【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第480話 美少女の愛を抱きしめれば、どんな明日にもたどり着ける

 大変大変ー!

 私、ソルシエラ15歳☆彡

 天上の意思のエネルギーを鏡界経由で吸収している普通の女子高生!

 

『普通……?』

 

 今は皆の力を借りて死を偽装して、世界を外から観測していたんだけど監視用のカメさんカメラが壊れちゃったみたい!

 天上の意思と戦っているトウラク君達がこれからどうなるのかわからなくて不安だよぉ!

 

 トウラク君は天使になっちゃうし、原作よりも規模が大きくなっているし、いったいどうなっちゃうのー!?

 

 ……で、どうなってんの?

 

『うわっ、急に冷静にならないで下さいよ。さっきまでのきゃぴきゃぴはどこに行ったんですか』

「この程度の天使で私を倒せるとは思わない事ね」

『ああっ、同時にロールプレイをぶつけないでください! 頭がおかしくなる!』

 

 俺は天使の軍勢を相手に流麗に大鎌を振るい、次々とその首を落としていく。

 砲撃を極力使わないようにしているのは、少しでも魔力を己の中に溜め込むためだ。

 

 そして今、テム子はバトンタッチして赫夜牟君が外に出張っている。

 この子は素で戦闘能力が秀でているので、こういう時は頼もしい。

 星詠みの杖君やカメ君といった、作品が違えばラスボス張っていたような奴らの影に隠れているが十分強いぞ! いけー、赫夜牟君!

 

『帰ってきてください赫夜牟先輩! この人の……人? の中は確かに回復できますけど、一人だと気が狂ってしまいそうです!』

「ぎひひっ! 皆殺しじゃぁ! 血は好きじゃ! 香りも良く温かい! それが今まで我らを見下ろしていた下郎共の血ともなれば極楽じゃぁ!」

 

 ご覧、テム子。

 アレがソウゴ君に継承される【光る! 鳴る!】DX赫夜牟ギアだよ。

 ああやって、見えない所でも残虐性をあらわにして、自身の格を高めているんだ。

 コンテンツ作りに余念がないね。

 

『あれ、普通に楽しんでいるだけでは?』

 

 それが一番大事なんだよ。

 いいかい、テム子。

 義務感でコンテンツを作っては、BIG LOVEは宿らない。

 大切なのは、自分が愛する事なんだ。

 

 その上で今の赫夜牟は満点と言っていいだろうね。

 

「ぎひっ、ぎひひひひひ! ああっ!もっともっと欲しいのじゃぁ!」

 

 遥か昔、幻獣大戦よりも前に一体のダンジョン主が天上の意思へと逆らった。

 いや、その在り方はイレギュラーと言うべきだろうか。

 

『なんか語り始めた』

 

 イレギュラーは、鏡界に乗り込み多くの天使を虐殺した。

 事態を重く見た天上の意思が自らその力を封じたことで、その事件は人間の知らないところで終息したという。

 やがてそのイレギュラーはとある位相世界に堕とされ、そこに生きる人々に畏怖の念を込めてこう呼ばれたのだ。

 

 ――赫夜牟。

 

『嘘じゃないですか!?』

 

 あの幻獣大戦も、赫夜牟が力を取り戻し天上の意思に再び挑むためのものだったんですねぇ。

 いやぁ、まさかこんな所で繋がるなんて。

 

『こじつけじゃないですか。赫夜牟先輩もそれでいいんですか!?』

『イレギュラーってかっこいいから、それでいいのじゃ』

『理屈が感性に負けた……?』

 

 優秀な先生が二人いるから、赫夜牟君の進化は目覚ましいなぁ。

 それで、その優秀な先生方の方は進捗どうですか……?

 

『その聞き方やめてくれ^^ 何故だか苦しくなる』

『おぉ、我々は殆どを吸収し終えたぞ。あの人間たちが、天上の意思を相手してくれたおかげだ』

『後は君だけだよ』

 

 よーし、任せて!

 最後まで平らげちゃうぞぉ!

 

『はっはっは、元気だねぇ。どれどれ、手が空いたからあの世界でも覗こうかな。もう片眼くらいなら余裕でジャックできるからねぇ』

『おぉ、高画質でお届けしよう』

 

 やったぁ!

 いやぁ、気になってたんだよね。

 三人での決戦かと思いきや、そこからもう一展開あったからさ。

 まさか天上の意思じゃなくてトウラク君の方がずっと優勢な感じで進むとは思わなかったよ。

 

『……よし、では繋ごうねぇ』

 

 わぁい^^

 

 そうして俺の脳内へと、天上の意思の目を通じて流れ始めた映像。

 それに俺の脳は一度、スパークを起こしたような衝撃に停止した。

 

 な、なんだ?

 このとんでもねえ美少女の輝きは……!?

