【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第509話 完成された銘 1‐5

 俺の知らない新たなコンテンツが始まろうとしている。

 原作のその先にあるBIGコンテンツ……くっ、俺の原作知識がここからどれだけ通用するかわからない。

 皆、気を抜かず臨機応変にフレキシブルに行くぞ!

 

『君の知識って大抵、肝心な所で役に立たないじゃないか。大抵ははわわって言っているイメージだが』

『ですね。即堕ち二コマ生成機です』

『そうなのか? 余からすれば人間とは思えない知識を持っていて恐ろしいぞ。美少女をエネルギーとして捉えている人間は先導者しか会ったことは無いし、作った覚えもない』

 

 美少女はエネルギーであり光であり導きであり万物の祖である。

 全ての学問が行き着く先は美少女なんだ。

 高度に発展した科学と魔法は美少女にしか見えないって言うだろう?

 

『言いません』

 

 テム子はまだまだお勉強不足かな?

 

『は?』

 

 じゃあ、後で俺の美少女エネルギーで都市の電力を賄う所を見せてあげようかな。

 そこからもう一度美少女エネルギーと向き合って欲しい。

 

『死と向き合った方がまだ正気を保てそうですね。……というか、そんなに知識が豊富なら、ここがどこかもわかっているんですよね? 今、私達は地下にいますけど』

 

 テム子の言う通り、今の現在地は地下のどこかであった。

 ラッカちゃんに連れられ幼馴染ーズと一緒に俺は学園を旅立っている。

 最後までグダグダと理由を連ねてついてこようとしたクラムちゃんがマーちゃんズに拘束された光景は大事に脳のイベントCGに保存した。

 後でしっとりコンテンツをやってあげるからそれまで待っててねクラムちゃん。

 

 ……で、ここはどこなんですかぁ!

 暗いよー! 圧迫感が全身に響くよー!

 

『やっぱり知らないじゃないか』

 

 こんな所、原作にはなかったんだよ!

 俺は確かに雑居ビルの二階の扉をくぐったはずだ。

 ラッカちゃんに続いて入った先にこんなモグラさん大歓喜みたいな通路が続いているとは思わないだろ!

 コンクリートで上下左右を覆われ、時折埋め込まれたライトが通路を照らすだけの冷たい道。

 ルートが特殊である為か、俺達の他に生き物の影すらないのがより気味が悪かった。

 

「……長いですね。先生、本当に合っているんですか?」

「合ってる合ってる。大丈夫だよ。座標が常に変動するから、転移が出来ないんだ。唯一繋がっているのはこの通路だけ。なに? もしかしてビビってんの?」

「別に私は平気です。……けど、トアちゃんは」

「あ、あわわ、こ、こわいよぉ……おばけとか、出るかも……!」

 

 プルプルと震えるトアちゃんは、落ち着きなく辺りを見渡している。

 その姿は愛らしく、小動物のようで思わず抱きしめたくなった。

 まあソルシエラはそんな事はしないので、ぐっとこらえるけどね。

 

「そんなにビビんなよ情けないなぁ。教授の釈放って言ってただろ? この先にあるのはあいつの為の豪勢な牢屋だってどうせ」

「あー、わかっちゃうかぁ。もう、私が言う前に言わないでよー!」

「別にいいでしょ。そっちの方はもう飽きて別の事始めているし」

 

 ネームレスの指さす方向では、ナナちゃんとミズヒ先輩がスマホを手に何かを操作していた。

 

「……はい、これで私は新規招待キャンペーンの報酬を受け取れます故。フレンド登録も完了です故」

「これでいいのか? 折角だ、私も少しやってみるとしよう」

「おお、是非。私は初心者にもやさしく教えます故。この成功体第二号の頭脳で企業Wikiよりも正確に、そして動画解説よりもわかりやすく教えます故」

 

 どうやら暇すぎてミズヒ先輩を自分の好きなソシャゲに誘ったようだ。

 構図がおばあちゃんと孫と重なるのは何故だろうか。

 

「いいなぁ、スマホでゲームができて。星木の学園は電波がたまーにしか入らないんだよね」

「ミユメに頼んで何とかして貰えば? 鏡界の素材を報酬にすれば喜んで何とかしてくれると思うけど」

「マジ? やってみよっかなぁ。ガーデナーちゃんが素材を素直に渡せばだけど」

「ちょっとくらいならバレないでしょ」

「バレないかなぁ」

「バレないバレない!」

 

 ネームレスとラッカちゃんが仲良くキャッキャッと会話をしているその隙に、俺はこっそりトアちゃんの傍に立つ。

 そしてそれとなく右腕を差し出して言った。

 

「その……私の腕で良ければ掴んで良いよ?」

「本当? ありがとうケイちゃん……!」

「別にこれくらい大丈夫だよ。トアちゃん、怖いの苦手だもんね」

 

 以前、ジルニアスに行った時も幽霊騒動では立ったまま気絶していた。

 トアちゃんはただ食いしん坊なだけだから、こういうのは別に得意じゃないもんね……!

