【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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時系列は本編エピローグから三日後です^^


番外 アトラスティア決戦
第505話 完成された銘 1‐1


 チュンチュン……チュンチュン……。

 おやおや、小鳥さんが朝を知らせているぞ?

 それじゃあこのミステリアス美少女(救われた姿)も目覚めなきゃなぁ!

 

「……んぅ、朝」

 

 俺は小鳥の声と窓から差し込む暖かな日差しで目を覚ました。

 ベッドの中で小さく伸びをして、ゆっくりと上体を起こす。

 欠伸をかみ殺し、まだ半ば覚醒していない脳で朝の到来を理解した。

 

 はい、おはようございます。

 那滝ケイ、たった今目覚めました!

 少女としてのあどけなさを残したままの完璧な起床を果たしました。

 

『茶番じゃないですか。貴女、明朝に眼を覚まして星詠みの杖とコンテンツ制作していたでしょう?』

『おかげで第二回ソルティアに持っていく作品の方向性が固まったねぇ。助かったよ』

 

 いいってことよ!

 それがコンテンツの為なら俺は協力を惜しまないぜ。

 しかしそれはそれとして俺はこの時間に普通の少女として目覚めなければいけないんだ。

 わかるかいテム子。

 

『わかりたくないですね』

 

 俺達は三日前に遂に現実世界に帰ってきた!

 クラムちゃんやネームレスを相手に華麗な帰還を披露し、桜の季節に再会。

 それは同時に、一つのコンテンツが終わった事を意味する。

 

『終わったままにしてください……』

 

 戦いが終わったソルシエラは……いや、那滝ケイはこれから少女として学園生活を送ることになる。

 後日談、スピンオフ、あるいはアンソロジー。

 いずれにせよ、ここからは今までの様なお労しい美少女ではなく、人の温かさに不慣れな不器用美少女として生きていくんだ。

 くっ、天上決戦を終えたと思ったらこれか……!

 休む暇もねえ……!

 

『コンテンツは待ってくれない。くっ、私もどれだけえちえちコンテンツを後日談に差し込めるか……!』

 

 ちなみにこのえちえちコンテンツを止めるのも俺達の仕事ね。

 

『俺達……? え、それって私もカウントされてます?』

 

 当然だよテム子!

 君だってこれからは先輩なんだからね?

 いつまでもコンテンツを受け取る側じゃあ困るよ?

 

『なんの自覚を促されているんですか私は。……というか、先輩は? 先輩がいないと私の正気がなくなっていくんですけど! 正気の無い人たちに囲まれて私ピンチです!』

『無駄だ^^ 今、赫夜牟はカメと一緒にピクニック中だろう。せっかく現実世界に帰ってきたのだから、と二人で朝早くにここを出た』

『そんなぁ!? 道理で昨日の晩にカメ先生の宿題を全部急いで終わらせていた筈です。いつもはゲームに気を取られるのに』

 

 確かにテム子が心配する理由もわかるよ。

 

『絶対わかってないですよね』

 

 五人揃っていないと祝福形態が使えない……!

 それを危惧しているのだろう!

 

『ほらぁ(諦め)』

 

 祝福形態をあの決戦一度きりで終わらせるのはもったいない。

 だからあの姿でもう一度戦い、クールに活躍したいんだろう?

 

『違いますよ』

 

 だが我々ソルシエラホールディングスは、コンテンツに従事する全ての者に完璧な環境でコンテンツ制作してもらいたい。

 カメ君や赫夜牟君のわくわくピクニックを邪魔するわけにはいかなかったんだ。

 というか、カメ君もおかっぱロリとして出て行ったので、そっちもコンテンツとして熱いんだよ。

 

 って訳で、今回は君の力を借りる事になるかもしれないね。

 ――天上君。

 

『……む、余を呼んだか?』

『うわでた……というか、天上の意思が人の体の中に入っているのやっぱりおかしいですって!』

『余は中に入っているつもりはない。美少女に溶け込んでいるのだ。そこには壁も差もなく、一つになる事こそが美少女の本質。そうだろう先導者よ』

 

 うん!

 

『この元気な返事が何よりの証拠だ。先輩もどうか余と一緒に愛に溶け込んで欲しい』

『……え、もしかしてこれも合わせた三人を私一人で相手するんですか!? ソルシエラホールディングスは福利厚生を重要視しているんじゃ……!?』

 

 という訳で今回のメイン火力は天上君が担ってくれるよ。

 彼女とソルシエラが一つになった天上形態、出せるだけの事件は果たして起きるかな?

