本作を読んでくださる読者の皆様、ありがとうございます。
更新ペースが遅い作品ではありますが、これからもよければ目を通してください。
「ふぃー・・・学校の時にはアイツ等出てこないから助かるなぁ」
「確かに、無断で授業さぼったりすると大変だしね」
放課後となった陽月学園――
部活動をやる生徒達の声が聞こえる廊下を二人で並んで歩く零と優子はとある部屋の前で止まる。
入り口についているルームプレートには『特撮部』と書いてあった。
「しっかし、こうもあっさり承認されるとはなぁ」
「まぁ、事前に映研と話し合ってたからね」
特撮部のプレートを見ながらも呟く優子に零が答える。
零達特撮部の活動内容は『特撮の歴史の研究、そして映研と合同で自主製作映画を作る』と言うものだ。
当初は歴史研究のみだったのだが、それだけじゃつまらないと言う事で既にある部活である映研こと『映画研究会』と共に自主製作映画製作を加えている。
そもそも、零と愉快な仲間たちは陽月学園高等部の映画研究会の面々とは中学時代からの中でありボランティア感覚で映画撮影に協力していたのだ。
ちなみに主な理由は『アイツ等程アクションが似合う連中はいないから』だそうであり、その事もあってか自主製作映画の協力について映研の知り合いに頼むと速攻でOKが出たくらいである。
「プレートが付いてるって事は一輝達がいるみたいだね」
「そうみたいだな・・・おーい、遅れてワリィ!」
「あ、零さんに優子さん!」
「おぉ、来たか二人共!待ってたぞっ!」
「なっ、伊達先生!?」
「ど、どうしてここに?」
部室に入ると同時に綾乃が声をかけるのに続くように、当たり前の様に部室内にいた男性教師が声を上げた。
その姿を見て何故ここにいるかと驚いてしまう零と優子。
教師の名は伊達 進(だて すすむ)、体育教師でありながらも映画研究会の顧問を務めている人物であり零と愉快な仲間達の面々とも顔なじみである特撮好きな男性教師である。
「はっはっは、実は俺が特撮部の顧問をやってやろうと思ってな!」
「えっ!?マジで!?」
「俺達は大歓迎なんだけど二人にも確認取っとこうと思ってな・・・どうする?」
「別に構わない、と言うか逆にありがたい位だね」
「確かに、俺達の話に付いてこれる人間じゃないときついしなぁ・・・」
「うっし、決まりだな!」
「そんじゃ、よろしくお願いしますね?伊達先生」
「ははは、良いだろう!」
進の言葉に驚く優子に対して一輝は彼が顧問でもいいと言い出す。
それに続くように頷く海斗と綾乃を余所に一輝が零と優子に尋ねると断る理由もないのでOKを出す。
それを聞いた海斗が声を上げると同時に一輝が進に対して言うと同時に、進は笑顔でサムズアップしながらも答えたのであった。
しばらくして・・・
「いやー、語りましたなぁ」
「はい、楽しかったです」
「なぁ、暇つぶしに今からゲーセン行かないか?」
「お、いいねぇ。行く行く!」
「零はどうする?」
「んー・・・ごめん、遠慮するよ・・・何かちょっと疲れちゃって」
特撮部の部室で熱く語り合った後、部室を後にする零と愉快な仲間達。
そんな中、一輝が提案をしてくるが零だけが断った。
「そっか・・・んじゃ、俺達だけで行きますか」
「了解です」
「んじゃ、また明日~」
『・・・いいのか?行かなくて』
「うん、ちょっとやりたいことがあって」
『やりたい事?』
「実は・・・総二達がツインテール部って言うのを作ってね・・・どんなのかが気になるから見に行きたくって・・・」
『・・・一体何をする部活なんだ?』
零がいかないと言ったので残念そうにする愉快な仲間達を見送る中でちょっと寂しそうにする零を見たスターが声をかけるとすぐに零は答える。
それを聞いてスターはどうするのか尋ねると、零はちょっと困った様子で答えるとスターは困惑した様子で声を上げた。
そんなやり取りをしながらも零は一人校舎の中を歩いていくと、慧理那と尊に出くわした。
「あら?諸星さん」
「っ?神堂会長、それに尊さんも・・・こんな所でどうしました?」
「あ、いえ。部活の活動の確認をと思いまして・・・その、ツインテール部の」
「そうなんですか・・・同行してもいいですか?僕も丁度ツインテール部に行こうと考えてたので」
「構いませんよ」
零も同行する形でツインテール部の部活へと向かうと、何やら部室内が騒がしかった。
