なろう系と呼ぶには、冒涜的すぎる   作:おさわHSM

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投稿期間が開きすぎて文章の書き方忘れたので最終回です


二十話・お前それでも神か?

「つまり、その“神話生物”?の気配を追ってきたってわけね」

 

 

 

説明を終えた頃には、銃を構えていた便利屋の面々もようやく落ち着きを取り戻していた。

瓦礫の上に腰を下ろし俺の前で、カヨコが腕を組みながら小さくため息をつく。

 

 

「そういうこと。まぁ、厳密には“神性”だな。格が高いと特殊なオーラみたいなのを纏うんだ」

 

「で、その気配がこの建物からしたと」

 

 

 

 

自分で言っておいてなんだが説明になってるのかこれ。怪しげな霊能力者とかそんな感じに思われてないかこれ

 

 

 

 

「……結果的に、コイツだったけど」

 

 

 

 

視線の先で、バーストがにゃあと小さく鳴く。

 

 

 

 

「くふふ、カヨコちゃんが拾ってきた猫がまさか神様だったとはね♪」

 

「凄い人馴れしてたから、ただの猫じゃないと思ってけど...」

 

「私はただの猫だよ〜。ちょっと特殊なだけ」

 

 

 

 

バーストが静かに言い返す。柔らかい声が、妙に耳触りが良い。

 

 

 

少しの苛立ちを感じながらコイツを指さす。

 

 

 

 

「まぁコイツを飼うのは辞めといた方が良いぞ。厄ネタの塊だし」

 

 

 

 

その瞬間、バーストの尻尾がピシッとアインの頬を叩いた。

 

 

 

 

「いってぇ!? 何すんだお前!」

 

「私からここを取る気!?」

 

 

 

バーストはぷんぷんしながら、しっぽを優雅に揺らす。

 

 

「ふざけんなお前神話生物なんざ厄ネタだろ!つか神話生物と生徒は馴染めねぇだろ!?」

 

「カヨコからご飯は貰えるし、アルは面白いし、ムツキのイタズラは見てて飽きないし、ハルカの育ててる草で遊べるし!」

 

 

 

「しっかり馴染んでんなぁお前! 本当に神格!? それでも神か!?」

 

「神ですが? ここの環境、快適ですし?」

 

「便利屋68をペットハウスかなんかと勘違いしてねぇか!?」

 

「だって、あのクソみたいな世界より穏やかですし。誰も叫ばないし、血も飛ばないし」

 

「当たり前だろ! ここキヴォトスなんだから!」

 

「……あ、でもムツキの爆弾はちょっとだけ血が出るかも」

 

「フォローになってねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにね、アルたち、優しいのよ? “猫用のベッド”まで買ってくれたの」

 

「……なにそれ、俺が神話生物と戦ってる間にお前だけ猫ライフ満喫してたの?」

 

「神でも癒しは必要なの」

 

「それ与える側なんだわ恋と豊穣の女神だろお前!!」

 

 

 

 

 

 

便利屋の面々がそのやり取りを見て、こそこそと顔を見合わせる。

 

 

 

 

「……ねぇ社長、あの二人、ほんとに敵対関係だったんだよね?」

「た、多分……でも、なんか仲良くなってるような……?」

 

 

 

頭が痛くなってきた。本来交わっては行けない神話とガッツリ関わって居る現状に目眩がする。

 

 

バースト──バステトは本来エジプトの神だ。アビドスに居るならまだしも便利屋と行動しているなんて想定外も想定外。原作の一章で関わりが完全に無いかと言われれば違うが...

 

 

これが旧支配者含め"クトゥルフ神話"の神格じゃ無いだけマシと思う事にしよう。

 

 

「はぁ...もういい。異状が無いなら行くわ」

 

「待ちなよ。せめて修繕費は払ってよ。私のベット破壊したんだから」

 

「はいはい。金な」

 

 

ポケットを叩く。

……からん、って音すらしない。

 

 

「…………」

 

 

 

(あれ?)

