白兎が黄金裔とともに英雄になるのは間違っているだろうか?   作:猪のような

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やってみたいなと思ってやったけど設定のあれこれ合わせる段階でクソキツかったわこれ。なんなら完成した今でもあんま自信無いわ。作者は黄金裔の皆がダンまち世界にいたら面白そうだなって思って書いただけなんです…だから温かい目で見守って…!


第一話 神々に問う、神性とは何か?

 

 

 

──旧き時代、世界は混沌と化していた。大地には魔物が跋扈し、人類は追いやられ、絶望が人々を包んでいた。

 

しかし、始まりの英雄(アルゴノゥト)の登場により人類は反撃の狼煙を上げた。それと同時に、その背を押すように世界に十二柱の神々(タイタン)が降臨した。

 

創生の三タイタン

【世を背負う】ケファレ

【理性】のサーシス

【浪漫】のモネータ

運命の三タイタン

【門と道】のヤーヌス

【法】のタレンタム

【歳月】のオロニクス

支柱の三タイタン

【大地】のジョーリア

【海洋】のファジェイナ

【天空】のエーグル

災厄の三タイタン

【詭術】のザグレウス

【紛争】のニカドリー

【死】のタナトス

 

タイタン達は大なり小なり人類の味方として共に魔物を討ち倒し。人々はタイタンを信仰するようになった。

 

しかし、時代が流れると、ある歴史的な出来事が世界を震撼させた。タイタン以外の神々の降臨である。新たな神々の出現により、真の神々はどちらなのか、タイタンとはなんなのか…という疑問が浮かびあがった。

 

更に時代は流れると、再び世界を震撼させることがあった。ケファレの逝去である。ケファレは最後に神託を残した。

 

『黄金の血が流れる十二人の英雄に火種を受け継がせよ。さすれば、世界は救われる』

 

神託が本当かは分からない。しかし、最初の半神、運命の聖女トリスビアスの献身により、火種を集める『火追いの旅』は正式に始まり、黄金の血を持つ者達を世界は黄金裔と呼んだ。そしてゼウスとヘラの二大派閥による、救世への三大クエスト。ベヒーモス、リヴァイアサン、黒竜の3体の討伐。大地の半神、荒笛はベヒーモス…海の半神、セイレンスはリヴァイアサンの討伐において多大な貢献をした。しかし黒竜討伐は失敗し、ゼウスとヘラの派閥は崩壊。更には暗黒期が訪れ、闇派閥により多くの黄金裔の命が失われ、火追いの旅は未だに続いている。

 

黒竜は北の果て、竜の谷に封印されている。しかし封印の綻びからは竜と暗黒の潮が溢れ出し、紛争のニカドリーは多くの眷属と共に、今もそれに抗っている。かつての大英雄。そしてゼウスとヘラですら成し遂げられなかった偉業により、人々は信じるようになった。黄金の血を持つ英雄達。そしてタイタン達に変わる新たな存在、半神こそが、世界を救う偉業を成す者達なのだと。

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ…」

 

白い髪に真紅の瞳の少年。彼はベル・クラネル。英雄志望、ハーレム願望持ちの純粋な彼は、幼き頃から育ててくれた祖父を失い、天涯孤独になり、故郷である村を出て迷宮都市オラリオへとやってきた。冒険者となる為に、様々なファミリアの門を叩いたが…

 

「門前払いされちゃった…」

 

結果としては全て失敗。弱そうな見た目を理由に拒否されたり、可愛らしい顔立ちを理由に変に狙われそうになったり、散々である。『ぐうぅ〜〜…』とお腹が鳴り、そういえばご飯を食べていなかったなと懐を漁るが、ポケットに僅かにヴァリスがあるのみ。

 

「どうしよう…このままじゃ…」

 

途方に暮れ、路地裏から黄昏るように空を見上げる。すると何やら香ばしい匂いがした瞬間、顔の横に何かが差し出され…

 

「食べる?じゃが丸くんソーダ豆乳味」

 

「えっ?うわっ!?」

 

突然声をかけられてビックリしたベルは思わず倒れて尻餅をついてしまう。いてて…痛みに僅かに悶えながら顔を上げると、そこには長身で、灰色の髪に黄色の瞳を持つクールな美少女がいた。