何事かと思う慧理那と尊を余所に零が部室のドアをノックする。
「おーい、総二いるー?」
「あれっ、零?どうした?」
「ちょっと神堂会長が話があるんだって。入って大丈夫?」
「え!?ちょ、ちょっと待ってくれ!」
零の言葉を聞いて何やら慌てた様子で返した後、何やら部屋の中が騒がしくなる。
途中で何かが殴られるような音と妙な声が響いた事に慧理那が驚いていると、すぐに総二が『どうぞー!』と声を上げたので零と共に部室に入る。
部室に入った零はトゥアールがいた事に気づいて驚いてしまう中で尊がトゥアールを見て首を傾げる。
「っ?見慣れない顔だが・・・」
「あ、確か今日編入手続きをされた女生徒さんがいると聞いていたのですが、その方でしょうか?」
「あ、はい。そうです。実は海外から引っ越してきた俺の親戚で・・・正式に登校する前に学校を案内してほしいとせがまれちゃいまして」
「そうだったんですか・・・隅々まで陽月学園を見て回って、この学園を好きなってくださいね」
『・・・大丈夫だろうか?』
「・・・いざとなったら僕や優子が止めるよ」
首を傾げる尊に対し、トゥアールの事が心当たりがあったのか総二に尋ねると総二は頷いて答える。
その答えを聞いてトゥアールに微笑みながらも声をかける中で、スターが心配するのだがそれに対して零が小声で答える。
そして、零は年上でありながらも幼い感じがある慧理那に対しトゥアールが危害を与えようとしてきた時の為にトゥアールを警戒しているのであった。
そんな零の様子に気づかずに慧理那はそのまま総二に声をかける。
「突然すみません。申請があった部活新設の書類を見て、気になる事があったので直接確認をしてから新設許可を出させていただこうと思い伺いました」
「あ、いえ。こちらこそわざわざ来ていただいてすみません・・・」
「えと、部活内容は・・・ツインテールを研究し、見守っていく。これで間違いありませんか?」
「間違いありません」
「観束君、貴方はツインテールが好きなんですか?」
「はい、大好きです」
「・・・どうしてツインテールが好きなんですか?それも部活にするほどに・・・」
「っ?ツインテールを好きになるのに理由が要りますか?」
「あー・・・あの、会長。この部活って、何か問題がありますか・・・?」
「・・・いえ、問題ありませんわ。ツインテールを愛する部活なら、テイルレッド達を応援することとなりますから・・・あら?」
総二と慧理那とのやり取りの中で総二の頭が痛くなるような発言が所々にありながらも、恐る恐る愛香が尋ねる。
それに対し、慧理那は首を横に振って答えた。
そんな時、総二の腕を見て何かに気が付いた様子で慧理那は予想できなかった発言をしてきた。
「観束君、部室の中とはいっても派手なアクセサリーは校則で禁止されていますよ?」
「えっ!?」
「「「っ!!?」」」
慧理那の言葉に驚きを隠せない総二や零達。
慧理那が言っているアクセサリーはテイルブレスの事だと言うのはすぐにわかった。
けれども、テイルブレスにも認識攪乱装置が付いているので正体を知るもの以外は見える事は無いはずなのだ。
「テイルレッドの物と同じデザインですね・・・最近よく見かけますわ」
「あっ、確かによく見かけますね・・・前にガンバライトニングを一緒にやったお店にも売られてましたよね?」
「えぇ、そうですね。ですけど全部売り切れでしたわ・・・あの時のフィギュアだけが手に入っただけでも良かったですが・・・」
話題をそらそうと零が言った言葉に反応して少し残念そうにし始める慧理那。
その間に、愛香は念の為にと両腕を後ろに回してテイルブレスが見えない状態にしておいた。
そんな中で尊がふと壁についている時計を見て慧理那に声をかける。
「お嬢様、そろそろ・・・」
「っ、そうですね・・・それでは皆さん。ツインテール部の躍進を期待しています」
尊に声をかけられた慧理那は軽く一礼した後尊と共に部室を後にする。
二人が部室を後にして少し経ってから、零はトゥアールに尋ねる。
「あの、トゥアールさん。認識攪乱装置って確か他の人には見えなくなるんでしたよね?」
「え、えぇ!そのはずです!」
「じゃあ、どうして・・・あっ、もしかしてツインテール属性を持っている人間には効果が薄いとか、あるんじゃないか?」
「それだったら僕が見たらすぐにわかるでしょ?一応、僕にもツインテール属性はあるんだし・・・」
