DOG DAYS 土地神軍師奔走譚 ※凍結   作:天御柱

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EPISODE:04

―Side ミルヒオーレ

 

 

――コン

 

ガウル殿下が部屋を後にしてから、またバノンの子供達と遊んでいた時、窓の方で小さな物音がしました。

 

「……?何でしょう?」

 

不思議に思って首を傾げていると、

 

 

――コン

 

 

今度ははっきりと聞こえました。窓に何かが当たったような音でした。

 

少し気味悪く感じましたが、とにかく様子を見てみようと窓へ近づいていったところ、

 

 

――キィ

 

 

突然そのうちの1つが勝手に開いて、

 

「こんばんは~」

 

男性が1人、部屋の中へと入ってきました。

 

「えぇっと、あのぅ、どちら様でしょうか……?」

 

「いやいやいや、この場合その反応はおかしいだろう!?」

 

「はぅっ!?すみません……」

 

かと思えば、その人にいきなりツッコミを入れられてしまいました。

 

「まぁ、最後に会ったのはかれこれ10年くらい前だから忘れられてるかもなぁ、とは思ってたけど……」

 

男性は苦笑いを浮かべて一度言葉を切ると、

 

「久しぶりだね、姫ちゃん」

 

そう言って今度は明るい笑顔を見せてくれました。

 

彼の言葉を聞いて、私は目の前にいるのが誰なのかを思い出しました。

 

「その呼び方……もしかしてオウカ、オウカ・フローネイトですか!?」

 

「正解。思い出してくれたようで何より」

 

うんうん、と頷いて彼が私の答えを肯定してくれます。

 

「うわぁ、本当にお久しぶりです。今まではどちらにいらしたんですか?」

 

「あぁ、諸国を巡って気ままな1人旅をしてたよ」

 

「なるほど。……ところで、どうしてここに?」

 

「実は、しばらくビスコッティで世話になろうかと思って。姫ちゃんに挨拶しに来たんだ」

 

「挨拶に、ってその……外は戦の最中だったと思うのですが……?」

 

「うん、知ってる。だからこっそり潜入してきたんだけど」

 

「あ、あはは……」

 

昔と変わっていない彼に、私は苦笑するしかありませんでした。

 

ちょうどその時、

 

 

――ズガァァン

 

 

砦を震わせるような、一際大きな音が聞こえてきました。

 

「な、なんでしょう?」

 

「えーっと……あ、こりゃまずい。レオが来たみたいだ」

 

部屋で放映されている戦の中継を見て、オウカが顔を顰めました。

 

「えっ!?レオ様が?」

 

「大方、勝手な戦を始めたガウル殿下(おとうと)を叱りに来たんだと思うけど……」

 

そのままブツブツと何かを呟きながら、オウカは考え事を始めてしまいました。

 

「よし!」

 

と思えば、すぐに顔を上げて、

 

「ごめん、姫ちゃん。今日のところはこれで帰るよ。詳しい話は明日城でするから」

 

「え、えっ!?」

 

矢継ぎ早にそれだけを喋ると部屋を去ろうとします。

 

あまりに自然で素早い彼の行動に、私はただ翻弄されるばかり。

 

「……あ、忘れるところだった。姫ちゃん、君にコレをあげよう」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

窓に足をかけたところで何かを思い出したのか、オウカは私の下へ戻ってくると1枚の紙を手渡してきました。

 

「一応、姫ちゃんのことは勇者くんが何とかしてくれると期待してるけど、コレは万が一の保険ってことで。コンサートにどうしても間に合わないって時に使ってね」

 

「あの、これはいったい……?」

 

「それは転移の術式を編み込んだ護符だよ。輝力を流して、行きたい場所を思い浮かべれば発動するから」

 

「あの、本当にいただいてしまってもいいのですか?」

 

「他ならぬ姫ちゃんの為だからね。コレくらいならお安いご用さ」

 

そんな風に言ってくれるから、困った時にはつい貴方に頼りたくなってしまうというのに。

 

「わかりました。それでは、もしもの時には遠慮なく使わせていただきます」

 

「そうしてくれ。それじゃ……」

 

今度こそ用件は全て済んだ、とオウカが窓へ歩み寄ります。

 

「明日、お城に来てくださるんですよね?」

 

「ああ。午前中からお邪魔しても平気かな?」

 

「はい。お待ちしています」

 

「この後のコンサートも頑張ってな。俺も会場で聞いてるから」

 

「はい!楽しみに待っていて下さい!」

 

私の最後の言葉に頷きで返すと、彼は音も立てずに部屋を飛び出し、そのまま闇の中へと姿を消してしまいます。

 

「きっと、素敵な歌をお届けしますから……」

 

1人残された私は、誰にともなくそう呟いていました。

 

 

―Side Out

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