GATE 稲荷様 彼の地にて、斯く戦えり   作:名無しのペロリスト

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マーキュリーさんが酷い目に遭います。
苦手な方はご注意ください。


アーマードイナリマークⅡ

 ロゥリィ・マーキュリーさんと遊ぶことになったので、最初は少し前に作った闘技場を貸してもらおうとしたが、多分耐えられなさそうなので自衛隊の演習場に変更する。

 

 彼女がどのぐらいの強さかはわからないが、そこなら周囲の被害を気にしなくても良いだろう。

 

 ちなみに戦斧で炎竜をぶん殴ったという情報は知っているし、かなり重そうだが見た目が格好良い。

 私も少しだけ貸してもらい、軽くブンブンと振り回してみる。

 特に問題なく扱えたけど、マーキュリーさんは目を丸くして驚いていた。

 

「貴女の武器でしょう? 何で驚くんですか」

「それを使える人は、あまりいないのよ。稲荷ちゃんは力持ちねえ」

「まあ、常人よりは力はありますね」

 

 取りあえず何度か振って満足したので、戦斧をマーキュリーさんに返す。

 比較対象が私と人類、あとは野生動物ぐらいしかいないが、それでも力持ちなのは間違いない。

 ただ物差しとしては微妙なので、曖昧に答えておく。

 

 写真だけでなくテレビカメラでも撮影されているので、IHKで生放送中である。

 それでも私は慣れているし、いつも通りにやるだけだ。

 

 狐っ娘の肉体に意味があるのか良くわからない準備運動をしていると、マーキュリーさんが話しかけてくる。

 

「稲荷ちゃんは武器は使わないのぉ?」

「全力で振るっても壊れない武器がないので、使えません」

 

 少なくとも地球の金属では無理だった。

 こっちの世界に、もし大丈夫な武器があれば、使ってみても良いかも知れない。

 私は何となく、マーキュリーさんの戦斧をじっと見つめる。

 

「あげないわよぉ」

「いりません。それも壊れそうですし」

「コレでも壊れるのぉ?」

 

 炎竜を殴りつけても曲がったり欠けたりしないのは凄いが、弾き返されたのだ。

 それ以上の勢いで叩きつけたらどうなるかわからないけど、何となく強度不足な気がするので、多分私の全力には耐えられない。

 

 まあ竜種や武器の硬さがどの程度かは、ちゃんと計測したことがないからはっきりとは言えない。

 それでもロケットランチャーでダメージを受ける炎竜を一撃で倒せなかった以上、マーキュリーさんの実力はある程度察しがつく。

 

 とにかく準備運動を終えた私は、少し離れてゴスロリの彼女と向かい合う。

 

「では、始めましょうか。マーキュリーさんからどうぞ」

「あら、いいのぉ? それじゃあ、……遠慮なく!」

 

 開始の合図を出した。

 するとマーキュリーさんは、戦斧を構えて勢い良く走り出す。

 人間よりも速いが、私よりは遅い。

 

「そぉれっ!」

 

 振るわれた戦斧を余裕を持って避けると、地面に当たった。

 次の瞬間、轟音と共に凄まじい衝撃波が起きて、大きくえぐれる。

 

「どんどんいくわよぉ!」

 

 まるで蝶が舞うかのように、重い戦斧を軽々と振り回す。

 私は黙って回避に専念するが、この程度なら当たってもダメージはなさそうだ。

 しかし、ガンガン殴られるのは好きではない。

 

「では、そろそろ私も動きますね」

 

 そう言って、戦斧をギリギリで避ける。

 さらにマーキュリーさんに急接近し、腹部に掌底を叩き込んだ。

 

「がはっ!?」

 

 ゴスロリの女の子が、出してはいけない悲鳴をあげる。

 苦悶の表情を浮かべて勢い良く吹き飛び、地面をゴロゴロと転がっていく。

 

「ごっ、ごめんなさい! 手加減はしたんですが!」

「だっ、大丈夫よぉ!」

 

 戦斧を地面に突き刺して勢いを殺し、体を捻って飛び上がる。

 そのまま、両足でしっかり地面に立った。

 

