とんでもスキルで異世界放浪メシ【イレギュラーな少年を添えて】 作:一般通過炎竜
えー、先に謝らないといけないことがございます。『鉄の意思』メンバーである魔法使いのラモンさんについてです。
はい、ラモンさんです。決してシモンさんではありません。
2話くらい間違えて書いてました、申し訳ない。だってなんかシモンって顔してる……してない?
「あれが、フェーネン王国の国境…」
「……めちゃくちゃ兵士出てきてるよね?」
「そりゃあなぁ…」
ついにフェーネン王国の国境まで辿り着いたボク達は、遠目から見えている国境警備隊達をどうしたものかと眺めていた。
「とりあえず、俺が先行して説明してこよう」
「大丈夫?」
「あそこには何人か知り合いもいる、任せてくれ」
そう言って、ヴェルナーさんは行ってしまった。
「まぁリーダーなら上手いこと言ってくれるだろ、俺達も進もうぜ」
「そ、そうですね」
ボク達はヴェルナーさんの後を歩きながら追う。できる限りゆっくり目に、ヴェルナーさんが話しを通してくれる事を祈りながら。
そしてボク達はついに国境の眼前まで辿り着いた訳だが、全身甲冑の長槍を持った国境警備隊達に取り囲まれてしまった。
意外なことは、武器を向けられているのにフェルが反応を示さないこと。興味が無いのか、脅威とみなしていないのか。おそらく両方だろう。
ボクがフェルの背中にうつ伏せになりながら兵士達を観察していると、兵士達の中から他の兵士とは少し違う装備のおじさんがボク達の前に躍り出てくる。
「私はフェーネン王国第四騎士団隊長エドガー・ヴォルゴードである。こちらのヴェルナー殿から話は聞いた」
ヴォルゴード……苗字持ちってことは、貴族かそれ相応の権力を持った人間なんだろう。どうでもいいけど、その親の仇を見る様な目でフェルを見ないで欲しいのだが。
「ムコーダ殿、というのはフェンリルの背中に乗っている君かね?」
「あ、ボクじゃなくてこっち」
ボクはムコーダさんを指さした。ムコーダさんは一瞬ビクッと身体を震わせたが、なんとか平静を保っている。
「は、はい。私がムコーダです」
「そのフェンリルと君が従魔契約を行っているというのは、本当かね?」
「はい。私はこのフェンリルと従魔契約を結んでおります」
ムコーダさんがそう言うと、周りの兵士達は一斉にザワつきだした。
「…フェンリルは国一つすら滅ぼしたと逸話が残っている伝説の魔獣だ。本当に、この国や民に危険を犯す様な真似はしないのだね?」
そう言って、兵士長さんはギロリと怖い顔で睨みつけてくる。兵士として、なによりこの国の人間として看過できないんだろう。
「大丈夫、フェルには知性も理性もある。その証拠に、ボクがこうして背中に乗っても耳をこんな風に持っても平気だよ」
「別に許した覚えは無いぞ小僧」
「肉追加」
「許そう」
ボクはフェルの耳の根元を持って前後に軽く揺すってみたりする。その行為に、兵士達は更にザワついた。
「うぅむ…本当にフェンリルを従魔としているのだな…。目の当たりにしても信じられん」
「しかし、国を脅かす存在で無ければ知性もある。それならば、他テイマーと同じように入国を許可しよう」
(脅かす存在ではあるだろうけどネ)
「おいフェル、お願いだから大人しくしててくれよ?」
「分かっておる。手出しさえしてこなければ我には全てが些事だ」
「良かったねぇフェル、受け入れてもらってさ」
「というか貴様いつまで我の背中に乗っている気だ」
「普段運動しない勢に長距離移動は筋肉痛不可避でね…」
正直この五日間休憩ありとは言え毎日歩きっぱなしはそうとうキツかった。なんか魔法で身体を強化したり筋肉痛を和らげるのとか無いのかな。
ボク達は大きな門の前まで行き、門兵の人に止められる。
