「この世界の住人ではない・・・?」
「・・・つまり、別の世界から来たって事か?」
「はい・・・私の世界はこの世界を侵略しようとする組織『アルティメギル』に滅ぼされてしまいました・・・」
「アルティメギル・・・?」
「アルティメギルは・・・特撮番組で言う悪の組織のように様々な『エレメリアン』と言う怪人によって構成されている組織です」
「なるほど・・・そのアルティメギルは世界征服でも狙ってるのか?」
「いえ、彼等の目的は人の持つ属性力を手に入れることです。属性力と言うのはある物に対する感情の高ぶり、情熱、興奮、愛着といった思い入れに相当するものです」
「思い入れ・・・って、もしかして特撮が好きなのもその属性力になったりするのか?」
「はい、そうなってしまいますが・・・標的になる可能性は低いですね」
レナの話を聞いて自分の特撮好きもそれに該当するのかと思っていたが、レナの言葉を聞いて少しホッとする零と優子。
それを見ながらもレナは話を続けてきた。
「他にも属性力はいっぱいあります、その中でも特に凄い物は・・・ツインテールを愛する人の持つ『ツインテール属性』の属性力です。アルティメギルもこのツインテール属性を狙っています」
「ツインテール属性・・・」
「大体大きな属性力は一人につき一つですけど・・・お二人は特撮好きの持つ『特撮(ヒーロー)属性』の属性力に加えて、そのツインテール属性の属性力も持っている珍しい人なんです」
「えっ?俺や零にもツインテール属性があるのか?」
「はい、私の知っているツインテールを愛する人と比べると大きなものではないですけど・・・お二人のツインテール属性は凄いものですよ。まぁ、特撮属性がそれを上回ってますけど・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
「俺達で『凄い』となると総二は『とんでもなく凄い』になるな・・・」
ツインテール属性があるという話となってふと優子は総二のことを考える。
零も彼のほうが凄そうだと考えていた時、零は気になったことができる。
「あ、そういえば・・・属性力を取られた人はどうなるんですか?まさか、死んじゃったりするんですか?」
「いえ、死にはしません。けれども・・・取られた属性力に関することへの興味がなくなります」
「それって・・・例えばツインテール属性の人がそれを奪われると、ツインテールへの興味が無くなるって事?」
「はい、そうなります・・・それどころかツインテール属性がなくなると、その人は二度と髪型をツインテールに出来なくなるんです」
「マジか・・・」
「な、何か対策とかはないんですか?」
「・・・無い事はありません」
零の質問に対して、レナは答える。
すると、レナは倒れていたときにレナの近くに落ちていた鞄の中からノートパソコンを取り出す。
電源を入れて操作している様子を見ている零と優子に対し、レナはノートパソコンを見せてきた。
その画面には特撮にも出てきそうなデザインのパワードスーツの設計図の様な物であった。
「これは?」
「ある科学者が作り上げた強いツインテール属性を持つものが纏うことが出来るアルティメギルに対抗する為に作られた装備『テイルギア』の設計図を元にして作り出した装備・・・『テクターテイル』です」
「テクターテイル・・・」
「このテクターテイルはテイルギアの装備条件である強いツインテール属性の持ち主でなくても、ツインテール属性を持つものなら使えれるように考えて作ったものなんですが、使用条件が逆に厳しくなってしまったんです・・・けど、お二人になら使うことが出来ます」
「えっ?どういう事?」
「テイルギアはツインテール属性の強さによってギアの出力が増大するものなんです。けど、それを少なくしてしまったことにより出力がテイルギアよりも劣ってしまう事になる・・・なので私は、ツインテール属性のほかにもう一つの属性の力を合わせる事でその部分を補うことにしたんです」
「二つの属性、ってまさか!?」
「はい、このテクターテイルはツインテール属性と共に特撮属性を合わせるんです・・・このギアを使える程のツインテール属性を持っているお二人なら可能です・・・けど、一つ問題があるんです」
「問題?」
「その・・・テクターテイルを纏っちゃうと、ツインテールの女の子になっちゃうんです」
「「・・・えっ?」」
テイルギアの問題を聞いて思わず固まる零と優子。
なんでそんな仕様になってるのかと思う二人に説明を続けるレナ。
「その、実は私がコピーしたテイルギアの設計図データのまま製作したものを纏うと『変身するとツインテールの小さな女の子』になってしまうものであって・・・それに気づいてその部分を修正しようとしたのですが小さくなる部分は取り外せたのですが・・・」
「・・・女の子になるのは取れなかった、と?」
