なんとかすぐに『最新話』を無事に更新をすることが
できました‼︎
今回は『9170文字』まで頑張って書きましたが
豆腐のようなクソナメクジメンタルの自分はきちんと
面白く書けているのかとても心配になります……(汗)
少なくて本当にすみません……(笑)
【お気に入り】や【しおり】、【投票】そして
【感想】などいただければ豆腐のようなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます。
面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。
最後まで読んでいただければありがたいです‼︎
次回の更新の予定は『新年度』の予定となりますので
よろしくお願いします‼︎
【注意】
投稿をしている作者さんご本人様に連絡などを取って
この作品を投稿していいのかと相談などを話し合って
『投稿許可』をしっかりともらってます。
「これ、うちの番号だ。何かあったら連絡してくれて
いいぞ」
京都で出会った女の子、名前も知らないそんな彼女と
『ある約束』をした俺は別れ際に連絡先を書いてある
一枚の紙を渡した。
妹のため、母親のため、必要とされる人間になろう。
そんな子供らしい約束を目の前の彼女とした。
「ありがとう風太郎くん」
花のような満開の笑顔の彼女ともう一度会えたなら。
そう思って彼女に渡した連絡先が俺たち二人の人生に
あれほどの影響を与えてしまうとはその時はまったく
想像もしていなかった。
上杉家の朝はいつも通り慌ただしい。
「お兄ちゃん、ご飯の時間は勉強しない!」
俺がいつも通りに勉強をしながら、食事をしてると
妹のらいはからいつもの同じ説教をするそんな周囲
から声が聞こえてくる。
しかし、そんなことで手に持っている英語の参考書と
シャーペンを手放したりなどは一切せずにゆっくりと
丁寧に参考書のページをめくってさらに読み続けて
勉強を続ける。
「そうだぞ風太郎、勉強ばかりをするんじゃ
ありません」
なぜか間違っている言葉を言ってくる親父。
しかし、俺は気にしたりしなどしない。それに俺から
したら、このやり方のほうが手っ取り早いし、何より
効率などが上がって、とても良いのである。
そして、
「風太郎、勉強はご飯を食べ終わってからにしよう。
みんなで一緒に食べたほうがご飯も美味しいよ」
「………分かったよ」
隣に座っている四葉も優しい声でそう言ってきたので
俺は観念して仕方なく、勉強をする手を止める。
「いただきます!」
「いただきます」
俺と四葉は一緒に手を合わせてそう言うとちゃぶ台に
並べられている目の前にある彩りのよい様々な料理に
箸を伸ばして口の中へと運んで食べると箸はどんどん
進んでいって、俺は手を止める事なく舌鼓を打って
朝から気分が良くなり気が付けば、ちゃぶ台の上に
あった残りの料理を全部食べ終わっていた。
「ふぅ……ごちそうさま」
「あ、お皿はこっちに置いといて。そんなに量はない
みたいだから、こっちですぐに洗っちゃうから」
「ああ、分かった」
四葉がそう言ってきたので俺は四葉の言う通りに自分
が食べた皿や箸などの食器をまとめて台所のキッチン
へと向かって、四葉に渡す。
「ふんふ、ふんふふーん♪」
すると、四葉は機嫌が良いのか、楽しそうに鼻歌を
口ずさみながら、俺の食器と四葉が食べた食器など
丁寧にしながらきれいに洗う。それが終わった後は
忘れ物がないかを通学用のカバンの中身に入ってる
道具などの最終確認をしていた。
「学校に行ってくる」
「らいはちゃん。行ってくるね!」
「お兄ちゃん。四葉お姉ちゃん。気を付けてね!」
俺と四葉はらいはにそう言って声を掛けるとらいは
はいつも通り明るく大きな声を出して右手を上げて
