転生小魚、龍道を征く   作:半目真鱈

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第24話 剣との対話

 ゴブリン集落への襲撃から数日が経過していた。俺とアガロは死体の処理と活用の為に暫くこの地で色々と実験をしていた。そして、魔術を自分に使うというのは結構良い案で、こうやって称号スキルがどんどんレベルアップした。

 

 《称号〈火使いLv9〉が〈火使いLv10〉に上昇しました》

 《称号〈水使いLv9〉が〈水使いLv10〉に上昇しました》

 《称号〈風使いLv9〉が〈風使いLv10〉に上昇しました》

 《称号〈土使いLv9〉が〈土使いLv10〉に上昇しました》

 

 《条件を達成しました。称号〈火使いLv10〉〈水使いLv10〉〈風使いLv10〉〈土使いLv10〉が称号〈四元素魔術師Lv1〉に統合されました》

 

「やっと、称号スキルがカンストか…長かったな」

 

 四元素魔術師・四元素を高度に扱う魔術師に送られる称号。効果・四元素魔術の威力上昇、四元素魔術の消費魔力減少、四元素魔術に対する抵抗力増加

 

「めちゃくちゃな有能スキルじゃん。この調子の他のスキルのカンストも目指すか」

 

 称号スキルがカンストした事で、称号スキルの欄が結構整理された。と言うか他にも統合とかされないモノか…。まぁ、言っても何もならんか。取り合えず新たに習得した称号の効果を確かめてみるか。

 

「それじゃあお前らは魔術の的に慣れ」

「…コクッ」

 

 俺が声を掛けたのはゴブリンの死体から作ったゾンビだ。それ以外にもスケルトンとゾンビを何体か作ってある。単純な労働力やこうしたスキルや魔術の的として結構活用している。

 

「それじゃあ軽く〈水弾〉…う~ん、結構上がってるな威力。普通に放ったらゾンビでも死んじまうな。」

 

 《新しく戦闘系スキル〈手加減Lv1〉を習得しました》

 

 手加減?あぁ、此奴に対して威力を弱めたからな。それで、肝心の効果は…ふむ、相手の戦闘能力と同程度まで力を落すねぇ。全く使えんスキルじゃん。

 

「あの…少し良いですか?」

「うん?アガロか。どうしたんだ?刀に何かあったか?」

 

 毒鬼が持っていた日本刀は、俺よりも使いこなせるであろうアガロに渡した。それと言うのも俺の手は日本刀を握るには不慣れだ。それに近接戦にも明るくない。だからこそ、アガロが持っていた方が有利なのだ。

 

 因みにアガロが元々持っていた剣は、あの戦いですっかり摩耗したという事で、俺の空間収納行きとなった。これを修復してくれる人材がいたら良いのだが、生憎とそれらしい人物には会っていない。

 

「それが…この日本刀に嫌われていまして…扱えそうにないと言いますか。」

 

 剣に嫌われている?そういうのがあるのか?…まぁ、アガロの言う事だ。本当なのだろう。それよりも、剣に嫌われているって事は、あの摩耗した剣を使うって事だろ?…戦力減どころの話じゃ無いぞ。

 

「でもあの剣を使うってのは問題が有るでしょ?」

「えぇ…ですが、もう少し時間を頂けたらきっと調伏して見せますので。どうかお時間を頂けたらと…」

「まぁ…俺も暫く座して能力を鍛えるってのも良いかもだし、それが終わるまで付きやってやるよ。」

 

 それから色々とスキルの練習やレベル上げを頑張っていたら数日が経過した。どうやら剣の調伏は上手くいって内容で、剣との対話が出来ていないという風だった。

 

「よし…ちょっくら俺が頑張ってみるよ。」

「良いのですか?…剣の精神世界は相手の陣地…かなり不利になりますが?」

「…まぁ、行けるでしょ。」

 

 それから念話の要領で剣の柄に触れた。そうすると強い光が辺りを包み込んだ。これには覚えがある。恐らくは空間属性の魔術だろう。それに素直に従い待っていると、何と辺り一面何も無い荒野に立っていた。

 

「二足歩行?…なんでいきなりこんな姿に?」

「ここは心の世界だ。表でどんなに姿が変わろうと、その芯にあるものを曝け出すのが此処だ。」

 

 成程…随分と高度な魔術を用いる物だ。剣の癖に、俺より魔術が上なんじゃ無いか?

 

「んな事無ェよ。此処じゃ心の強さで勝負が決まる。そんな…その程度の世界だ。さて、ここに来たからには戦うんだろ?あの女は数分と持たなかったが、テメェは楽しませてくれるのか?アァ」

 

 目の前の人物を端的に表すのならば。正しく荒々しい剣といった例えが的確だろう。伸びきった白髪にボロボロのローブ…その隙間から見える数々の傷は、幾度もの修羅場を駆け抜けてきたことが分かる。

 

 そんな男の右手から剣が出てきた。俺は瞬時に空間魔術で摩耗した剣を取り出そうとしたが、剣を取り出す事に失敗した。と言うよりも、魔術の発動に失敗したというのが正しいか。

 

「この世界は心の世界だ。テメェの力で戦うんだな。」

「成程…随分と分かって来たぞ。この世界の術式が。そして、お前もな。剣…いや、魔刀、毒娘」

 

 毒娘と名が付いているのに男だというのはこれ如何に…だが、男の剣技は見るものを圧倒する程の美しさを誇っていた。戦闘中じゃ無きゃ見とれてしまう程の剣技…だが、それら全てを補って余りある緊張感に対して、俺は潰されそうだった。

 

「さて…こちらも反撃と行こう。…土剣」

 

 新たに作り出した土の剣を作り出す魔術でもって、相手の剣と剣の鍔迫り合いが起こる。だが、俺の魔術は脆かった。互いに一度打ち合っただけで折れてしまった。

 

「クソッ…剣が脆いな。」

「それがテメェの心かよ。さっさと負けを認めるんだな」

 

 この前の毒鬼との戦いが脳裏に過る。振り下ろされる刀がスローモーションで見える。それに対して俺は…。

 

 

 

 

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