~陽月学園 総二達のクラス~
「それではHRを始めます~、まず転校生を紹介します~」
ツインテール部での騒動の翌日の朝、教室内に担任の声が響く。
それを聞いてざわつき始めるクラスの面々を余所に入ってくるように担任が告げると同時に、ドアが静かに開く。
「なっ・・・!?」
「えっ・・・!?」
入ってきた転校生に驚きを隠せない零と優子。
何故ならその転校生は自分たちもよく知る人物こと、トゥアールだったからだ。
優子はともかく、零は学校に来るのは知ってはいたがまさか翌日に来るとは思っていなかったので驚きを隠せないでいた。
そして、トゥアールはそのまま黒板に自分の名を書き始めるのだが『観束トゥアール』と黒板に書く。
「観束だって!?」
「マジか!?」
「・・・あれ?観束家にあんな奴いるなんて全く聞いた事は無いんだが・・・」
「え、えぇ・・・心当たりがないんですけど・・・」
「親戚かなんかかねぇ?」
「ソウデス、コノハンノウガミタカッタンデス・・・!」
「・・・顔を戻せ、顔を」
クラスがざわつき始め、それを見て女子がしちゃまずい顔をし始めるトゥアール。
それを見て何を考えてるんだこいつは、と言わんばかりに優子が呟いているとそこで担任がトゥアールの説明を始める。
「トゥアールさんは~、観束君の親戚で~、海外から引っ越して今は一緒に住んでいるそうです~。では、次の要件に移りま~す」
「え、ちょ、待ってください!?もう終わりですか!?」
「すみません~、もう一人紹介しないといけない人がいるので時間が割けないんですよ~」
「えぇっ!?」
トゥアールの言葉に悪びれた様子もなく担任が言ってきたもんだから、トゥアールは驚きを隠せない。
そんなのを無視しながらも担任が「入ってきてください~」と言うと同時にドアが開いて担任の言っていた紹介しないといけない人が入ってくると零は再び驚く事となった。
何故なら入ってきたのは、メイド服姿の尊だったのだ。
「本日から陽月学園の体育教師として赴任した、桜川尊先生です~」
「うむ、よろしく頼む!」
メイド服姿の尊のあいさつに対して全員が静かになる。
そんな中、海斗が担任に質問しようと声をかける。
「あの、先生。色々とツッコミを入れたいところが・・・」
「すみません~、先生は何も知りません~」
「あ、さいですか・・・」
「え、ちょ、何ですかこの展開!?私聞いてませんよっ!!?」
担任の発言にもういいです、と言わんばかりに返す海斗。
その光景に生徒達が呆れている中、尊の登場にトゥアールも狼狽えていた。
そんな時、零はどうしても気になってしまったので尊に手を上げて質問する。
「あのー・・・みこ、じゃなかった。桜川先生。一つよろしいでしょうか?」
「んっ?おぉ、諸星じゃないか。ここのクラスだったのか」
「あ、はい・・・っと、それはさておき、桜川先生はどうして体育教師に?神堂会長の護衛の方は大丈夫なんですか?」
尊さんと言おうとしてしまい慌てて訂正しながらも尋ねた零の声を聞いた事で、零の存在に気づいて微笑みかけた尊に対し零は質問する。
尊は前にあった時に慧理那の護衛のメイドである事を慧理那から聞いていたので、なぜ慧理那の護衛である彼女が教師になったのかが気になった零の質問に対し尊は笑みを浮かべながらも答える。
「あぁ、その事か。君はもちろん、他の生徒も知っているだろうが私は生徒会長である神堂 慧理那の護衛を任されたメイドだ。けれども、校内でじっとしていたらお嬢様が気を遣われるからな・・・だから、理事長や学園長と相談して非常勤の体育教師をすることとなったんだ。もちろん教員免許も持ってるぞ?」
「へぇ、そうだったんですか・・・」
尊の言葉に零が納得しているのを見ている中で、尊は何やらつまらなさそうにし始めた。
「しかし、君達は大人しいな・・・諸星のように何か気になった事があれば質問してもいいんだぞ?生徒会長の護衛のメイドだからと言って遠慮はいらんぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください!後から出てきたくせに何仕切ってくれちゃってんですか!?まだ、私のステージは始まったばかりですよ!!?」
