初投稿です。
時系列は本編開始1年前です。
黎明I:葛ソウという男
「覚悟はよろしくて?ゲヘナのお嬢さん?」
「そちらの方々こそ、私の美食の道を邪魔して、ただで済むとお思いで?」
ここはキヴォトス。
挨拶の代わりに鉛玉を交わすような、そんな世界。
今この瞬間も、銃撃戦の幕が上がろうとしている。
場所は、トリニティ総合学園自治区内のスイーツショップ。
そこで、5名程の生徒が銃を構えて向かい合っていた。
片方は、ゲヘナ学園2年生、黒舘ハルナ。
少し先の未来で、凶悪なテロリスト『美食研究会』としてその悪名を轟かせることになる少女。
片方は、トリニティ総合学園の生徒4名。
不倶戴天の敵の如く互いを憎み合うゲヘナ学園の生徒がトリニティの自治区内にいるのが耐えられず、いちゃもんをつけて追い出そうとしたのである。
しかし、己の追い求める美食に対しては何よりも真剣なハルナが素直に応じる訳も無く、こうして一触即発の状況が出来上がった。
「それでは、覚悟はよろしkそこまでです!!
突如聞こえる大きな声。
ハルナとトリニティ生両方が声の方を振り向くとそこにいたのは、
トリニティの治安維持部隊である正義実現委員会の制服を着用し、アサルトライフルを担いでいる男子生徒だった。
少年は名乗り始める。
「正義実現委員会1年、葛ソウ!皆さん、銃を下ろしてください!」
それを見たトリニティ生の1人が銃を下ろし話しかける。
「正実の方なのですね!さあ、あそこにいるゲヘナ生を捕らえてください!」
しかし、それに返ってきた返答は
「それは出来ません!むしろ私が捕らえなければいけないのは貴方達の方なので!」
「何故ですか!?何故ゲヘナなんかの味方をするんです!?」
「ここに来る途中に聞き込みをして、そちらのゲヘナのお嬢さんには非が無いと判断しました!」
「1年じゃ話になりませんわ!先輩を呼んで来なさい!」
話を聞いていたトリニティ生の内の1人が銃を突きつけて言い放つ。
「それは出来ません!先輩方のお手を煩わせるわけにはいかないので!!」
「私達は○○派のお姉様方と仲が良いのよ!こんな事をしてただで済むと思っているの!?」
「貴方達が何者であろうと、僕の正義は揺らぎません!」
バァン!
埒が開かない事を悟ったトリニティ生の1人が銃を放った。
「痛っ!いきなり何をするんですか!」
「貴方を正実に連れて行って、再教育して頂きますわ」
「そちらがそう来るなら....実力を行使します!」
トリニティ生達が銃を乱射し始めた。
その銃弾の嵐を前にしたソウは、己のライフルを盾に突っ込む。
そのまま真後ろまで回り込み、
「このッ──
相手の言葉を待つ事なく、ソウは1番後ろにいた生徒の意識を手刀で落とした。
「貴方達に勝ち目はありません!投降してください!」
「そんな事を言われて易々と応じるとおもっt──
ドサッ
そのトリニティ生の言葉は、銃声に遮られて続かなかった。無かった。何故なら──
「仲正さん!」
ソウが振り返った先にいたのは、正義実現委員会1年、仲正イチカ。
「はいはい、皆さんそこまでっすよ〜」
ここにきて漸く、残った2人は銃を捨てた。
「では、この方達はお願いします!」
「了解っす!報告書にどう書けばいいっすか?」
「少し周辺の様子を見たら戻るので、一緒に書きましょう。
その方が正確だと思うので!」
「じゃあ待ってるっすよ〜!」
そう言い残してイチカは去って行った。
「お嬢さん、大丈夫でしたか?」
被害状況の確認を終えた後、ソウはハルナと話していた。
「ええ、お陰様で。ありがとうございます。」
「紳士として当然の事をしたまでです!」
「紳士?」
その言葉を聞いたハルナが首をかしげる。
「はい!僕は紳士を目指しているので!」
そう語る少年の目はとても輝いていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
太陽の光で目が覚める。
辺りを見回すと、最低限生活するために必要な物だけが揃っているだけの廃墟。
夢を見ていたのか。
それも、随分昔の、楽しかった時の夢を。
「はぁ.......」
「眩しい.....」
葛 ソウ
正義実現委員会1年生。
他の部員達と変わらず胸に熱い正義感を宿す。
将来の夢は立派な紳士になる事。
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