 ちょっと冷や汗をかいているが、それでも心底楽しそうである。

 今の手応えから貫通こそしていなくても、掌底を叩き込んだ腹部の骨は粉砕され、内臓も破裂しているはずだ。

 

 なのに口から血を吐きながらもマーキュリーさんは元気いっぱいだし、ちょっと引く。

 

(私はマーキュリーさんのような、戦闘狂じゃないし。もう終わっても良いんだけど)

 

 しかしマーキュリーさんは、腹部の傷が癒えたのか、大きく息を吸って再び私に襲いかかってくる。

 

「あははははっ! いいわぁ! 凄く楽しい!」

 

 発狂モードに入った彼女にドン引きする。

 しかし冷静に動きを見て、回避に専念した。

 

 また腹部に掌底を叩き込んでも良いが、さっきは少しやり過ぎてしまった。

 下手をすれば、腹に穴が空いてもおかしくはなかった。

 

(亜神は頑丈と聞いていたけど、肉体強度は獣や人間と同じぐらいに柔らかかった!

 気をつけないと、次はミンチより酷いことになりそう! ……だったら!)

 

 私はこんなこともあろうかと、特地に運んできた専用装備の封印を解くことに決めた。

 

 自身が直接ぶん殴るよりも、機械に任せたほうが威力を抑えられると思ったのだ。

 ようは拘束具なんだけど、こっちもやり過ぎると壊れる。

 

 だが神気を分け与えれば、自動で手加減してくれる優れモノだ。

 

 私は跳躍して戦斧の攻撃を避け、空高く舞い上がって大声で叫ぶ。

 

「ファイナルフュージョン! 承認!」

 

 別にライオンの巨大ロボットでも、プログラムドライブでもない。

 

 しかし私の承認を受け、自衛隊が万が一に備えて用意していたパワードスーツが起動する。

 

 それは格納庫から勢い良く飛んできて、私と空中で合体する。

 ガチャガチャと体の各部に装着されていく。

 

 正直、どんな状況で使用するのかわからない。

 私があらゆる状況や環境に対応できるのが悪いとも言うが、とにかく多種多様な合体を想定しなくてはいけない。

 

 なので色々な装着の実験や、各種データも取られている。

 パワードスーツ着脱シーンのまとめ動画も、何故か公式サイトにアップロードされていた。

 

 とんでもない再生数を叩き出していたが、それは関係ないので置いておく。

 とにかく私は、アイア◯マンのマーク7のような、無駄に格好良い装着シーンを終えた。

 

 IHKの取材陣や自衛隊員、それに見物に来た特地の人々、私の周りが外国の反応四コマみたいに、おおーっと感嘆の声を漏らしている。

 

 なお、私のパワードスーツは自衛隊よりもゴツくはない。

 

 見た目はブル◯アーカイブのアーマードアリスだ。

 理由は、私のパワーに耐えられる装備が地球上に存在しないからである。

 

 なので、できるだけ長持ちするようにバックパックユニットをメインに運用し、各部に装着するモノも、あくまでもサポートに留めていた。

 

 それでも神気を極僅かだが機械で制御し、推進剤の代わりに利用したりはできる。

 超ロングレンジの荷電粒子砲モドキも撃てるし、さらにはバリアも張れるのだ。

 

 青白い翼を展開中は、質量のある残像を生み出したり、リミッターを解除して短時間だが通常の三倍まで出力を高めたりと、やりたい放題である。

 

 当然のように膨大なお金や資材や人材が必要になった。

 なので、誰がここまでやれと言ったとツッコミを入れるというか、叱りつけたこともあった。

 

 だが無理な使い方をすれば壊れるわけで、良くわからないモノを良くわからないまま使っているのが現状である。

 今の人類の技術では神気の完全制御は夢のまた夢であり、私が抑制や調整をして何とか動かしていた。

 

 それでも直接力を振るうよりかは、手加減という点ではマシに思えた。

 

 

 

 なお、そんなトンデモ兵器が使えるのは地球上で私だけだが、別に装着しなくてもそのぐらいはできる。

 

 しかし拘束具にしかなっていないし、機械に制御させたほうが楽ではあった。

 マーキュリーさんがいくら自己治癒能力が高いからと、肉塊に変えたいわけではないのだ。

 

