なろう系と呼ぶには、冒涜的すぎる   作:おさわHSM

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アリスの力が強いので最終回です


十六話・俺も光の剣欲しい

「……なるほど、だいたい把握できたよ」

ウタハが溶接ゴーグルを外し、少しだけ口元を緩める。

「新しい仲間に、より良い武器をプレゼントしたい――と」

 

工房の奥では、液体金属のような光がチューブを流れ、壁に設置された装置が一定のリズムで蒸気を吐いていた。

その音に混ざって、見覚えのある奴が赤色の触手を器用に動かしながら応じる。

 

「そういうことであれば、エンジニア部に来たのは素晴らしい選択だね」

 

原作にあったスパノヴァイベントだ。原作通りならこの後...

 

「アイン様!」

 

 

うわ出た。

心の底から反射的に出た。

 

「なんですかその顔は!」

金属片を抱えたユウゴが、怒りと安堵の入り混じった表情で飛び込んでくる。

 

「いやーまさか次元門が失敗するとは...よく生きてましたね!」

「ぶっ殺すぞお前」

「ごめんなさいまさか本当に失敗するとは思ってませんでした」

 

「アイン様?」

「まさか・・・・・・そういうプレイ?」

「やはりアインは魔皇です!」

「いや違うから!」

 

「...で?他の奴らはどこ行った。どうせ死んじゃいねぇだろ」

「全員無事ではありました。ブレージュはトリニティ、ロウドはゲヘナ、ベルゼブブはアビドス、グロスは百鬼夜行と言う所にいますね」

「なるほどね。バラバラに転移したか……問題起こさんと良いが」

「余程の事が無い限りはアイン様の命令は守ると思いますよ」

「……心配だなぁ...特にベルゼブブ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、ここに来るとき――いや、正確にはここに「置かれる」前に、奉仕種族たちにいくつかルールを課した。

理由? 単純だ。こいつらが勝手にやらかすと面倒だし、ブルアカ好きの俺としてはあんまりこの世界を神話で汚したくない。あと、生徒たちに変なトラウマ作らせたくないってのもある。可愛い女の子を曇らせる趣味は俺には無いのだ。

 

まず、簡単にこの世界の説明から。要点だけ端的にいく。

 

 

 

キヴォトス――数千の学園が集まってできた、でかいでかい学園都市だ。

学園ごとにほぼ一国みたいなもんで、各学園が独自の文化とルールを持っている。全体を統べるのは『連邦生徒会』。なんか堅苦しく聞こえるけど、要は自治連合みたいなものだ。面倒な役所仕事を生徒会がやってると考えればいい。原作では仕事で忙殺されてるイメージがあるな、リンちゃん頑張って。

 

 

ここの住人のカテゴリはだいたい三つに分かれる。

生徒、ロボット、動物だ。

で、生徒は――ほぼ全員女の子で、とにかく可愛い。いや冗談抜きで最高だ。視界の占有率が高い。これは本当に重要な作業効率向上要素だ。なんならこれが理由でキヴォトスに来たまである

 

 

 

で、俺が奉仕種族たちに課したルールは三つだけ。簡潔で無駄がない。

 

1. 生徒を傷つけるな(最低限の自衛はOK)

→ 文字通りだ。学園が舞台なんだから、生徒がトラウマになるようなことは極力起こさない。まあ「最低限の自衛」は認めてる。奴らも自分の身は守らなきゃならんしな。だが、攻撃的に振る舞う口実は与えん。特にロウドにはキツイ条件を与えておいた。

 

2. 下手に精神を引っ掻き回し真似するな

→ 精神汚染とかそういうの、やめろ。好奇心で軽く実験して人の心壊したら面倒だし。演出で「お前、何してんの?」ってなるのは可だが、恒常的な植え付けや模倣行為は許さん。無意味な曇らせとか要らんからな。ベルゼブブにはキツく言ってある

 

3. もし他の神話生物を見つけたら殺せ

→ ここが一番刺々しい条項だ。要は“神話生物を放置しない”ってこと。理由は単純で、神話生物は放っておくと学園の空気を壊す。迷惑は最大限排除する。だがこれは「見つけたら」だ。学園内での突発的接触は避ける。見つけたら即対処。速やかに。静かに。消して終わらせろ。言葉は悪いが、これが最も合理的だ。

 

 

厳しいって思うか?

だが何処の世界に行こうが神話生物はゴミ、それは変わらない。例え奉仕種族だろうがあくまで契約をしているだけで俺の意図を完璧に汲み取る訳じゃ無い。だからルールでガチガチに縛る。ハナから余計な事をさせない。それがキヴォトスに来る上でのルールだ

 

 

だが――俺も情が無い訳じゃ無い。オタクの端くれとして、アイツらは、学園で“青春の日常”を少しでも楽しんで欲しい。

ユウゴがパソコンの前で満足そうに触手を弄って、ブレージュが紅茶を淹れて、ベルゼブブがぶりっ子メイドみたいに皿洗いして、エイがそれを手伝って――そんな光景を想像、多少のルール違反も許したくなる。だが境界線は引いておく。線を越えたら、容赦無く殺す。

 

まとめると、キヴォトスは楽園にもなり得るし、地獄にもなり得る。

だから俺は「部外者」としてここにいる。神話生物を消し、学園の喧騒を眺めて――そして時々、誰かの可愛い笑顔に目尻を下げる。その過程で神秘を手に入れる?目覚め?事が出来ればそれでいい

 

 

 

「あの、アイン様。思い出にふけるのは良いのですが……その……後ろ」

 

「え?」

 

ユウゴの視線の先を振り返ると、背後に強烈な光の柱が立ち上っていた。

次の瞬間、アリスの叫び声が聞こえた。

 

 

 

 

「光よッ!!」

 

 

 

 

――ドガァァァン!!

 

 

 

 

「ぎゃああああああああああ!!!!!」

 

天井が綺麗に吹き飛んだ。

いや、もはや芸術的な穴。何これ、こんなの撃ってたのこの子?

 

「あ、待って天井が落ちてきた!」

「アイン様あんまり破壊しないでくださいねー!」

「まずは主人の安否を心配しろや」

「部費もバカにならないんですよ!?」

「お前エンジン部に染まるの早くね?」

 

砂煙の中で、頭を抱えながらため息をついた。

 

(はぁ...アイツらに会うのが面倒くさくなってきた)

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