ハッピーエンドを目指して   作:上条@そぉい!

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ちょっと書き方変えてみました。


enemy engage!

 ドタドタと騒がしく足音が幾つも響いていく。それらが遠ざかっていくのを息を殺し、完全に消えるのを待って、ようやく息を吐いた。

 

「行ってくれたみたいね……」

「流石にあの数を纏めて相手にするのはキツイぜ」

「あーもう、出鼻を挫かれたって感じだわ!」

 

 三者三様、それに対して言葉を漏らしながら、隠れていた段ボールの山から這い出る。

 

『fairyのお陰で助かった……』

 

 ニコが抱えるボンプこと、イアスからアキラの声が聞こえる。ふぅ、と額を拭う仕草がとてもあざとい。

 

「でも、これで確信が持てたわ。奴らは何か隠してる」

「ただの倉庫にしちゃあ、警備が厳重すぎるもんな」

 

 依然として警戒を続けるアンビーと、おちゃらけてるようでホルスターに収められた愛銃をいつでも抜けるよう手をかけたビリー。

 

「しっかし店長、よくこの中に通じるホロウの抜け穴なんて分かったな」

『それもfairyのおかげだよ』

 

 出来るだけ音を立てない様、ゆっくり、着実に歩みを進める。今のところ、証拠になりそうなものは特になく、資料の入った段ボールばかりが出てくるばかりだった。

 それが数十分も続けば、意気揚々と侵入した邪兎屋の面々も空振りかと思い始める。

 

「おっかしいわねぇ……もっとこう、これだ!ってものがあると思ったのに」

 

 見飽きた段ボールを放り出し辟易した様子のニコが愚痴る。

 

『それこそ映画の見過ぎじゃないか?そんな都合のいい展開なんてそうそうないんじゃないか?』

「これが映画なら今頃B級の烙印を押されてるわね」

「でも、サメが飛んだりはしてないわ」

「スターライトナイトなら、今頃悪役が登場してるだろうしな!」

 

 各々がそんな風に言い合う。アキラは確かに、と苦笑して先へと進むことを促した。

 fairy曰く、独立したネットワークで管理されたセキュリティで、外部からハッキングする事は出来ないらしい。なので逐一管理端末に触る他ない。先ほどは防犯システムの解除に失敗して警戒アラートを鳴らしてしまったが、収穫はあった。

 この建物の間取りだ。今いるのは区画分けされた倉庫の一つだ。段ボールの多さもそれが原因だろう。いい加減見飽きてきたそれもようやく終わる。

 

「やっと景色が変わったわね」

『ここで区画が変わるみたいだ、何の区画なのかは書かれてなかったな』

 

 息が詰まると言わんばかりに伸びをするニコは、さてと気合を入れ直す。そして一歩目を踏み出した瞬間、先ほどの警戒アラートとは別の、けたたましいサイレンの音が室内に響きだす。

 

「な、なに!?私何もしてないわよ!?」

「いえ、これは──」

 

 それぞれが所感を口にするよりも早く、事態は動く。今まさに歩く通路の天井から、幾つもの隔壁がガコンガコンと降り始めたからだ。

 

「ちょ、降りてくるぜ!?」

「走って!」

 

 足の遅いボンプの体をニコが抱き抱え走る。一瞬でも遅れたら隔壁によって閉じ込められるだろう。息を切らして走り続け、ようやく障壁の降りない安全と思われる空間まで辿り着いた。

 

「はぁ……はぁ……」

「ゲホッゲホッ」

「助かったぜ……」

 

 これには皆で安堵の一息である。閉じ込められたらどうなるか想像に難くない。しかし、事態はまだ終わってなどいなかった。音もなく隔壁が頭上から降ってくる。それに唯一気がついたのはアンビーだった。

 

「ッ!危ない!」

 

 咄嗟に隣にいたビリーを蹴りながら体ごとぶつかる形でニコとイアスを突き飛ばす。ビリーは蹴りで、ニコとイアスとアンビーはぶつかる形で左右に避ける事で降りる隔壁を避けられた。しかし

 

「いって、おいアンビー!もう少し優しく出来なかったのかよ!」

「ごめんなさい、余裕がなくて」

「いいのよアンビー、お陰で助かったわ」

『明確にこっちを認識して降りてたね、あの隔壁』

 

