【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない   作:不破ふわる

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第54話 情報と結束

メッチャ説教されるかもしれない……。

 騎双学園に来ていたのがミズヒ先輩にバレちゃった。

 

『ふむ、なぜバレたんだろうねぇ。君の位置情報を追うなど私がいる限り不可能な筈なのだが』

 

 知らないよ。でも、実際にバレたしなぁ。

 

 トアちゃんも連れてくるんだってさ。

 女装のために服を買いに来たらフェクトム総合学園規模での問題行動だってさ!

 

 やばくね?

 俺、今後信用ゼロじゃね?

 

『……一つ、案がある』

 

 ほう。

 聞かせてくれ。

 

『あのビルに私の妹の気配がある。アレを奪って献上しよう。それでうやむやにしようじゃないか』

 

 ビルって、あの尖ったビル?

 駄目だよ君。それ六波羅さんが飛んでくるじゃん。

 

 ソルシエラは今日はおやすみです。

 あくまで俺は平和に女装をしまーす。

 

『そうかぁ』

 

 あと、俺の隣にいる浄化ちゃんどうするんだよ。

 間違いなく俺の行動に感化されてヒャッハーしちゃうよ?

 

 トウラク君の原作イベントが起きるまでは大人しくしてもらう必要があるんだから。

 

「ねえねえ、フェクトム総合学園の生徒が来るのも、貴女の計画通りだったんですかー?」

「……些末事よ。この程度のイレギュラー」

「ははっ、そうですか。流石ですね」

 

 ほら、浄化ちゃんのおめめをご覧よ。

 今にも爆破しそうなくらいに輝いているよ?

 

 服選んでもらうとか言っている場合じゃねえ。

 頼む、浄化ちゃん。早く帰ってくれ……!

 

『……フェクトム総合学園の生徒が来る前に離れたいねぇ』

 

 そうだな。

 取り合えず、ビルから出よう。

 

 衣装は次だ次!

 

「それじゃ、行こうかしら」

 

 じゃあね、浄化ちゃん!

 

「はい、行きましょう」

 

 なんで付いてくるんだよぉ!

 

 

 

 結局、浄化ちゃんと一緒にビルの外でミズヒ先輩達の到着を待つことになった。

 浄化ちゃん……君は君でやる事あるんじゃないの?

 ねえ、美少女にこんな事言うのは駄目だけど。

 

 どっか行ってくれない?

 

『というか普通に帰れって言いたまえよ』

 

 美少女に強く出れるわけがないだろう。

 それに、ミステリアス美少女は帰れとか言わない!

 

 ソルシエラは去る者は追わず来る者は拒まずなので、それは解釈不一致です!

 誰かに行動を左右されたりしないの!

 

『それは確かに……』

 

 仕方がない。

 また適当にミステリアス美少女をしてどこかに行って貰おうかな。

 

 原作で先に起こるイベントの情報とか小出しにして、そっちに誘導しよう。そうしよう。

 

「貴女に「あ。あの人たちですよね」……そうね」

 

 遅かったー!

 俺ってばいつもこう。

 

 

 

 

 

 

 ミズヒとトアが合流したのは、騎双学園中央自治区にある商業ビルの下だった。

 

 人混みにまぎれる形で、見覚えのある制服が見えた。

 

「ケイ、ここにいたんだな」

「……すみませんでした」

 

 出会ってすぐに、ケイは頭を下げる。

 自分ひとりでミロクを取り戻す為に動いていた事に対する謝罪だった。

 

「いつからだ。いつから、こうして動くことを計画していた」

「……退院してすぐです」

「そうか……」

 

(同じ病院にいたんだ。違和感にすぐに気が付いたのだろう。私やトアに相談すれば良いものを……不器用な奴だ)

 

 ミズヒは内心でため息を吐く。

 しかし、同時にその感情を理解もしていた。

 

「次からは、私達も信頼しろ。ミロクを取り戻したい気持ちは私もトアも同じだ」

「????」

 

 ケイが顔を上げる。

 

