「ま、まさか撮られてたなんて・・・」
テイルゼロとして戦った日の翌日、制服に着替えた零は朝のニュースを見て固まってしまっていた。
何故なら、今テレビに映されている映像は昨日の陽月学園での戦いのシーンだからだ。
しかも、撮り方がやけに上手くテイルゼロスラッガーでアルティノイドをすれ違いざまに切り裂いていくテイルゼロの姿が綺麗に映っていた。
テイルゼロの姿に本当に特撮ヒーローみたいだなと思っていると映像が切り替わる。
その映像は、テイルレッドが体操服姿の女子にもみくちゃにされていると言うものであった。
『わーん!もう帰るぅ~っ!道開けてぇ~っ!!』
「・・・何かこれじゃヒーローじゃなくて、マスコットだなぁ・・・」
『警察は、二人の少女についての情報を求めていく方針で・・・』
「いやいや・・・そんなことよりアルティメギルを調べたほうがいいでしょ・・・!?」
警察のやることが明らかにおかしい為に思わずガクッとなりながらも呟く零は腕時計代わりにつけているスターブレスを見てテレビを消す。
そして、そのまま家を出ると昨日と同じ様に愉快な仲間達と合流し、共に登校していると愛香と総二と出くわした。
「あっ、総二に愛香。おはよー」
「おぉ、おはよう。皆・・・」
「おはよ・・・」
総二と愛香は零達が歩み寄って来た事に気づいて挨拶を返す。
そんな中、零は総二は若干疲れが溜まってるように見え、愛香は眠たそうにしていた事に気づく。
「二人とも大丈夫?何か疲れてるように見えるけど・・・」
「あぁー・・・色々あってな・・・」
「そう、色々・・・ね」
「色々・・・?」
二人揃って色々と言うのが気になった零。
一体何してんだろ、と思っているとここで海斗が爆弾を落とした。
「も、もしやっ!ツインテールにしか興味が無い総二に業を煮やした愛香が夜這いしてそのまま・・・」
「んな訳あるかぁっ!!!」
海斗の発言を聞いて、顔を真っ赤にした愛香が本気で殴ろうと拳を突き出す。
だが、海斗はその拳をアッサリかわして零の後ろに隠れる。
「なっ!ななな何言ってんのよあんたぁっ!?」
「そう照れるな、若人よ・・・今の年齢なら若さゆえの過ちと言うのも十分適応されるぜ?」
「お前も若人だろうが・・・」
「ちょ、僕の後ろに隠れないでよ!?このままだと僕もぶっ飛ばされるじゃないっ!!」
顔を真っ赤にしたまま拳を構えている愛香に対し零の後ろでふっと笑みを浮かべながらもアドバイスするように語る海斗。
そんな海斗を見てツッコミを入れる一輝に対し、零は盾にされている状態なのでかなり焦っている状態だ。
その時、綾乃が恐る恐る声をかける。
「あ、あの皆さん。余り長引かせると時間が・・・」
「っと、そ、そうねっ!!行くよ、総二!!」
「ちょ、おい!?どうしたんだよ!?」
綾乃の指摘を聞いた途端に愛香は総二の腕を引っ張って先に進んでいく。
その様子につまらなさそうにする海斗に対し零は一安心だと言わんばかりの状態だ。
「あぁー、怖かったぁ・・・あのままだと海斗に巻き添え食らってたか僕だけぶっ飛ばされる所だったよ」
「大丈夫だって!いざとなったら優子が護ってくれる!愛香とタイマン勝負で互角にやれんだからさっ!!」
「おぅ、任せとけ!」
「いやいやいや!そこやる気満々に言う所じゃないよ!?」
零の言葉に海斗が笑いながら言うと優子もやる気満々と言わんばかりに返す。
その発言にツッコミを零が入れた後、総二と愛香を追う様にして少し急ぎ気味に零と愉快な仲間達は陽月学園へと向かっていく。
~陽月学園 零や総二達のクラス~
「今日も賑わってるねぇ~、テイルレッドで」
「そうだなぁ・・・ちらほやとテイルゼロの方も話題になってるっぽいけどな」
教室にやってきた彼等を待っていた光景は、テイルレッドやテイルゼロの話題で馬鹿騒ぎをしている面々だった。
そんな光景に苦笑いしながらも零達は解散して席につきはじめる。
とは言うものの、零と優子は隣同士の席なのでそのまま話をしようと思っていたが、近くにいた女子が二人に声をかけてきた。
「ねぇねぇ優子に諸星君!テイルレッドとテイルゼロ、どっちが好き!?」
「えっ?えっと・・・ゼロの方かな?」
「俺もゼロだな」
「あぁー、よかったぁ!お姉さまを好きな同士が増えたぁ!!」
「ぶっ!?」
「お、お姉さま!?」
声をかけてきた女子の発言に噴き出す零に合わせる様に優子も驚きの声を上げる。
そんな優子にどういう意味なのかを別の女子達が説明した。
「ほら、昨日うちのグラウンドであったテイルゼロの戦いを何人か間近で目撃しててね・・・バッタバッタと敵をなぎ倒していく姿を見てメロメロになっちゃった子たちがいるのよ・・・」