「そう言うな、君はまだ若いのだから質問される機会はまだあるだろう?」
「そんなものありません!今このときは私にとっては唯一無二の戦いなんです!だから譲る訳にはいきませんっ!」
「ほぉ、その意気やよし!なら、今からは私と君に対する質問をしていい事にしよう。諸君、何か聞きたいことはあるか?何でもいいぞ」
完全に場の空気を支配しつつある尊に文句を言ってくるトゥアールを見て面白いと言わんばかりに笑みを浮かべる尊。
それの敬意を表するかのごとく尊とトゥアールに質問してもいいと言うのだが、誰も返答することはなかった。
この状況にどうしたものかと思っていた尊は視線を感じたのでその方向を見ると、自分をじっと見ている総二の姿があった事に気づく。
「おぉ、何やら熱い視線を感じたかと思えば、君はツインテール部の部長の観束総二ではないか!」
「えっ!?」
「あ、桜川先生。観束君はツインテールが大好きなんですよ」
「ちなみに総二のベットの下にはツインテールの女性の水着姿の写真がいっぱい写ってる本が大量にありました」
「ちょ、今の発言マジか!?お前、そう言うのに手を出す様になってたのか!!?」
「い、意外・・・総二もそういうのに興味あったんだね」
「待ってくれ!ツインテールの人が写ってる本があるのは事実だけど水着姿じゃないぞっ!?」
「ほぉ、そうか・・・それならこれを君に上げよう。ツインテールが好きな君へのささやかな贈り物だ」
尊に突然名前を呼ばれて総二は驚きの声を上げる。
熱い視線と聞いて、大方尊のツインテールでも見ていたのだろうと零が思っていると、綾乃と海斗が手を上げて発言する。
綾乃はともかく海斗の発言は初耳だったために一輝と零が驚きながらも総二を見るのに対して、総二が一部を否定した。
そんな時に、尊は総二に近づいたかと思うとそのまま何かの封筒を渡した。
何だろうと思いながらも封筒の中身を出した総二が固まった。
何事かと思うクラスの一同を余所に総二は恐る恐る声を上げた。
「・・・えと、先生?俺の見間違いじゃなければ婚姻届と書いてありますが・・・」
「うむ、それであっているぞ?」
「・・・すでに先生の名前が入っているんですけど、妻の所に・・・」
「当たり前だろう、夫と妻の名前が書かれて婚姻届は初めて成立するんだ、白紙のままでは渡すのは相手に失礼だろ?」
「えっ!?相手って誰ですか!?」
「君に決まっているだろう!?」
何を言ってるんだといわんばかりに総二に返す尊。
それに対し、ここにいる全員が貴方が何を言ってるんだと言わんばかりに見ていた。
「君はツインテールが好きなんだろう?なら、私と婚約しても何も問題はないはずだぞ!」
「問題大有りですよこの年増!何好き勝手言ってくれちゃってるんですか!?総二様はすでに売約済みなんですよ!」
明らかに問題大有りな発言をする尊に対してトゥアールが再び文句を言ってきた。
「総二様、そんなもの破り捨てちゃってください!と言うか、誰の許可で総二様に求婚してるんですか!?私は総二様の前世からの求婚者なんですよ!?」
はっきりととんでもない発言をするトゥアール。
けれども、けれども誰一人リアクションを取る事はなかった。
「な、なんで反応がないんですか・・・ここでざわめいたり、黄色い声とかではやしたてたりが無いんですか・・・私の思っていた学園ラブコメとは違いますよぉ・・・!」
「・・・現実は甘くないぞ、転校生」
がっくりとその場で崩れるトゥアール。
そんな彼女を見てボソッと呟くように言う優子なのであった。
「ふっ、若いな転校生・・・年齢も若いが、考えも若いな!前世がどうだろうが、恋人がいようがそんなもの求婚するにあたってはそんなものは何も関係ないんだ!求婚というのは何にも縛るものなどない平等なものなのだっ!!」
「こ、これが婚期を逃した女の論理思考なのですか・・・!?」
尊のあまりにもはっきりと言った言葉に流石のトゥアールも動揺する。
その動揺が伝染したかのように他の女子がざわつき始めたのを見て、尊はフッと笑みを浮かべた。
「女子達よ、私が滑稽に見えるか?だが、私位の歳になると中途半端ではなく全力で焦ってくる・・・独身という名の十字架を背負いながらも一生懸命生き、結婚という名のゴール目掛けて走り続ける!これが、三十路直前までに結婚ができなかった女が背負う業というものなんだ!!」
