誰も外を歩かない夜遅くのビル群。人目を惹かない男が一人で歩いている。
予め予定していたかのように電話ボックスへ入る。今時、電話ボックスを使う理由とは?
……ジリリリリリ! ガチャッ!
唐突に電話ボックスへ電話が掛かり、躊躇なく受話器を取る男。
「後ろのビルが見えますか?」
「あれが薬中ビルであっていますか?」
「はい。調査では、十二人の男女が住み着いています」
「多くはないですか?」
「しかも顔役は無傷で誘拐( *´艸`)」
「(*´Д`)」
ガチャリ!
また歩き出した男は、やがて古びた四階建てビル正面玄関へ向かう。
正面玄関からは、青白い顔色の骨女が歩みを進めながら話しかける。
「ご用向きをお伺いします」
「人攫いに来ました」
不意打ちのシャベルフックを骨女の顎へぶつける。お辞儀めいて地面に倒れる。
「やはり女性の相手は嫌ですね……なんだかんだと、保護欲が性欲に勝ります」
倒した骨女をその場へ放置してビルへ踏み入れる。(うつ伏せで顔が横向きになっていたので)
一階はランドリールーム(最新式全自動洗濯機)や自販機が設置されたレクリエーションルーム。
テーブルにはゾンビ人間になってしまった被害者が椅子に座って俯いていたり、床に蹲っていたり……
一人、二人……玄関にいたのも含めて計十人。
襲い掛かってこないのは重畳。私の武運も捨てたモノじゃありませんね。二階、三階、四階……
誰もいない。
であるならば、残る場所は一つだけ……
屋上
「貴女が頭目ですか?」
「王女で通していますの」
「貴女が王女ですか?」
「そうよ」
「攫いに来ました」
「破廉恥なおじ様は嫌いよ」
貯水槽から空手家が飛び降りてきた。女性だ。
……庇護欲が湧かないぐらいには強そうだ。
目が合った瞬間だった。空手女が男の眼前に走り寄る!加速の勢いをハイキックに乗せ側頭部へ。
ダッキングから両腕で突き飛ばす!お互いに一歩半間の空いた距離で向かい合う。
「女に拳骨できないうちはガキだね!」
「部位鍛錬で裸拳の脆さを誤魔化してもねぇ」
空手女の回し蹴りに合わせて一歩踏み込んだ。相打ち狙いの釣鐘蹴りが空手女にクリーンヒット!女は急所攻撃される機会がまずないので、戦闘中のガード経験が少ないのだ。
崩れ落ちる空手女の顔面へサッカーボールキック。決着がついた。
後ろに振り向き王女の元へ近づく。
「どうして邪魔立てするの?苦しみが消える幸福はいけないことじゃないわ」
「王様に謁見したくて」
「見逃して貰えないかしら?」
「お勧めは致しません」
「ありがとうvでもいいの……」
「仰せの儘に」
王女の誘拐を諦めて男は屋上から立ち去る。
此れで“青虫”との縁も切れる。
毎日やるのならば、短めで簡単に