「Stairway to Paradise」 作:いつも活き活きと
神父の楽園入り
幻想郷………そこでは少し前に襲撃、そして時の加速が起こった。
しかし、不思議なことにそれほどの大規模な異変があったというのに一般の人妖に死者はおらず、また異変解決に行った人妖にも死者はいなかったという。
紅魔館
そこでは一人の主人と従者がとある部屋の中で話していた。
「咲夜、この部屋を片付けておきなさい。」
「…………良いのですか?ここは…」
「良いのよ。もう……使わないわ。」
「分かりました。」
そこはとある外来人が泊まっていた部屋だったようだが………もう必要ないらしい。
白玉楼
そこでは一人の女性と男性(どちらも亡霊)が縁側を歩いていた。
「桜が綺麗ねえ〜」
「フン……そうか?」
「あら?桜はお嫌いで?」
「ああ………反吐が出る。」
「綺麗なものが見れるというから来たというのに………」
「そんなに………?桜はただの木よ?」
「桜は………一週間かそこらで散る。この花を好む奴らはその儚さが美しいとほざく。」
「…………………」
「俺はその………ただの自然の成り行きを素晴らしいものと昇華しているのが気に食わない。」
「そう…………けど…桜自体は綺麗でしょう?」
「………………そうだな。」
人里
異変が終わり数週間経った今でも復旧作業が続いている。
「妹紅!もう動いて良いのか?身体の調子は?」
「慧音は大げさだなあ……元々DISCが戻った時点で大丈夫だっていうのに無理やり永遠亭に一週間入院させられたんだ。悪いどころか万全だよ。」
「そうか。」
「それにしても顔色が悪いぞ?」
「ああ…実は歴史の篇算に手間取ってしまってな……まだ疲れが抜けてないんだ。」
「なら慧音が休みなさいよ!私が家事やってあげるから!!」
「でも…復旧が。」
「もう終わりそうだからいいの!!ほら、行くよ!!」
妖怪の山
ここでは裁判が終わりを迎えていた。
「……よって被告人『河城にとり』及びに『鍵山雛』、『犬走椛』を無罪とする!!!」
「「「よ……良かった〜〜〜」」」
「感謝してくださいね!私がDISCを回収していたからなんとかなったんですよ!!」
「ありがと〜あや〜〜〜!!」
「たすかったよ〜〜〜」
「助かりました……」
「友人が殺されるなんて真っ平ごめんですからね……」
永遠亭
そこには負傷が激しかった妖怪が未だに入院していた。
「だッ!かッ!らッ!どれだけ苦くても薬を毎日三回飲んでくださいッ!!!!どうして勝手に捨てちゃうんですか!!!!」
「それ本当にマズイのよ〜〜」
「呆れた………貴方妖怪の賢者なんですよね?」
「うう……」
「紫様………お願いしますよ。」
「紫しゃま!!頑張ってください!!」
「紫さん!ファイト!!」
「うう………わかったわ。次からはちゃんと飲むわよ…」
博麗神社
「「「すみませんでした………」」」
そこには三人の妖精が正座し謝罪している光景があった。
「全く……!どうしてよりにもよって高級な茶葉を捨てて、そこら辺の雑草と交換したのよ……楽しみにしてたのに!!!」
「まぁいいじゃないか。そいつらが弁償するって言ってるんだし。」
「魔理沙!!アンタは被害に遭ってないからそんな呑気なことが言えるのよ!!」
「こっちにまで飛び火して来たぜ……」
幻想郷は少しずつ元の姿に戻っていっていた………
時は少し遡り……
異変が終わった直後にまで戻る。
「ここは?」
男は辺りを見渡す。
「(周りを見ても部屋の中であることくらいしかわからないな。いや、そもそもなぜ私は生きている?私はさとりに…その後に気を失った。あれほどのことをしたなら即殺されても文句はいえないのだが……)」
彼は自分が何故生きているのかを疑問に思いながらも現在の状況を考えていた。
「もうお目覚めかしら?エンリコ・プッチ。」
「ッ!!紫か………随分と優しいな。起きるまで待っていてくれるだなんて。」
「優しさでは無いわ。これは尋問よ。返答次第では無限地獄も生ぬるいほどの拷問を受けてもらうわ。もちろん分かっているとは思うけど貴方が生かされるという選択肢はないわ。」
「そうだろうな。」
「あら…抗議しないのね?」
「当然だ。こうなることは予測していた。」
「なら早速始めるわ。まず、今回の異変の目的は何かしら?」
「『楽園』………皆が未来を知り、絶望を私が取り除くことで『永遠の安心』を手に入れられる世界を創ることだ。」
「そう……その世界で貴方は支配者になろうとは思わなかったのかしら。」
「思っていない。前の世界では間違った………同じ過ちを犯そうとはしないさ。」
「……次に、今回の異変では一般の人妖に留まらず貴方の目的を妨げた人妖にも死者が出なかったわ。これは偶然?それとも貴方の指示?」