「い、いやーっ!!」
「ど、どうしよう!?私まだ彼氏いないよぉっ!!」
「か、彼氏いるから今すぐ結婚した方がいいかも・・・あ、でもまだ結婚できない!?」
「ど、どうしよう・・・今の状況を維持していけるかな!?」
「さて観束君、名前は書いたかな?書いたなら大切に預かっておこう」
「え、えぇっ!?」
「ちょ、先生!冗談でもやって良い事と悪いことがありますよっ!!」
尊の発言で女子は大パニックになる中で、尊は再び総二に声をかけてきた。
総二に声をかけた尊に対し、愛香が声を上げながらも席から立ち上がる。
「おぉっ!」
「愛香がんばれー!」
「ファイトーッ!」
「負けるなー!」
「何で愛香さんだけ応援するんですかぁ!?」
「冗談ではない!今まで渡してきた五二六枚はすべて本気だ!!相手の都合が悪かっただけだっ!!」
「そんなに渡してたんですか!?」
「一体どんな渡し方してたんだよ、この先生は・・・」
「手順ぶっ飛ばして渡してたのかねぇ、今みたいに」
「大方、そうなんでしょうね・・・」
「やれやれ・・・それじゃ全部駄目な訳だ」
愛香が立ち上がったのを見て他の女子が愛香を応援し始めたので、愛香が応援されることが気に入らなかったのかトゥアールが文句を言うが無視された。
それはさておき、愛香の発言に失礼なといわんばかりに返した尊の言葉に零は驚き零の愉快な仲間達は呆れる。
「だが、私と観束君は教師と生徒だ・・・教師と生徒での男女交際はご法度!だから私は結婚を前提とした付き合いなどせずに彼が結婚できる年齢になったらすぐに結婚するつもりだっ!!」
「っ、そんな事・・・させるかぁぁぁっ!!」
「ちょ、愛香!?」
「お、おい馬鹿っ!!」
尊の言葉に我慢の限界が来てしまったのか、尊に対して思い切り殴りかかる愛香。
それを見てまずいと思う優子と零が慌てるが、愛香の渾身の一撃を尊は両腕をクロスしてガードすることで止めてしまう。
「なっ・・・!?」
「ほぉ、なかなか良い拳だ・・・訓練を積んでいる証拠だな」
「っ!この人、強い・・・あたっ!?」
「ったく、何してんだ愛香っ!!」
「桜川先生が難なく防御したからよかったけど、今のは下手すりゃ怪我どころじゃすまないでしょっ!!」
「だ、だって・・・」
「「だってじゃないっ!!」」
「あ、あの~お二人とも?その位にして欲しいんですけど・・・」
拳を止められたことに驚く愛香を見てフッと笑みを浮かべる尊。
それに驚きながらも愛香は素早く尊と距離を置きながらも拳を構え直したところで背後から優子が拳骨を愛香の頭に落としてそのまま怒鳴ると、それに続くように零も愛香に対して怒鳴る。
いきなり怒られて思わずビクッとなりながらも愛香が反論しようとするのを二人揃って声を上げて斬り捨てる。
そのやり取りを見ていたトゥアールが零と優子に声をかけようとした途端、チャイムが鳴り響いた。
「むっ?ホームルーム終了か」
「終了か、じゃないですよ!?どうしてくれるんですかっ!?折角色々考えてたのにぃぃっ!!」
チャイムが響くと同時に尊が呟くと同時にトゥアールが絶叫する。
その『色々』はどうせろくでもない事なんだろうなと零と優子が思っていると、尊は他の男子生徒に尋ねる。
「ところで男子諸君、観束君の様に婚姻届が欲しいものはいるかな?念のためにと思い学園の男子生徒分の婚姻届は常に持ち歩いてるから、欲しかったら遠慮なく言ってくれ」
『『『『『っ!!?』』』』』
いきなりこちらに矛先が向くとは思っていなかった男子生徒一同は一斉に教科書を見て視線を合わせないようにする。
その中には、海斗と一輝の姿もある。
その様子を見てつまらなさそうにしている尊に対し、零は声をかける。
「あの、大丈夫ですか?桜川先生・・・愛香の拳を防御したとは言えどもまともに受けちゃって・・・」
「心配するな、メイド服がちょっと破れてしまっただけだ・・・さて、私はそろそろ失礼させてもらうとするよ。津辺君、いずれまた語り合おう」
大丈夫かと声をかけた零に対して笑みを浮かべて答えた後に愛香に声をかけると尊は教室を後にする。
嵐のような人物であったなと思いながらも総二は渡された婚姻届を見た。