 

「あ、貴女は…?」

 

美人に声をかけられて、僅かに照れながら問いかけるベル。すると少女はフッと笑い、腰に手を当てて胸を張り、堂々とした態度で口を開くと…

 

「私は、銀河打者!!」

 

と、大声で叫んだ。声が壁に反響して響いた後、静寂が訪れた。フフン!と得意げに笑う銀河打者を名乗る少女に対してベルは…

 

「──えっ?」

 

という呆気に取られた声しか出せなかった…

 

「何その反応。あの銀河打者だよ?もっと驚くでしょ」

 

「ぎ、銀河…?打者…?」(こ、この人は一体何を言っているんだ…!?)

 

「それよりさ、この辺りに面白いゴミとか落ちてなかった?あったら教えて、このじゃが丸くんソーダ豆乳味と交換してあげるから」

 

「面白いゴミ!?ソーダ豆乳味!?」

 

見た目からの第一印象が口を開く度に崩れていく。ベルは困惑していると銀河打者の後ろから「お〜い、相棒〜!」と彼女を呼びかける声が聞こえてきて、白髪の青年と桃色髪の少女が現れる。

 

「あ、ファイノンキュレネ

 

「いきなり『ゴミキングが私を呼んでる!』とか言って走り出すから何事かと思ったよ…ってあれ?その子は?」

 

「もしかして、この子がゴミキングかしら?なんだか兎みたいな見た目ね♪」

 

「えっ違います!ゴミキング…?とかいうのじゃありません!」

 

「あら、そうなの?」

 

「うん。なんかお腹空かせて困ってそうだから声かけただけ」

 

「もしかして、そのじゃが丸くんをあげるつもりだったのかい?ソーダ豆乳味は人を選ぶからもっと別の味の方がいいと思うけど…」

 

「じゃあ、これは?ニトロフューエル味」

 

「よし分かった相棒。そのじゃが丸くんをあげるのはやめよう」

 

ベルの前で話す三人。ベルはその内の一人であるファイノンに視線を向けていた。ファイノンは背が高く、服越しでも鍛えているのが容易に分かる。

 

(冒険者なのかな…?じゃあ、他の二人も…?)

 

「っと、置き去りにしてすまないね。僕はエリュシオンのファイノン」

 

「私はキュレネ。名前には『過去のさざなみ』って意味があるの。よろしくね♪」

 

「そして私は銀河打者!!」

 

「彼女は星って言うの。いつもこんな感じだから気にしないであげてね♪」

 

「あ、はい……(いつもこんな感じなんだ)……ぼ、僕はベル・クラネルって言います!よろしくお願いします!」

 

「ああ、よろしく。それでベルはここで何をしていたんだい?相棒の話だと困ってたみたいだけど…」

 

「えっいや…!皆さんに態々話すような事じゃ…!」

 

「あら、そんな事言わなくていいわよ?ここで会ったのも何かの縁。運命の出会いってものかもしれないわ♪私達も丁度暇してたし」

 

「け、けど…」

 

「安心して♪私、人の話を聞くのは得意な方よ。だから遠慮せずに言って頂戴」

 

ベルはキュレネの表情を見てやがて意を決して口を開こうとした瞬間…

 

ぐぅぅぅぅぅ…!

 

と盛大にお腹が鳴り、ベルは固まったまま表情がどんどん赤くなっていき、思わず三人は堪え切れずにふふっと笑ってしまう。

 

「す、すすすみません…!」

 

「いや、こっちもごめん。そうだった。お腹が空いてたんだったね…近くにあるお店でご飯を食べながら話そうか」

 

「そうね。丁度お昼時だし、私達もまだ…」

 

するとファイノンとキュレネが星の方を見ると、星はじゃが丸くんのソーダ豆乳味やニトロフューエル味をパクパクと食べている。

 

「モグモグ……ゴクリ…食べる?」

 

「お気持ちだけいただくわね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当にいいんですか?奢ってもらっちゃって…」

 

「これくらい構わないよ。それで何か困っているんだろう?よければ聞かせて欲しいな」

 

「……えっと、僕冒険者になりたくて…」

 