「この子もそのうちの一人なのよ・・・まぁ、私もテイルゼロが良いけどね。何かカッコイイし!」
「でしょでしょ!?」
「・・・テイルレッドはカワイイからで、テイルゼロはカッコイイから人気なのか?」
「・・・そうかもしんないね。まぁ確かにテレビ見ててカッコイイとは思えたけど」
目の前でワイワイし始める女子たちを見て、零と優子はなんともいえない表情になっていくのであった。
そして、この賑わいは収まる事も無く零と優子はテイルレッドとテイルゼロで盛り上がる教室内で溜息をつくのであった。
しばらくして・・・
「さて、ご飯どうしようかなぁ・・・」
「まだ、食料あるのか?」
「うん、大丈夫」
今日も今日とて騒がしい日であったがあっと言う間に放課後、零と優子は揃って家へとを帰っていた。
零と優子は二人の家は結構近い場所にあるので良く二人で帰っているのだが、何故か帰るときだけは愉快な仲間達の残り三人はいつも二人を置いて揃って先に帰っている状態である。
他愛も無い会話をしながら歩いていると、白衣姿のレナが歩いているのを見つける。
「あれ?レナさんじゃない?」
「あ、本当だ・・・おーい!レナー!!」
「あっ、諸星さんに優子さん!」
零が気づいたと同時に優子がレナに声をかける。
それを聞いてレナが二人に駆け寄ってきたかと思うと、レナの腹の虫が鳴った。
「・・・またお前、行き倒れになりかかってたのか?」
「ち、違いますよ!?気分転換にぶらぶらしてて戻ろうとした時にお二人と出会って・・・」
「あはは・・・あ、そうだ!アドレシェンツァに行く?近いし」
「あぁ・・・そうだな。んじゃ、零の奢りなー」
「ちょ、僕の奢りなの!?」
いきなり奢らされる事に決まった零が驚いている間に、優子がレナの手を引っ張って連れて行こうとする。
だが、それを許さないと言わんばかりにレナが持つスターパッドから通信が入る。
『皆、アルティメギルが現れたぞ!』
「っ!?こんな時に!?」
「ったく、折角三人で夕飯食べようと思ったのに!」
「しょうがない・・・夕飯は僕の家で食べる事にしよう。とっとと終わらせようっ!」
スターの通信にレナが驚き、優子は少し苛付いた様子で答える。
そんな様子を見て零が二人に対して言って二人が頷くと同時に三人はスターウィングへと転送される。
転送されると同時にレナはスターに声をかける。
「スター、映像出して!」
『了解、既にレッドがいるんだが・・・かなり妙な事になっているぞ?』
「「妙な事・・・?」」
『あぁ、場所も街中ではなくとある山中にある花畑なんだ。そして、現れた奴もおかしな奴でな・・・』
スターのいう妙な事の意味が分からずに首をかしげる零と優子。
そんな彼等に説明しながらも、レッドとアルティメギルの戦っていると思われる映像が出されるのだが、それを見ると確かに様子がおかしかった。
何故なら、テイルレッドの前でアルティメギルの怪人がテイルレッドそっくりな人形と踊っているのだ。
それを見て悲鳴を上げているテイルレッド見て何が起こっているんだと思いながらも様子を見ていると怪人はダンスをやめた。
『おやおや、いけませんよ。まだ体を吹き終わってはいないんですから。湯冷めしてしまいますよ?』
『想像の中でお前は俺に何をしているんだぁぁぁぁっ!!?』
すぐさま怪人の言った言葉に叫ぶテイルレッド。
それに合わせて零達はかなり綺麗にずっこけた。
「な、何やってんのあの怪人はっ!?」
『あの怪人、フォクスギルディは『人形(ドール)属性』と『髪紐属性』の力を持ってて、その力を使ってテイルレッドそっくりの人形を作り、それを利用した妄想でテイルレッドを精神的に攻撃してるみたいだ』
「も、妄想での精神攻撃って新しいですねぇ・・・」
「確かに・・・でも、人形を破壊すれば良いだけじゃないか?」
「・・・それは無理だと思う」
フォクスギルディの攻撃方法に変わっているなと思うレナに対し、人形を破壊すればいいんじゃないかと考えた優子。
けれども、テイルギアの装着条件を考えた零はそれが出来ないと言い出したのでどうしてと言わんばかりに二人が零の方を見た。
「だって、テクターテイルと同じでテイルギアはツインテール属性を持つものしか使えない上に、テイルギアを使う為にはテクターテイルの必要条件以上のツインテール属性が必要になるでしょ?それってつまり、ツインテールへの愛が強いって事だよね?」
「えぇ、そうなりますね・・・あっ、そう言う事か・・・」
「なるほど・・・人形とは言えどもツインテールであるから、ツインテールが好きなテイルレッドがあの人形を壊す事は出来ないって事だな?」