「・・・これは、どうしたらいいんだ・・・?」
「そんなもんこうすりゃいいのよっ!!」
渡された婚姻届をどうすればいいかと考える総二にいつの間にか近づいていた愛香が奪い取ると、そのままびりびりと破り捨てた。
その光景を見て女子達が声を上げたり、拍手や口笛を吹いたりなどしているのをトゥアールが悔しそうに見ている。
やれやれとその様子を見ている中で、優子はふと疑問になった事が出来た。
「・・・あれ?そういえばあの人、零には渡さなかったけど・・・もしかして、もう渡されてたのか?」
「ううん、初めて会った時も何も渡されなかったんだけど・・・」
「・・・零には渡さないで、総二には渡した・・・一体どういう事だ?」
優子の疑問に対して、零は首を横に振りながらも尊の行動に疑問を持っていた。
その事を聞いて意外そうにしていながらも愛香はびりびりに破いた婚約届をゴミ箱に捨てに行く中、優子は何故零には渡さず総二には渡したのかが気になっていたのであった・・・。
放課後・・・
~特撮部~
「しっかし・・・今日は一段と賑やかだった気がするな」
「愛香さんとトゥアールさんが大暴れしてましたからねぇ・・・」
「正確には、馬鹿な事をやろうとしたトゥアールを愛香がブッ飛ばしてたんだけどな・・・」
特撮部の部室に揃った零と愉快な仲間達は揃って会話していた。
そんな時、ふと一輝が呟いてそれを聞いた綾乃が頷く。
綾乃の言葉を聞いて優子は少し疲れた様子で返す。
優子の言うとおり、トゥアールが総二にセクハラ紛いの行動をしようとしたのを愛香が阻止して大騒ぎになったのだ。
この騒動は終わってはまた始まっての繰り返しで、そのタイミングは休み時間どころか授業中にまで発生した為に、何度も何度もトゥアールと愛香、そして総二までも揃って教師に怒鳴られていた。
その結果、現在三人揃って生徒指導室に呼ばれて説教を受けている所だ。
「しっかし、総二は災難だな・・・あの痴女が原因で説教受ける羽目になるなんて・・・」
「ですねぇ・・・あ、ところで零さんと優子さんはあの人とはお知り合いなんですか?」
「確かに、何かあっちが二人を知っている様子だったな」
「え?あ、あー・・・実はちょっと前にアドレシェンツァに行った時に会ったことがあるんだよ」
「そうだったね・・・あの人、何時もあんな感じなんだよ・・・」
海斗が言った言葉に頷いていた綾乃はふと気になった事を優子と零に尋ねて来た。
綾乃の言葉に一輝もそういえばと思いながらも呟く中、優子が説明するのに零が合わせた。
それを聞いてなるほど、と思いながらもあんなのと知り合いとは大変だな、と一輝達が思っていると部室のドアが開く。
ドアが開く音を聞いてドアの方を見ると、そこには零達のクラスメイトである女子の姿があった。
「おーい、諸星君と優子いるー?」
「あ、はい。いますけど」
「どうかしたのか?」
「いや、校門前に白衣を着た青いツインテールの女の子がいてね、誰か探してるようだったから声かけてみたら『諸星さんと優子さんを待っているんです』って言っていてたから呼びに来たんだよ」
「っ?白衣を着た青いツインテールの女の子、ってまさか・・・」
「・・・ちょっくら行ってるか。教えてくれてサンキュな」
「皆ごめん!僕達はこれでっ!」
自分たちを呼ぶ声を聞いて零と優子が女子の前に行く。
それを見た女子はそのまま続けるのだが、その内容に零と優子は互いに顔を見合わせる。
そしてそのまま校門前へと二人揃って向かって走って行く事にした。
「えーと、どこだ・・・あ、あれか」
「あっ、やっぱりレナさんだ」
「やれやれ、あれは結構目立つな・・・おーい!レナー!」
「あ、優子さん!諸星さん!」
校門付近へとやって来た零と優子。
ひとまず誰も近くにいない校門の近くで零と優子にとっては何時もの姿のレナが下校する生徒達の邪魔にならない位置で立っていた。
何となく予想は出来ていた零はやっぱりと言う中で優子がレナを呼ぶ。
それを聞いてレナが零達の元へと駆け寄ってきた。
「ったく、何してんだよお前・・・せめて私服姿にしろよ」
「す、すみません。目立つ方が分かるかと思いまして」
「それは目立ち過ぎですよ・・・でも、どうしてここに来たんですか?」
