転生小魚、龍道を征く   作:半目真鱈

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第21話 旅立ち

 フレッシュゾンビ─G

 ゾンビ─G

 

 う~ん…まだ多様な進化を見せる程にはならないか…だったらここはフレッシュゾンビ一択でしょ?折角綺麗にしたんだし。

 

 それからゾンビの進化が終わると、見かけ上は今までとはまるで違わなかった。だが、ステータスは嘘を付かない。全てのステータスが結構上がっていた。

 

 ————————————

 名前 アガロ・メイタール

 種族 フレッシュゾンビLv1/Lv10

 体力 14/14

 気力 10/10

 魔力 5/5

 攻撃力 12

 防御力 10

 魔法力 8

 抵抗力 5

 速度力 11

 ランクG

 ————————————

 

「取り合えずお前は俺の家の近くで剣を振って置け。それでスキルレベルが上がるのか確認したい。」

 

 コクコクと首を縦に動かしつつゾンビは俺の家の付近で剣を振り始めた。どうやら進化した事で肉体に慣れた様だ。今までとは動きが違う。こりゃあ俺の護衛として騎士になるのも時間の問題か?

 

「取り合えずゴブリン達にはアイツが味方だって連絡しておくか。」

「あの…主様」

 

 おっと、言葉にしたら丁度良くメルバが来てくれたな。俺は自分の幸運に感謝しつつそちらを見る。そうすると少し驚いた様子を見せていた。まぁ無理も無い。死んだ人間が剣を振っているんだ。

 

「取り合えずアイツは味方だ。間違っても攻撃するなよ。」

「了解しました。他の者たちにも伝えておきます。」

 

 老いたゴブリンは杖を突きつつ他のゴブリンへと忠告をしに行った。現状アイツは俺の護衛と言う事にした。その方が俺も安全だし、アイツの経過観察を出来るから、メリットだらけだからね。

 

 俺が猛毒蜥蜴へと進化して優に数週間もの時が経過した。あれから俺は此奴らの主としてゴブリン達の治癒生活だ。そして、なによりも楽しみなのが毎回変化に飛んだ毒を出してくれるのだ。

 

「こちら、今日の毒物はミスズ草とポイズンバファローのソテーです」

「うむ…ありがとう。それじゃあ頂きます。」

 

 今日の毒物はミスズ草と言う睡眠毒とポイズンバファローのソテーだ。口に含んだ瞬間にクラりと来る程の睡眠毒…これは俺以外が口にしたら不味い奴だな。だが、俺にとってこれは甘露と言う他ない。

 

「うん…今日の毒も美味しかったよ。そして、今回の毒は睡眠毒か…俺以外が喰らったら間違いなく一生目を覚まさないな。」

「そうですか…これでもこの森では弱めの毒なのですけど。」

 

 マジかよ…これで弱めとか最奥には一体どんな毒物が有るんだ?まぁそれも楽しみだけど、最近は暇だよなぁ。あれから治癒魔術を配下たちに使いまくった影響で、すっかりレベルが上がってしまった。

 

「それで…今回の患者はどういった症状かな?」

「いきなり毒鬼が来襲して襲って来たんです。…それで、症状は毒状態と、見ての通り右手の欠損です。」

 

 毒鬼ねぇ…確か元長が言うには毒を扱うオーガだったかな?確かその毒鬼から劣化したのが今のポイズンゴブリンなんだとか。

 

「大丈夫…俺の治癒魔術に係れば問題無し。先ずは〈毒癒〉…この毒は対象外か…スマンが血を貰うぞ。」

 

 俺は毒に侵されたゴブリンの血を貰い、一息に飲み干す。それによって俺の肉体には毒が回り、俺の視界はくらついてしまった。だが、それも数秒で収まり、俺は治癒に係りきりとなった。

 

「毒は癒した。…でも、右手の修復…これは高くつくぞ〈肉体復元〉」

 

 治癒魔術の中でも高位の魔術であり、欠損すら治す魔術だ。これにかかれば失った右腕など簡単に再生できる。当初は毒の治療のみ特化していたが、順調にレベルが上がったお陰で、こんな芸当も可能になった。

 

「ありがとうございます。」

「なんの…魔力だけは有り余っているからね。問題無いよ」

 

 そうゴブリンに告げてやると嬉しそうに帰って行った。どうやら俺の治癒魔術は暖かいのだとか。まるで包み込まれているかのような嬉しさを感じる。ゴブリンたちはこう言っていたのだ。

 

「これは誰が言ったんだったかな?」

「どうかしたのですか?主よ。」

 

 よぼよぼの老人めいた人物…メルバが答えてくれた。どうやら口に出ていたらしい。

 

「いや…俺の治癒魔術って暖かいんだなぁって思ってただけ。」

「そうですか…確かそれはゴメルの奴が言っていた事ですね。」

 

 そうだ…ゴメルだ。記憶のスキルがあるのに忘れっぽいとはこれ如何に。まぁ、取りあえずはこのまま主としてやるのも良いけど、やっぱり冒険して新たなる地を切り開きたいというのもまた事実。

 

「念話のスキルがレベルアップしたらこの集落を出て行こうと思う。」

「それはまたどうして…。何か至らぬことでも御座いますか?」

 

 メルバが勢いよく答えてくれる。どうやら俺に離れて欲しくないようだった。だが、これは決めた事だ。俺は進化しなければならない。その為には魔物を狩る必要がある。

 

「俺は強くなって、その予言の邪竜みたいに強くなって帰ってくるよ。その為にも、念話のスキルが上がるのを待つ。」

「分かりました。ですが、この場所に帰ってきてくださいね。」

 

 

 

 

《スキル〈念話Lv9〉が〈念話Lv10〉に上昇しました》

《条件を達成しました。スキル〈念話Lv10〉が〈遠話Lv1〉に進化しました》

《条件を達成しました。スキル〈念話Lv10〉から〈念力Lv1〉が派生しました》

 

「よし…これで遠距離でも思考を通じて会話ができる。」

 

 この日の為にメルバに念話のスキルを習得してもらって、必死こいてレベル上げしてもらったからね。これで何が合っても帰ってこられる。

 

「それじゃあ。また会おう。」

「お元気で。主様」

 

 森の深層へと足を踏み入れた。そして、これまでゴブリンが主に活動している範囲から逃れる。これは、俺の権力の及ぶ範囲からの逸脱だ。このまま帰ったら安寧が俺に約束されている。

 

「どうした?…足を踏み入れるんだ。さっさと…。」

 

 俺はこの期に及んで躊躇していると言うのか…今までの安寧から逃れる。それは、幸せだった数週間から逃げる行為でもある。それを決断できぬ程に俺は軟弱なのか?

 

「よし…第一歩、ここからだ。ここから少しづつ頑張って行こう。って、折角の花道に水を差すなっての。」

 

 俺の目の前に飛び出てきたのはこの前も討伐した事のある毒蜘蛛だった。それを確認するや否や、アガロが前に出る。

 

「お前はそのまま注意を引いてろ。俺は魔術の準備だ。」

 

 俺は集中をして魔術式の構築を始める。これから行う魔術は猛毒弾より更に発展した魔術だ。

 

「死に晒せ〈致死毒剣〉

 

 致死毒を込めた必殺の剣が相手に到達する。それを喰らった途端に倒れる毒蜘蛛に対して、これからの道のりの険しさを感じるのは俺だけか…。

 

 

 

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