ぶんぶんと元気よく振りながら、家の中に入らずに
俺と四葉の姿が見えなくなってしまうまで見送って
いた。
そしてその見送りの声を聞いて家を出た俺と四葉は
いつも通り二人で一緒に通っている学校に登校する。
「さて、今日は何の科目をやろうか?」
「この前の小テストで英語がよくなかったから
その辺りを詳しくお願い」
始業前の時間に四葉から頼まれて勉強を見ている。
俺は高校入学以来テストは満点で学年一位なのだが
四葉はどの科目も90点近く取っており、毎回10位
以内には入っているからかそれほど気にする必要も
ないほどの成績なのだ。
「この単語はこの並びの場合、名詞ではなく動詞に
なってくる。それを文章にしたその時におかしい訳
になってるわけだ」
「そっか。ありがとう風太郎」
そうして、授業などが始まるまでの間、俺と四葉は
誰も来ていない桜が舞い散っている静かな朝の教室
で二人で一緒に勉強を続けた。
「風太郎、そろそろお昼だから一緒に食べよう」
「ああ、いいぞ」
俺がさっきの英語の授業で出てきた問題のおさらい
やまだ授業でやってもいない問題の予習がたった今
終わったそのタイミングで四葉が俺を昼食に誘って
きてくれたので俺は四葉からのその誘いをOKした。
「やった! それじゃあ、早く行こう!」
四葉は満開に咲かせるようなそんな優しい笑顔で
はしゃぎながら、弾むような声でそう言って元気
よく教室から出て学食へと向かって走っていく。
「風太郎、早く! 早く!」
四葉は大きな声で俺の名前を呼んでこっちに来るよう
にと元気よく手招きをしてくる。
「お、おい、四葉。あまり廊下を走ると危ないぞ!」
「あ、そうだった。風太郎ごめんね」
「まったく……気を付けろよ」
俺がため息を吐きながら四葉にそう言うと四葉は
足を止めて俺の方に視線を向けて「あはは……」
と申し訳なさそうな表情をしながら俺に謝ってきた。
「別にいいよ。それにそんなに慌てなくても学食は
逃げも隠れもしないから安心しろよ」
「っ! ふ、風太郎……こ、これって……」
風太郎は四葉のきれいでサラサラとした短い蜜柑色の
ボブカットの髪といつも頭に付けている四葉にとって
のトレードマークであり、お気に入りの緑色のうさ耳
のリボンごとその頭をそっと撫でながら優しく言うと
四葉は顔はリンゴのように真っ赤にして下にうつむき
ながらも、風太郎の名前を口にしながらなぜなのかは
分からないが、嬉しそうなそんな緩んだ表情をして
くすぐったそうに微笑んでいた。
「あっ……え、えへへ」
あまりにも嬉しかったのか、四葉は頬をふにゃりと
緩ませて表情も笑顔になって、無意識にも声が出て
笑ってしまっている。
「あれれ? 四葉の顔が随分と真っ赤になっている
みたいだけど、もしかして四葉と上杉君の二人って
付き合っているのー?」
「え? そうなの⁉︎」
「…………ふ、ふぇっ?」
同じクラスの女子生徒たちが俺たちのそんなやり取り
を見ていたのか、面白そうにニヤニヤしながら四葉に
質問をすると四葉は驚いた表情と間の抜けた情けない
そんな声を無意識に出していた。
「わ、私とふ、風太郎はつ、付き、合って……
あ、あうぅぅぅぅ……」
四葉が同じクラスの女子生徒の言葉で真っ赤だった顔
がさらには真っ赤になっていて、しかも羞恥心などで
混乱してしまって思考などが停止してしまったのか、
頭からはパンクしたのか煙がプシューと音を出してる
ように見えた。そして混乱しているのか頭の中などが
ぐるぐると渦巻いていた。
「お、おい、四葉……?」
俺は心配になって四葉に声掛けて名前を呼んでみるが
どうやら今の四葉には俺の声は聞こえていないみたい
だった。
しかも、急いで周囲を見渡してみると視線が俺と四葉
に集まってしまっているのだ。というか、間違いなく