 

 

 

 

もう一度叩く。何も出ない。ズボンのポケット、コートの内ポケット、ベルト裏――全部空。

どこにもない。

 

 

 

(…………あ、やべ。この世界の金持ってねぇ!)

 

 

 

顔面が引きつる。

アルが小首を傾げた。

 

 

「……どうしたの?」

 

「いや、その……財布を家に忘れた」

 

「へぇ。どこの家?」

 

「……(黙れバーストお前知ってんだろ)」

 

「はぁ……先生からお金貰えばいいじゃん」

 

「バカ野郎お前先生に迷惑かけられんだろ!」

 

「ぶっ壊したのはアンタでしょ」

 

「ぐぎぎ...」

 

 

 

 

ぐうの音も出ない正論。言い返す言葉も見つからない

 

 

 

「昔から神話生物見たらすぐ興奮するんだから、今回はアンタの悪癖が仇となったね」

 

 

 

今すぐにでも先生に連絡するべきだろうか。多分、先生は許してくれる。注意はされるだろうが金銭を要求したりしないし反省として何か対価を要求したり責任を求めたりもしないだろう。

 

 

恐らく目の前にいる便利屋もそうだ。この子達の根は善性寄りであり、本気で謝ればお咎めなしの可能性もある

 

 

だから嫌だった。原作の知識を、この子達の善性を利用してるみたいで

 

 

「...便利屋。一ヶ月だけ待ってくれないか?必ず金は用意する」

 

「え?む、無一文なのよね?いいのよ?無理しなくて」

 

 

 

哀れみの目を向けられる。本当に優しいな陸八魔アル、絶対アウトロー向いてないよ

 

 

「宛はあるの?私達も弁償して欲しいけど先生に迷惑は掛けたくないの」

 

「シャーレには民間企業からも色々依頼が来る。それを解決すれば金は貯まるはずだ」

 

「でもここ結構掛かったよ〜?アルちゃんが事務所は豪華にしたいって奮発したからね♪」

 

「幾らだっけ」

 

「え〜っと〜。ざっと700万ぐらい?」

 

「分かった。700万な」

 

「ちょっとムツキ?!」

 

「社長は一回静かに」

 

 

 

 

目を見たらわかる、吹っ掛けられてる事ぐらい。

 

 

多分この二人は、支払い能力では無く俺の誠意を見てるんだろう。シャーレに所属している、先生と同じ男で部長の俺。いきなり住居を破壊されては信頼度は地の底どころか奈落の底だろう

 

 

 

 

「振込はどうする?現金で手渡しって訳にも行かないだろ?」

 

「口座は先生経由で伝えるね〜」

 

「分かった。他に確認する事は?」

 

「私は無〜し」

 

「私も」

 

「え、えっと」

 

 

 

アルが何か言おうとしている。多分、助け舟を出してくれようとしているんだろう。

 

 

 

「無いってよ。頑張ってねアイン〜」

 

「おう、お前マジで変なことするなよ」

 

「しないよー。急に部屋も破壊しないし」

 

「こんの... 」

 

 

 

 

 

────────────────────────

「さて、どうすっかぁ」

 

 

キヴォトスに来てさっそくやらかした

 

 

「はぁ...便利屋も好きだからこんな関わり方したくなかったなぁ」

 

 

 

 

 

便利屋68。キヴォトスにおいてかなり珍しい学区外を活動拠点にしている生徒でゲヘナに所属しているものの非公認で会社を立ち上げて指名手配されている集団だ。

 

だが会社と言うには余りにも稚拙でよく依頼金を踏み倒されている、ちょっと残念な人達。

 

 

中でもリーダーであり社長の陸八魔アルは善性が大きすぎる。悪意塗れるブラックマーケットや大人相手にあの子は余りにも無垢である。

 

 

だがカヨコやムツキはそれをフォローするように、ハルカは武力面でアルの役に立っている。

 

 

俺がブルアカを始めた理由の一つである彼女達とは是非仲良くしたかったが...

 

 

「はぁ...この悪癖直さなきゃなぁ」

 

 

後悔を抱えながら、シャーレに戻る

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