ハッピーエンドを目指して   作:上条@そぉい!

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戦闘描写、描くたびに下手くそになってる気がしてなりません。


フラグ回収

 一通り、視察を終えて一団は歓迎する為一時的に解放された会議室にてそれぞれ見てきたものに対する質問を飛ばす。その一つ一つに安室は答え、時にその隣に控える秘書の七海建人が答えていく。

 

「特に問題も無さそうだし、この辺でお開きかなー」

 

 んー、と短い手足を伸ばし椅子に座ったままバタバタする照。と、その時だ。

 

「ん……?」

 

 照は、違和感を覚えた。言葉にできない何か。んー、と丁寧にその違和感の正体を探す。

 

(社長さんや秘書さんにおかしな点は無い、これじゃ無い。なら、こっち?)

 

 向こうにおかしな点を覚えたのではなく、他のもの。照はこの場を見極める責任者としてここに居る。だが自分だけでは無い。それぞれ様々な部署から派遣されたメンバーがいる。その顔を一つ一つ見ていくうちに、自分が何におかしさを覚えたのかを理解した。

 

(……最初にここに来た時より、人数が減ってる)

 

 数人ほど、いたはずの人間が消えている。人の覚えは悪く無い方だ、どんな顔だったかだって覚えている。己の勘違いなどでは無い事を理解する。

 

「ねぇ、安室社長?」

「はい?どうかしました?」

 

 声色の細かな変化に目敏く気がつく安室は、目を僅かに鋭くさせながらこちらに向く。

 

「最初に来た時より、人数が減ってるんだけど……どお思う?」

「……少々お待ちを」

 

 そう言って、安室はスーツの懐から通信機を取り出す。そうして誰かと会話を何度か交わし、此方に向き直る。

 

「どうやら、スパイが紛れてたようです」

「……ふーん」

 

 事実が発覚するのが明らかに早い。既にマークをしていたのか、或いは何処かで監視しているのか。どちらにせよ、照の頭はその事実を前にとても冷えていた。

 

(公正を謳い、こうして私達クランプスの黒枝を使っておきながら、堂々と悪事を働く……照ちゃんちょーっと頭きちゃうなぁ)

 

 端的に言って、舐められている。これは後で徹底的に追求してお灸を据えるとして、今は事態の収集を図らなければならない。

 

「どうするの?」

「既に私の部下が確保に向かっています、ご安心を──」

 

 安室の言葉が言い切られるよりも先に、ビルが大きく揺れ、爆発音が響いた。すぐにセキュリティの警報が鳴り響き、分厚い金属のシャッターが窓ガラスをシャットアウト。陽の光が入らなくなってしまった。

 

「あー、なるほど」

 

 安室はそれを受け、悩ましげに額を抑える。

 

「私も手伝おうか?」

「いえ、それは大丈夫なのですが……」

 

 事後処理の事を考えると、胃が痛いです。と安室は諦めたように肩を落とすのだった。

 

 

──各エリアで工作員を発見、バレた工作員が忍ばせていた注射器を体に刺して変化。サクリファイスになった。

 

 そんな報告が掲示板に流れる。予想していた為、そこまで大きなショックはない。むしろやはりか、という諦めにも近い心持ちだ。幸いなのは、この事態に備え人員を配置していた事だろう。それはまだいい。ただ、そのメンバーに不安要素しかない事が心配だった。

 

「心配だ……」

 

 何のこっちゃ、と首を傾げる照さんを横目に、安室は心の中で必死に祈る。

 

──どうか、穏便に済ませてくれますように……!!!

 


 

 

 アナハイム本社に、サクリファイスが出現。それを受け、近場にいた部隊の兵士たちが各々の武器で応戦するも、結果はよろしくない。その場で足止めするのが精一杯で、とても討伐できたものではない。しかし、それでも戦う黒ずくめの兵士たちの目に諦めの色はない。この状況を打開できる人間が、いるからだ。

 

「全く、遠征から帰ってきたばかりなのに人使い荒くない?」

 

 まるで我が家のような気楽さでサクリファイスの前へ躍り出たのは、髪をサイドを残しオールバックにし、サングラスを外し、手の中に収まるサイズのデバイスを片手で弄ぶ男だ。

 

「ちょ、迅さん前!前!」

 

 サクリファイスは理性ないまま、幾つもの棘を浮遊させ、此方へと射出してくる。それに気がついた兵士の1人が、男に叫ぶが、いたって普段通りの迅と呼ばれた男は、片手のデバイスを前に一言呟く。

 

『トリガー、オン』

 

 その一言は劇的な変化を齎すものではなかった。しかし、確実な変化はある。その手に持つデバイスから日本刀ほどのサイズのブレードが飛び出し、ブレードの付け根からは幾本もの光の帯がユラユラと揺れていた。

