個性『黒ガヴ』   作:バイトアルバイトアル

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プロローグ

 

 俺には、人生の記憶って奴が全くないんだ。自分が何者なのか、何処から来たのか、どんな人間だったのか、家族は居たのか、どうなのか……何も知らない、覚えてない。

 

 戸籍は持ってるし、『シュウヤ』って名前もある…………けど、俺の存在をこの世に示す物はその二つしかない。

 

 俺が俺って言う存在を認識できたのは、とある暗い部屋の中ソファの上に寝ていた時だ……その時の俺は中学生に上る前だったかな?そこはとある家の中で、ある人が俺を拾ってくて解放してくれていたんだ。

 

 俺を拾ってくれた人によると、俺はとあるヴィランの起こした誘拐事件に巻き込まれて、幼い頃からずっと幽閉されていたらしい、そこを救ってくれたヒーローから僕の事を引き取ったみたいだ……けど、その間の記憶が全く無いんだ。

 

 その事を話したら「きっとショックで記憶を失ったんだろうね。」って言ってきた。あんまり納得できなかったけど…………ほんの僅かに、かすれた記憶もあった……科学者のような人が嬉しそうな顔で俺の事を見ていた。

 

 俺はその間何かのケース……と言うかポッドの中に入っていいたのを、微かに覚えてる。それがどんな場所だったのかはイマイチ覚えてないけれど。

 

 そらに、今信じられるのはこの人の言ってる事だけだから、信じてみることにした。

 

 それから、その人は俺の面倒を色々と見てくれた……学校に通わせてくれたりもしたし、俺の夢を肯定して後押ししてくれた……俺の、ヒーローになりたいって夢も。一緒に叶えようって言ってくれた。

 

 俺のことを何処までも気にかけて、何処までも俺と一緒に色々やってくれようとあくせくするその姿に……俺はもう、怪しいなんて感情は持たなくなっていた。きっと、この人は信じられる人なんだって……そう思えたんだ。

 

 

 

 

 

 

 ある朝の日、朝食のサンドイッチを食べ終えた俺はそのまま手にしたコーラ味のグミを一口食べる。やっぱりお菓子は美味しいな……一日を頑張る活力になるよ。

 

「もぐっ……うん、美味い!」

 

 すると、俺のお腹の『黒い口』……そこから一匹の四角い謎の生物が飛び出してくる。その生き物は勢いよく飛び出して机の上に飛び乗ると、慌ただしくこちらを向いて大きく口を開けてくる。

 

「バイトグミ〜!バイトグミ〜!」

 

 この子の名前はゴチゾウ……俺の『個性』で生み出せる眷属だ。あっ、個性って言うのはこの世界の多くの人間が持ってる特殊能力の事だよ!ヒーローっていうのも、その個性を使って悪い事をするヴィランを懲らしめる仕事なんだ!

 

 俺の個性は……このお腹にあるもう一つの口!ガヴって言う器官なんだってさ、普通の人間にはないらしい…………俺は見た目通り『黒ガヴ』って呼んでる。

 

 お菓子を食べるとこっからこのゴチゾウって眷属を呼び出せるんだ!……もう何個か秘密もあるけど、それはまた今度教えるねぇ。

 

「よし、それじゃ今日はよろしくね。」

「バイトグミ!バイトグミ!」

 

 そう言って俺は生み出したゴチゾウ……スパーキングミゴチゾウをポケットに仕舞う……色々なゴチゾウをポケットに仕舞ってるからかちょっと重さを感じる。

 

「ふぅ、鞄の中に入ってもらうと思ってたんだけどなあ……皆俺の側がいいみたいだ。」

 

 ……自分で言っておいてあれだけど、俺がすごいナルシストみたいじゃないこれ?まぁ、良いかなあ〜。さて、お次はクッキーとスナックを〜〜

 

 そう思いながら俺がお菓子に手を伸ばそうとすると、ガタッという音と共に俺の後ろに気配が現れる……その気配の主は、軽く溜息をついて俺に語りかけた。

 

「ねぇシュウヤ君シュウヤ君、君そろそろ時間じゃないの?」

 

 俺が振り向くと、そこにいたのは白衣を着た眼鏡の茶髪くせっ毛のおじさ……お兄さんだった。この人が僕を拾って育ててくれた恩人。僕の個性を把握するためにいろいろ手伝ってくれたり、学校に行くのを色々と用意してくれた人なんだ。

 

 ……ット、説明してる場合じゃないな……俺は今日大事な試験日って奴なんだ!

 

 雄英高等学校……数々のプロヒーローを輩出してきた有名校……ヒーローを目指したいって俺の言葉に、この人がお勧めしてくれた場所でもある。

 

 「どうせ学ぶなら最高峰にしときな。」ってね、そのための勉強も教わったし、あとはやれることもやるだけ……それがお菓子を食べるのに夢中で遅刻なんて笑えやしない。

 

「アハハ……そうだった。」

「しっかりしてくれよ〜未来の雄英生。」

「気が早いよ!」

 

 なぁんでそんな合格を確信してんのさ……まだ始まってすらないのに。

 

「早くなんかないさ、君の実力なら十分通用するさ。必ずね……」

 

 そう言って彼は机の上においておいたコーヒーを一口……すると、腕に身に着けた時計を見て、トントンと突く。

 

「ほらほら、支度はできてるんだから。早く行きな。」

「はいはーい!」

 

 そう言って俺は最後の荷物確認だ、書類や筆記用具、ゴチゾウ達も確認……服もちゃんと()()()()()()開けられる仕様!よし、完璧だ!

 

 俺は最後の身支度の確認を終えて玄関まで駆け出すと、扉を開けていってきますの挨拶をする。

 

「それじゃあ行ってくるよ!!()()()()!!」

「はいね。それじゃあ気をつけて〜」

 

 俺の恩人であり、親代わりであり、師匠代わりである……そんな人、須賀さん。彼といると心があったかくなる。信頼できる、信じられる。そう思える存在だ。

 

 




おい!?あんな奴の言う事を信じるのか!?酸賀だぞ!?
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