転生小魚、龍道を征く   作:半目真鱈

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第28話 毒鬼王の強さ

 「〈蜘蛛糸〉」

 

 大量の糸が毒鬼へと絡まる。だが、その全てを引きちぎり俺に到達せんと走ってくる。

 

 それを回避し空間収納から剣を射出する。そしてその先に空間収納の入口を作り回収…頭を活用することで、毒鬼に対して安全圏からダメージを与えるに至った。

 

「甘いな…フン」

 

 瞬間…射出した剣を左手で掴みその推進力を保ったままに俺に到達せんとしていた。ギリギリの所で空間収納が間に合ったが、これは使えそうにないな。

 

「ならばこれはどうだ?土円壁」

「この程度…直ぐに壊す」

 

 その言葉は正しかった。俺の使った魔術は直ぐに破られる事となった。土円壁を破られた事で頭が真っ白になっていたが、それを無理やり起こして行動に移る。

 

 アイツの魔術ステータスは低かった筈だ。とすると物理で壊したのか?まぁ良い。土系は効かないと見ていいな。とすると…俺が出す手段は。

 

「〈水刃〉×〈水牢〉」

 

 水の刃が降り注ぐ水の檻を顕現させる。物理以外の拘束手段を使うというのは結構よかったな。だが、俺は油断をしない。

 

「大地を穿ち、天を焦がせ。」

 

 魔術式の詠唱を始めると同時に、周囲に魔力の暴風が吹き荒れた。それは、俺の内より這い出る魔力だった。

 

「炎素、地脈より引き出し、上昇流、形成。

 魔術式展開……共鳴率、安定域へ。

 熱量集中、縦軸固定――制御、継続。

 魔力循環、臨界突破、流束を維持。」

 

 魔術式が構築されてゆく…ひどく機械的な詠唱と共に魔術が構築されてゆく。だが、それと共に毒鬼兵が拘束を破らんと躍動していた。

 

「立ち昇れ、天を貫く紅蓮の刃。

 我が命脈を導とし、すべてを焼き貫け。Set――〈火柱〉」

 

 俺の魔術により永劫の沈黙を得た毒鬼兵の遺骸を回収しつつも辺りの警戒を続ける。そして、感知の範囲内に突如として湧いた毒鬼の気配が俺の気を引き締める事となった。

 

「数で圧すしか有るまい」

「はん…俺に数が通用するものかよ」

 

 毒鬼どもが今か今かと近寄ってくる。そして、俺の後ろに見知った気配がした。それはアガロだった。ゾンビとしての再生力で復帰したのだ。それを心強く思いつつ、これから来るであろう敵に対しての対抗手段を探る。

 

 俺は今までの様な四足歩行では無く、無理やり二足歩行で立ち上がると同時に、空間収納から一つの剣を取り出した。それは幾つも死蔵されている毒鬼どもの使っていた剣…その一振りだった。

 

「俺も魔術とか言ってられる状況じゃ無いからな。」

「分かりました。乗り越えましょう。二人で」

 

 本来なら握る事は出来ないが、蜘蛛糸によって無理やり拘束して剣を握る。だが、それでも良かった。

 

 多少でも手数が増えるのであれば。段々と近寄ってくる毒鬼どもに先制攻撃として魔術攻撃を披露する。

 

「――静寂を呑み込み、奔流を解き放て。」

 

「水素素子、臨界密度に到達。

 流動演算、増幅中……圧力値、上昇。

 魔術式構築――流体制御、安定域を突破。

 水脈連結、循環路全開――波動、共鳴開始。」

 

「荒れ狂え、蒼き奔流。

 我が魔力を礎に、すべてを押し流せ。Set――〈激流〉」

 

 俺の魔術により敵の一部を削るに至った。だが、それでも依然として数は多く。殲滅するには至らなかった。だが、多少なりとも減る事は出来た。それで良い。

 

「ここからが正念場だぞ」

「はい…分かりました」

 

《条件を達成しました。新しく称号〈鬼殺しLv1〉を習得しました》

《条件を達成しました。新しく称号〈血狂いLv1〉を習得しました》

 

 ……………

 

 

「ようやっとか…」

「馬鹿な…俺の軍がやられる筈は。何かの間違いだ。」

「ぜぇぜぇ…主様、後は頼みます」

 

 アガロは急に来たレベルアップによるものか…それとも疲労による物なのかは分からないが、倒れ込んでしまった。幾らゾンビと言えどもこの数を相手にしたらきついのだろう。

 

「だが…お前の連れは蟲の息…お前も疲労が溜まっているのだろう?」

「馬鹿が…お前なんかに心配される言われない。」

 

 剣を空間収納へと収めて、四足でしっかりと地を踏む。相手の毒鬼王はその場から動く気が無い様だ。どうやら自分の実力に絶対の自信を持っている様だ。

 

「こんにちは…そしてさようなら」

「ふん…死ぬのはお前だ」

 

 ————————————

 名前 ロミ・ヴェルガ

 種族 毒鬼王Lv15/Lv50

 職業 王Lv5/Lv40

 体力 1000/1000(鬼人+300)

 気力 1100/1100(鬼人+300)

 魔力 950/950(鬼人+300)

 攻撃力 1060(鬼人+300)

 防御力 1050(鬼人+300)

 魔法力 950(鬼人+300)

 抵抗力 1050(鬼人+300)

 速度力 1080(鬼人+300)

 ランク C-

 固有スキル

 転移

 種族スキル

 猛毒生成Lv5.鬼人Lv3

 汎用スキル

 暗視Lv9.直感Lv7.観察Lv5.ジャマル言語Lv8.王威Lv3.眷属支配Lv2

 戦闘スキル

 体術Lv7.格闘Lv4.剣術Lv10.刀術Lv5.抜刀術Lv2.回避Lv5.

 戦技スキル

 魔闘術Lv5.気闘術Lv7.抜刀Lv4.大斬撃Lv5.二段切りLv4.薙ぎ払いLv3

 魔力スキル

 魔力感知Lv7.魔力操作Lv5.無魔術Lv7.火魔術Lv5

 耐性スキル

 猛毒耐性Lv5.苦痛耐性Lv3.斬撃耐性Lv2.

 称号スキル

 ロミ族の長.剣士の才Lv8.王族Lv3.覇者Lv1

 SP 40

 ————————————

 

「これは…随分と鍛えている様子で」

「俺の前に跪くが良い」

 

 途端に俺の身体に重りが乗せられたかのような衝撃が駆け巡る。アイツの魔力の籠った声だ。声だけでこれか…勝てない。絶対に勝てない相手に歯向かってしまった。俺はその思いでいっぱいだった。

 

 俺は降りかかる重りを無視して、アガロの近くにまで行く。アガロもこの衝撃を感じているのかピクピクと体を揺らしていた。

 

「見逃してくれ…済まなかった。」

「そうだ…それで良い。俺の配下になるのであれば命だけは助けよう。」

 

 そうだ…此奴の提案を享受すればアガロも俺も助かる。…だが、それで良いのか?

 

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