TSしたセフレとドロドロでぐちゃぐちゃな関係になっていくお話 作:きむちーず
律がうちに来たその日の夜。
引っ越しなんてまだしてないから、最低限の荷物だけ持って、律はとりあえず泊まることになった。
「……なんか、落ち着かないな」
律はリビングのソファに座り、落ち着きなく膝の上で指を組んでいた。
「なんでよ?何度も来たことあるでしょ?」
私は笑ってキッチンからお茶を持っていった。
「…なんていうか体が小さくなって、前よりいろんなものが大きく見えて....あとやっぱりお前が気まずい」
「え、なんで? 私たち、昨日からもう距離感ゼロでしょ」
「その“昨日”が問題なんだろ……!」
律が赤い顔で睨む。その反応が可愛すぎて、つい吹き出しそうになる。
「安心してよ。さすがに今日は大人しくするから」
「……ほんとか?」
「ほんとほんと。律が嫌がることは、もうしない。それがルールでしょ?」
律は疑わしそうな視線を送ってきたが、それ以上は何も言わなかった。
──それからしばらく、テレビをつけて並んで座った。
どんな番組を見ていたのか、正直覚えていない。
ただ、隣に座る律の存在が気になって、画面の内容なんて頭に入ってこなかった。
律の肩が小さく揺れる。眠気が来ているんだろう。
「……眠い?」
「……ちょっとな」
「じゃあ、寝よっか。明日から大学もあるしね」
「やっぱり行かないわけにはいかないよな」
「大丈夫、一応考えもあるし」
私は立ち上がって、寝室のドアを開ける。
「ベッド、ひとつしかないけど……どうする?」
律の目が見開かれる。
「は? 別々だろ普通。俺ソファでいいし」
「ソファ固いし、寝袋なんてないし。……私のベッド、広いから大丈夫だって」
「大丈夫じゃねぇよ!」
「大丈夫だよ。……私、律のこと食べたりしないから」
冗談っぽく言ったけど、内心では喉の奥が熱くなるのを感じていた。
本当に食べてしまいたいくらい可愛い。だけど今は我慢。
律は渋々ベッドに入った。端っこに寄って、布団をぎゅっと握りしめている。
私はその隣に潜り込む。
暗闇の中で、律の吐息がやけに近い。
触れてはいけない、と思うほど、指先が勝手に動きそうになる。
──ダメ。まだ今じゃない。
でも、この距離にいる律を、私は絶対に離さない。
目を閉じながら、胸の奥でそう強く誓った。
⸻
時刻は7時半。
目覚ましの音で目を覚ますと、隣で寝ている律の寝息が聞こえる。女の体になったばかりでまだ慣れないはずなのに、少し安心して眠れているみたいだ。私はそっと布団をめくり、律の髪を撫でる。柔らかい髪と温かい体に、胸の奥がざわつく。
「おはよ……律」
か細い声で返事が返ってくる。まだ眠そうで、目をこすりながら私を見上げるその姿が可愛くてたまらない。
「早く起きなきゃ、今日は一限でしょ?」
布団を引きながら促すと、律は小さく頷く。しかし、女の体になったことを意識して、少し不安げだ。
「……でも……女になったことバラしたくないし」
私はうなずき、昨日用意したサラシを手渡す。
「とりあえず隠さなきゃいけないのは胸。大丈夫、これ巻いとけば目立たない。ダボっとしたパーカーでも羽織ればほぼバレない」
律は少し照れながらも、私がサラシを巻いてあげ、服を着る。髪はウィッグで誤魔化してあげるとようやく落ち着いた表情を見せた。一見は中性的な美少年に見える。このくらいなら見た目だけでばれることはないだろう。声に関しては会話をしなければ問題ない。いざというときには風邪をひいてるって言えばいい。
玄関を出ると、まだ朝の柔らかい日差しの中、律は少しぎこちない足取りで歩く。
私と律は同じ大学に通っている。学部は違うから校内で会うことはほぼなかったが。
「大丈夫、誰にも気づかれないから」
私の声に、律は小さく頷く。心の奥に少し不安があるのは当然だ。女の体で、しかもそのことを隠しながら大学生活を送るなんて、普通の人間には想像もつかないだろう。
キャンパスに入ると、まだ朝日が柔らかく差し込み、これから始まる一日の予感が二人を包む。律は少し緊張しつつも新しい生活の一歩を踏み出した。