《スキル〈治癒魔術Lv6〉が〈治癒魔術Lv7〉に上昇しました》
あれから続々と出続ける負傷者に対して治癒魔術を掛けていた影響なのか、随分とスキルが成長したモノだ。それに尚且つ〈救護精神〉と〈救う者〉と言う二つの称号スキルを習得した。
まぁ悪道とかの称号にも言える事だけど、これがどういった感じに役に立つのかは謎だけど、それでも取って悪い様にはならないだろう。
そんな事を思いつつも治癒に専念していると、可笑しなことに気が付いた。それは、ゴブリンたちの負傷者がかなり多いのだ。俺達治癒士がフルで活動してトントン…そのレベルで負傷者が多いのだ。
「取り合えず痛がる患者には、弱めの麻痺毒を鎮痛剤代わりに投与しているけど、何と言うか、負傷者の数が多くないか?」
「毎年この季節になると、多いんですよ。何せポイズンスパイダーが大量発生しますから。」
聞いてみたと感じ毎年この季節になると毒蜘蛛が大量発生するらしい、俺がレベルアップの為に狩った奴もその一部なのだとか、それで尚且つその繁殖地とゴブリンの生息域が被ってるから、毎年この季節は負傷者が続出するらしい。
「ですが、今年は異常に負傷者の数が増えているんですよ。」
「それを調べる人材も居ないって事か…よし、ゴブリン共に通達しろ。俺が出るとな。」
「分かりました。」
それから時間も経たずに前線に出ていたゴブリン共の帰還と同時に、俺は前線に立って戦闘を始めた。こいつ等は一体ならまだ大丈夫だが、数十匹との戦闘となるとちょっと厳しいな。
「喰らえ新魔術〈猛毒弾〉」
俺の肉体を魔術式に落すことで毒を癒すことのできる毒癒…これを応用して俺の猛毒を水魔術として打ち出す。名づけて毒魔術を新たに開発した。
打ち込まれた毒は体を廻り、その末に毒で死ぬという最強の魔術…それも多種多様な毒を調合する事で、更なる拡張性を見せる。
「それの実験台として死ね。〈麻痺×衰弱弾〉」
麻痺と衰弱の毒を掛け合わせた魔弾によって、蜘蛛は沈静した。だが、これで終わりじゃない、既にこの波を乗り越えてゴブリンの集落に到来せんとする者たちがいる。
「あいつ等への贖罪の意味も込めて、お前たちは死んで行け〈猛毒大牢獄〉」
巨大な天蓋が地面より這い出る。到来戦とす毒蜘蛛たちを逃すまいと編み出した牢獄は、大勢の蜘蛛を閉じ込めるに至った。俺はその中に封じられている連中に対して魔術を発動する。
「〈致死毒・散弾〉」
《新しく魔力系スキル〈毒魔術Lv1〉を習得しました》
致死量の毒を込めた魔弾を散弾状に変化させて行使する。毒蜘蛛たちはなすすべなく俺の経験値へと変えられていく。それを確認し終わると、俺は集落へと急いだ。多分だけど逃している奴が一定数居るであろうからだ。
「そっちの状況は?」
「主様の魔術により、ここまで到来した者は極少数で、我らでも対処できるレベルでした。…ですが。」
途端にゴブリンたちの言葉が詰まる。…そして、案内された先に有ったのは人間の死体だった。それに驚きつつも彼らに詳しく事情を聴くほどの冷静さを見せれたようだ。
「蜘蛛と一緒に来襲した人間を怪しんだゴブリンが声を掛けたら、剣を振り上げてきた。それで、正当防衛の意味合いもあり殺すに至ったねぇ。…まぁ良いんじゃない?だれも怪我しなかったんだし。」
それから俺は、一体の死体を上手く活用できないかと色々と実験をすることにした。これまで試す事もしなかった死霊魔術の実験の意味合いもあるが、こうも丁度良く人間の死体が頂戴できる機会など無いからね。
「俺も随分と人外の思考に染まったモノだな。…あれ?俺って人間時代ってなんて名前だったんだっけ?」
俺を構成する全てが抜け落ちたかのような感覚を覚えつつも、俺は冷静な思考を回す。その様な些細な事…俺に関係あるのか?そう言った思考が廻る。
俺は一体何者なんだ?それのみがリフレインする。だが、それ以上に恐ろしく思ったのが俺に思考だった。俺の思考は常に冷静…人間などただのモルモットと思考する。
「でも…それ以上に、それを些末な事と割り切れる俺が恐ろしい。」
