TSしたセフレとドロドロでぐちゃぐちゃな関係になっていくお話   作:きむちーず

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まんざらでもない

 

 時刻は16時過ぎ。私が律の家に訪れてから、もうすぐ一日が経とうとしていた。

振り返れば──律が女になって、私は理性を抑えられず一線を越えてしまった。

やることだけやって、結局なにも解決していない。

 

──さて、これからどうするか。

 

 今の律は危うすぎる。細くて、柔らかくて、愛おしくて。知り合いに見られでもしたら、面倒ごとになるのは目に見えている。誰が信じてくれるのかもわからないし、噂が広まったらもっと大変だ。

 

……だからこそ、ひとつ思いついたことがある。

 

私は律の隣に腰を下ろす。彼女はまだソファに沈み込んだまま、うつむいて自分の指先を見つめていた。

 

「……律」

 

「なに」

か細い声。私を警戒しているのがありありとわかる。

 

 私は笑ってみせた。安心させるためじゃない。自分自身を落ち着かせるために。

 

「これからのこと、ちゃんと考えなきゃだよね」

「……」

「そう。女の子になっちゃったんだから、生活とか全部変わるじゃん。ひとりでいるの、危なすぎるよ」

 

律が顔を上げる。大きな瞳が私を映す。その視線を受け止めながら、私は言葉を放った。

 

「だから──一緒に住もう」

 

口にした瞬間、胸の奥に溜まっていた熱が一気にあふれ出した気がした。

律は一瞬固まり、困惑したように眉をひそめる。

 

「……は? なんで……」

 

「なんでって、決まってるじゃん」

私は声を強める。

「律のことが心配だから。今の律、ひとりじゃ絶対に生きていけないよ。周りにどう説明するの? 夜道を歩いて、誰かに声をかけられたら? さっきだって分かったでしょ。もう非力なんだから」

 

「……でも、別に俺は──」

 

「嫌だ」

私は律の言葉を遮った。

「私は、律を放っておけない。他の誰かに見られるのも、触れられるのも、想像しただけで吐きそうになる。律が誰かに奪われるくらいなら……」

震える声が、熱に変わっていく。

「私が全部守る。だから、一緒に住もう。……ね?」

 

律は何か言い返そうとしたが、私が身を寄せてその頬を両手で包むと、動きを止めた。

 

「断らないで。お願い。律をひとりにしたくないの」

 

頬に額を押しつける。早鐘のように暴れる心臓の音が、自分でもわかる。

拒否されたら壊れてしまいそうで、必死に言葉を重ねた。

 

「私しかいないんだよ。律をわかってあげられるのは、私だけなんだよ」

 

「……やめろよ」

律が私の手を振り払った。想像よりも強い力で。

 

「れ、麗奈……俺………こんな状態で一緒に暮らすとか、無理だよ。おかしいだろ? 昨日まで普通に男だったんだぞ? 頭が追いつかないんだ。……それに、俺、まだお前のこと……」

 

胸の奥がざらつく。

 

「……“まだ”って何? 私のこと嫌いなの? あんなに都合良く使ってたくせに」

自分でも驚くほど冷たい声が響いた。

 

「そういう意味じゃなくて! ただ……混乱してるんだよ。女になったことも、お前とのことも……」

 

律は顔をそむけた。頬が赤く染まっている。羞恥か、怒りか、それとも別の感情か。

 

「……っ、麗奈、頼むから落ち着けよ」

 

その一言で、逆に心臓が高鳴った。

──落ち着けだなんて、無理だ。

律が逃げようとすればするほど、もっと強く縛りつけたくなる。

 

 律は黙り込んだまま、しばらく天井を見つめていた。

そして、小さく息を吐く。

 

「……わかったよ」

 

「えっ……」

 

「一緒に住むのは……考える。確かに、今のままじゃ生活できそうにないし……。けど条件がある」

 律は真剣な目で私を見た。

「俺に触れるな。……勝手なことはもうするな。それを約束するなら……一緒に住んでやってもいい」

 

 私は一瞬、言葉を失った。

 触れるな?勝手なことをするな?

 それは、私にとってほとんど拷問に等しい条件だった。

 

 だけど──一緒に住めるなら。律を自分のそばに置けるなら。

 私はすぐにうなずいた。

 

「……うん。約束する」

 

「ホントかよ……?」

 疑うような視線。けれど、私は笑みを作る。

 

「だって、律を守りたいんだもん。そばにいるだけでいい。……最初はね」

 

 胸の奥で、冷たくて甘い熱が広がっていく。

 ──最初から、そのつもりじゃないけど。

 

「……それと、」

 律が小さく呟く。頬が赤く染まる。

 

「お前って……女とも、あんなこと……したことあんの?」

 

「……さあ?どうでしょうね?」

 わざと含みを持たせて答えると、律はさらに顔を真っ赤にして目を逸らした。

 

 なんだ、まんざらでもなかったんじゃん。

 





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