 これは明らかな罠だ。恐らく相手の思惑通りに分断されてしまった。壁越しにビリーが銃撃してみるも、隔壁は頑丈でびくともしない。

 

「こっちにも道がある、合流できるルートを探してみる」

『あぁ、こっちも探してみる。気をつけてビリー』

 

 任せろー!と壁越しに遠ざかっていく声に、その場にいたニコ達も頷き先を急ぐ。こうなった以上脱出することを優先するべきだ。ここは相手の根城。何か起きた時有利なのは向こうなのだから。fairyの見つけた見取り図を使いながら先に進んでいくと、再び開けた空間へと出た。何もない、だだっ広い空間だ。壁や天井は鉄筋が剥き出しのままだ。

 

「止まって」

 

 腰に携えた獲物に手を掛けながら2人に待ったをかけたのはアンビーだ。薄暗い中で、この空間にただ1人佇む者を見つけたからだ。こちらが何かをする前に、こちらに突撃してくる。

 

「──ッ」

 

 ガラスを引っ掻く音を数倍にしたような、金属音が響く。衝突で後ろに蹈鞴を踏むアンビーが思ったことは一つ。

 

──速い

 

 瞬き一つの時間で相手はこっちの懐へと距離を詰めてきた。その事実一つでこの相手が尋常じゃない速さを持っている事が理解できた。そしてビリビリと手に伝わる衝撃だけで痺れるほどだ。総合して言えること、それはアンビーからして油断できる相手ではない事だ。

 

「行って、ニコ、プロキシ先生」

『でも、アンビーが──』

「分かった、後で追いつくのよ」

 

 相手を抑えるアンビーに背を向け、先へと走り出すニコに、抱き抱えられたイアス。

 

『アンビーを置いていくのか!?』

「アンビーがああ言うって事は、私達がいると邪魔って意味よ。大丈夫、負けやしないわ」

 

 幾度なくアンビーに助けられたニコは確信を持って言う。あの程度で倒れるなんてあり得ない。それよりも、早く脱出口を探して退路を確保する事の方が大事だ。先ほどの敵を2人なら楽に倒せるかもしれないが、その間に脱出口を潰されたら?それでは本末転倒だ。そこまでアンビーは考えてそう言ったであろうし、逆の立場でもニコはそう言うだろう。

 


 

 

 ギリギリ、と金属同士が擦れ合う嫌な音が何一つない空間に響く。鍔迫り合いは、お互いの放った蹴りで一度距離を離す事で終わりを告げた。薄暗さに目が慣れてきたアンビーは、そこでようやく相手の姿を見ることができた。全身真っ白のスーツを身に纏う男だ。その顔には埋め尽くされるようにビッシリとついた古傷の跡。金髪の男。

 

「貴方……」

「悪かったな、不意打ちなんてして」

 

 開口一番。相手が放ったのは予想外の謝罪だ。しかし、和解などではないのは相手の目を見れば一目瞭然。未だ警戒は解けない。こちらの動きの一つ一つを観察しながら、鞘へ刀を納める男は続ける。

 

「こうなった以上、俺の役目は終わっている。このままで居るなら何もする気はねぇ」

「まさか」

 

 その言葉に、アンビーは相手の思惑に気がつく。相手は既に目的を達成していると言った。つまりこちらの分断こそが目的。こうして対峙しているだけで相手は何もする必要がないのだ。

 

「……そう、なら残念ね」

 

 ならば自分がするべきは、一刻も早くニコ達と合流する事。差し当たって、今すべきは目の前の敵を倒す事。

 

「おいおい……女子供を斬る趣味はないんだがな」

「その台詞は、もっと前に言うべきだったわ」

「……それもそうか」

 

 紫電一閃。鋭い踏み込みから放たれる横薙ぎの一撃を、鞘から少しだけ覗かせた刀でガードする男。そのまま刀をこちらの獲物に滑らせ、鞘の先端でこちらの腹を突く。横へと飛び、その突きを躱し、くるりと跳躍しながら放つ回し蹴りを、男は空いた片腕を顔の横に差し込み、その蹴りを受け止めた。

 

──強い

 

 人にはあまり言えない経歴を持つアンビーの目は、男をそう評した。そこらのホロウレイダーとは比べ物にならない体捌きに、まだ余力を残した立ち回り。

 