 

『絶対に起きないでください……!』

『だが先輩よ、余の記憶違いでなければこの世界に帰還してすぐに外より来る神々の侵攻を確認した筈だ。近いうちに戦いが起きるぞ。用心しろ』

『……確かに、それは本当に大変ですね。いくら戦力が廃課金勢みたいとはいえ、油断はいけません』

『もしも奴らが美少女を傷つけたりしたら許せん……!』

『ああ! そっかもう完全にそっち側に振り切っているタイプですかぁ!』

 

 うんうんテム子も朝から元気で嬉しいよ。

 

『これはやけくそって言うんですよ!』

『先輩の元気な姿は余も見習わなければな……むん!』

 

 お、天上君も元気だねぇ。

 星詠みの杖君の方は――。

 

『さっさとクラムやミロクと■■■■しろ^^ 軟禁状態で■■■■しろ^^』

 

 いつも通りだなヨシ!

 さてそれじゃあ行くぞ。

 既に扉の向こうから美少女の気配を感じる。

 この波長は……クラムちゃん辺りが俺を待っているのだろうか。

 

『なんでわかるんですか』

 

 よーし、フェクトム総合学園でのゆるふわ生活開始だ!

 新入生の脳を適宜焼きつつ、臨機応変にコンテンツを生成するぞ!

 

『『応っ』』

『先輩……帰ってきてぇ……』

 

 

 

 

 

 

 眠い目を擦りながら、クラムはケイの自室の前に立っていた。

 

「眠い……けど、ケイと一緒に生徒会室に向かう為だもん。同伴登校の為ならこれくらい……!」

 

 頭の上でせっせと寝癖を直す人吞み蛙と一緒に、クラムはケイを待っている。

 彼女がフェクトム総合学園に戻ってきて三日が経過していた。

 

(ケイが戻った初日は皆でパーティー、二日目と三日目は新入生へのレクリエーションという名の戦争。今日がようやくケイとイチャイチャ出来る日……! ステラも今は授業中だから見られない筈……へへ、やっとケイと……へへへ)

 

「カオ ヤバイッス」

「っ、いけねえいけねえ。こんな顔をケイに見られたりしたら……」

「私に見られたらどうなるの?」

「そりゃ幻滅され…………うわぁっ!?」

「ふふ、おはようクラム」

 

 妄想に浸っている間にケイは既にクラムの前に立っていた。

 寝癖がだらしないクラムとは違い、ケイは綺麗に身なりを整えている。

 白い制服は、彼女の中に存在する高潔な魂を表しているかのように妙に白く感じた。

 果たして自分が着ているものと本当に同じ制服なのだろうかとクラムは思わず考え込んでしまう。

 

「……ん? スカート?」

 

 制服姿を観察中にクラムはふと気が付く。

 白いスカートと眩い太ももが確かにそこに在った。

 

 思わず無意識の内に眼をかっぴらいて凝視しそうになったクラムの顔に人吞み蛙が張り付き冷静さを取り戻させなければ色々と危なかっただろう。

 

「カンベンシテクレ」

「ごめんマーちゃんズ。かなり取り乱した」

「相変わらず騒がしいわね、貴女は。……それで、さっきからジロジロと私を見ているわけだけれど」

「あ、ご、ごめんケイそれはその……」

「……やっぱり、変だったかしら」

「え?」

 

 先程までの余裕そうな笑みは消え、いつの間にかケイはこちらを探る様に顔を窺っている。

 その目には、どこか気恥ずかしさもあった。

 

「……えっと、女子生徒用の制服じゃ……変だったかしら」

「マジ似合ってる最高見たとき女神かと思ったわというか女神だったわ」

「……そう、随分と口が巧いのね」

「本心だから。マジ、可愛い。似合ってるよケイ……!」

「そ、そう。まあ別に変じゃないならそれでいいわ。さっさと行きましょう」

 

 そう言ってケイは生徒会室へと歩き出す。

 その後ろを追いながら、クラムは至福の時を過ごしていた。

 

(膝裏もエッチだな……どうしようケイが可愛いだけじゃなくてエッチな子だってのが新入生にバレたら)

 

「キユウ」

「キモイッス」

 

 人吞み蛙達の言葉は主には残念ながら届かなかった。

 今、主はケイの膝裏を脳内に収める仕事に忙しかったからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クラムちゃんの変態度増してない? 視線がやばいんだけど』

『いいぞクラム! 押し倒せー! 既に体は開発済みだしどこを貪っても私のお手付きではあるが押し倒せー!』

『朝から何を期待しているんですかやめてください!』

『……え? 星詠みの杖君それはどういう――』

『ジョークジョーク。デモンズギアジョーク^^』

『なぁんだ』

『先導者よ、右太ももにベルトを付けて欲しい』

『貴女は貴女で何をお願いしているんですか!』

 

 

 

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