「ギルドカードの提示を。無い者には入国税に銀貨5枚、従魔は2枚かかる」
「あ」
ボクは冒険者なので免除されるらしいが、冒険者ではないムコーダさんは渋々自分とフェルの分を払った。
「ムコーダさんも冒険者登録すればよかったね」
「税金がかかるとは思わなかった…」
晴れて…とまでは最後の最後でいかなかったが、ボク達はフェーネン王国の国境をついに超えることに成功した。
「入国〜!」
「いや〜、囲まれた時はヒヤヒヤしたぜ」
「無事入国出来てホッとしました。皆さんのおかげです」
「ありがとうございました」
ボクはフェルから降りてみんなに頭を下げた。リタさんにわしゃわしゃ頭を撫でられた、何故。
「いやいや、良い旅だったよ。…しかし、この様子じゃあムコーダさん達はしばらく忙しくなるかもなぁ」
「というと?」
ヴェルナーさんが言うには、フェンリルとその主であるムコーダさんが入国した事は当然ここらを治めている【リンデル辺境伯】の耳に入る。そして遅かれ早かれ国王にすら伝わる。
色々な勢力からどうにか引き込めないか具申される毎日が続くだろう、とのこと。
「まぁしつこかったらフェルになんとかしてもらおっか、そういうの嫌いでしょ?フェル」
「当たり前だ。そういう貴様こそその瞳、我以上に嫌悪している様に見えるが?」
……怖いなぁ、伝説の魔獣。ボク、そういうの顔に出さないの結構得意なのに。
「べっつにー?気のせいじゃない?」
「ふん、そういうことにしておいてやろう」
「ま、まぁこの国に留まるつもりも無いし、様子見程度でいいんじゃないか?」
「ムコーダさん、旅でもするのか?」
「ええ、色々と見て回りたくて」
ボクはムコーダさんの隣に立ってギルドカードを見せた。
「尚更ギルドに入った方がいいじゃん、ねぇヴェルナーさん?」
「そうだな。冒険者ギルドか商人ギルドに所属すれば入国税は免除される、旅をするのなら必須と言えるだろう」
あ、冒険者以外にもギルドあるんだ。結構ユルいというか、入り得じゃない?ギルドって。
……ああ、いや。冒険者は一定期間のクエストを受けないとダメだし、商人ギルドもなんかそういうのがあるんだろうな。
「じゃあムコーダさん商人ギルドに入ったら?ボクが冒険者として護衛、ムコーダさんがリーダーの商人ってことで」
「我より弱い奴が護衛とは笑わせる」
「ぜってぇその顔土まみれにしてやるから覚悟しとけよ」
「ほう?長生きはしたくないらしいな」
「年寄りのフェルと違って老後の人生考える程長く生きてないからね」
「もう、2人とも仲がいいんだか悪いんだか…」
「まあ、カエデくんが冒険者ギルドに入っているのなら解体の心配も無いな」
「解体?」
「フェル様が捕ってきた獲物、ムコーダさん達だけじゃ解体は無理だろう?なら解体と売却を同時にしてくれる冒険者ギルドは最適と言える」
「確かに、さすがベテラン冒険者だね」
「ま、こんなところで立ち話もなんだしさ。早く国境の街行こうぜ」
ヴィンセントさんの言葉に全員が賛同する。国境から少し歩き、ボク達はフェーネン王国国境の街『ファリエール』に到着した。
「街に入るのにすら税金がかかるとは…」
「マジで商人ギルド入った方がいいね、これ」
想定外の出費の連続に辟易しているムコーダさんに、ヴィンセントさんが小声で話しかける。
「ほらムコーダさん、早速来たぜ」
ヴィンセントさんの目線の先には、綺麗な身なりのおじさんがニッコニコで近付いて来ていた。あの目、あの貼り付いた笑顔。
………………あぁ、嫌だなぁ、本当に。
「貴方がムコーダ様ですね?私はリンデル辺境伯様の使いであるエドモンと申す者でございまして…」
しばらくオッサンのいかにリンデル辺境伯の下につくと良いことがあるかと説明を大人しく聞いていた。大人しく、大人しく、聞いていた。