「はい・・・なので、先ほども言った通りにテクターテイルを装備するとツインテールの女の子になるんです・・・」
「なるほどねぇ・・・って、待て。それってまさか零が纏うと女の子になるんじゃないよな・・・」
「・・・諸星さんが纏う場合も同様になります・・・」
「・・・ちょっと見てみたいかも」
「ちょ、優子!?」
「じょ、冗談だって!ほら、気分転換にテレビでも見ようぜ?」
優子の思わぬ発言にびっくりする零。
それを見て冗談だと言いながらも優子はテレビをつけると、何やら特番をやっていた。
だが、映像に映っているのは蜥蜴を思わせる怪人や戦闘員のようなものと戦っているかなり幼く見える赤いツインテールの少女であった。
「な、何だこりゃ?」
「新しいヒーローもの・・・って、訳じゃなさそうだね?これ」
テレビで流れた映像を見ていると、レナが驚いた声を上げる。
「こ、これは・・・テイルギア!?」
「えっ?つまり、これがテクターテイルの元なの!?」
「・・・待てよ?さっきの話からして・・・・これって、お前がコピーした設計図通りのもので、この怪人はアルティメギルとか言う奴なんじゃ・・・!?」
「は、はい!間違いありません!この子が纏っているのは先ほど話した設計図の通りのもので、これはアルティメギルの怪人です!」
驚くレナに合わせて少女が纏っているのがテクターテイルの元となったものだと言うことを知り驚く零。
その隣で、レナの話したテイルテクターの話に出てきたテイルギアの設計図の話を思い出してまさかと思いながらも優子がレナに確認を取ると、頷きながらも返された。
「これがあると言うことは・・・トゥアールさんもこの世界に・・・?」
「トゥアールさん?それが、テイルギアの開発者?」
「はい、テイルギアの開発者であり自らテイルギアを纏ってアルティメギルと戦った・・・危ない人です」
「っ?危ない、と言うと?」
「その・・・トゥアールさんは小さな女の子が好きで、小さな女の子に自分のメールアドレス配ったり、メールアドレスを教えた子に写メを送るように頼んだりしてました・・・」
「う、うわぁ・・・」
「それは・・・確かに危ないな」
レナの話を聞いてトゥアールと言うあったことのない人物がどんな奴なのだろうかと思いながらも、絶対に会いたくないと心の中から思う零と優子。
そんな時、零はふと壁に掛かった時計を見て、そろそろ夕食を作ろうと立ち上がる。
「っと・・・そろそろ夕食作ろっと、優子も食べる?」
「あ、悪いな。頼む」
「りょーかい」
キッチンに向かう零を手を振って見送った優子はテレビを切って、携帯で家に連絡をかけた。
その電話はかなり早く終わった為にすぐに電話を切った所でレナが優子に話しかけてきた。
「あの、南さん・・・」
「ん?別に優子でいいぞ?」
「あ、はい・・・あの、優子さん。諸星さんとはお付き合いされてるんですか?」
「ブッ!!?」
レナの突然のストレートな質問に思わず噴き出す優子。
その直後、少し顔を赤くしてしまいながらも慌てて返す。
「ば、馬鹿っ!どこをどう見たらそう考えれるんだ!?零とは小さい頃から一緒にいる友人だっ!恋人じゃないっ!!」
「えっ、そうだったんですか?凄く仲良さそうだったので・・・・」
「男と女が仲良さそうだからと言う理由で恋人に見えるのかっ!?そうとは限らないだろうが!!」
「でも、私とヒカル君は、諸星さんと優子さんのような感じでしたけど・・・」
「んっ?待て・・・今の発言的に、レナって好きな奴がいるのか!?」
「えっ・・・!?」
「へぇー・・・そっかぁ、好きな子がいるのかぁ~・・・」
またしてもしまったと言わんばかりの表情になったレナを見てにやにやし始める優子。
完全に攻守が逆転したような状態となった。
「ち、違います!ヒカル君とはまだそんな仲じゃ・・・」
「『まだ』って事は・・・そうなるかもしれないなぁ?ほれほれ、詳しく教えろよそいつの事っ!!」
「え、えぇ~!?」
意地悪そうに問い詰めてくる優子に顔を赤くして困った声を上げるレナ。
結局そのまま、女子二人の騒がしい会話は続いていき、夕食を作っている零は賑やかだなぁと思いながらも作業を進めるのであった。
「馬鹿な!?リザドギルディが倒されただと!?」
「い、一体どういうことなんだ!?」
「事前の調査では文明レベルが低いが、属性力は高数値で理想的な環境だと結論づいたと言うのに・・・」
会議室にありそうな丸テーブルが置かれてある部屋で、様々な姿をした多くの怪人達が驚きの声を上げていた。
ここは、零や総二達の世界のどこかに存在する場所に停泊しているアルティメギルの移動基地の中。
その話の内容は、先ほど零たちが見たテレビでテイルギアを纏う少女に倒された怪人『リザドギルディ』についてだ。
切り込み隊長として意気揚々と任務に出て行ったリザドギルディだったが、一日もせずに倒されてしまったのだ。
