「うん? ここ何処?」
目を開けたら、なぜか見覚えのない厳かな神社の境内に立っていた。とりあえず状況を把握しようと庭にお邪魔すると、目の前に一人の美しい巫女服の女性が現れる。
「あのー、すいません。ここは何処ですか?」
そう尋ねると、彼女は申し訳なさそうに両手を合わせた。
「こんにちは。私は日本の神をしています。実は、こちらの事故で貴方は亡くなられました。誠に申し訳ございません」
うん? 話通じてない? って言うか今なんて言いました?
「俺の死の原因が、神様のあなたのミス……」
神様の言葉を頭の中で反芻してそう呟くと、神様は小さく
「はい……」
と消え入るような声で返事をした。その後、今後どうすればいいのかと聞くと、神様は罪滅ぼしを兼ねて異世界への転生を勧めてきた(ぶっちゃけ強制だった)。
送られる世界に関して説明を受けると、どうやらアニメ『機動戦士ガンダムSEED』の世界らしい。
ガンダム好きとしては嬉しいのやら、命を落とした身としては悲しいのやら、もう感情の整理が追いつかない。ただ、神様も流石に申し訳ないと思ったのか、特典として色々と軍事力を貰えることになった。
その特典内容がこれである。
【艦艇・拠点】
マゼラン級一等宇宙戦艦:40隻
サラミス改級宇宙巡洋艦:200隻
コロンブス級宇宙輸送艦:20隻
クラップ級宇宙巡洋艦:30隻
ルナツー宇宙要塞:1基
【人員】自立型アンドロイド:多数強化戦闘型アンドロイド:多数
【モビルスーツ(MS)】ジェガンD型リゼルロトジムⅢ
うーん、見事に私が好きな宇宙世紀(UC)の後期量産機ばかりである。最高かよ。でも、冷静に考えて数多くない? あとサラリと「ルナツー」って書いてあるけど宇宙要塞ごとくれるの!?転生先での配置場所は、どうやら都合よく身を隠せる「暗礁宙域」らしい。
しかし、ここで残念かつ致命的な問題がある。それは、ここが ガ ン ダ ム S E E D の世界である事だ。
この世の地獄と狂気の塊ですねぇ、どうもありがとうございました。と言うかルナツーって宇宙世紀基準の核ミサイルの宝庫やんけ!核に過剰反応するブルーコスモス(ブルコス)にだけは、絶対にこの要塞の存在を悟られないようにしよう。あー怖い怖い、プルプル。
◇と言う事で、本当に送られて来ましたガンダムSEEDの世界。神様に聞いた感じだと、原作の本編はまだ始まっていないようだ。
で、ここに来てさらに大問題が発覚した。
初期戦力のリストの中に、1機だけ明らかに問題がある機体が紛れ込んでいるのだ。――『ユニコーンガンダム』。
どうやらコイツ、時空の歪みか何かで偶然にもこの世界に迷い込んでしまったと、直前に神様に教えてもらった。
おい神様、ザフトと地球連合、そしてオーブのどこの陣営にも絶対に渡してはいけない超危険物を、私のエリアの近くに送り付けないで頼むから!もしあの白い一角獣が『NT-D』を発動してサイコ・フィールドなんて展開したら、この世界のバランスが文字通り崩壊する。
まあ、今後の最優先目標としては「奴(ユニコーン)の捕縛・保護」かな。
流石に何処にもあれは渡せない代物だからね。ひとまずは、来たるべき本編に向けて戦力増強だ。どんな感じに工場の生産ラインを割り当てますかね。やっぱり、これからの戦いを見据えてクラップ級とサラミス改級は増産だな。サラミス改級は1隻にMSを4機も詰め込めるから本当に優秀よな。MSに関しては、主力となるジェガンD型は多めに作る。リゼルは……可変機でコストがかかるから、まあ気持ち多めで。ロトは拠点強襲時に使うけど、特殊用途だから少なめにしておこう。
ジムⅢは初期在庫が結構あるから、当面は武器の製造だけで良いかな。生産ラインの整理もできたし、次は何をしよう。と言う事で、私は自分専用機として、
大好きな『試作アッシマーTR-3[キハール]』を用意してもらいました!
可愛い、強い、うん、間違いないぜ! アタイったらサイキョーね!
(⑨)いやぁ、この丸っこい愛機で宇宙を駆け抜けたいぜ。はぁ、それにしてもこれからマジで大変やぁ。ユニコーンシリーズを捕まえないとなぁ、どうしよう……。
◇どうも皆さんこんにちは、このお話の主人公です。今、私は暗礁宙域で自機(キハール)のテスト飛行を行っています。「キハール、やっぱいい機体やわぁ……」コンソールに並ぶ数値を眺めながら悦に浸る。ビーム兵器は宇宙世紀のチート技術「Iフィールド」で完全に防ぎ、実弾に対しては神様がこの世界仕様に調整してくれた「PS(フェイズシフト)装甲」とか言うやべーので弾く。まさに鉄壁。あと、MS繋がりの話だと、アンドロイドたちが稼働する工場での量産型MSの製造は順調ですね。そろそろ前線の機体交換の時期だ。
ジェガンシリーズの製造が急ピッチで行われているから、型落ちになるジムⅢは徐々に後方に下げようかな。そんな平和な妄想をしていた時、我が軍の偵察ドローンから緊急の映像信号が伝達された。
画面に映し出されたのは、クルーゼ隊のナスカ級駆逐艦『ベザリウス』が、殺気立って出航していく姿だった。どうやら、ついに本編(ヘリオポリス急襲)が始まるらしい。
もうちょっと後でもいいんですよ? アッ、ダメですかハイ。
正直、行きたくない。だって! ユニコーンシリーズに絡むと碌なこと起きないって歴史(宇宙世紀の記憶)が言ってるから!はぁ……でもここで放置すると、100%オーブとかのアタオカ軍団(オーブ解放同盟とか中立を謳うあの一味)の手に渡って、あいつら「ユニコーン軍団」とか結成しかねんからな。
それだけはマジで阻止せんとアカンからなぁ!!派遣したくは無いが、背に腹は代えられない。こちらからも艦隊を派遣するとしよう。
【ヘリオポリス突入艦隊】クラップ級宇宙巡洋艦:1隻(旗艦)サラミス改級宇宙巡洋艦:4隻コロンブス級宇宙輸送艦:20隻【搭載MS】リゼルジムⅢロトとまあ、中立コロニーに乗り込むには大所帯すぎる戦力で、ヘリオポリスに殴りこみに行く。
そのため、コロンブス級には支援物資やコロニー修復資材をパンパンに詰めておいた。これだけ物資があれば、ザフトと連合がバチバチにやり合ってコロニーを吹き飛ばしても、すぐに救助して補修できるから問題ない無いな! やったぜ!(頭ブルコス)
「全艦、微速前進。目標、資源衛星ヘリオポリス。歴史の特等席へ割り込むぞ!」
私はキハールのスロットルを押し込み、クラップ級のカタパルトへと滑り込んだ。宇宙世紀の物量と、SEED世界の狂気。その二つが交わる戦場へ、いざ出陣である。