「なるほど、こりゃ手加減はいらないか……先に名乗っておく。俺はマッチ。ここの警備主任……みたいなもんだ」

「……そういうのって、勝ってから言うものだと映画で見た気がするわ」

「時と場合によるだろ。この場合は……まぁ、自分を倒す相手の名前くらい知らないのは不憫だから、か?」

 

 軽口の応酬と同時に行われる剣戟の応酬。互いに無傷でありながら、守る者と攻める者。その立場は明確だった。

 アンビーはその最中に思考を続ける。自分の実力を客観視した上で考える。

 

(剣の腕前は向こうが上ね、多分このままやっても流されるだけ。こっちが有利なのは……)

 

 一対一なんて言う綺麗なものではなく、泥臭い一対多をしてきた経験値の豊富さ、だろうか。自身に足りないものを他から持ってこようとする強かさと言えばいいか。マッチと名乗った男の剣技が綺麗である事は疑いようもないが、アンビーに言わせれば、清廉すぎた。それ故に、付け入る隙は見える。

 バチバチと帯電する己の獲物を床に突き刺し、柄を軸に逆立ちのような姿勢へ。

 

「──?」

 

 マッチの怪訝な表情も束の間、それ・・は訪れる。

 

「が──ッ!?」

 

 呼吸が一瞬止まる。アンビーが持つ鉈のような獲物は、エーテリアスを相手にすることを想定されたもの。帯電するそれは人体に触れればそれだけで危険になり得るもの。

 

(地面を伝って電気をこちらにぶつけてきたのか……ッ!?)

 

 そして、突き刺した剣を除けば地面に触れていないアンビーに、その電流は流れない。足を曲げ、伸ばす。その反動で勢いをつけて剣を引き抜き、空中で姿勢を変える。放つは──

 

「サンダー!!」

 

 体重の乗った、相手の頭上から放たれる唐竹割り。周囲に目に見えるほどの電流を撒き散らしながら放たれる。

 

「……ッ!!」

 

 しかし、アンビーが強いと称するだけの実力者。電撃で動かない体を無理やり動かして、防御だけはできた。再起不能とまではいかずとも暫く行動できる体ではないだろう。

 

「……ここまでか、折角決めたのにこれじゃ格好がつかないな」

「……まともにやってたら負けてたのは私よ。強かったわ、貴方」

 

 慰めとも取れる言葉に、片膝をついて動けない体で走り去っていくアンビーを見ながらマッチは苦笑した。時間にして約5分の攻防は、アンビーの勝利で幕を閉じた。

 


 

367:zzzを救いたい転生者

ぐえー、負けたー!流石原作エージェントはつええや

 

368:zzzを救いたい転生者

でもいいところまでいったんじゃない?

 

369:zzzを救いたい転生者

時間稼ぎはできたし、よしよし。

 

370:zzzを救いたい転生者

分断もうまく行ったし、後は予定通りだね

 

371:zzzを救いたい転生者

盛り上がってるところ申し訳ないんだけど……急報がある……とてもやばーいやつ

 

372:zzzを救いたい転生者

これ以上悪くなるのは勘弁

 

373:zzzを救いたい転生者

お前聞きたくないからって耳塞ぐな横にいるの俺だぞ

 

374:zzzを救いたい転生者

話を聞こうか

 

375:zzzを救いたい転生者

えーっと、今支部に居る唯一のネームドさんがデスマーチ中なんだけどさ。今の騒ぎに気づいた

 

376:zzzを救いたい転生者

ふぁっ

 

377:zzzを救いたい転生者

確か医療部門の主任がいたような……

 

378:zzzを救いたい転生者

あの人かーッ!!

 

379:zzzを救いたい転生者

……今、何徹目?

 

380:zzzを救いたい転生者

数えてる限りだと5日目ですね……

 

381:zzzを救いたい転生者

最悪死人が出るぞー!急げ!!あの人止めろー!