ベルは様々な探索系ファミリアを訪ねたが、見た目を理由に門前払いされた事を三人に話した。

 

「見た目を理由に追い返すなんて…【勇者(ブレイバー)】やカイザーの前でも同じことを言えるのかしら?」

 

「見た目詐欺なんてオラリオじゃ数えきれないほどいるからね」

 

「まぁまぁ…けどベル。どうしてそこまで冒険者になりたいんだい?知っての通り、冒険者というのは命懸けだ。生半可な覚悟じゃ偉業なんて成し遂げられず、多くの人が命を落とす。それでも君には諦められない理由があるのかい?」

 

そう問いかけるファイノンの声は、穏やかでありながらもどこか真剣だった。キュレネはベルの答えを待つように微笑み、星はじゃが丸くんを口にしつつ耳を傾ける。

 

「僕は……」

 

何かを言おうとしたところで、ベルは口を閉じてしまう。いいのだろうか、この三人に理由を話しても。と……しかし、三人の表情を見てベルは意を決して話し出す。

 

「僕、英雄譚が好きなんです。小さい頃からお祖父ちゃんが色々読み聞かせてくれて…」

 

「まぁ!素敵ね、私も英雄譚は大好きよ」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、キュレネは物語には目がなくてね。しょっちゅう子供達に読み聞かせをしてあげるほどさ。それで、ベルはもしかして英雄譚に出て来る英雄に憧れたのかい?」

 

「はい!剣を掲げて、強いモンスターに正面から立ち向かったり…人を助けたり、誰かを笑顔にしたり…そんな物語に登場する英雄達に僕、憧れたんです。それでお祖父ちゃんが亡くなる前に、英雄になる覚悟があるなら、オラリオに行けって…」

 

「なるほどね…相棒はどう思う?」

 

「いいんじゃない?そういう純粋な憧れって、今の冒険者じゃ逆に珍しいし…多分だけどこの子は嘘を吐ける子じゃないと思う」

 

「キュレネは…」

 

「私も彼女と同意見よ。何より、趣味が同じところが気に入ったわ♪ヘスティア様とも仲良くなれそう」

 

「あ、あの…皆さん…?」

 

「ああ、ごめんねベル。君の決意は僕も理解したよ、それでなんだけど…よければ僕達のファミリアに来ないかい?」

 

「えっ、いいんですかっ!?あっ、す、すみません…!」

 

突然の棚ぼたにベルは思わず身を乗り出して大声を出してしまう。直ぐに謝るとファイノンが軽く苦笑しながら「こっちも急にごめん」と告げて続ける。

 

「僕達のファミリアは結構大きいところなんだけど、カイザー…ファミリアの団長がもっと戦力を欲していてね、良さそうな人材を見つけたらスカウトするように言われているんだ」

 

「け、けど!僕色んなファミリアから門前払いされてるのに…!」

 

「見た目を理由に選んでたらカイザーはきっとお怒りになるだろうね。それに相棒が言ってただろう?見た目詐欺なんてオラリオには数え切れないほどいるって。僕達は、君ならファミリアの良き一員になれると、この会話をする中で確信したんだ」

 

「キュレネを見てよ。こんな小さなか弱そうな女の子だけど、この子はレベル4の第二級冒険者なんだから」

 

「えっ、そうなんですかっ!?」

 

「そうよ?因みにこの子もレベル4。ファイノンはレベル6の第一級冒険者なんだから」

 

「ええぇっ!?」

 

「あはは。そんなに驚いてくれるとは思わなかったな!それでベル、返事を聞かせてもらえるかい?」

 

ファイノンからの問いかけ。二度とは来ないかも、いや絶対に来ないであろう絶好の機会。ベルは…

 

「はい、行きます!皆さんのファミリアに、行かせてください!」

 

と、笑顔で言った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というか訳で、ようこそベル。僕たちのファミリア…『ヘスティア・ファミリア』のホームである『竈火(かまど)の館』へ」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?」

 

「どうしたの、そんなに驚いて?」

 

「だ、だだだだだだだってヘスティア・ファミリアって…!」

 