怪人たちはこの事態を受けて、緊急会議を開いて話し合いをするはずだったがこの状況に怪人達は驚きを隠せず、様々な反応をしているために会議どころではなくなってしまっていた。
「静まれぇっ!!」
そんな時、その場にいた竜を思わせる姿の怪人が怪人達を一喝。
それにより、騒がしくなっていた怪人たちは一瞬のうちに静かになった。
「ど、ドラグギルディ隊長・・・!」
騒がしくなっていた怪人の一体が一喝した怪人を見る。
その怪人の名はドラグギルディ。
アルティメギルの幹部であり、この世界を侵略しにやってきた部隊の隊長を務めている男だ。
「リザドギルディの力は師である我が良く知っている・・・だが、それを打ち破るほどの力を持つ戦士がこの世界にいた。これを見よ」
ドラグギルディの言葉の後、ドラグギルディの前方にある大型モニターにある映像が映る。
それはリザドギルディを倒したテイルギアを纏うツインテールの少女の姿が映されたものであった。
「これが、リザドギルディ殿を破ったもの・・・」
「美しいツインテールだ・・・」
「・・・あんなツインテールの持ち主が相手ならば、リザドギルディが敗れたのも納得が出来る」
「あのツインテール・・・美しい、そして麗しい・・・」
「しかし・・・あの戦士、一体何歳なのだ・・・?」
「むっ?確かに・・・あの身長から見て、かなり若いぞ」
「・・・まさか、一桁か?」
「一桁だと!?まだランドセルを背負う年頃の娘ではないか!?」
それぞれが思ったことを正直にいい始める怪人達。
・・・それは自分たちの敵を見ている、と言うよりもただ単に映っている少女のツインテールや少女の姿について話しているような状態であった。
結局、最後までグダグダな感じとなってしまいながらも会議は終了してしまうのであった・・・。
「・・・」
「隊長、どちらへ・・・?」
「少し・・・一人で話したい奴がいる」
会議を終えた後、ドラグギルディは側近である怪人を置いてある怪人の元へと向かっていった。
実は少女の映像が出た後から、その怪人は騒ぐことなくその少女をじっと見つめている怪人がいたのだ。
その目は何か思う事があるような目であったことがドラグギルディが気になりその怪人の元へと向かったのだ。
「少しいいか?オルトロスギルディ」
「っ、ドラグギルディ隊長・・・どうされましたか?」
ドラグギルディに呼ばれて立ち止まった怪人。
その怪人は二つの狼の頭を持つ『オルトロスギルディ』であった。
「・・・あの幼子に何か思うことがあるのか?」
「っ、気づいていましたか・・・流石は隊長です・・・」
「・・・安心しろ、今は俺とお前しかこの場にいない」
ドラグギルディの言葉に驚きながらも、オルトロスギルディは周りを見渡す。
周りを気にしている様子を見てドラグギルディは言うと、オルトロスギルディは正直に思っていた事を話し始める。
「・・・隊長、俺が隊長の元に来る前にある世界の調査をしていた事を覚えていらっしゃいますか?」
「あぁ、けれども『奴』が現れた事で調査は中止となり、調査隊がその世界から撤退してすぐにその世界は滅んでしまったんだったな・・・それがどうした?」
オルトロスギルディの言っている事は良く覚えていた。
だが、それだけでは何を思っているのかが全く分からない為、ドラグギルディが尋ねるとオルトロスギルディは思わぬ言葉を口にした。
「・・・俺はその世界で・・・決着をつけることは出来ませんでしたが、あの少女にとても良く似た戦士と戦った事があるのです」
「・・・何だと?」
「さて、と・・・そろそろお暇するか」
「うん、また明日ね」
夕食を終えて、片付けも終わった所で優子は家へと帰っていった。
ドアが閉まる音を聞いた後、零はレナに気になったことを尋ねる。
「そういえば、レナさんはこれからどうするんですか?」
「一応、生活出来る場所はあるのでそちらに戻ります」
「生活できる場所って・・・どんな所なんですか?」
「えと・・・直接見てもらったほうが早そうですね」
「えっ?」
レナの言葉にどういうことか聞こうとする零だったが、その前にレナが零に歩み寄ってきた。
そして、ノートパソコンを閉まった鞄の中から何やら長方形の機械を取り出した。
「スター、転送お願い」
『了解』
レナは長方形の機械に声をかける。
機械から声が聞こえたかと思うと、零とレナの周りを光が包みこんでそのまま光と共に零とレナはその場から姿を消してしまった。
そして、零とレナは零の家からどこかの秘密基地を思わせるような場所へと移動していた。
「えっ!?ここどこ!?」
突然風景が変わり、周りを見渡しながらも驚く零。
そんな彼の前に立ったレナが、この場所の事を説明してくれた。
「ようこそ。私の住む家であり、世界を渡る為に作り上げた移動拠点・・・スターウィングへ」