俺は一体何者なんだ?どうして名前の欄が空白なんだ?どうして、俺があんな湖の中で生まれたのか?それら全てが不明だった。だが、だからこそ言えることがある。俺は俺だと言う事が。
「俺は俺…それ以上でもそれ以下でもない。…よし、落ち着いたな。」
それから死体をえっちらおっちら自分の家まで運ぶと、とある魔術の行使に移る。此奴にはゾンビになってもらう。だが、このままじゃボロボロのゾンビの完成だ。
「取り合えず〈補肉〉」
深い傷等を治す低級の肉体復元魔術だ。だが、このレベルでも問題な無いようだな。まぁそもそもが剣での傷以外は無いのだし、軽く済むのは良い事だ。
それから死霊魔術の行使に移る。俺が今から行使するのはレベル1魔術の〈骸操術〉だ。これは無魔術の〈魔糸〉を元に、マリオネットの要領で肉体を動かす初級の魔術だ。
「このままレベルが上がるまでやっても良いけど、さっさと次の位階に移るか。えぇっと…〈霊視〉おぉ…幽霊ってそこら中にいるんだな。まぁ取り合えずネズミの霊で良いか。あんまり知能が高くても面倒だし。」
俺は新たに魔術〈霊縛〉を使ってネズミの霊をその場に縛る。そして、またまた新たな魔術〈霊契約〉の魔術を行使する。知能がある霊だったら、対価を要求される事があるらしい魔術だ。
「そして、このネズミの霊をこの死体に投入…よし、アンデット化したな。」
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名前 アガロ・メイタール
種族 レッサー・フレッシュゾンビLv1/Lv5
体力 5/5
気力 3/3
魔力 2/2
攻撃力 3
防御力 5
魔法力 2
抵抗力 1
速度力 3
ランクG-
種族スキル
新鮮Lv1.感染Lv1
汎用スキル
暗視Lv1.
戦闘スキル
体術Lv1.剣術Lv1.格闘Lv1.
戦技スキル
気力撃Lv1.スラッシュLv1.
耐性スキル
状態異常無効.光弱化Lv3.神聖弱化Lv5.陽光弱化Lv2.聖銀弱化Lv4.治癒弱化Lv3
称号スキル
名無しの眷族.
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「う~ん…何と言うか……寂しくなるまでに貧弱な弱さだな。」
と言うかこいつって元は剣士だったのか?そう言えば剣を抜いたって言ってたし、それだったらこのフレッシュゾンビの路線で良かったかもな。
それから此奴が生前に持っていた武器を渡すと、どこかぎこちない様子で剣を抜く。その姿はまるで素人の様だった。まぁ元がネズミだ。仕方が無いというのが世の常だ。
「と言うかスキルは肉体に根差すのか?それとも魂に根差すのか…調べてみるのも一興だな。」
それから此奴のレベル上げの為に適当な魔物を捕まえるべく森に繰り出した。この辺りに居る奴は総じてレベルの高い奴らだか、アイツじゃ万が一の時があるかも知れん。
「此奴で良いか。」
俺の魔糸による拘束を受けているのはポイズンラビット…ハッキリ言ってこの辺りでもかなり弱い部類の魔物だ。此奴ならば万が一も無いだろう。取り合えず5体ほど持ち帰ってきたが、ちゃんとレベルアップするのか?
ぎこちなくも剣を握るゾンビと、俺の威圧で完全に委縮した兎の戦いが始まった。兎は目の前の敵を倒して逃げる為、そして、ゾンビの方は俺の命令通りに…両者が全く違う理由で戦い始めた。
最初こそポイズンラビットが噛みついて毒状態に陥れようとしたが、残念…アイツには状態異常無効のスキルがある。毒は問題ない。それを理解したのか頭突きによる体力の消耗を狙っているのか?
「へぇ…やっぱり肉体に根差したスキルは健在のようだな」
ポイズンラビットが再び頭突きをしようとした瞬間に、兎へと切りかかるゾンビの姿が有った。その姿からは死んでいるとは思わせない程の実力を見せていた。
「なったな。どうやらレベルも上がった様だし。あともう一回くらい繰り返したら進化するかな?」
それからもう一回戦ってもらった結果、進化の兆しが見えた様だ。本人では進化の操作が出来ないようだし、俺が思いっきり干渉するとしよう。