「ねぇ、オッサン」
「オ、オッサン?」
ボクはオッサンの肥えた下顎を掴みあげた。いきなり下顎を掴まれたオッサンは思わず膝を付き、ボクはそれを見下ろした。掴んだ皮膚は油塗れで心底不愉快だ。本当に、不愉快でしかない。
「いい加減鬱陶しいから、さっさと消えてくんない」
「ヒ、ヒィッ!?申し訳ありませんでしたぁ〜!?」
オッサンは勢い良く走り去って行った。ボクは手に付いた油をハンカチで拭ってから燃やし捨てた。火事にならないように一瞬で炭にしたから大丈夫。
「カ、カエデくん…」
後ろを見ると、ドン引きしているムコーダさん達の姿が。
………………やっちゃったぁん……。ダメだ、本当にあの手合いはダメだ。嫌なこと思い出しちゃったとは言えムコーダさんに迷惑かけちゃいけないって昨日自戒したばっかなのに…。
「ハッハッハ!なに、ああいう愚か者にはあれくらいやらんと懲りん。それにしても良い殺気だったぞ小僧」
「嬉しかねぇわ……ごめん、ムコーダさん」
「いや、いいよ。カエデくんも色々あるんだろうし…正直スカッとしたし」
「まぁ、そもそも貴族の私兵程度でフェル様に敵うとは思えませんし…」
「それこそ、相手になるの伝説の
フランカさんとヴィンセントさんのフォローが光る。
ドラゴンかぁ……会ってみたいなぁ。やっぱりファンタジーの象徴だし、なによりボクもムコーダさんみたいに伝説のドラゴンを手懐けてみたりしたい。
「古竜か。確かに我と対等に渡り合えるのは彼奴程度だろう」
フェルがそう言うと、興奮気味にヴィンセントさんとリタさんが質問責めしていく。
「フェル様古竜と戦ったことあるんすかっ!?」
「あるぞ、四百年前程にな」
「あたいも見てみたかったーっ!」
「おいおいお前ら落ち着け…ムコーダさんのサイン貰ったらギルドに行くんだぞ」
ムコーダさんはヴェルナーさんから貰った報告書にサインしていく。その時、ボクはある事に気が付いた。
「……ムコーダさん、こっちの文字書けるの?」
「うん、俺も今そう思った」
というか、今更過ぎる。だってボク達ここに来るまでにこちらの世界の文字沢山見てきたのに、そのどれもが違和感無く読めた。ていうか会話出来てるし。
……勇者召喚の儀式、あとで調べる必要がありそうだ。
ヴェルナーさんは報告書に書かれたムコーダさんのサインを確認してから懐へ仕舞った。護衛等のクエストはああいうのが必須なんだなぁ。
「俺達は報告書を提出に行くから、ここでお別れだな。とても良い旅だった、まさか伝説の魔獣と出会えるとはな」
「美味しい食事も頂けましたしね」
「文句無しの良い旅だった」
「そう言ってもらえるとありがたいです」
ボクはラモンさんとフランカさんの前に行き、頭を深く下げた。
「本当にありがとうございました。魔法を教わって、しかも魔導書もくれたし、こちらこそお世話になりました」
「いやいや、カエデ殿の様に稀有な才ある若者に少しでも教鞭を取れたことにむしろ感謝したい」
「私も、回復魔法の魅力が伝えられて良かったです」
ボクは二人から頭を撫でられ、思わず俯いてしまった。そこに、リタさんとヴィンセントさんが後ろから近付いてくるのに気付かず。2人はボクの肩に片方ずつ肘を乗せてきた。
「なーにカエデくん、あたい達にはそういうの無いの?」
「寂しいなぁ、お兄さん泣いちゃうぜ」
「ニヤケ面で言っても説得力無いよ…でも、ありがとね」
「ふふん、またいつでも呼んでね」
「おう、楽しかったぜ」
「ヴェルナーさんも、ありがとうございました」
「ああ、また一緒に旅が出来るのを楽しみにしている」
「それでは皆さん、お元気で」
「またね、みんな」
「お前達もな!」