注目されて集まっている気がする。
急いでここから離れなければ間違いなく面倒な事に
なるだろう……。
「早く学食にいくぞ。四葉‼︎」
「え? あっ、風太郎! ま、待ってよ‼︎」
風太郎が素っ気なく四葉にそう言いながら学食にへと
向かって歩いて行くと、そんな風太郎の行動にやっと
気が付いた四葉は急いでついて行く。四葉のその姿は
まるで子犬のようにすたすたと急いで風太郎の後へと
ついて行った。
ちなみに後ろでは俺たちと同じ学年の女子生徒たちが
俺たち二人のそんなやり取りを見た後、「きゃー‼︎
やっぱり、あの二人ってそういう関係だったのね‼︎」
とか勝手にそう言って騒いでいるそんな黄色い歓声の
声が嫌でも聞こえた。
なぜそんなにも騒いでいるのか、そしてなぜ四葉は顔
を真っ赤にしながら満更でもないようなそんな表情を
してた。なぜ四葉がそんなにも嬉しそうな表情をして
いるのか、その時の鈍感過ぎる俺にはまったくもって
わからなかった。
俺と四葉は学校が終わった後の放課後、一緒に家に
帰るが、その途中でいつも見慣れて通い慣れている
コンビニに立ち寄っていた。
「風太郎、オレンジジュース買ってもいい?」
四葉がオレンジジュースを買っていいかどうか視線を
俺の方へ向けて俺に確認をするかのようにはしゃぎ
ながら聞いてくる。俺と四葉にとって、この会話は
いつも通りのそんな当たり前の定番のやり取りの一つ
なのだ。
「一本だけだぞ」
「それじゃあ風太郎が飲めないよ?」
「俺は別にいらねえよ」
「そうだね。二人で分ければいいもんね」
「おい、だから俺は──」
「それじゃあ、行ってくるね!」
俺は四葉にそう言うが、四葉は俺の話を聞かずに笑顔
でそう言った後、お目当てであるオレンジジュースを
求めてそのままコンビニの店内へ進んで入って行く。
「……まったく、相変わらずだな」
俺は軽くため息を吐きながら、そう呟いて仕方なく
四葉が戻ってくるまでコンビニの駐車場に移動して
学校の授業であった内容をもう一度、復習をしよう
といつも使っている英語の参考書などを取り出そう
としていると
「ねえ、少しいいかな?」
「ん? 俺か?」
「うん、君に用があってね」
声が聞こえたので俺は声がする方へと視線を向けると
駐車場に立っていたのは、この辺りでは随分と珍しい
セーラー服を着た女の子。確かお嬢様学校で有名な
黒薔薇女子だったはずだ。
「ナンパってわけじゃないよな。何の用だ?」
はっきり言って俺の容姿はあんまり女子受けしない。
妹のらいはにセットをしてもらっている黒い短髪で、
頭頂部に新芽のようなそんなくせ毛があるこの髪型で
こんな容姿なのだが、四葉はそんな俺の容姿や髪型
などをカッコいいとそう言ってさらに褒めてくれるが
それほど自惚れてはいない。
「一緒にいた子のこと、教えてくれないかな?」
「はぁ……ぁ!」
……お、おい、うそだろ。
気の抜けたそんな声を出しながらも返事をしよう
とした瞬間、思考が停止をしてしまった。
なぜなら、そこにいたのはいつものように見慣れてる
四葉と同じ顔の女の子たちが、四人も目の前に立っていたからだ。
「どういうことだよ、これは?」
俺が目の前のこの状況に驚いて理解が出来ずに困惑
していると、
「知らない? そんなはずないよね。
私たちの大切な妹を奪ったくせに!」
ぱっつんの前髪でそして髪の色はショッキングピンク
の長いロングヘアーで黒い蝶のまるでカラスアゲハの
ようなリボンを左右に着けているツーサイドアップが
特徴的な髪型をした女の子が俺に視線を向けながらも
明らかに攻撃的でやけに棘のあるそんな言葉と怒声を
投げてくる。
「二乃、待って。……さっきも言ったんだけど、
さっき一緒にいた子のことを教えてくれない?