 ちなみに装着時には、巫女服からピッチリスーツに早着替えするシステムも組み込まれている。

 そちらの服も高性能なので、機能的で理に適っているらしいが、開発者の趣味が多分に含まれているのは間違いなかった。

 

「変身したぁ!?」

「アーマードイナリ! マークⅡです!」

 

 ちなみにだが、マークⅠは実験の途中で爆発四散した。

 

 最初はペロリストの考えた最強の稲荷神様を再現しようとした結果、重武装ハイパワーのコンバットフレームが出来上がったが、私の操縦技術とエネルギーの供給過多で限界を越えてしまう。

 流石に『AMSから、光が逆流する! ギャアアアアアアアッ!』とはならないが、緊急時に咄嗟にキャストオフして難を逃れた。

 

 まあたとえ至近距離で爆発しても、私は無傷でピンピンしているが、もし人間のテストパイロットだったら、無事では済まないどころか即死だ。

 

 とにかく様々なマークⅠの反省を活かして、欠点を改良した結果がⅡである。

 各部の情報伝達をよりスムーズにするためのピッチリスーツと、動きを阻害しないようにゴテゴテのフルアーマーではなく、バックパックユニットに変更された。

 

 さらに過剰エネルギーを外部に逃すことで、オーバーフローを防止する。

 その際には青白い翼が展開されるが、ちょうど今の私だ。何処のV2ガンダムだとツッコミを入れたい。

 

 

 

 それはそれとして、マーキュリーさんが心底楽しそうな顔をしている。

 多分だが、ペロリストたちの脳内には各々のテーマ曲が流れている。

 

 そして空中で特に意味はなく翼を羽ばたかせ、ホバリングしている私を見上げていた。

 

 だがにっこり笑顔を浮かべたあと、両足に力を入れて勢い良く飛びかかってくる。

 

 私は冷静に動きを読み、青白い光の翼を動かして、自分を守るように包み込む。

 展開した障壁が、マーキュリーさんの戦斧と衝突した。

 

「防いだ!?」

「バリアーです!」

 

 マーキュリーさんが振り下ろした戦斧が弾かれた。

 彼女は飛べないので、地上に落下していく。

 しかし、ただで帰すつもりはない。

 

「狙い撃ちます!」

 

 背中に取りつけてあるランチャーを切り離して構え、さらに両肩のライフルを動かして狙いを定める。

 マーキュリーさんはまだ空中に居るので、そこまで自由には動けない。

 

 AIが思考を読んだり、周囲の状況や発言から自動で補助してくれるので楽でいい。

 

 だがはっきり言って、地上で使ったら威力が高すぎて更地になってしまう。

 なので迂闊には撃てないが、不死身のマーキュリーさんが空に居てくれて良かった。

 

「ちょっ、まっ──」

 

 マーキュリーさんが慌てて何か言っているが、待たない。

 極太のビームなのか荷電粒子なのか、技術者から説明を聞いても良くわからない光熱の何かが、ランチャーだけでなく両肩のライフルからも一斉に放出される。

 

「光になれええええっ!!!」

 

 マーキュリーさんは言葉通り、眩い光りに包まれた。

 自身の機体が耐えられるほどの出力だし、彼女なら死にはしない。

 

 それに咄嗟に戦斧を振り回して、威力を軽減したようだ。

 だがゴスロリファッションどころか、全身はボロボロで煙が出ている。

 

 ただ謎の光線は空の彼方に消えていったので、星に当たる前に消えてくれることを切に願う

 

 とにかく負傷して焼け焦げたマーキュリーさんは、地上に落ちていく。

 

『Clock Up』

 

 一時的にリミッターを解除すると、このためだけに使われる音声が流れる。

 狐っ娘のボイスを合成音声っぽく加工しているらしいが、もっと別にすることあるだろと思う。

 

 だがそれはそれとして、通常の三倍近い出力で空を飛び、彼女を追撃した。

 

 保って数分なうえ、タイムオーバーのあとは冷却のために機能停止するが、正直生身のほうが強いので問題はない。

 

 

