【書籍化決定】かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない 作:不破ふわる
えー、ではこれより正義の御旗のもとにコンテンツ裁判を開始する!
被告人テム子!
『なんですか! 私は聞かれなかったから答えなかっただけですよ! それにいずれこの記憶も戻る予定でした。コンテンツには順序があるんですよ! 実装順番を間違えるような愚かな運営ではないんです!』
では次、検察側。
『こんなに特大の百合コンテンツを黙っておくことは、もはや世界への裏切りだ。多大な損失はテム子ぐちょぬれコンテンツで払って貰おう^^』
『こっちを裁いて下さいよ!』
『反省したならば、貴様の太ももをムチムチにする』
『ついでにこっちも裁いて!』
駄目だ。
テム子、君が裁かれる側なんだ。
『私の弁護士は!?』
ピクニック。
『うわーん! 先輩、カメ先生! 助けてー!』
やれやれ、泣けば許されると思っているね。
今回はそうはいかないよ。
だって、ラッカ×求道者のコンテンツを隠そうとしたのだから。これもう脱税だろ。
『エッチはしたのか!? したんだろう! 卑しい奴らめ! 何が銀の黄昏だ! 淫の黄昏じゃないか!』
『ラッカと求道者の太ももはどちらも大変素晴らしい。この共通点が二人の繋がりを物語っているな。証明完了だ』
『変態が食って掛かってるだけじゃないですかコレ! わかりましたっ、わかりましたから落ち着いて! きちんと二人の関係について説明しますから!』
ふむ、であればまずはテム子の言葉を聞くとしよう。
それでいいかな、二人共。
『わかった』
『ラッカに逸話で攻められるか、それとも求道者の情けの無いヘタレ攻めか……検証が必要だ。二人を閉じ込められる強度の空間を制作する必要があるねえ。それと空間から出られる条件を設定して――』
ごめん、一人どスケベコンテンツ過激派が紛れ込んでいたかも。
星詠みの杖君は一旦放置しよう。下手すれば巻き込まれる。
『先に相棒とミロクで試すか^^』
ね? 俺に至っては当然のように実験で巻き込まれるんだ。
さあテム子、俺は気にせず説明してくれ。
『えぇ……ま、まあわかりましたよ。御覧の通り求道者と先生は一見して相性が悪いんです。けれど、第四の天使との戦いの後に本音をぶつけ合う決闘をして…………なんやかんやあって、求道者はラッカちゃんと呼ぶ程に互いを信頼できる仲になりました』
そのなんやかんやが大事だって話だろう! なんだ君は! 司法を馬鹿にするのか!?
こっちには処刑用の恐ろしい獣もいるんだぞ!
『太もも!(鳴き声)』
な、恐ろしいだろ。
『……うぅ、わ、わかりました。ですが、ここで説明をすることはできません。これは求道者の大切な記憶。なので、次の記憶再構築にて求道者が記憶を取り戻す形で提供します。記憶が戻って素直になった求道者の概念も一緒です』
ふむ……では示談で終わらせることにしよう。
それでいいかな、星詠みの杖君。
『二人がえっちっちをしている光景を見ない事には何とも』
よしわかった。こいつは俺が押さえておくから、テム子は求道者とラッカちゃんのエモエモ思い出の構築を始めてくれ。天上君も手伝ってあげて。
『すまない先導者。余、そろそろ準備しなきゃなので』
え、準備?