あの子、四葉だよね?」
最初に俺に話しかけてきた、四人の中でも一番髪が
短かくて、右耳には銀のピアスを付けている髪の色が
オーキッドピンクでアシンメトリーのショートヘアー
の女の子だ。
「四葉の家族、なんだな。わかった、話すよ、
ただ辛いことになるぞ」
「辛いってふざけないでよ、家族がいなくなること
よりも辛いことなんてないわよ!」
俺が四葉と同じ顔の女の子たちに最初にそう言った
次の瞬間、二乃と呼ばれたその女の子がキッと睨み
付けてこちらへと詰め寄って来て、俺のシャツへと
掴みかかってきた。
「二乃、やめなさい!」
「だってコイツが!」
「風太郎お待たせ!」
彼女たちが大声を上げて俺の目の前で言い争っている
そんな時、元気で明るくいつも聞き慣れているそんな
声が聞こえてきたので俺はすぐに視線をその声がする
方へ移すと、そこには四葉がいた。そして、お目当て
であるオレンジジュースが入ったコンビニ袋を片手に
揺らしながら、上機嫌の笑顔でコンビニから出てきて
俺の名前を呼んでいた。
そして、何も知らない四葉はすぐに俺の方へと視線を
向ける。
俺のシャツを掴んでいるニ乃って呼ばれてた女の子の
そんな姿を見たその瞬間、あれだけ嬉しそうにしてた
四葉の表情からは感情が消えて瞳からもハイライトが
消えていた。
「風太郎に何してるの?」
四葉は風太郎に手を出してるニ乃を睨み付けながら、
怒りのこもった冷たいそんな視線を向けて低い声で
質問をしていた。
「ッ‼︎ おい放せ、俺から離れろ!」
最悪のタイミングだ。四葉は今コンビニで買ってきた
オレンジジュースが入っているそのコンビニ袋から手
を離して、そして陸上部からスカウトをされるほどの
ダッシュをして、二乃を蹴り飛ばそうと中段蹴りを
放ってくる。
「……え?」
「くっ……‼︎ 上手く避けろよ!」
俺は四葉と二乃の間に体をねじ込んで左腕で四葉の
蹴りを受け止める。硬い靴底が当たったその衝撃に
耐えながら俺の姿を見て動きの止まったそんな四葉
の華奢な身体を強く抱きしめる。
「四葉、大丈夫だ! 俺は大丈夫だから!」
「あ、ふ、風太郎……?」
「そうだ。大丈夫だから落ち着いてくれ」
「私また……ごめんね風太郎」
四葉の体から力が抜けたのかその場に座り込んで
しまった。家族を傷つけられると自制が利かなく
なる四葉は、中学時代に習った空手で攻撃をして
しまうのだ。
以前に不良が俺に喧嘩を売ってきた時に、同じように
空手を習っていた俺は手出しを控えようとしていたら
それを見た四葉がキレてしまって肋骨を折るほどの
そんな蹴りをその不良に容赦なく入れてしまったこと
があるのだ。
「四葉、怖かったんだな。大丈夫、俺は四葉の目の前
からいなくならないから」
「ごめんね風太郎。ごめんね」
涙を滲ませながら俺に謝る四葉の背中をゆっくりと
さすっていると、呆然としていた二乃と呼ばれていた
女の子をアシンメトリーのショートヘアーの髪型の
女の子が立たせて俺たちの元まで近づいてきて申し訳
そうな表情をしながら頭を下げてきた。
「ごめんなさい。そちらの事情も聞かずに勝手なこと
を言ってしまって」
「そうだな。出来れば出直してもらえるとこちらと
してもありがたい」
「そうするよ。名前と連絡先を教えてもらえる?」
「上杉風太郎、旭高校の二年だ」
風太郎はそう言って、シャーペンを取り出していつも
勉強に使っているノートのページの端に自分の名前と
携帯の番号などをスラスラと書いて、そしてそれを
切り取って彼女に手渡した。
「ありが……上杉、風太郎、くん?」
「ああ。そっちは、名前くらい教えてもらえるか?」
「……中野一花。黒薔薇女子の二年」
アシンメトリーのショートヘアーの髪型の女の子、
中野一花と名乗った女の子はそう言って、風太郎が
書いた自分自身の名前と電話番号などが書いてある
その紙の切れ端を受け取った。
「一花、なんで引き下がるのよ?」
二乃はどうやら素直に引き下がる一花のその対応に
納得がいかなかったのか、不満そうな視線を一花に
向けて突っかかる。
「今、無理に連れて行こうとしたらさっきみたいに
なるよ。彼が助けてくれなかったらきっと転ぶ程度
どころじゃ済まなかったと思うけど」
「……わかった。あんた、逃げるんじゃないわよ!」
二乃という女の子は俺に視線を向けて、鋭い目付きで