 とにかく、辛くも両足で着地して息を整えるマーキュリーさんに追いついた。

 私は回復などさせるものかと、空から勢い良く殴りつける。

 

 ここはブレードを使うべきではと思いはするが、所有しているのは対艦刀だ。

 どうやら研究開発したペロリストたちは、ゴツい武器を振り回す狐っ娘が見たいようで、展開すると無駄にバカでかくなる。

 

 ゆえに、受けそこなったら大地が二つに割れるし、彼女の武器ごと真っ二つに両断どころか、肉片になる可能性がある。

 流石にそれはちょっとと自重して、ステゴロになったのだ。

 

 

 そういうことで、ドゴオと重い音がした。

 マーキュリーさんが地面にめり込み、小さなクレーターができる。

 

 衝撃波が発生して、盛大に砂煙が舞う。

 私は宙を舞って距離を取り、空中で砂埃が収まるまで待つ。

 

 やがてマーキュリーさんはヨロヨロと起き上がって、不敵な笑みを浮かべた。

 

(凄いやる気だ。でも、これなら大丈夫かな)

 

 何が大丈夫かは、私にもわからない。

 しかし、彼女はまだ戦意は失っていなかった。

 

 なので私も地上に降り立ち、アーマードイナリマークⅡをキャストオフする。

 

『Clock Over』

 

 リミッター解除の反動で、しばらくはまともに動かせない。

 荷物にしかならないため、ここからは生身で相手をさせてもらう。

 

 私は呼吸を整えて適当な構えを取り、続いて八の字の軌道を描いて身を捻る。

 その状態で、ゆっくりと彼女に接近していく。

 

 当然、戦斧による攻撃が来た。

 負傷しているせいか動きに切れがなく、危な気なく回避する。

 

 その隙を突いて、漫画で見たことのあるデンプシーロールを叩き込んだ。

 

 見様見真似だが、マーキュリーさんを一方的にフルボッコにしていく。

 それでも戦意喪失はせずに、武器も落とさないのは大したものだ。

 

 しかし、やがて顎に良いのが入る。

 足がふらついて倒れそうになったが、彼女はそれでも耐えた。

 

 だが、もう立っているのもやっとの状態なのは、誰の目にも明らかだ。

 

 相手をいたぶる趣味もないので、私は腰に力を入れて強く踏ん張った。

 そして全く意味はないが、両手を大きく広げたあと、右拳に狐火をまとわせて大声で叫ぶ。

 

「バーンナックルッ!!!」

 

 正面にかっ飛んだ私は、真っ赤に腫れている顔面に、男女平等パンチを叩き込んだ。

 彼女は成す術もなく吹き飛んで宙を舞い、やがて錐揉み回転をしながら頭から地面に落下した。

 

「でっ、でたー! 稲荷神様! 渾身の右だー!」

「イ! ナ! リッ! イ! ナ! リーッ!」

 

 私個人としては、バーンナックルなのかギャラクティカマグナムなのか、どっちなんだいだ。

 しかし、試合を見ている人たちにとっては、どっちでも良いらしい。

 

「マーキュリー選手! ダウン! ワン! ツー!」

「おーっと! レレーナさんがタオルを投げた!

 決着ーッ! 稲荷神様の勝利! 試合終了です!」

 

 何だかいつの間にか、外野が大盛りあがりで騒がしい。

 それと、レレーナさんはボクシングのルールをいつの間に覚えたのやらだ。

 

 とにかく私はマーキュリーさんの意識を完全に刈り取り、ダウンを奪った。

 

(まあ私も見習いだけど神だし、七十億人が信仰してるし)

 

 マーキュリーさんや上司が、どのぐらい信者がいるかは知らない。

 だが私だって地球では、七十億人が信仰している神の一柱だ。

 

 ただし全員がペロリストではないし、熱心でない人もいる。

 あとは数字は、大体そのぐらいで多かったり少なかったりする。

 

 とにかく元々は神としてはクソザコナメクジにも程があるが、地球の人々の信仰心が加算されて強化されたのだ。

 

 結果、倍ぐらいの年齢のマーキュリーさんを圧倒したわけだが、これで負けたら地球代表として信者たちに顔向けできない。

 