「実は優子さんのスターブレスが出来たので渡しに来たんです、どうぞ」
「お、出来たのか!ありがとな、レナ!」
『大喜びだな、優子』
「あはは、そうだね」
「ふふっ、作った甲斐がありました」
駆け寄って来たレナに少し呆れた様子で尋ねる優子の問いに答えたレナに苦笑いする零はどうしてきたのかと尋ねるとレナが優子のスターブレスを優子に渡した。
レナからスターブレスを受け取るとすぐにスターブレスを装着する優子。
嬉しそうにしながらも礼を言う優子を見てスターが呟き、それを聞いていた零や優子にお礼を言われたレナも笑みを浮かべる。
「とりあえずこれで僕と一緒に行動していなくても、優子も動けるようになるね」
「あぁ、一緒にいない時はわざわざレナが呼びに来てくれてたしなぁ・・・」
「それと、零さん。テクターテイルのバージョンアップ完了しましたのでテストを行いたいのですが・・・」
「おーい!お二人さーん!」
レナがテクターテイルのテストをしたいと言い出して、大丈夫だと言おうとする零だったがその前に別の声が響く。
その声に三人が声をした方を見ると、こちらに駆け寄ってくる一輝達の姿があった。
「お、お前等!?」
「な、何で!?」
「いや、全員揃ってないと何かつまんないし・・・それに、待ち人がどんな奴なのかと気になってな」
「そちらの人とはお知り合いなんですか?」
「あぁ、トゥアールに出会う前に知り合ったんだよ。こいつもアイツの知り合いでな」
「始めまして、北斗 麗菜と言います。北斗七星の北斗に、綺麗の麗と菜の花の菜で麗菜です、レナと呼んでください」
「「っ・・・?」」
『流石にレナだけだと変に思われるだろうからちょっと前から考えていた偽名だ。合わせてやってくれ』
「レナか・・・俺は早田 一輝だ」
「高山 海斗だ」
「春野綾乃です。よろしくお願いします」
「早田さんに高山さんに春野さんですね、よろしくお願いします」
「それはそうとレナさんは、どうしてここに?」
「あ、いえ。零さんからトゥアールさんが今日転校してきたと聞きまして大丈夫かと心配になりまして・・・」
そんな時、一輝がレナの事を尋ねて来たので簡単に説明した後レナが挨拶するがそれを聞いて零と優子が顔を見合す中でスターが二人のつけているスターブレスから声をかけて説明する。
スターの話を聞いた零が優子がなるほどと思っている間に、一輝達がレナに挨拶してレナは笑顔で答える。
挨拶を終えたのを見て綾乃がレナに何故ここにいるかと尋ねると、少し不安そうな様子で答えた。
ちなみに、本当は零ではなくスターからその事を聞いたのだが誤魔化している状態にしている。
「・・・残念ながらすでに色々騒ぎを起こしてる。全部愛香が阻止したが」
「それが原因で愛香と総二と一緒に説教受けてるところです」
「そうですか・・・でも、愛香さんとトゥアールさんのやり取りが原因で学校が壊れている様子もなさそうなので安心しました」
「おいおい、レナちゃん。いくら愛香でも学校を壊すのは出来ない・・・よな?」
「・・・俺達に聞くなよ」
「えと、何とも言えないですね・・・」
「「・・・確かに」」
優子と零がレナに説明すると、呆れた様子となるレナはふと校舎を見てどこも壊れた様子がないのを見て安心していた。
それを見て笑いながらも海斗がそれはない、と言おうとするが途中で何か不安になったのか一輝達を見ながらも尋ねる。
それを見て一輝がガクッとなりながらも返し、綾乃は思わず苦笑いしながら続くとその言葉に零と優子はうんうんと頷いた。
「あ、あはは・・・」
『・・・普段からアイツは一体何をしているんだ・・・?』
その様子を見て、レナが苦笑いする中でスターは愛香は普段どういう事をしているのかが本気で気になり始めるのであった。
それからすぐに、零と愉快な仲間たちはレナと共に話しながらも帰ることにしてその場を後にしようとするのだが何故か零が立ち止まると周りを見渡し始める。
「っ?零?」
「おーい、どうした?」
「あ、ううん!なんでもないっ!!」
急に立ち止まった零に気付いて、優子と海斗が足を止めて声をかけると零は返しながらも二人と合流してそのまま全員揃って帰っていく。
その様子を白衣姿のぼさぼさの髪の女がじっと見ている事を知らずに・・・。