そう言ってボク達は鉄の意思パーティと別れた。たった五日間とは言え、ボク達の間には友情と感じるものが出来ていたと思う。少し寂しいけど、きっとまた会えるよね。
「さて、これからどうしようか」
「そうだねー…とりあえずムコーダさん、ギルドに登録してきたら?」
「それもそうだな」
ボク達は街を歩き、ギルドを探す。そこそこ時間をかけたが見つからず、そのおかげと言ってはなんだが【ファリエール魔導具店】と書かれた看板を立てているお店を発見した。
「ムコーダさん」
「言われずとも」
良い笑顔なムコーダさんからお小遣いとして金貨2枚貰った。貰いすぎではと聞いてみたが、元々ボクの分らしい。それでも今までの出費を考えたら貰いすぎな気がする。
「クエスト頑張って返すね」
「期待してる」
そう言って、ボクは魔導具店に入った。
「あ」
「「あ」」
そこには先程しんみりとした別れをしたばかりのラモンさんとフランカさんがいた。そりゃ、魔法系のお店だしいる可能性はあるよね……。
「ふふっ」
「くく」
「うふふ」
奇妙な間が出来上がり、ボク達は笑い始めてしまった。
せっかくなので、ラモンさんとフランカさんにどういうものを買うのか聞いてみることにした。
「懐が潤ったことだし、私は新しい魔導篭手を買う予定だ」
「魔導篭手?」
「私が付けているコレだ」
そう言ってシモンさんはローブの裾を捲り自前の魔導篭手とやらを見せてくれる。
「これは杖と似た役割を持つ防具だ。杖と同じく、つまり魔法を発動する補助として役に立つ。杖はかさばるからな」
「腕を守りつつ、補助も出来るんだ」
「値は張るが便利なものだ」
「私は特に予定は無いけれど、なにか良いものがあったらと思って」
「ふぅん……ボクも魔導篭手買ってみようかな」
ボクは近くにあった魔導篭手を手に取る。む、地味に重いから良い筋トレにもなりそう。
「あっ、そうだローブと杖も欲しい」
「カエデ殿、カタチから入るタイプと見た」
「篭手と杖両方買うの?」
「魔導篭手はラモンさんとお揃いだし、それでもやっぱり杖は欲しいよね」
ボクは魔導篭手と折角なのでフランカさんのと似たローブを買った。もちろん胸周りは空いてないけど。
「おぉ……なんか一気に専門職感に溢れてきたね」
「杖は軽くて丈夫な物の方が良いだろう」
「コレなんていかがかしら」
ボクはフランカさんから杖を受け取る。先端が雷マークみたいになってる杖だ、めちゃくちゃ軽い。*1試しに軽く振り回してみたら後頭部に直撃した。くそ痛い、軽くて頑丈だよ全く。
ボクは改めて2人にお別れを言い、魔導具店を後にした。
ムコーダさんと待ち合わせにした噴水前にて魔導篭手をカチャカチャ弄ってたら、前からめちゃくちゃデカイ嫌でも目立つオオカミ、つまりフェルとムコーダさんがやってきた。
「おおっ!カエデくんカッコイイじゃんその衣装!」
「でしょでしょ?見てほら、篭手もラモンさんとお揃いだし杖も買ったんだ」
「超魔法使いっぽい!」
「でしょー?」
「ふん、補助魔導具に頼るとは未熟の証よ」
「浪漫も分からない未熟犬は黙ってて欲しいかなぁ」
「こら2人とも喧嘩しない!」
ボクはフェルと睨み合いしながらムコーダさんが商人ギルドでオススメされたと言う従魔も泊まれる宿へ向かう。
「あ、そういえばムコーダさん商人ギルド登録したんだよね?」
「したよ、凄い丁寧に教えてくれた」
「見せてよ、冒険者ギルドカードとどう違うのか見たいし」
「いいよ」
歩きながらボクはムコーダさんから渡されたギルドカードを自分のと見分ける。
……うん、血の契約も無い至って普通のカードだ。ムコーダさん曰くクレジットカードとかと同じで再発行に手数料がかかるだけらしい。落としたり盗まれたりして勝手に使われたらどうするんだろう?