 なので内心ではヒヤヒヤして、勝てて良かったと安堵の息を吐く。

 

 

 

 あとはマーキュリーさんの傷は、すぐに癒えると聞いている。

 しかし、目覚めるのはもう少しかかるだろう。

 

 何処から持ってきたのか、カンカンカンとゴングが鳴らされ、何故かその場に居た審判がKO宣言を行う。

 

 こうしてマーキュリーさんとの喧嘩ごっこは、私の勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 医務室に運ばれたマーキュリーさんはすぐに治療を受ける。そのはずだった。

 だがその前に、全身の傷が塞がってしまう。

 とんでもない回復能力に驚くが、悪人に捕まったら人体解剖されそうで大変危うい。

 

 私も大概だが、日本の最高統治者という立場に守られている。

 しかしマーキュリーさん、魔法が使えるレレーナさん、エルフのテュカさんなどは、地球では安全は保証されていない。

 

 おまけに日本は帝国と戦争状態だ。

 無関係な一般人に手を出すことはないだろうし、表向きは禁止している。

 

 だが何処にでも自分こそが正義だと主張して私刑に走る者は居るし、国内に侵入した外国の工作員などに、拉致される可能性もあった。

 

 まあつまり、ないとは思うが門の向こうに来るのは危険ということだ。

 遺族の気持ちを考えると、歓迎ムードは難しいと考えている。

 

 それに彼女たちも、銀座事件からさほど日が経っていないのに、色んな意味で危険な日本へ行きたいとは思わないだろう。

 

 頼むからこっちに来ないでくれと、日本の最高統治者である私は切に願った。

 もし来訪したら、絶対に面倒なことになるのが確定しているからだ。

 

 

 

 ちなみに定期的な見回りを終えた私は、さっさと門の向こうの家に帰った。

 マーキュリーさんがいつ目覚めるかわからなかったし、それまで待っているのは面倒だからだ。

 

 しかし実家に帰った次の日、私は再び特地に向かうことになる。

 

 理由はイタリカの街に竜の鱗を売るついでに、交易ルートの構築や情報収集をしに行った自衛隊が、盗賊に襲われたからだ。

 

 どうやら敗走した帝国軍が街を襲っていて、自衛隊も巻き込まれたらしい。

 さらに何故か皇族が防衛戦の指揮を取っているなど、状況が混沌としてさっぱりわからない。

 

 だが向こうの偉い人が出張って来てるなら、ちょうど良かった。

 孤立した小隊の援軍に向かうついでに、ちょっと行って顔見せしておこうと考えたのだ。

 

 ここで皇族を助けて街を守りきれば、帝国との講和が開ける可能性がある。

 

 なお日本の最高統治者としては正直、特地には関わりたくない。

 得られる利益や情報、資源やファンタジー万歳に興味がないと言えば嘘になるけど、それ以上に面倒を被る可能性が高いのだ。

 

 なので特地のことは特地の住民に任せて、さっさと帝国との戦争を終わらせてアルヌスの丘を返還し、全軍を日本に撤退させたかった。

 

 特地の利益云々の交渉は、私なしでやってもらいたい。

 そもそも自分は参加する必要ないし、事あるごとに引っ張り出されたくはなかった。

 

 だが帝国との戦争が終結すれば、あとは日本政府に丸投げして、外交問題を解決してもらえばいい。

 

 無駄な犠牲も出ることはなくなるので、時間をかけてゆっくり受けた傷を癒やしていけば、やがては万事解決できるだろう。

 

 しかし現実には、そうはなっていない。

 ゆえに、私が出張る必要はないが、自分が動いたほうが一番手っ取り早く片付く。

 犠牲を最小限にできるのだ。

 

 そして人工衛星で敵の動きは常に把握しているので、盗賊がイタリカの街を襲っていることも掴んでいた。

 

 ただ、予想以上に数が多い。

 まるでジオンの残党のように、何処に隠れていたのか次から次へと湧いて出てきたのだ。

 

 もちろん特地に派遣された自衛隊だけで対処は可能だが、帝国との戦争を早めに終わらせるために、私も急ぎイタリカの街に救援に向かうのだった。

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