 

『うーん……あっ! あの剣士、凄いです! 全ての位相世界の銘を生成してその身に宿してますよ! 天上の意思に迫る勢いで格が上昇し続けています!』

 

 テム子の言う通り、俺の脳裏に映るトウラク君は見た目こそ神羅無性トウラク君であるものの、輝きはより凄まじいものとなった。

 天上の意思や博愛のソルシエラですら想像を絶する輝きだったというのに、今のトウラク君はそれすらも凌駕している。

 

 流石は原作主人公様。

 ……なら、その気高き精神に応えずに何がミステリアス美少女か!

 

『あっ、変なスイッチ入ったのじゃ』

『先輩二人で制御してください。あなた達のマスターなんでしょう?』

『私の教育方針は、自由だ』

『楽しみだねぇ^^』

『どっちもアクセルだった』

 

 それじゃあ行くぞ、星詠みの杖君、カメ君!

 今こそ、エネルギーを一つに!

 

『ああ』

『おぉ……』

 

 ジュルジュルしたエネルギーは単体でも強力無比であり、世界を作る程度なら造作もない程だ。

 そんなエネルギーが、三つ。

 それは天へと立ち上ると、迫る天使を余波だけでなぎ倒しやがて一つに収束を始める。

 

『エネルギーは安定している』

『おぉ、では共鳴を開始するぞ』

 

 三つのエネルギーは単純な乗算にとどまらない。

 それらは相互作用しあい、数値で測れない程のエネルギーへと進化をしていた。

 あったけえエネルギー……あったけえ……!

 

『す、すごい。これなら……!』

 

 まだだァ!

 

『えっ』

『のじゃ!?』

『ん?』

『おぉ……』

 

 トウラク君は全ての銘を束ねて見せたのだ。

 それなのに、俺は影でこそこそ卑しくエネルギーを吸収して終わり?

 そんなの駄目だろう!

 

『卑しいも何も貴女がそう提案したんじゃ……』

 

 ソルシエラは愛により救われた。

 なら、最後に彼女が得る力は愛の方が良い。

 そうでなければ、この後参戦した時ちょっと格が落ちるだろう。

 後に「じゃあここ別にルシエラでも良かったじゃん」とかルシエラ過激派に重箱の隅をつつかれるかもしれない。

 

 主人公様の戦いにお邪魔するなら、それ相応のドレスコードがあるんだよ!

 

『無い週刊連載の無い読者の批判を危惧している……? 何故……?』

 

 行くぞ、皆!

 

 遥か上空、エネルギーの収束する地点まで飛翔した俺はその中心で大鎌を掲げる。

 今の俺ならば、全ての位相世界へと視線を向けることが出来た。

 

 二つの目にとどまらず、脳へと流れ出す膨大な世界の情報。

 それらを受け入れられているのは、天上の意思のエネルギーを吸収したおかげなのだろう。

 

『全位相世界の観測!? あ、貴女までそんな無茶を……!』

 

 感じる……!

 多くの世界で芽吹き、営まれてきたコンテンツが……!

 美少女の輝きが……!

 

『ああ、わかるよ相棒。世界にはまだまだこれだけのコンテンツが溢れているんだねぇ^^』

『おぉ、幼き命の波動も溢れんばかりだ……!』

『のじゃ。我も感じるのじゃ』

『何を言って……いえ、確かにこれは何かを感じます。……まさか、全ての世界の理想を束ねようとしている……!?』

 

 少し違うぞテム子。

 トウラク君が世界の銘。

 即ち、救済の責務をその身に刻むのならば。

 俺はその先。

 明日の理想をこの身に宿そう……!

 

『そんな無茶な……! 言ってることもやってることも滅茶苦茶です!』

 

 確かに無茶で滅茶苦茶だ。

 今までの俺だったならね。

 

 けれど、こうして全ての世界を見て理解したんだ。

 

 美少女の輝きとは、他者へと贈る無償の愛。

 明日へ生きようと前を向く気高き精神そのものだったんだ。

 

 性別とか、立ち位置とか、そういう事は問題じゃない。

 美少女とは――。

 

 世 界 だ っ た ん だ!

 

『オタクの哲学ですか?』

『茶化す時ではないぞテム子よ』

『は?』

 

 その瞬間、間違いなく全ての位相世界が一つになった。

 老若男女問わず、善人悪人の垣根を越えて、全ての愛が眩い粒子となり俺の元へと集っていく。

 光よおぉぉぉぉぉぉ!

 

『凄まじいエネルギーだ。成程ねぇ、美少女エネルギーとは愛そのものだったんだねぇ』

『ならばそれに勝るエネルギーなどあるまい。マイロード、最後の決戦だ。愛の輝きで派手に舞うと良い……』

『輝きが我らをも満たしていく。これが、愛なのじゃ……!?』

『うっ、ぐっ……な、何故か私も無性に世界を愛したくなってきました。これ、実質精神汚せ――』

 

 後はタイミングを合わせてあの場所に参戦するだけだ。

 計画通りなら、ミユメちゃんが良い感じの発明品で俺を呼び戻してくれる。

 

 行くぞ!世界(みんな)

 

 これが、ファイナルミステリアス美少女タイムだ!

 

 

 

 

 

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