納得した様子の二人に頷いて答える零。
そんな事をしている間にも、フォクスギルディの妄想は続いているらしくテイルレッドの絶叫が響く。
『やめろぉぉぉぉっ!せめて服を着せろぉぉぉぉっ!!』
「おわぁっ!?話してるうちに妄想がやばい方向に行ってないか!?」
「風呂上りから一体どうなったんでしょうか・・・?」
「そこ気にする所ですか!?えと・・・とりあえず、変身!」
話をしてたので妙な展開になっている妄想に驚く優子に、何でそうなったのか純粋に気になっているレナ。
レナにツッコミを入れた後で、零はテクタードライバーを装備すると同時にそのままテイルゼロへと変身する。
「行くのか?零」
「だ、大丈夫なんですか?」
「何とかします。それに、何か可哀想だし・・・あのままじゃ心の傷どころかトラウマだ・・・」
『・・・それだけで済んだら良いのだが・・・』
相手が相手だけに大丈夫か不安になる優子とレナに微笑みながらも映像に映るテイルレッドを心配そうに見る。
その時に言った言葉に同意するスターにうんうんと頷くレナと優子。
「んじゃ、行ってくるね!スターお願い!」
『了解、気をつけろよ』
スターに声をかけた直後、テイルゼロはスターウィングから戦いが行われている場所へと転送されていくのであった。
「ふふっ、絵本を読んであげましょう・・・おやおや、甘えん坊さんですね?」
「やめろぉ・・・もう、やめてくれぇ・・・!」
フォクスギルディの妄想に苦しめられるテイルレッド。
別に攻撃を受けているわけでもないのに、苦しそうにするテイルレッドはその場で膝を付いてしまう。
「くそっ・・・俺のツインテールは・・・こんな奴に負けてしまうのか・・・!!」
妄想劇が繰り広げられている前でテイルレッドが息も絶え絶えに悔しそうに呟いた。
「諦めるなっ!!」
「「っ!?」」
その時、空から響いた第三者の声――
それに反応して空を見上げたテイルレッドとフォクスギルディは、空からテイルゼロがフォクスギルディ目掛けて落ちてきた事に気づく。
「はぁぁぁぁっ!!」
「くっ!?」
テイルゼロはそのまま落ちてきながらも飛び蹴りをフォクスギルディ目掛けて放つ。
それを見てフォクスギルディはテイルレッドの人形を抱えながら飛びのく事で攻撃を回避し、そのまま落ちたテイルゼロが落ちた衝撃で土煙が発生する。
土煙の中からテイルゼロが姿を現すと同時にすぐさま構える。
「はははっ・・・空から降ってくるとは思いませんでしたよ!テイルゼロッ!!」
「ふふっ、なかなかインパクトあってよかったでしょ?」
面白いと言わんばかりに笑うフォクスギルディに対しテイルゼロも笑いながら返すと、視線をそらしてテイルレッドの方を見る。
「大丈夫?レッド」
「テイル・・・ゼロ・・・」
座り込んだままでテイルゼロを見上げるテイルレッド。
妄想による精神的な攻撃はかなりきつかったのか、苦しそうにしているテイルレッドを見て戦闘は難しそうだと判断しテイルゼロは彼女を護るべく構えた。
「・・・とりあえず、選手交代だ!こっからは僕が相手だっ!」
「いいでしょう・・・では、まずは貴方を結ぶ下準備をさせてもらいましょう」
構えたテイルゼロを見て、フォクスギルディが右手の上にピンク色の光球を作り出す。
すると光球から一本のリボンが出てきたかと思えば、そのリボンがテイルゼロに向かって飛んで来た。
「あ、危ないっ!」
「テクターショット!!」
それを見て、リボンを飛ばす前に言った言葉の意味を知るテイルレッドが叫ぶ。
直後、テイルゼロは飛んで来るリボンに向かって素早く右手を真っ直ぐ伸ばす。
するとリボンに向けられた右手から光線が放たれ、リボンに命中すると同時にリボンを消滅させた。
「っ、驚きましたね・・・光線が出せるとは」
「これだけじゃ対処できなくなる可能性がある、と言う理由で搭載されてたのさ」
カメレオギルディの戦いを見ていたフォクスギルディは、その時に使わなかった攻撃をしたテイルゼロを見て驚く。
そんな彼に対しテイルゼロはテイルゼロスラッガーをぽんぽんと叩きながらも返す。
「さて、と・・・まずは人形を何とかするかっ!!」
「何とかする、ですか・・・けれども、どうするつもりです?貴方にこれが壊せますか?」
「・・僕も一応ツインテールの戦士だ。だから、レッドと同じで偽者とは言えどもツインテールを壊すと言うのはしたくない!だから・・・壊さないようにしながらも、お前を倒すっ!」
構えなおしたテイルゼロに対し、どうするつもりかと尋ねる。
するとテイルゼロは『壊さずに倒す』とはっきりとフォクスギルディに言うと同時に、フォクスギルディに向かって駆け出すのであった。