 でもそれもいいよ! ナイスコンテンツ! (得点時の掛け声)

 

『ほう、ケイ×トアか……』

 

 ふっ、俺のコンテンツはここから変化する。

 むしろここからが本番だ。

 

「ほら、これなら少しはマシでしょう?」

「うん……!」

 

 俺の腕に抱き着き、ぴっちりと体に密着するトアちゃん。

 昨今の法改正により今では後天的美少女でもこうして密着が許されることを利用したという訳だ。

 そしてこの光景を黙って見ているネームレスではない!

 

「……あ、あー。やっぱり私も怖いかもー」

「え? さっきトアの事を馬鹿にしてたじゃん」

「先生は黙ってて。……ケイー! 私も怖いよぉ。左腕を貸してえ!」

「…………はぁ、好きにしたら?」

「やったぁ!」

 

 俺の傍に駆け寄り、腕へとしがみつくネームレスにやれやれとため息をつく。

 これで俺の両腕は今、金黒同一顔コンビに占領されたわけだ。

 

「む……」

 

 さて、ミロク先輩はここからどう出るかな?

 

「もうケイちゃんが困っていますよ? そんなにくっついたら歩きづらいでしょうに」

 

 御覧。トアちゃん達と同じことがしたいけど、生徒会長かつ皆のお姉ちゃんという立場が邪魔をして素直に行けない姿を。

 美しい。我慢をしているミロク先輩もとても魅力的だ。

 

『だがミロクを我慢させるという事は、後で体を貪られるという事だ。ハイリスクハイリターンだろう』

 

 ちょっと聞いたことがないリスクですねぇ。

 後でこっそりイチャイチャする時に、全ての補正が1.5倍になるだけだよ。

 星詠みの杖君はいつもそうやって俺を総受けにしようとするから困るなぁ。

 

『君がソルシエラである限り、総受けの未来は変わらないと思え。絶対に貪られる! 女王の棺の演算能力を舐めるな!』

『そんなものに銀の黄昏の集大成を使わないでください!』

『先導者が太ももをスリスリされるのはアウトだろうか? レーティングを分ければ可能か?』

 

 アウトだろ。

 

『セーフだ^^ ちなみにソルティアではソル受け本も人気だから、お前も興味があるなら参加すると良い。ちなみにもうじきソルケットも開催される。そちらを覗いてみるのも良いかもしれないな。そしてソルシエラ同好会の中には、ソルシエラおみ足学会も存在する』

『是非とも参加しよう』

 

 なる程、こいつらが揃うと性癖コンボが発動してしまうのか。

 カメ君がいない今、まともに止める方法がない。

 テム子、どうにかして!

 

『……ちなみにソルシエラIFとかも持っていって良いんですか? その界隈のルールがわからず……できればアイドルシエラなどの別の未来のソルシエラをぎゅっと詰め合わせた四コマ漫画を制作したいのですが』

 

 ああっ、ソルシエランド製作者の血が騒いでしまっている!?

 

『これは復讐でもありますよ。これで反省してください!』

 

 まさかこんな形で反省を促すコンテンツを差し向けられるとは。

 ……でもまあコンテンツが増えるならいっかぁ! あとで俺にも新刊くれよなぁ!

 

『なんだこいつ無敵ですか?』

『余をこんな風にした時点で問いかけるべきではないだろう。愚問というやつだ』

 

 待っていろよ教授!

 俺達コンテンツ請負人が今行くぜ!

 

 

 

 

 

 

 学園都市の地下に内包されたダンジョン空間にはいくつか非公開の施設が存在する。

 緊急時の避難用に街一つ分を再現した空間や、ダンジョンを学園都市に集約する機能を担っている装置を格納する場所など。

 その土地の面積以上の役割が存在している。

 全てが決まった一つの通路からのみアクセスが可能であり、この部屋はその通路の先にあった。

 

「……おや」

 

 それは檻ではあったが、牢屋と呼ぶにはあまりにも敬意に溢れていた。

 穏やかな風が吹く丘には一本の木と木製のテーブルとイス、そして数冊の本だけがあった。

 視界いっぱいに広がる空と丘は、文字通りの無限でありここから出ることは叶わない。

 故に檻ではある。

 しかし、中に収容されたその少女の表情はあまりにも穏やかであった。

 

「先生と求道者が来たようだね」

 

 読みかけの本に、葉を一枚栞として挟みルシエラは椅子から立ち上がる。

 ひときわ強い風が吹き抜け、丘の端から草花を波のように揺らしていく。

 星々のように煌めく黒髪を押さえながら、ルシエラは何もない空間へと視線をやった。

 

 と、その時虚空に扉が現れ、ゆっくりと開く。

 その向こうにいた少女達を見て、ルシエラは穏やかに笑った。

 

「これはまた、随分と騒がしくなりそうだ」

 

 いつも通りに笑い何故か玉子焼きを食べている先生と、何故か両サイドを少女達に固められている求道者。

 これから重要な任務だというのに、どこかふざけていて気の抜けた姿が懐かしくて、ルシエラは確信する。

 きっとこの作戦は成功するだろう。

 それでも彼女は癖で思わずこう口にしてしまう。

 

「……銀の黄昏はもう一度揃うと信じているよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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