ベルは一度ギルドに立ち寄った際、職員から探索系のファミリアについて色々教えてもらい、お勧めのファミリアも聞いた。その際、数多のファミリアの中で最強格に君臨する三つのファミリアについても教えられた。その中で唯一勧められたのは門前払いされたロキ・ファミリアのみ。後の二つは、主神である女神フレイヤを崇拝するヤベー奴らの集まりフレイヤ・ファミリアと…

 

「ヘスティア・ファミリアって、あの構成員がほぼ黄金裔しかいないヘスティア・ファミリアじゃないですか!?」

 

立派で堂々とした巨大な館。広い庭には多数の大地獣や可愛らしいキメラ達がのんびり過ごしており、館の隣にあるこれまた巨大な建物には、多くの一般人が出入りしている。

 

「あははっ!そんなに心配しなくても、カイザーは別に黄金裔じゃないからって君を門前払いしたりしないよ。相棒だって別に黄金裔じゃないしね」

 

「そ、そうなんですか…?」

 

「うん、だから大丈夫だよ。だから早く行こ」

 

「いや、あの、心の準備がっ…!そ、そう言えばあっちの建物はっ?なんだか沢山人がいますけど…」

 

「あれは『雲石の天宮』って言うんだ。一階は大衆浴場で色んなピュエロス(浴槽)が一般開放されていて、それより上の階はファミリア専用のピュエロスがあるんだよ」

 

「私達のファミリアって探索系だけど、結構色んな事をしているの。服屋や食堂なんかもあるわね♪」

 

「そ、そうなんですね…!」

 

やがてベルは三人に連れられ、立派な扉の前に立つ。ファイノンが「ここが執務室だよ」と言い、ベルは固唾を飲むとファイノンが扉をノックする。

 

「───誰だ?」

 

「エリュシオンのファイノン。相棒とキュレネと一緒にカイザーのお眼鏡に適いそうな人を見つけたから連れて来たよ」

 

「ほう…良いだろう、入るんだ」

 

そして扉をゆっくり開けて、ファイノンとキュレネが先に入っていく。ベルは星が後ろから押し入れ、ベルが困惑したまま部屋に入ると、そこには椅子に座り、両肘を机につけてベル達をジッと見る青白い髪の少女。彼女の隣に立つ美しい黒髪のセイレーン。青白い髪の少女と何か話し合っていたのか、机の前に立っている黄金の髪を持つ美女と黒いツインテールの少女、そして本当に小さい赤髪の羽が付いた少女が居た。

 

「皆いるなんて、丁度良かった。彼が僕達三人がこのファミリアの新たな一員として推薦する、ベル・クラネルだよ」

 

「は、初めまして!ベル・クラネルですっ!」(き、綺麗な人ばっかだ…!)

 

「ほう…」

 

青白い少女はベルを少し見つめて、金髪の女性に目配せすると、金髪の女性は僅かに頷いて前に出る。

 

「初めまして、クラネルさん。私はファミリアの「主神のヘスティア様ですよね!お会い出来て光栄です」副団…主神?」

 

「ぷっ…!」

 

星が思いっきり吹き出しそうになり咄嗟に顔を背けながら口元を抑えて震え出し、黒髪のツインテールの少女が「うえっ!?」と驚いた顔をする。

 

「…えっ……と、ベル…どうしてその人がヘスティア様だと?」

 

「えっ…だ、だってこんな綺麗で神々しい人、初めて見ましたから。一目見てこの人がヘスティア様だっ!って思ったんですけど…」

 

「あー……」

 

ファイノンのキュレネは困ったように笑い、青白い少女と黒髪のセイレーンも口元を抑え出し、赤髪の幼女はわなわなと震えるツインテールの少女を見てあわあわし出す。金髪の女性は僅かに顔を歪めながら…

 

「私は、主神ではありません。副団長です…」

 

と告げた。ベルが「……え゛っ…」っと僅かに声を漏らした瞬間、爆発したようにツインテールの少女が前に出て

 

「ボクだよっ!!このファミリアの主神ヘスティアはっ!!ボクなんだぁぁぁぁぁ!!」

 

と、叫んだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「本っっっ当にすみませんでしたっ!!」

 

