陰湿で姑息で。常に警戒され続ける。そんなシノビに、私は成りたい。   作:鐘楼卿(ベル卿)ベルフェスティフ

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隠れないシノビ

「ブッコロス!」

 

メカメカしい金属の腕が少年の顔に向けて放たれる。

 

だがその瞬間少年は待ち侘びたかのように笑みをこぼす。

 

「待っていたぞ!その時を!ウラ・ニンジャストライク5(闇)発動!【本能寺カレン&カオスマントラー裏切りのヒロインー】よ、現れろ!」

 

クナイを持った緑髪の少女と、黒い手裏剣のような頭部を持った人形クリーチャーが現れる。

 

「っしゃぁ!待機中ドローし続けておいて良かったぜ!効果発動!俺は手札から12枚のシノビをお前らに見せつけ…そして場にいる裏切りのヒロイン含めてこれでシノビが13体いる!よって、パワーマイナス13000だ!食らえッ!」

 

緑が身の少女とクリーチャーがロボットたちに手裏剣を投げる。その動きは角で曲がり、物理法則を裕に無視したおかしな動き、そして全てのロボットの外装に手裏剣が刺さる。

 

その瞬間、目の前の一体だけでなくその区域全てのロボットの動きが消沈する。

 

動きをとめ、別の誰かと戦っている途中でも問答無用でその場に固まり、バランスの悪いものから順に倒れていく。

 

『し、試験終了!受験生はスタート地点にお戻りください』

 

他の試験場所に響かないためか多少小さめの音声で放送が響く。

 

放送が流れ終わると同時に少女とクリーチャーは薄くなって消えていく。

 

「フゥッ、こんなもんかな?さーて、頭領に報告しないとなーっと!」

 

少年は少し青みがかった髪の少女のプロマイドを天にかざす。

 

「はぁ…お美しい…やはり頭領のお姿は心を癒してくださる…」

 

周りからのおかしなものを見る、恐怖をはらんだその視線を無視して、プロマイドを仕舞いスタート地点へと歩き出すのだった。

 

<><><><><><>

 

古風な屋敷の門に似合わない、ピンポーンという腑抜けた音が流れる。

 

押してから数秒後反応がなく不在連絡を入れようとすると、日時を書くため胸ポケットに入れていたはずのペンがないことに配達員は気づく。

 

ため息をひとつつき、配達員が振り返る。

 

その時、配達員の背後から忍び装束の男が声をかけた。

 

「探し物はこれかな?」

 

手には黒のボールペンが握られていて、側面についたマークから会社支給のものであるのがわかる。

 

「あ、ああ、は、はい…このお宅の方ですか?」

 

そう配達員が震えて問いかけると、男は布を下ろして口を見せる。

 

「はい。出てくるのが遅れてすみませんね」

 

「あ、サインお願いします」

 

配達員が荷物を見せると会社のボールペンで書いてから一緒に返す。

 

「…はい。オッケーです。ではまたのご利用をお待ちしております」

 

配達員は少し早口で、逃げるように去っていく。

 

「ああ、行っちゃった…っと、これは雄英からか。合格通知かな?」

 

家に入る前に包みを切る。すると銀色の板が出てくる。

 

「あ?何これ?フロッピー?」

 

そう言いながらディスクをまじまじと眺めていると、中央部から光が出てくる。

 

「うぉっ!びっくりするなぁ…」

 

そして顔から離すと、それはガイアッシュより鮮明なヴィジョンを現す。

 

『私が投影されたぁ!』

 

それはオールマイト。現在日本でトップ、いや世界でもトップクラスのヒーローとして名を馳せるもうすぐ還暦のヒーローだ。

 

『…続いて実技だ!ヴィランポイントは152p!2位にダブルスコアをつけての圧倒的トップだ!』

 

少し驚いているといつの間にか実技の講評に移っている。

 

そこまで行って周りの一般人から成績を聞かれるかもしれないリスクに気づき、家の中へと歩き出す。

 

『だがヒーローはヴィランを討伐するだけではない!救助ポイント!…と行きたいところだが、今回君の試験が終わるのが早すぎて救助面での採点は難しかった!よってこちらは0ポイント!』

 

「救助ポイント、ね…救助されなきゃいけないレベルの状況になる時点で負けだろ」

 

『だがそれでもトップは変わらないぜ!こいよ、ここが君の【ヒーローアカデミア】だ!』

 

本心を少しぼやいていると、そこで情報は終わる。

 

「まぁとにかくだ。俺も合格したことだし…頭領に伝えないとなぁー!」

 

機械を庭に投げ捨て、スマホを取り出す。

 

「頭領!合格しました!主席、トップです!」

 

『そりゃよかったばい!心配しとったっちゃん!』

 

「ははは、私が落ちるはずないでしょう頭領!」

 

『そうかもしれんばってんやっぱり心配やったばい!』

 

「ありがとうございます!では入学日に向けて予習をしたいのでここらで切らせていただきますね?」

 

『うちも頑張るけん頑張って!』

 

「はい!」

 

そして電話を切る。

 

「頭領も引っ越しての入学になるそうだし心配だな…まぁ頭領なら大丈夫だろう!」

 

そう言いながら、少し。いや随分早く初登校の準備を始めるのだった。

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