【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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十三章 かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めなかった
第449話 美少女の愛に送り出された者に敗北は無い


 ミステリアス美少女に休息はない。

 ゆるふわ美少女4コマとしてまんがタ〇ムき〇らで連載されるその時まで俺は暗躍し続けなければいけないのだ。

 

 そう、と言う訳で俺は今すぐにでもルシエラの所に行って、空を全部疑似太陽系に変えてかっこよく共鳴を見せびらかしたいのである。

 のだが、流石に俺以外がほとんどボロボロだった。

 

 ミユメちゃんは当然の様に触手型の医療器具の使用を提案したが、全員が断固拒否をしていた。

 ので、俺とミズヒ先輩の二人で傷を治している最中なのである。

 干渉と傷の焼却による治癒は効率が良い。

 だから本来ならもう終わっている筈なんだが……。

 

「ケイ、まだちょっと腕が痛いかも。ねえ、もっと魔力を頂戴? ほら、もっと近づいて」

「ネームレス、離れなさい」

「もう照れちゃって」

 

 しがらみがなくなったネームレスはもはや無敵であった。

 彼女みてえな距離感で近づいてくるネームレスは、治療を終えたというのに何かにつけてボディタッチを仕掛けてくるのである。

 

「おい、離れろネームレス」

「は? 私は腕が痛いって言っているんだけど。クラムは私が傷ついたままでいいんだ? ケイー! クラムが虐めるよぉ!」

「なっ、こいつゥ!」

「「マーちゃんズ」」

 

 クラムちゃんとネームレスが同時に蛙を召喚する。

 流石に校舎を爆破することはできなかったのか、蛙達はもみくちゃになりわちゃわちゃと暴れていた。

 二人に翻弄されるマーちゃんズ達が一番の被害者だろこれ。

 

『被害者は貴女に振り回されている全員では?』

 

 テム子は相変わらずおかしな事を言うねぇ。

 俺はコンテンツを制作しているだけだ。人聞きの悪いことは言わないでよね!

 

『えぇ……』

『それよりもテム子、鏡界の方はどうなんだい? 君の仕事はそっちだろう』

『もう悪シエラは根絶しましたよ。けど……何故か学園の一室で素材をランダムでガーデナーに渡す仕事に従事させられています。なんですかこれ? 一気に計算してまとめて渡せばいいじゃないですか! それにランダムにする意味が分かりません!』

『シエルが聞いたら激しくキレるか異常に同意するかのどちらかだろうねぇ。テム子、それがソシャゲというものだ』

『人間はおかしなものばかり作るのですね。意味が分かりません』

『お前の言葉全部ソルシエラバトルでカウンター出来るって忘れるなよ^^』

 

 テム子も終わるのか。

 うんうん、そうなれば全員が揃うね。

 

 デモンズギア、天使、Sランクダンジョン主、銘システム、人間。

 こんなに揃っているならもう誰にも負けないだろ。

 手のひらの上でコーロコロだ!

 

『はっはっは、余裕だねぇ』

『楽勝じゃ!』

『まあ、理論上は勝利できますね』

『……おぉ』

 

 おや、どうしたんだカメ君。

 何か悩み事かな。

 

『これだけ強くなると、天上の意思がイレギュラーとして我々を処分しに来ないか心配なのだ。アレは文字通り次元が違う。星天形態でも食らいつけるかどうか……』

『心配性だねぇ。そんなのかるーく捻ってボコボコだ^^』

 

 そうそう。

 ……それにしても天上の意思か。

 

『おや、まさかこの天使にあてられて君も不安になったのかい?』

 

 上位存在 美少女化 必要素材

 

『検索履歴?』

 

 折角なら、天上の意思にも美少女の素晴らしさを理解して欲しいソルねぇ。

 まあ、出会うかどうかも分からないけれど。

 

 戦うのはトウラク君だしね!

 流石に主人公の役割を奪いはしないよ!

 原作でも勝ってるし、更に原作よりも今のトウラク君は強い。

 

 負ける要素がねえな! わはは!

 

『おぉ、天上の意思は人類の強さに比例して力を解放する。あくまでアレにとってはテストでしかないからな。だから、これほどまでに異常な強さを持った人類が増えた今、天上の意思がもしも降臨した場合、その強さは我々の想像を越えている可能性が在る』

『そ、それは流石にまずいのじゃ……!』

 

 大丈夫大丈夫!

 俺、なんだかんだ本当に敗北した事って一度もないし!

 最強形態お披露目してすぐに負けるなんてある?

 このまま無敗で行くわよ!

 作中最強格をずっと保つわよ!