睨み付けるようにそう言ってきた。そんな彼女の言葉
や言い方はまるで悪役の捨て台詞だ。
一花と二乃の二人が離れて行くと、一緒にいた二人、
青いヘッドフォンを首にかけた赤茶色のセミロングの
髪の女の子と、ウェーブのかかった長いスカーレット
の髪で前髪の左右に星の髪留めを着けているアホ毛が
生えてる女の子がその後を追いかけてその場を去って
行く。そして、どうやら四葉も泣き止んで落ち着いた
ようなので声を掛ける。
「とりあえず帰るぞ、四葉」
「うん。ねえ風太郎」
「どうした?」
「風太郎は一緒に居てくれるよね……?」
「四葉が嫌って言わない限りずっと一緒だ」
四葉は不安そうな表情でまるで確認をするかのように
そう聞いてきたので、俺は四葉にそう言って四葉の頭
を撫でてやると、安心をしたのか四葉は嬉しそうに
微笑んでいた。どうやら少しだけではあったが元気が
戻ったようであった。
その後、力が抜けて座り込んでいた四葉をゆっくりと
立ち上がらせてから、その場に転がってるコンビニで
買ってきたオレンジジュースの入っていたコンビニ袋
を拾い上げて、一緒に家に帰ろうとしていたその時、
「あ、あの、ふ、風太郎……」
「ん? どうかしたか?」
四葉が俺の名前を呼んできたので、振り返ると四葉が
両手で俺の右手をギュッと強く握っていた。
「四葉?」
「あ、風太郎、ごめん……」
俺が四葉の名前を呼ぶと四葉は俺の声に反応したのか
握っていたその両手をすぐに離して引っ込めながら、
今にも泣き出してしまいそうな不安そうなそんな表情
しながら、小さな声で申し訳なさそうに謝っていた。
「………」
「風太郎……?」
四葉が驚いた表情をしながら俺の名前を呼んでいたが
俺は四葉のそんな声を気にせずにさらに近づいて四葉
の手を握った。すると四葉は驚いたような表情をして
いたが俺はそんなことは気にせずに四葉の震えている
その手をさらにギュッと強く握りしめた。
「て、手を離すなよ……」
「っ……風太郎……あ、ありがとう……」
俺は不器用に四葉にそう言って四葉の震えてるその手
を決して離してしまわないようにしながら四葉の手を
取って歩いてると、四葉は俯きながらもさっきよりも
小さな声でそう囁くように言ってたのが聞こえてきた
瞬間、どうしてかは分からないが、俺の顔や耳が一瞬
にして真っ赤になってしまったせいなのか、四葉の顔
を見ることが出来なかった。
そんな恥ずかしくて情けないそんな素顔を出来るだけ
四葉に見られてしまわないようにしながら、俺たちは
一言も発さずそのまま一緒に家に向かって帰った。
五年前、京都で出会った俺たちはその半年後、
予想もしない形で再会を果たした。
ある日突然、警察から電話がかかってきたのだ。
その内容は警察が保護した子供が記憶喪失で、唯一の
手がかりが持っていたメモ用紙に書かれた俺の名前と
連絡先だったからだ。
彼女は自分の『
名前である『
憶えていたらしく、それを知った俺は居ても立っても
居られず、急いで彼女がいる警察署に向かった。
『───っ!』
『の……のわッ⁉︎』
彼女は久しぶりに俺の姿を見るなり、小動物のように
身体を小刻みに震わせながら、躊躇うことなく全速力
の速さで、迷うことなくこちらへ近づいてきてすぐに
俺の右腕に容赦なくぎゅっとしがみつくように力強く
抱きしめてきた。
『え、えっと、おい……』
『うぅっ……ひっぅ……風太郎……風太郎ぉ……
こわかった……こわかったよぉ……』
『っ──!』
俺の思考は止まり、言葉を失くしてしまっていた。
今まで心細くて不安だったのか四葉は人目も憚らずに
顔をくしゃくしゃにして、さらに涙をぽろぽろ流して
嗚咽を漏らして、ただひたすらに何度も何度も俺の下
の名前を絞り出したような、そんな弱々しく必死な声
を口にしながら、決して俺の側からは離れようとすら
しなかった。
俺から見たその時の四葉は”
そんな怯え震える彼女の姿を見てその手を振り払って
見捨てるなんてそんな選択肢はその時の俺にはとても
じゃないが考えられなかったし、そして出来るはずも
なかった。
『安心しろ。俺はここにいるから』
『風太郎……風太郎とずっと、いっしょがいい……
風太郎と……離れ離れになって、ひとりぼっちに
なってしまうのは……いやだぁ、いやだよぉ……』