 

 

 黒ずくめの兵士たちは顔を見合わせ、頷く。まるでラスボスを前にした勇者様御一行のような顔つきで、彼女が居るであろうラボへと突撃するのであった。

 


 

 

 カツカツと自らの足が鳴らす足音だけが響く。通路は薄暗さを増し、世界に自分だけが取り残されたのではないかと錯覚するように静まり返っている。

 

『見取り図によれば操作端末がこの先にあるはずだ、そうすればホロウの抜け穴に通じる道も出来るはずだ』

「わかってるわよ!」

 

 先を急ぐ2人を待っていたのは、また広い空間だ。

 

『ここは……』

「気にしてる暇はないわ、行くわよ」

 

 ニコの足元を右左と見回すイアス。アンビーと別れた空間とは違い、何もないのは同じでも違う点がある。それは、凡そ人がつけられる類のものではない爪痕。エーテリアスのそれとも違う何か。それが壁や床にビッシリとつけられていたのだ。まるで野戦跡のようだ。薄暗さや静けさと相待ってそれは不気味な印象をイアスの目を通してアキラは感じていた。ニコの言う通り、ここに長居していい事はない、早く行くべきだろう。2人で前に進もうと歩みを進めようとした時だ。バン!と音を立てて天井に吊された幾つもの電球が輝き部屋を照らし出した。

 

 カツカツと、金属製の床を鳴らす靴の音。それは前方から聞こえる。ギィ……と掠れた音でこの空間を出入りする扉が開き、誰かが入ってくる。

 

「下がってなさいプロキシ!」

 

 イアスを自らの後ろに隠し、アタッシュケースを改造したランチャーを握る手に力が籠る。誰だか知らないけど、間違いなくこの状況で出てくるのは敵以外あり得ない。

 

「要らない邪魔が入ったが、侵入者はお前だな?」

「ふん、だったら何!?」

 

 冷静に尋ねる声に、ニコは強気に返す。光の下、現れたのは、女性だ。肌が良く見える露出の高い服の上から、白衣を着る女性。頭に耳が生えており、何らかのシリオンである事は察せられた。容姿だけで言えば美人の類に入るだろう。しかしそれを台無しにするように目が座っており、酷い隈があった。

 

「全く、忙しい時に面倒事を起こさないでほしい。君らが侵入した理由も大体推測がつくが……迷惑としか言えないな」

「うっさいわね!あんたらが何か隠してるのは知ってるのよ!」

 

 全くのブラフ。しかし、全てが全て的外れとも言えない。ただの倉庫の筈のこの建物には似つかわしくない設備の数々。良からぬ何かを企んでいると考えるのは至って普通だろう。

 

「はぁ……説明してもいいが、この調子では聞きそうにないな」

「何をするつもりなのかしら?何かすれば私のランチャーが火を吹くわよ」

 

 見る限り無防備、出てきたのが1人ならばどうにでもなる。そういう算段で強く出るニコに対し、女性は何処までも冷ややかというか、まるで怯える様子はなかった。

 

「幸い、ここはシミュレーション室だ。派手に暴れても大した影響はないだろう」

「やろうっての!?」

「私ではないがな──Mon3tr」

 

 ぐちゃぐちゃ、ぬちぬちと、粘着質でグロテスク、そんな擬音が空間を占めていく。そうして、その女性の背後から現れたのは、エーテリアスとも違う、つるりと光沢のある体と、所々で黒と緑に発光している。爬虫類をそのまま大きくしたような、正気を削るような容姿をした化け物だ。

 

 彼女はネームドである。先に転生者たちが言った「追い返せるメンバーがいない」との言葉に嘘はない。だがそれは安全に・・・という意味である。危険を顧みないのであれば、ネームドは存在していたのだ。懸念する点は、下手するとうっかり殺してしまいかねない所だった。




【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避けること


転生者その12
掲示板ネーム特になし。登場作品はトリコ!よりグルメヤクザのマッチ。転生者が好きで勝手に再現したものであり、別に同じ姿と力を持っていたわけではない。
それ故に準ネームドとカテゴリ分けされている。他にも同じような人はいる。例えばフロムゲームをできるだけ多く再現した狂人とか。ただ、強さという点では本家とあまり違いがない……かもしれない。


転生者その13
掲示板ネームドクター。登場作品はアークナイツより、ケルシー。彼女の存在定義にはかの世界での病気が混ざっている為、ここでも同じ病に罹っている。だけどこの世界はエーテルがある為、それと競合を起こし喰い合い相殺している。
なので他人に病気がうつることもない。あれ?つまりエーテルがあればあの世界救えるのでは?と思わなくもないとは本人の談。
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