 

「ふっ!」

 

 軽く振るう。ガガガッ!!!と断続的に響く音と共に、床に棘の破片が散らばり突き刺さる。

 サクリファイスは更に棘を飛ばすも、それらは体に到達するよりも先に叩き落とされていく。弾きながらブレードの射程圏内へと走る迅。

 

(あんまり危険って感じはしないな)

 

 その中で冷静に相手の分析を進めていく。アナハイム社に居るネームドは基本的に役職がある。技術であったり、医療であったり、その専門家として活躍している中でこの男と率いている部隊に求められた役割は『戦闘員』である。純粋な戦闘力のみを評価され、常に零号ホロウの深部を目指し『遠征』をしていた者たちである。その経験からして、まだ余力があった。

 サクリファイスは既に人としての自我を喪失している。しかし、本能で理解できる事もある。目の前にいる脅威は、自らを脅かす者たり得ると。故に、ある程度傷を負う事を理解しながら、その肥大化した体でもって突撃を敢行したのだ。

 

「へぇ……」

 

 上からの袈裟斬りを受けてなお、怯まないサクリファイスの体当たりを受ける。その狙いは──

 

(外か!)

 

 ここは高層ビルの上階だ。サクリファイスの質量を持ってすれば、体当たりで外へ押し出すだけの事は出来る。そして、落下してしまえば取れる行動など限られてしまう。防犯シャッターが降りた窓だが、怪力で紙みたいに破られてしまった。背中に伝わる衝撃のあと、気持ち悪い浮遊感を覚えながら下へと落ちていく迅。

 

『gegege!』

 

 まるで勝ち誇るかのように、理解できない笑い声を漏らすサクリファイス。後は空中でゆっくりと目の前の人を料理すればいい、そう考えた。だが──

 

「負けるのはお前だよ、俺のサイドエフェクトがそう言ってる」

 

 余裕の笑みを崩さず、迅は構える。その形は、ブレードを腰に据えた形。まるで居合のような構えへ。何をしようと一撃では倒れない。サクリファイスにはその確信がある。だがもし、理性が残っていたら疑問に思っただろう。迅が持つブレードで揺れていた光の帯が消えていた事を。

 

『GYA!?』

 

 ビルの上階から迅と共に落下するサクリファイスは、体の至る箇所から感じる痛みに体を硬直させる。何かと見てみれば、自身の体が細かく切断されていて、まるで達磨のようになっていた。

 

「俺の武器トリガーは特別でね、遠隔で斬撃を置く・・事ができるんだよ」

 

 こうなる事を予め知っていた迅は、既にサクリファイスが通るルートに斬撃を配置し、それが時間差で体を切り裂いたのである。そして

 

「これでトドメ──旋空弧月」

 

 居合の如く、腰に据えたブレードを振り抜く。

 

『GYA──』

 

 サクリファイスは断末魔をあげる暇すら与えられる事なく、瞬間的に伸びたブレードによって一刀両断された。

 

「ふぅ」

 

 これで一件落着、と言わんばかりに息を吐く迅は、ここで忘れていた事を思い出す。

 

「あ」

 

 しまった、着地どうしよう。何も考えてなかった。

 


 

 

 サクリファイスは理解できずにいた。目の前の生物は、本当に人間なのだろうか?幾ら攻撃を重ねても、まるで堪えた様子が見られない。それどころか嬉々として目を輝かせる始末だ。

 

「ねぇねぇ、もうそれだけ?もっと見せて欲しいんだけどなぁ」

 

 るんるん、と張り付いた笑顔でサクリファイスを見つめる。機械で出来た兎耳をつけた女性。服と相まってメイドのようにも、バニーガールのようにも見える女性。服から覗く肌には傷一つ見られない。

 

「なんだぁ、もうネタ切れ?なら──」

 

 実験に付き合ってね?とにっこりで笑う篠ノ之束であった。サクリファイスは理性ないまま、身震いした。言語化できないそれの正体が恐怖である事を、まだ知らない。或いは、理性が無いだけ救いがあったのかもしれない。これより先を語る事は憚られるが……一部始終を見ていた電脳少女が嗚咽を漏らした、と言えばその末路も想像がつくだろう。




【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避ける


転生者その15
掲示板ネーム実力派エリート。登場作品はワールドトリガーより、迅悠一。元防衛軍出身で、今はアナハイム社所属の戦闘員。彼の能力サイドエフェクトは未来予知。本家ほど使いこなせていないので使い方は戦闘時のみに限定されている。武器は風刃+弧月という魔改造仕様。製作者は篠ノ之束。
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