「もう気にしてないからいいよ……星くんっ!!君はいつまで笑っているんだいっ!?」

 

「あははははっ!ベル、今のは最高だったよ!ベルを連れて来て良かった!」

 

「僕は全然良くありませんよ!?」

 

「素晴らしい余興を見せてもらった。しかし、一目で判断するなら普通この僕を主神として見るべきではないのか?」

 

「ケリュドラくん!君までなんて事言うんだい!」

 

「なぁ剣旗卿、そうは思わないか?」

 

「無視っ!?」

 

「アグライアは浪漫の火種を継いだ半神だ。見た目で判断すれば彼女は客観的に見てヘスティア様やカイザーよりも確かに華やかで美しいからな、一目で判断するなら彼女を主神と思ってしまうのも納得だ」

 

「セイレンス君までっ…!ここにボクの味方はいないのかいっ!?」

 

「だ、大丈夫よヘスティア様!あたち達はちゃんと、貴女が立派な主神だって事を分かっているからね!」

 

「と、トリビー君…!」

 

一気に騒がしくなり、混沌と化したこの状況。するとキュレネがパンッと手を叩いて視線を集める。

 

「はいはい皆!思いがけないハプニングはあったけれど、ベルの緊張もいい感じに解れたと思うし…」

 

「そうか?割と死にそうな顔をしているが」

 

「ベル、そんなに主神を間違えたの気にしてるの?大丈夫だよヘスティア様が女神っぽくないのはいつものことだから」

 

「星くん?どうして今日はそんなズバズバとボクの心に傷を負わせるのかな?」

 

「もうっこれじゃ話が進まないじゃない!取り敢えず皆、自己紹介してあげて!」

 

「じゃあボクから…えっと、主神のヘスティアだよ!色々言われてるけど、このファミリアの主神だから、よろしく!」

 

「私は副団長のアグライアと申します。以後お見知りおきを」

 

「あたち達はトリビー!ファミリアの幹部だよ!よろしくね、ベルちゃん!」

 

「セイレンスだ。同じくファミリアの幹部を務めている」

 

「そしてこの僕が、ファミリアの頂点に君臨するカイザー!団長のケリュドラだ」

 

「よ、よろしくお願いします…!」(と、トリビーちゃんって幹部なの…!?)

 

「さて、ではベル・クラネル。お前は烈日卿ら三人に連れられて僕のファミリアに加入したいという訳だが…流石に無条件でのファミリアへの加入を認める事は出来ない。そこで簡単な試験を受けてもらう」

 

「し、試験ですか…?」(烈日卿って…ファイノンさんの事…?)

 

「そう身構える必要は無い。試験内容は単純なものだ。今から金織卿が幾つか質問をするから、それに答えれば良い。三人の目を疑っている訳では無いが、必要な事だ。お前の入団を許可するかどうかは金織卿に判断してもらう」

 

「わ、分かりました…!」

 

「ファイトだよ、ベル…!」

 

「普通に答えればあんたなら大丈夫!」

 

ファイノンや星からの激励を受けて、ベルはアグライアと向き合うと、アグライアは「では先ず、右手を出していただきますか?」と言い、ベルは言う通りにすると、アグライアも右手を出す。すると指先から金糸が伸びてベルの右手に巻き付く。

 

「な、なんですかこれ?」

 

「突然申し訳ありません。これは私が浪漫の神権を受け継いだ際に手に入れた金糸でして…目の見えない私は金糸を介して目に映るものから映らないものまで様々なものを捉えているのです」

 

「えっ!?」(目が見えないって…それに、さっきセイレンスさんも言ってたけど、浪漫の神権を受け継いだって…!)

 

ベルは黄金裔や火追いの旅に詳しい訳ではないが、祖父から聞いた情報やタイタンは有名な英雄譚には大抵出てくるのである程度の知識は有している為、今のアグライアの言葉で理解した。

 

(アグライアさんは、あの浪漫のモネータの火種を受け継いだ半神なんだ…!)