「………信じてもらえるか分からないが私の指示だ。いくら『楽園』で死者が復活すると言っても確証は無い。それにここでまた殺しを行うとここでの生活………幻想郷で過ごした日々が無くなるような気がした。」
「…………最後よ。もし再び『楽園』に行く準備が整ったとしたら……貴方はどうするのかしら?」
「……………………もう懲り懲りだ。二回の敗北を経てやっと理解した。私の……彼の理想は間違っていた。ハハ………馬鹿らしい…二回も間違わないと私は理解出来なかった。」
「もういいわ。」
ウォン
紫は尋問を終えるとスキマを開く。
「この先に貴方を殺すための部屋があるわ。気持ちの整理がついたら…」
「いや、もうくぐらせてくれ。………気持ちの整理なんてとっくに出来ている。」
その顔には恐怖は無かった。そこには『因縁』から解放された一人の男の顔だった。
「そう……なら行きなさい。」
「………紫。」
「なにかしら?」
「すまなかった。」
「!…………」
シィーーーーーン
プッチはスキマをくぐり抜けるとそこには……………
「プッチさん!!!」
「さッ……さとり!?」
パチパチパチ……
「おめでとう、プッチ。貴方の死刑は無しよ。」
「なッ……どういうことだ!?」
「さっきの尋問は見定めるためのものよ。」
「だがッ!私は許されないことを…!」
「それについては色々な要因があるわ。まず、貴方の死刑を望んだ人妖が一人もいなかったわ。まあ貴方の過去を見たからなのかも知れないけど。次に、幻想郷の人妖に死者が一人しかいなかったこと。」
「一人?…………………上院か…」
「ええ。けど…妖夢曰く最後はとても満足していたそうよ。それに今は白玉楼に亡霊として住んでいるし。」
「………そうか。」
「続きだけどもし、仮にこの異変で一般の人妖に死者がいたら恐らく貴方を殺していたわ。最後に、さっきの尋問に対する回答よ。特に『楽園』をもう創ろうとしないというのは重要だったわ。」
「待ってくれ!私が嘘を吐いていたら………」
「それはさとりに心を読んでもらっていたから問題ないわ。」
「だがッ!!」
「そこまで言うなら貴方には罰を与えるわ。それは襲撃に遭った場所にそれぞれ行きそこで願いを一つ叶えること!」
「………………」
「プッチさん……いいじゃないですか。」
「…………分かった。その罰を受け入れよう。」
「ウフフ…それでいいわ。」
「なあ一つだけ質問してもいいか?」
「あら?何かしら?」
「失礼だが………なんで君は生きているんだ?それに他の人妖も腕を切り飛ばした……失血死してもおかしくないはずだが…………」
「まず私は真っ二つにされる瞬間スキマで誤魔化したのよ。それでも加速した貴方のスピードに追いつけず半分くらいは切り裂かれたけど。」
「他の皆は………」
「永遠亭の姫様がわざわざ回収してくれたらしいわ。」
「そうだったのか。」
「それじゃあまず私の願い事を叶えてもらおうかしら。」
「ン?君の所には襲撃は……」
「なに言ってるのよ。ここ『幻想郷』は私が創ったのよ。つまり!『幻想郷』の襲撃は私に襲撃が遭ったということよ!!」
「そ…そうか。なら何をすればいい?」
「そうねえ…………!!そうだッ!!!さとり、貴方は一旦この部屋から出てくれないかしら。」
「え?まあ良いですけど……」
ガチャ…
「それじゃあ私のお願いだけど………貴方、さとりの事が好きよね?」
「なッ!?何をッ!!」
「そんなにムキにならずに………だから貴方さとりと今度デートしなさい!!」
「紫………そんなことに願いを使うのか?」
「だって貴方達見てて面白いのよ。」
「『見てて』?……まさかッ!!!今までのお茶会とかも!!!」
「随分と美味しそうだったわ、あのクッキー。さとりの手作りよね?」
「ッ!!!『ホワイトスネイク』!!!記憶のDISCを抜けェェェ!!!」
「あらあら…それじゃあお願いね〜」
ウォン
「プッチさん!?何かあったんですか?」
「いッ…いや………なんでもない。」
「そうですか………」
さとりは落ち着かない様子でプッチを見る。
「……どうかしたのか?」
「いや…その………今度二人で……その…人里に行きませんか?変な意味じゃなくて……」
「ッ………分かった行こう。私の罰が一通り終わったら。」
「!!はいッ!!!!!」
本当に本当に………なんて遠い回り道………………ありがとう、それしか言うことが見つからない…
ということでこれにて『Stairway to Paradise』の本編は完結です。これからはその後のプッチのお話やさとりとの関係の進展などを書きます。本当に今まで閲覧してくださりありがとうございました!!どうかこれからもよろしくお願いします!!