ザシュッ…その音と共に俺の首は胴と離れ離れになった。
…と言う事もなく、ギリギリで生還した。と言うのも魔装術を発動していたお陰で、最小限のダメージに抑えられたことと、ギリギリの所で水刃で威力を減衰できたのが大きい。
「マジであっぶなかったぁ…さてと、こっちから行かせてもらうぜ。〈水槍〉」
魔術陣から作り出されたのは極大の水の槍だった。水矢から派生したこの魔術は、決して敵を逃す事無く攻撃する。それゆえに多大なる集中力を有するが、今の俺ならば作り出せる。
「おっと、そっちも忘れてないぜ。〈六発装填・水弾〉」
攻撃してくる魔術や骨人共を水弾で塵に変えつつも、魔術の行使を止めない。
今の俺の魔力でも数発しか唱えられない程の莫大な魔力消費…これを防げる手段が無いであろう事は理解している。
「さらばだ。水に飲まれて消えうせろ〈水槍〉」
「ゴガァァ~…ま…マダだ。」
驚いた…今の攻撃を喰らっても真面に形を成しているとは…恐らくは骨人共を肉壁としたのだろう。だが、今アイツを守る壁は無くなった。今ならば奴の防御を抜ける。
「甘いわ」
「やっぱり…近接も行ける口か。」
俺が不用意に相手の間合いに踏み込んだ結果だ。アイツは杖を巧みに扱い俺をあしらった。そこからは老成した人物を思わせる。だが、決して抜けない程じゃない。
俺は即座に距離を取る。それと同時に体に満ちる全魔力を集中させる。アイツの抵抗力を上からねじ伏せる程の火力が必要だ。大水刃程度じゃ防がれる。
「魔術式構築…〈放水〉〈水操作〉を元とした疑似魔術〈砲水撃〉展開…全魔力リソースを魔術式に充填」
「ほう…ならば…消えうせろ。〈大魔刃〉」
大魔刃…奴の放った凶刃が俺の首元に到達せんと走り抜ける。だが、それを上から捻りつぶすが如くに砲水撃が攻撃を飲み込む…。その後に有ったのはただの死体のみだった。
《レベルが2上昇しました》
《SPを2習得しました》
「さてと…此奴の魔石をどうするかだよな。…滅茶苦茶低確率だけどスキルを習得できる見たいだし、苦痛耐性も上がったから大丈夫でしょ。…まぁ、我慢できない程じゃ無い」
《スキル〈苦痛耐性Lv7〉が〈苦痛耐性Lv8〉に上昇しました》
《スキル〈負荷耐性Lv3〉が〈負荷耐性Lv4〉に上昇しました》
《条件を達成しました。新しく種族系スキル〈魔術適正Lv1〉を習得しました》
《新しく汎用系スキル〈幸運Lv1〉を習得しました》
新スキルを一気に2つも習得とは…結構ラッキーだな。さてさて…効果の程はどうなのかな?
魔術適正・魔術運用に対する適正の上昇。効果・魔術効果上昇、魔術による魔力消費減少
幸運・運を導く能力を持つ。効果・幸運判定が働きやすくなる
う~ん…魔術適正はハッキリ言ってチートスキルって感じだけど、幸運判定?何それゲーム?まぁ良い働きをしてくれるでしょ。幸運って書いてある位だし。
それから迷宮を後にして水中に帰還する。やっぱり陸上での活動も良いけどやっぱり魚は海の中に居なくちゃね。と言うかやけに魚が多いような…まぁ気のせいか。取り合えず狩りをするか。
《レベルが1上昇しました》
《SPを1習得しました》
《スキル〈咬刃Lv1〉が〈咬刃Lv2〉に上昇しました》
《スキル〈無魔術Lv1〉が〈無魔術Lv2〉に上昇しました》
《スキル〈水魔術Lv6〉が〈水魔術Lv7〉に上昇しました》
《称号〈水使いLv1〉が〈水使いLv2〉に上昇しました》
《称号〈大喰らいLv1〉が〈大喰らいLv2〉に上昇しました》
《称号〈魚殺しLv3〉が〈魚殺しLv4〉に上昇しました》
《称号〈蛙殺しLv2〉が〈蛙殺しLv3〉に上昇しました》
《スキル〈魔眼Lv1〉が〈魔眼Lv2〉に上昇しました》
《スキル〈魔装術Lv1〉が〈魔装術Lv2〉に上昇しました》
《スキル〈魚鱗Lv2〉が〈魚鱗Lv3〉に上昇しました》
それからレベルアップとスキルレベルの上昇をしつつも、何かが足りないという不足感に苛まれていた。俺の今の生活は順調と言って差し支えない。何せ衣と住…は魚だから不要として、食は狩りによる安定した食事情…。
「何が足りていないんだ?何か見落としている事でもあったか?」
俺はこれまでの事を思い起こしていた。…そうするとあった。俺が見落としていることが。あの雷電ウナギに対する報復だ。俺に敗者と言う称号を与えた原因…そうだ、そいつを狩ろう。
だが、アイツのステータスが俺を阻んでいた。今の俺に勝てるのか?そんな感情が隠せないでいた。だが、これ以上足止めをしてても何もならない。故に、俺は、奴の討伐を心に刻む。
探せばあっさりと見つかった。ステータスは今までと変わりなく、その肉体には俺が付けた傷がありありと残っていた。それを見た途端に全身の血が沸騰するかの如くに戦意と言う名の獅子に体を乗っ取られた。
「これでも喰らっとけ〈六発装填・大魔弾〉」
あの迷宮でスカル・ローメイジが使っていた魔弾を更に発展させた魔術だ。それを六発装填で射出した。流石にかなりのダメージになったのか苦しんでいた。
「来たな放電…でも、俺には無意味だ。〈水壁〉」
魔装術と水壁を展開していたが故にダメージとしてはあまりだった。と言うか種族の差と言うべきか…あるいは魔神の加護のお陰か…俺はダメージを最小限に抑える事に成功した。
《スキル〈電気耐性Lv1〉が〈電気耐性Lv2〉に上昇しました》
「あんまりバカの一つ覚えみたいに放つなよ。〈大水刃〉」
俺は大水刃を放つモノのウナギの粘性液によって阻まれる。そして、それを見越したかのように放たれる放電を、俺は回避と魔装術による防御を織り交ぜつつ、一つの魔術を組む。
「魔術式構築…疑似魔術〈魔砲撃〉」
魔弾をベースに、ただただ貫通力と威力のみを追求した魔術によって、ウナギは倒れた。これによって、俺に敗者の烙印を押した相手は消え去ったと言って良い。
「うん…良い気分だ。とても、そう、とてもいい気分だ。」
《レベルが1上昇しました》
《SPを1習得しました》
《新しく汎用系スキル〈改造Lv1〉を習得しました》
《スキル〈無魔術Lv2〉が〈無魔術Lv3〉に上昇しました》