ハッピーエンドを目指して   作:上条@そぉい!

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夜渡りに新たな敵が来てたので遅れました。あとなんか腸炎になったりと大変でした。短めです


事件多発につき

 今日は休日だ。日々様変わりしない廃墟の中を走り回っていた身からすれば、コーヒー片手に窓の外から平和な日々の営みの一部を覗く。この時間が好きだ。この後はどうしようか、ゲームセンターでランキング更新目指してスネークマッチでもやろうか?いや、或いはエンゾウオジさんの所に冷やかしにでも行こうか。

 

「コーヒーのおかわりは如何ですか?」

 

 机に置かれたコーヒーカップが空である事に気がついた知能構造体のティンさんがそんな風に言ってくれる。

 

「いや、遠慮しておくよ。あまり飲み物で腹を満たすのは好きじゃなくてね」

「そうですか……久しぶりの来店ですが、今日はお休みですか?レオンさん」

「あぁ、やっと休暇を貰えたんでね」

 

 と、言うのも市長の指示であちこちをその名代、いや代理として動く日々だったが、ようやくそれも落ち着きを見せ、休みが欲しい事をボヤいたらすんなり通ったと言う訳だ。世界を救う勇者だって、宿屋なりで休む事もある。ゲームのように都合よく全回復はしないにしろ、休みというのは誰にとっても大事なものだ。

 

「……このまま平和なら、良いんだが」

 

 そうもいかないだろう。この平和の裏にはホロウという脅威があり、讃頌会という悪意がある。そして、それに連なる悲劇が存在する限り、この世界に平和は訪れない。そのために自分が居て、仲間がいて、誰かがいる。

 

──ブー、ブー

 

 言霊というやつを信じていなかったが、そんな事を呟く自分の携帯が着信を告げポケットで震える様にはフラグってやつを呪いたくなった。

 

「もしもし」

 

 電話相手は、市長だ。緊急というやつか、端的な会話を数度し、そのまま電話を切った。休暇は、どうやらここまでのようだ。お代を支払い、コーヒーショップを後にした。出入りを知らせる呼び鈴の音が、やけに後を引いていた。

 

 そのまま向かった先、レオンが足を運んだのは超高層ビルを一望できる川のほとり。モニュメントがデカデカと置かれた広場、バレエツインズだ。あまり人のいない此処に、1人立ち尽くす人を見つける。今回のレオンの待ち人であり、仕事仲間である。

 

「遅かったかな」

「いえ、時間通りでごさいます。レオン様」

 

 狼のシリオン。自らを戒めるように体のあちこちを拘束具を思わせるベルトで締め付けたようなデザインの執事服。穏やかな笑みでこちらを迎えたのは、『ヴィクトリア家政』のリーダー、ライカンだった。挨拶もそこそこに、すぐさま本題に入ると、2人の顔つきは穏やかなものから戦場のそれへと移行する。

 

「それで、状況は」

「同僚を先に行かせましたが、いまだに帰ってこない事を考慮すると、恐らく既に……」

「そうか……」

 

 やられた、というのは考えられないだろう。彼の同僚達は精鋭だ。と、なれば中にはまだ彼女らが帰ってこれない何かがあると見て良い。レオンは思案しながら、市長の言葉を思い出す。

 

──ポーセルメックスの積荷が行方不明になった

 

 休暇を楽しむレオンに開口一番、彼が放った一言はレオンの頭を仕事モードへと変えるには充分だったと言える。ポーセルメックス、TOPS企業傘下の特殊開発企業だ。衛非地区でエーテルに関する輝磁の採掘できる鉱山の管理企業。そして、讃頌会の根が張った組織だ。飛行船を使った輸送の最中、原因不明の事故により行方が分からなくなった。

 そして、インターノットでの目撃情報などから、バレエツインズの共生ホロウ内にある事が分かったようで、その確認のため、レオンは呼ばれた。

 

「積荷は」

「例の繭が。既に幾つか発見済みです」

 

 ビンゴ。市長の予想もとい確信は間違っていなかった。積荷の中身は輝磁を使った繭に収められたサクリファイスだ。しかも複数あるときた。

 

「手早く行こう、被害が出る前に」

「かしこまりました」

 

 2人は、眼前に広がる高層ビルを飲み込む形で存在するホロウへと足を運んで行った。

 


 

 

「うん……んごっ!?」

 

 外が白み始めた早朝、ツンツン頭の少年は寝返りをしようとしたところ、そのまま寝床から落ちた。衝撃で顔を強かに強打し、静かに悶絶することから1日が始まった。毛布を押し除け、立ち上がる。

 

「あー……」

 