だから俺は目の前で涙をこぼしながら、泣いている
そんな優しい彼女の涙を止めようと彼女の頭を優しく
撫でながら、根拠のないそんな言葉を必死になって
口にしていた。
その時の俺は少しでもそんな彼女の心の中の奥底に
深くこびりついてしまっているその恐怖や不安など
を気休めでもいいから少しでも取り除けるようにと。
その後、四葉はすぐに保護施設に預けられるのだが、
どうやら周囲の施設の職員たちに話しかけられる事は
あったらしいのだが、馴染めなかったのか警戒をして
自分から話に行こうともせずに一人でずっと泣いて、
いつも俺の名前を口にしていたらしい。俺が保護施設
まで来て顔を出した時だけはとても嬉しそうに笑って
普通に会話ができるようにまでなった。
だから俺は親父に彼女を引き取って欲しいと必死に
なって頼み込んだ。うちには多額の借金があり家計は
火の車でとても楽ではなかったし、生活するだけでも
精一杯であるって事は俺もそれは知ってはいたのだが
それでもと何度も頭を下げた。
すると親父は何度も必死に頭を下げる俺のその姿を
見て根負けをしたのか軽くため息を吐いて俺に視線
を向けて
『一つだけ約束しろ。絶対に彼女の味方でいるんだ』
真剣な表情で言ってきたので俺は四葉のためならばと
迷うことなく親父の言ったその条件に躊躇いなく縦に
頷いた。すると親父は俺の言葉と覚悟に納得をして
くれたのか、すぐに四葉を保護施設から引き取って
家族として上杉家に迎えてくれた。
『私は風太郎といていいの?』
『ああ。ずっと一緒だ、四葉』
四葉が震える声で俺に聞いてくるので、俺が四葉に
そう言うと、
『風太郎……ありがとう……』
その言葉に安心をしたのか、四葉はあの時と同じ笑顔
で嬉しそうに笑っていた。
その後は四葉の捜索願いは警察にも出ていなかった
らしく、以来五年間、四葉は俺たちの大切な家族の
一人として一緒に過ごしている。
「あいつら、四葉と同じ顔をしていた。
多分本当の家族なんだろうな」
自宅に戻った俺は不安そうにしていたそんな四葉を
先に休ませて、仕事から帰ってきた親父に放課後に
あったその時の出来事や内容などの一部始終の全部
を伝えた。
「そうか。とりあえず良くやった風太郎。
ちゃんと四葉を守ったな」
「あいつは俺たちの大事な家族だからな」
「ああ。それで四葉のことだが、どうやら知り合い
の娘らしい」
「どういうことだよ?」
親父の話によると四葉は親父のかつての恩師の娘で、
高校の同級生の子らしい。なぜ二人を別々に言った
のかはわからないが。
京都で出会ってからしばらくしてからか四葉の母親が
病で亡くなって、彼女は行方不明になってしまった。
警察に捜索願いを出したのだがミスがあったのか受理
されておらず四葉は見つからないままに五年が経った
のだという。
「お前はどうしたい?」
親父は真剣な表情で俺の気持ちを確認をするかの
ように問いかけてくる。
「……俺は」
「なぁ風太郎。ここからは大人として、子供を持つ
親としての言葉だ。四葉を家族の元に帰してやれ」
「親父!」
俺は親父のその言葉を聞いた瞬間、俺は親父の言葉
に納得がいかなくて知らないうちに立ち上がって、
親父に向かって感情的に大きな声を出して親父の
服の胸ぐらを掴んでいた。
「そしてここからは四葉とお前の家族としての
言葉だ、彼女の味方でいるという約束を守れ」
俺は親父のその言葉を聞いた瞬間、驚いたのように
目を見開いて、そして親父が俺に何を言いたいのか
伝えたいのかを一瞬にして理解した。
「わかった」
俺は掴んでいた手を離して親父のその言葉に素直に
返事をして強く頷いた。
この時の恋愛未経験で鈍感過ぎる俺には想像など
全く出来なかった。
”君”との衝撃的な出会いとそんな当たり前の日常がその時の俺にとって、とても大切で幸せなそんな日々だったという事を。
最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎
これからも皆さんが『応援』などをしていただければ
『更新』の頻度が更に上がるそんな可能性があるかも
しれません‼︎
『他の投稿作品』もあるので是非ともそちらも方も
楽しんで見ていただければ本当にありがたいです‼︎
それでは、2026年の新年もよろしくお願いします‼︎