 

目の前にいる女性は、人であり、神。黄金裔として火種を継いだ半神の一人なのだと。その事実にベルの緊張が高まる中、アグライアが口を開く。

 

「さて、では質問を始めたいと思います…先ず最初に『異邦からの客人よ、あなたは何の為にこの都市を訪れたのですか?』」

 

「えっと…冒険者になる為です!」

 

「ふむ…では『異邦からの客人よ、あなたが冒険者を志す理由は?』」

 

「それは……」

 

ベルは一瞬口に出すのを躊躇いそうになる。しかし、ファイノン達の言葉を思い出して胸を張り、真剣な表情で口を開く。

 

「英雄になる為ですっ!」

 

セイレンスが僅かに目を見開き、ケリュドラも「ほぉ…」と声を漏らす。

 

「───なるほど……では『異邦からの客人よ、何があなたをそうせるのですか?』」

 

「…憧れたから、です…!」

 

「───では最後に『異邦からの客人よ、あなたはこの世界を救うという偉業の為に、一体どれほどのものを差し出せますか?』」

 

「!それは………差し出せるものがあるかは分かりませんけど…僕が持つ、全てを…!」

 

「………質問は終わりです。お疲れ様でした」

 

「は、はいっ…!」

 

アグライアが金糸を解いて考え込む。

 

「それでは金織卿、貴公から見てベル・クラネルはこのファミリアに相応しい存在か否か、答えを出してもらおうか」

 

ケリュドラがそう言うと、アグライアはもう一度ベルの表情を確認してからケリュドラの方を向く。ヘスティアやトリビーが不安そうに見守る中、ゆっくりと口を開いた。

 

「私は、彼のファミリア加入を認めます」

 

「っ!」

 

「ほう?理由は?」

 

「彼は黄金裔でもなければ、冒険者として優れた何かを持つ訳でもないとは感じました。しかし、彼の言葉や心は驚くほどにとても純粋で…何の偽りもありませんでした。もし彼が本当に英雄になった時、火を追う旅や救世への偉業に、大きな貢献をしてくれるに違いありません」

 

「…良いだろう!では、ベル・クラネルは今、この時を持って我らのファミリアの一員とする。異論は無いな?」

 

ケリュドラがその場にいるベル以外の面々の顔を見渡すと、全員が頷く。

 

「そういう事だ、ベル・クラネル。歓迎しようではないか。ようこそ、僕のファミリアへ」

 

「っ〜〜〜!ありがとうございますっ!これからよろしくお願いします!」

 

「やったわねベル!」

 

「おめでとうベル。これで正式に私の後輩だね」

 

「相棒、あんまり意地悪したらダメだよ?それはそれとしておめでとうベル。やっぱり僕達の目に狂いは無かったみたいだね」

 

「おめでとうベルちゃん!これからあたち達と一緒に頑張ろうね!」

 

「歓迎するぜベルくん!ボクも新しい子供が増えてすっごく嬉しいよ!」

 

ベルが皆から祝われていると、セイレンスがアグライアとケリュドラに話しかける。

 

「やっと新しい仲間が増えたな。いつぶりだろうか…ここ最近はずっと入団希望者を追い返していた気がする…」

 

「最後は開拓卿達だったからな。あの頃は暗黒期が終わって直ぐだった。それにしても金織卿、アイツの心はそれほど純粋だったのか?」

 

「ええ。今はまだ原石ですが……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そこまで言うとは、少しは期待出来そ「お〜いケリュドラく〜ん!」カイザーと呼べ駄女神め!」

 

「何だとっ!ボクのどこが駄女神なんだい!?じゃなくて、ベルくんに神の恩恵(ファルナ)を刻んでくるから連れて行ってもいいかい?」

 

「ああ、構わないぞ」

 

「じゃあ行こうかベルくん!」

 

「あ!ヘスティア様、ちょっと待ってちょうだい!」

 

「ん?キュレネくん、どうしたんだい?」

 

「折角だから、祈言でベルにオロニクスから神託を出してもらいましょう。私なりの祝い方よ♪」

 

「お〜良いね!久しぶりの新しい眷属だしやろっか!」

 

ヘスティアがそう言うとキュレネはベルに向けて手を翳す。

 

「『我が呼びかけに答えよ、オロニクス。記憶の幕を取り払い——過去のさざ波を呼び起こせ』」

 

そう言うと、その場に突然何かが囁くような声が響いた。

 