 同居人を起こさぬよう、小さく呻く。流石にソファで寝ると背中がバキバキである。目覚めも最悪で、お世辞にも良い寝床とは言えないそれに、言い難い感情が漏れるが、それも最後には萎んでしまう。

 だって、彼女を床やソファで寝かせるなど家主として許せるものではなかったから。今も自分のベットで大の字に寝ている猫又。とても幸せそうな顔で涎を垂らし寝ているのを見ているとしょうがないか、と自分を納得させる他ない。

 

「んー……」

 

 まだ学校に行くには早すぎて、二度寝するには遅すぎる。そんな微妙な時間に目が覚めてしまい、手持ち無沙汰になってしまった。猫又を起こすわけにも行かず、仕方ないので近所の自動販売機まで行こうと思い、学生服に着替えて外へ出た。

 良い加減、夏も終わりを迎え寒さが目立ってきた。制服も夏服から冬服へ衣替えのシーズンだろうか。しかし、ツンツン頭の少年は服を適当に押し込むタイプであり、シーズンを過ぎた服を取り出そうとすると、クローゼットに隠された服の山と格闘する羽目になる。それが億劫で、いまだに半袖を貫いている。

 

「ガキの頃、冬でも半袖短パンで過ごしてる奴がいたなぁ……」

 

 前世の頃、同級生が真冬に半袖短パンで過ごしていた姿を思い出す。もしや今の自分みたいなものだったのではないだろうか、なんてどうでも良い事を考える。多分違うだろうが。どうでも良い事を考えながら歩いていたら、目的の自販機まですぐだった。

 

「あれ」

 

 ポケットの中を弄る。大抵の場合、硬貨が幾らか入っているポケットの中を探る手には何にも感触がない。

 

「嘘だろ、金あったよな?」

 

 焦りと共にもう一度探す。しかし、いくら探しても硬貨はなく、目的のものを目の前にしながら何もできないという現状が出来上がってしまった。

 

「不幸だ……」

 

 適当に洗濯機に突っ込んで洗ってしまったのが原因だろうか。その時に硬貨がポケットから飛び出たとか。なんにせよ、もはや自販機は無用の長物。トボトボと踵を返すしかなかった。そんな時だった。彼が踏み出した足が地面を突き抜け、まるで大晦日のドッキリ番組みたいに落ちたのだ。

 

「うぇっ!?ちょ」

 

 突然の事にパニックを起こしながらも、冷静に何処か考える自分がいた。その時彼の脳裏をよぎった言葉は一つだ。

 

──あ、不幸いつものやつ

 

 ホロウに入る時感じる不快感の後、何処かに出た。彼にバタバタと風に煽られ暴れる服に構ってる暇など無かった。何故なら彼が飛び出たのは、空中だ。それも建物の3階はあるであろう高さだ。

 

「うおおおおいいぃ!?」

 

 不幸にも限度があるだろ、と文句の一つも言いたいが今はまずこの窮地を抜け出さなくては。何かの本で読んだ記憶がある。高所から落下した時、一番怪我をしてはならないのは頭だと。とにかく頭を守るよう、両手で抱え、姿勢を逆さまにしないよう姿勢をキープ。足から着地できるようにする。

 

「ッ!」

 

 舌を噛まないよう歯を食いしばり、地面へ着地。ビキリと痛みが足に走るが、それを無視して着地と同時に膝を折り、体を前転させるようにゴロゴロと転がる。細かな擦り傷、切り傷が出来るが、動けないなどの致命的な問題は起こらなかった。

 

「危なかった!まじで危なかった!」

 

 何故歩いていたら死ぬかもしれない状況になるのか。いくら慣れたとはいえ文句がないわけでは無いのだ。危機を潜り抜けた今でも心臓はバクバクである。呼吸を落ち着け、そこでようやく自分のいる場所を把握する。

 

「ホロウ……何処のだ?」

 

 ホロウに落とされることはや二桁を突破した少年にとってこの状況には慣れっこである。場慣れした様子でその場にあるものを調べていく。幸いエーテリアスの姿はなかった為、いつもより比較的マシと言えるだろう。

 

「なんだこりゃ……」

 

 道を塞ぐように粘着質なエーテルがある。触れてみると、右手幻想殺しに反応して消えていく。しかし、何処からか供給されているのかすぐに元に戻ってしまう。

 

「瘤みたいなのもあるし……初めて見るな」

 

 普段のホロウにこんなものはない。特殊なホロウに落ちたのだろうか。気になる事は多い。しかしまずはここから脱出しなくては。だが、彼は気が付かなかったが、その姿を空高い位置から翼を広げ見つめる黒い鳥の姿があった。




【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避けること

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