 

『相棒なら勝てるだろう。99%ね!』

『おぉ、確かに我々が敗北する可能性などごく僅かだろう。少し弱気になっていたな。すまない、マイロード』

『あんなに強い形態が負けるわけないのじゃ! まさかそれを上回るように調整されて降臨したりはしないのじゃ!』

『……えっ、なんで皆さんで一気にフラグを?』

 

 俺達が負けるわけないよな!

 

 こんなに守らなきゃいけねえ美少女がいるのに負けていられるかってんだ。

 

「ほら、今度こそ治したから離れなさい」

「そんなこと言って、本当はこうして抱き着かれるのが好きなんでしょ? 皆にぎゅってされたいって前に言っていたもんね!」

「そうなのケイ!? じゃ、じゃあ私も反対側を失礼して……って、なんでマーちゃんズが邪魔をするの!」

 

 だらしない顔の主にこれ以上の醜態をさらさせまいとマーちゃんズが健気に壁を作りクラムちゃんを抑え込んでいた。

 かえるさんもかわいい!

 

『おぉ!』

『対抗しようとすんな^^』

 

 さて、このまま内心を暴露されて皆に愛されるソルシエラコンテンツに浸りたいところだが、そろそろ行かねばなるまい。

 次なるコンテンツが待っているのだ。

 出来ればトウラク君の雄姿は間近で拝みたい。

 

 原作より強くなってるなら、もっと凄いものを見せてくれるだろう。

 期待しているよ主人公!

 

「……さて、それじゃあそろそろ行こうかしら」

「えっ、どこに行くのケイ」

 

 クラムちゃんは蛙まみれで首を傾げる。

 俺はクールに微笑んで立ち上がり、いつものゴスロリ衣装を身に纏った。

 

「理事長の計画の中に私は入っていないわ。だから、好き勝手動いても構わないでしょう?」

「まさか、銀の黄昏の所に行くの!?」

「私、ルシエラには借りがあるのよね。ずっと前から」

 

 ここですかさずラッカちゃんに教えて貰った情報で訳アリムーブもかます。

 すっごい昔? なんか戦った? らしいので?

 

『当事者面するにはふわふわしすぎているねぇ……』

 

 だって俺に求道者としての記憶は無いし……。

 あっ、そうだテム子はどうだ!

 

『少しは知ってますよ。ルシエラとの決戦ですよね?』

 

 これなら俺は無知じゃないね、ヨシ!

 

「記憶が戻ったばかりなのですから、無理はしないでくださいケイちゃん」

「無理なんてしていないわ。今は随分と調子が良いのよ。それに」

 

 俺はネームレスへと視線を向ける。

 

「理事長の想定していない戦力はもう一人いる。そうでしょう?」

「っ~!」

 

 ネームレスは俺の言葉を察した様子で歓喜に打ち震えている。

 その隣ではウエハースチョコをトリムがハムスターのように食べていた。それ、気に入ったんだね。

 

「私とネームレスが加勢すれば、どんな状況でもひっくり返すことが出来るでしょうね」

「うん! 私、頑張るよ!」

 

 俺に頼られたネームレスはそれはそれは嬉しそうに肩を回す。

 ソルシエラとネームレスという最強の組み合わせにミロク先輩も安堵した様子だった。

 

「……わかりました。二人なら、大丈夫でしょう。けれど、危なくなったら帰ってくる事。無茶はしない事。もしもピンチになったら、私達を呼ぶ事。いいですね?」

「まるで母親ね」

「ミロクちゃんは変わらないなぁ。でも、まあわかったよ」

 

 ネームレスはそう言って手を伸ばす。

 その瞬間トリムはその姿を青い大鎌へと変化させる。

 

「じゃ、行こうかソルシエラ」

 

 俺は返事の代わりに転移魔法陣を展開する。

 そして二人で移動をする前に、示し合わせたように一緒に後ろを見てこう言った。

 

「「行ってきます」」

 

 やがて俺達は転移によりその視界を光に包まれた。

 

 これですよこれ。

 フェクトムに受け入れられた二人が、今度は素直に行ってきますというこの構図。

 

 ソルシエラはもう孤高なミステリアス美少女じゃない。

 ネームレスも孤独な英雄志願者じゃない。

 

 フェクトムというでっけえ愛に包まれた二人が少しだけ素直になれたこの瞬間、これこそが愛、やね。

 どうだい、皆!

 

『本人に解説をされて正気を疑っているところです』

『愛だな! マイロード!』

『ネームレスがいつ、皆にソルシエラのおみみの事を話すか考えていたからよく聞いてなかったよ^^』

『よくわからなかったけど、愛じゃな!』

 

 よーし、それじゃあソルシエラとネームレスが銀の黄昏にカチコミに行っちゃうぞ~!

 過剰戦力だけど、頑張って耐えて良いコンテンツにしてね!

 

 

 

 

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