

 今の自分を誇れる理由などまだありはしない。

 しかし、それを探そうと思える程度には彼女は変わっていたのだ。

 

「あ、そうだ。まだ言ってなかったね」

「ん?」

 

 ケイは日記帳をぎゅっと抱きしめて振り返る。

 

「おはよ」

 

 その声は小さく、けれど確かに一日の始まりを告げるようだった。

 蒼銀の髪が光に溶け、朝の静寂と溶け合う。

 少女の穏やかな時間が、ゆっくりと流れ始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『これもうメインヒロインだろ』

『は? 俺がメインヒロインわよ!』

『いやこの邪悪さでそれはちょっと無理ですね……』

『テム子、あまり正論を投げつけると洗脳されるから用心せい』

『おぉ……朝もきちんと起きられて偉いぞ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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