「あ、そっか・・・」
「原因はともかく・・・これはまずいですね。認識攪乱装置はお二人の生活に支障をきたさないようにする重要な装備・・・念のために今夜メンテナンスしておきますね」
零は慧理那にテイルブレスが見えていたと言う事態に困惑していたが、それは総二達も同じであった。
原因は考えても分からずじまいだった為に、とりあえずメンテナンスをしてみると言う事で話の決着はついた。
テイルブレスの件が終わった後、ふと零はある事を思い出して総二に尋ねた。
「そういえば総二、よくここを借りようなんて思ったね?」
「えっ?ど、どういう事ですか?」
「えっと、僕の友人から聞いたんですけど・・・この部屋って大昔に女子生徒が自殺した場所らしいんですよ。だからたびたびここで女子の幽霊を見たって言う目撃情報が多いんだとか・・・」
「何でそんな所を部室にしちゃうんですか総二様!?もう色々と改造しちゃってるのに!!」
「いや、担任に部活動作るって言った時に部員に愛香がいると伝えたら『あの人がいるなら大丈夫ですね~』って言って、ここを使っていいって・・・」
この学園の人間ではないので零の言葉の意味が分からず首を傾げるトゥアール。
それに対して零が説明した途端に、そんな所とは教えられていなかったのか総二に詰め寄るトゥアール。
改造と言う言葉にどこが改造されているのだろうと周りを見始める零を余所に総二がトゥアールに事情を話すと、トゥアールはちょっとおっかないものを見る目で愛香を見始めた。
「・・・あの、愛香さん?普段何しでかしてるんですか?」
「何もしでかしてないわよ失礼ね!?ったく、どいつもこいつも・・・あたしを何だと思ってるのよ!?」
「・・・中学時代の林間学校で熊が出た時に素手で倒すようなことするからだよ。知らないかもだけど、あれのお陰でかなり有名人になってるんだよ?」
「熊倒したんですかっ!?しかも素手で!!?」
「あー・・・確か女子に襲い掛かろうとした熊に喧嘩売ってそのまま倒したんだったな」
「そういえばそんな事あったわね・・・はぁ、あれが原因か・・・」
トゥアールの発言に対して怒鳴りながらも答えてそのまま苛ついた様子で言っている愛香。
そんな彼女に対して零が言った言葉に流石に動揺するトゥアールを余所に懐かしいなと言わんばかりに総二が言うと愛香もその時の事を思い出して少し落ち込むのであった。
そんな様子を見て、改めて愛香は普通ではないなと心の中でつぶやくトゥアールなのであった・・・。
~スターウィング~
「へぇ~・・・トゥアールさんが諸星さん達の学校に・・・」
『あぁ、何でも今日に編入手続きをしたらしいぞ。変なことしでかさなければいいが・・・』
その頃、スターウィングでは作業をしていたレナとスターが話していた。
話の内容はツインテール部内での話であるのだが、トゥアールが学校に通うと言う事を聞いたレナは大丈夫だろうかと不安になる。
「まぁ、いざとなったら優子さんに愛香さんもいるから大丈夫だとは思うけど・・・」
『派手に暴れて校舎が壊れなければいいんだが・・・』
「流石に校舎をぶっ壊すような真似・・・しないと、いいなぁ・・・」
『・・・とりあえず変身してまで暴れるのは控えてほしい所だな』
「そうだねぇ・・・よし、完成っ!」
スターと会話しながらも作業をしていたレナだったが、話し終えたと同時に作業が丁度終わり、レナが完成したものを手に取る。
それは零がつけているスターブレスと全く同じものであった。
『お、できたのか。優子用のスターブレス』
「うん、零さんといつも一緒というわけではないしね・・・さて、と次はどうしようかなぁ・・・テクターテイルの調整も改良も終わってるし・・・」
『っ?改良?何か問題があったのか?』
「違う違う、零さんのテクターテイルに新しい技を放てるようにしたの。でも、その分装甲が増えちゃったからちょっと動作テストもやっとかないと・・・」
『そうだな、動きづらくなる可能性もあるしな・・・まぁ、優子の場合は大丈夫だったが』
レナの一言に確かにと言わんばかりに答えるスター。
そのままレナは作業していた場所を片付け始める中、ふとつぶやいた。
「・・・学校、かぁ・・・」
『っ?どうした?』
「あ、ううん!なんでもないっ!」
呟いたのは分かったが、何を言ったのか聞き取れなかったために尋ねて来たスターに慌てて返すとレナは片付けを再会するのであった。