「今の声って…?聞いたこと無い言葉で、何を言ってるのか分かりませんでしたけど…」

 

「今のは歳月のオロニクスだよ。どうやら本当に神託をくれたみたいだね」

 

「えっ、今のが!?僕、タイタンの声なんて初めて聴きました…!」

 

「珍しいな、黄金裔でも無い特定個人への神託などそうそう無いぞ。語部卿、オロニクスは何と言っていた?」

 

「………」

 

「…キュレネ?」

 

「あっ、ごめんなさい!神託よね…ちょっとよく分からないものだったのだけれど…不穏なものじゃないと思うわ」

 

そう言ってキュレネはベルをしっかり見据えて、神託の内容を話した。

 

「『汝はいずれ、魂に刻まれた全ての誓いと約束を果たすだろう』…ですって。どういう事かしら?」

 

「うーん…英雄になる誓いってことじゃないかちら?」

 

「けど全てのって付いてるから。なんか他にあるんじゃない?ベル、心当たりは?ゴミキングになるとか」

 

「えっ、いや、ちょっと思い浮かばないです…」(まさかダンジョンで女の子と出会いたいとかハーレム願望のことじゃないよね…?)

 

「うーん…カイザー。ちょっと机借りるわよ」

 

「は?おい語部卿、勝手に…!」

 

キュレネはカイザーの机の上で何かをするとカードが裏面で机の上に並べられていく。

 

「これって、神託カード占いかい?」

 

「そうよ。ただの占いだけど…ベル、一枚カードを選んでちょうだい」

 

「えっと……じゃあ、これを」

 

ベルが選んだカードを表にすると、そのカードに書かれていたのは…

 

「…()()()ね」

 

「微妙」

 

「グレーちゃん!ズバッと言い過ぎ!」

 

「桃色のウミウシ。何がしたかったんだ?」

 

「占いと合わせればさっきの神託の内容も少しは何か分かるんじゃないかと思ったのだけど…全く分からないわね♪」

 

「寧ろ更に謎が深まってベルくんがちょっと落ち込んじゃったんだけどな…」

 

「道化師…道化師かぁ…英雄が良かったなぁ…」

 

「ただの占いですから、そこまで気にする必要は無いと思いますが…」

 

「そうよベル。それに道化師だって悪いカードじゃないわ!アルゴノゥトは知ってるかしら?」

 

キュレネがそう言うとベルは一輝に表情を明るくして顔を上げる。

 

「知ってます!僕、あの物語が一番好きで…!」

 

「それって人に騙されながらなし崩し的にミノタウロスを倒して英雄になった喜劇の話だっけ?」

 

「ええ、そうよ。タイタンが降臨する前に存在した唯一の英雄…彼は結果的に英雄になっただけで、多くの人は彼を道化師だって言うけれど、私はそうは思わないわ。だって、彼は確かに誰かを笑顔にした、そして偶然にも彼の喜劇から古代の人類は魔物に対して反撃の狼煙を上げ、降臨したタイタン達とともに今の時代の礎を気付いた」

 

「だがアルゴノゥトが道化である事実は変わらないだろう?」

 

「どうかしら…なんとなくだけど、アルゴノゥトは凄く愛に満ち溢れた人なんじゃないかって…トリビー達もよく言ってるじゃない?また明日って…きっとアルゴノゥトは、あの時代の人々に、明日を見せる希望を与えたんじゃないかって、私は思ったわ。それが本当かは分からないけれど…」

 

キュレネはベルの方を見てニッコリ笑う。

 

「私、ベルはそんな英雄になる気がするの。運命に振り回されても、どんな物語も喜劇にしちゃう、誰よりも優しい英雄に…ね♪」

 

これから先の事は、まだ誰にも分からない。けれどもきっと、この先に待っているのは、今までとは違う、ロマンチックな物語…そうでしょ?

 

 

 

 

 




キャラエミュバカ難しい。特にキュレネ、お前やぞ。あー聞こえる聞こえるアイズとの出会いどうすんだよとかリリやヴェルフは?ヘスティアナイフは?とかいう声がめっちゃ聞こえるよ〜…なんとでもなる筈だ!多分!!
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