『これから第五の太ももと第六の天使が倒されるだろう? そうしたら、余が出て行かなきゃならない。天上の意思の残滓とかそういう感じで。で、残滓なら褐色銀目金髪ムチムチ太もも巨女でなくてはならないだろう?』
確かに道理だね。
『道理ですかねそれ』
『だから余はその体を作らなければならない。こうして趣向を凝らした肉体を構築するのは初めてなので、余裕をもって作りたいのだ。縦セーターを着たいのだ』
『それはただの趣味では?』
『とんだどスケベもいたものだねぇ』
『貴女の方がどスケベですよ』
■
認証システムのある部屋まで、一切の障害はなかった。
細心の警戒を払っていたのだが、今度こそ道中に夢が投影されたり遠くの空に太ももが見える事はない。
結果、一同は安全に認証システムの前まで到達していた。
今までの天使の猛攻が嘘だったかのように静まりかえった基地は、騒がしい声が良く響いている。
【成程、そちらの世界では学生さん達が一丸となって勝利したのだな。なんと素晴らしい(´;ω;`)ブワッ】
「一人でも欠けたら掴めない勝利でしたね。特にうちのケイちゃんが凄い頑張ってくれたんですよ」
【やはりそうか。確かに佇まいからして只者でないことはわかる。優しく強い、まさに理想の戦士だな!】
講師はその巨体からは考えられない柔らかな物腰で、フェクトムの面々と交流を深めていた。
余談ではあるが、彼は銀の黄昏の外交担当でもある。逆に表に最も出せないのは指揮者だ。といっても彼女は勝手に人前に出ていくのだが。
「ちなみに私の彼女ね!」
【そうなのか? うんうん、青春だな(^ω^)】
ネームレスの言葉を素直に信じた講師は腕を組んで深く頷く。
それを見過ごすミロクではなかった。
「あら、ケイちゃんは私と仲良しなんですよ? 嘘をつかないでくださいネムトアちゃん」
「噓なんて言ってないよ」
【む、むぅ……あの、実際どっちなんだ(´Д`;)】
講師はミズヒにこっそりと問いかける。
すると彼女は不思議そうに首をかしげてこう答えた。
「ん? あいつは誰とも付き合っていないぞ。二人の冗談じゃないか」
【そうなのか】
講師はケイを見る。
彼女は今、システムの前でルシエラ達と真面目な顔で話し合っている様子であった。
【まだまだ大変そうだな、彼女は】
講師はこっそりと応援の念を送る。
その傍では、ミロクとネームレスが笑顔で牽制を始めていた。
そんな事などつゆ知らず、ケイは率先してシステム破壊の準備を進めている。
「こっちはいつでもいいわ。記憶再構築の準備は出来てる」
「そうか。じゃあ、さっさと求道者をその辺に転がせ」
博士は手を銃の形にして、システムへと照準を合わせながら言った。
それを聞いた求道者はむすっとして博士に詰め寄る。
「むっ、なんですかその言い方! 私より小っちゃい癖に!」
「は? 僕はこの体が都合が良いから使っているだけだ。お前のように生まれながらのちんちくりんじゃないぞ」
「け、喧嘩は駄目だよぉ!? 落ち着いてー!」
間に入った学者に高い高いの状態で拘束された求道者は、手足をバタバタと振りながら叫ぶ
「 今、喧嘩売りましたねぇ!? もう許しませ――すやぁ」
「うるさいから黙らせたわ。博士、貴方もいちいちこの子に突っかからないで頂戴」
「わるかった。真っ直ぐ馬鹿を見ているとどうしてもな」
「すやぁ」
眠った求道者を魔法陣の上に乗せて、準備が終わる。
全ての構成員の復活は終わり、後は残り二つのシステムを破壊して時を動かすだけであった。
「それじゃあ、行くぞ。3、2、1」
カウントの終わりに、学者の手から閃光が放たれた。
それはまっすぐにシステムを貫き破壊する。
あふれ出たエネルギーが求道者の体の中へと流し込まれるが、この作業も慣れたものだった。
「よーし、これで終わりだねぇ。後は教授の認証システムだけかな」
「そうだ。もうこいつを担いでさっさと向かってしまうか」
博士がそう提案したその時であった。
人の耳には聞こえない筈の世界が軋む音が響き、何人かは弾かれたように天井のその向こうを見ようとした。
特に、ルシエラ、ラッカ、講師は真っ先に気が付き、今までの緩んだ雰囲気から一転して、臨戦態勢に移行している。
「……これは」
「おいおい、マジかよ」
【奴の気配だ】
その言葉に銀の黄昏の全員の目の色が変わる。
それも無理はない。
何故ならこの停止された空間では動くはずがない存在だったのだから。
それはかつて銀の黄昏が総出で敗北した最後の厄災。
アトラスティアという最後の希望を容易くへし折った天からの滅び。
その名を、銀の黄昏の構成員達が忘れる訳が無かった。
「第六の天使……!」
現在の厄災に抗う者へ、過去に敗北した第六の天使が降り立つ。
それは、予定よりも早く始まる決戦の幕開けを意味していた。
『今の戦力なら前の第六の天使を第五の太ももにしても良いと判断した。余、資源は無駄にしないぞ』
『えらい』
※今日もキャラの公開があります。今回は誰ソルかねぇ……