「まぁアイテムボックスに基本仕舞うから盗まれることも無いし落とすこともないからボク達は大丈夫だけど」
「だな」
その後【跳ね馬亭】という宿へ着き、フェルがデカすぎる故のちょっとしたトラブルもあったが無事宿をとる事が出来た。
そして、従魔用の牛舎ならぬ獣舎の前で今晩は料理することに。
「やっぱりフェル縮む魔法とか覚えたら?」
「いらんわそんな魔法」
ボクがフェルとボケっと雑談していると、ムコーダさんがネットスーパーでお米と土鍋を購入しているのが見えた。
「えっ、もしかして今日白米食べる!?」
「その通り!いやぁやっぱり日本人は米でしょ!」
「分かる、パンも別に好きだけどお米の安心感ヤバいよね」
ボク達がテンションを上げていると、怪訝そうな顔でフェルが近付いてきた。
「おい、今日は穀物を食うのか?」
「肉もあるよ」
ムコーダさんはそう言って料理の支度を始めた。もはや料理を手伝うのを諦めたボクは引き続きフェルと雑談をする。
「フェルお米食べた事ないの?」
「無い。我は基本肉だ」
「野菜も?」
「葉など食う暇があるなら肉を食う」
「健康に悪いよ〜?」
「脆弱な人間と同じにするな」
「でもこことか余計な肉付いてない?」
「付いとらんわ!」
などとフェルと戯れていると、どうやら出来上がった様だ。とても良いステーキ醤油の匂いが鼻を刺激する。
「完成、レッドボアのステーキ!」
「おいしそー!レッドボアの肉まだあったんだ?」
「これが最後だよ」
フェルは早速盛り付けられたステーキを貪り食う。ほとんど噛まずに飲み込んでしまった。
「美味いぞっ!もっとくれ!」
「ほんとかよ、殆ど丸呑みじゃん」
「人間以上の味覚を持つ我には問題無い」
「さいですか」
「カエデくん、にんにく醤油とおろし風味、玉ねぎ風味にバター風味があるけど、どれにする?」
「うーん……にんにく醤油!」
「我にはおろし風味とやらを」
「はいはい、こっちはカエデくんの分ね」
そう言って、ムコーダさんはお米の上にステーキが盛り付けられたステーキ丼を手渡してくれる。ほっかほかのツヤツヤしたお米に盛り付けられたステーキが光り輝いて見える。
「うわぁ、めちゃくちゃ美味しそう!いただきます!」
ボクはステーキとお米を上手い具合に纏めて1口で食べる。レッドボアの肉とステーキ醤油は勿論相性バツグンで、タレと油が染み込んだお米が食欲を更に刺激してくれる。
「んま!これ最高だよムコーダさん!」
「それほどでも」
照れ気味のムコーダさんもフェルの分を作り終わり、自分の分を食べ始める。
「これだよこれ!やっぱり米が無きゃな!」
「……」
すると、フェルがジッとボクとムコーダさんのステーキ丼を見詰める。
「美味そうだな。我にもその穀物をくれ」
「えー、フェル肉しか食べないんじゃないの?」
「たまには良かろう」
「そう言うと思って多めに炊いといて正解だったな…」
「食い意地張ってる伝説の魔獣様だこと」
無事完食し、食器洗いを手伝っている最中にムコーダさんと雑談する。
「いやぁ、異世界にいながら米が食えるなんてネットスーパー様様だな」
「だねー、前に海外に行ったことあるけど、四日くらいお米食べれなくて結構ストレスだったもん」
「カエデくん海外行ったことあるんだ?」
「あんまり楽しくは無かったけどね」
片付けも終わり、満腹で満足そうに眠っているフェルを見送りボク達は部屋へ戻った。
「久しぶりのベッドだー!」
「硬い地面は当分御免だな…」
「っと、寝ちまう前に明日の準備しないと」
ムコーダさんはそう言ってネットスーパーを開いた。
「なんかするの?」
「ふふ、その時はカエデくんも同行してもらうよ」
「えーなにそれ、楽しみにしたいから見ないでおこっ」
ボクは毛布を頭まで被り、目を瞑った。今日は良い夢が見られそうだ。
「おやすみ、カエデくん」
「おやすみ、ムコーダさん」
異世界生活八日目の夜が、終わる。
みなさんの感想、お待ちしております。