「騎双学園からミロクを取り戻すのなら、私たち全員でなくてはならない。そうだろう、トア」

「うん。ケイ君、貴方は一人じゃないんだよ?」

「……え?」

 

 ケイは意外そうな声を上げた。

 まるで自分しかミロクを取り戻す事が出来ないと思い込んでいたかのように、その顔は驚きで染められている。

 

(ケイ……お前は今までそうやって一人で戦ってきたんだな)

 

 仲間がいるという事が、彼にとっては想定外の出来事だったのだろうか。

 ミズヒはケイの手を取る。

 

「ミロクを助けるぞ」

「…………はい!」

 

 

 

 

 

 

 はい! いったん集合!

 

『はい』

 

 俺の知らない所でなんか起きてます!

 ミロク先輩が、何かヤバそう!

 

 説教かと思ったけど、違ったわ。

 それは嬉しい。

 けど、説教された方が良いレベルの事が起きてる。

 取り敢えず情報収集しよう。

 

 俺は、さも知っている顔をして問い掛けた。

 

「ちなみに、ミズヒ先輩はどれくらい今回の事について知っていますか」

「ミロクが、騎双学園に攫われたという事だけだ。それと、アイツが自分を条件に借金の額を減らしたという事も……」

 

 あ、そうだったの!?

 浮かれて新衣装いえーい、とか言ってる場合じゃなかったじゃねえか!

 

 というか、なんでミロク先輩が狙われているの?

 美少女だから? やっぱり美少女だから?

 

「ミロクを攫った目的までは私はわからないんだ」

 

 そう言って、ミズヒ先輩は俺を見る。

 え? もしかして、俺が知っていると思ってるの?

 

 やっべ、知らねえよ。

 

「――騎双学園は、外部の生徒を使ってデモンズギアとの適合実験をしています」

 

 じょ、浄化ちゃん!?

 

「君は……」

「私は浄化ちゃん! 皆のアイドルで、正義の象徴ですよー! 久しぶりですね、月宮トアさん!」

「あ、どうも」

 

 浄化ちゃんは、トアちゃんに手をひらひらと振った。

 それからスマホを取り出すと、ミズヒと一緒に勝手に写真を取る。

 

 おい、殴られるぞお前。

 

「貴女とは初めましてですね。と言っても、貴女は私の事を知っているかもしれませんが」

「フェクトム総合学園で勝手に配信をした輩か」

「ですです。ああっと、そんなに怖い顔しないでくださいよー」

 

 浄化ちゃんは配信で見るような動作と共にミズヒに笑顔で話しかける。

 

「私はただの協力者ですから。……はい、どうぞ」

 

 そう言って浄化ちゃんは小さなUSBメモリをミズヒ先輩の手の中に握らせた。

 

「今まで騎双学園に攫われた生徒は必ず同じ場所に連れて行かれています。この中には、その場所や警備の数など詳細なデータがあるので、自由に使ってください」

 

 クソヤバデータ渡してない?

 ねえ、クソヤバデータ渡してない?

 

 後、これってもしかして原作であったプロフェッサーのやつが始まってない?

 

「……感謝する」

「いえいえ。私と那滝ケイの仲ですもん」

 

 そう言うと、浄化ちゃんは俺の肩を叩いて踵を返す。

 同時に、耳元でそっと囁かれた。

 

「これくらいは、いいでしょう」

「……そうね」

 

 いいと思う?

 今から原作がぶっ壊れんだけど。

 

「それじゃ、後はお願いしまーす」

 

 浄化ちゃんは手を振りながら、振り返ることなく再びビルの中へと戻っていった。

 俺達が特攻するの上の階で見ている気だ……。

 

「ケイ、アレはお前の知り合いか」

「はい。俺の……頼れる仲間、になるんでしょうか」

 

 ミズヒ先輩は、俺の言葉を聞くと何処か嬉しそうに「そうか」と言う。

 それから、表情を引き締めた。

 

「では、行こうか」

「うん」

「……はい」

 

 なんか、原作に関わってそうな気がする。

 でも、まずは美少女は助けないと……!

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