ハッピーエンドを目指して   作:上条@そぉい!

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ホロウに向かえ

 「私が追跡して追いつけたのはここまでよ」

 

 連絡を受けたリンドウ及び治安官達はポートエルピスに集まっていた。そこには既にジェーンが待機しており、こちらの到着を待っていた。

 

「おし……まずは周囲の近隣住民の避難誘導を。そんで青衣は俺と一緒にホロウ内に突入するぞ」

 

 即座に支持を出すリンドウと、はいッ!と気合の入った返事で即座に動き出す治安官達。その時、リンドウのコートの端を掴まれた。

 

「……私も行きます」

「……いけるか?」

 

 朱鳶だった。精神的にまだ復帰したとは言い難い朱鳶をリンドウは外すつもりでいた。しかし、本人にその気はなく、じっとこちらの目を見てくる。

 

「やらせてください」

「……わかった、ついてこい」

 

 頷きを返し、ホロウへと向かう。灯台の光が薄れゆく陽の光の代わりに輝きを増していた。もう夜がそこまで迫っていた。

 

「ああ、そうだジェーン。多分後からホロウに突入しようとする奴が幾らか居るはずだ。通してやってくれ」

「ホロウに?それはいいけど、民間人よね?」

「んー……外部協力者、と言えば良いか。とにかく実力は確かだ。頼んだぜ」

 

 その言葉を残し、ホロウへと僅かな人員で突入したリンドウ。空には暗雲が立ち込め始めており、前途の多難さを如実に表していた。

 


 

 

 七海は、ガタンガタン、と定期的に揺れる車内で目を覚ました。体を起こして目の前に飛び込む光景は──

 

「目を覚ましたか」

「星見雅……ここは」

 

 凛とした佇まいで座席に座る雅の姿だった。車内は意外と広く、何やら機材なりが一緒に積まれており、普通の車ではない事は察せられた。その疑問を察した柳が説明してくれた。

 

「ここはH.A.N.Dの装甲車ですよ……現在、ポートエルピスのホロウへと向かっています」

 

 ズキリ、体が痛む。僅かに呻き体を見れば、上半身にはギチギチと包帯が巻かれていた。姿勢を正し、説明をする柳に目を向ける。

 

「どれだけ寝てましたか」

「軽く1時間は。既に事態は急を要します……ブリンガーが逃走、ホロウに逃げ込んだようです」

 

 その言葉に驚きはない。やはりそうなったかという思いすらあった。未来を変えよう、と転生者達は動いてきたが、中にはどうしても変えられない、確定事項のようなものがあることを経験で知っていた。

 必ずこうならなくてはならない、という運命的なものがあるように感じていたのだ。

 

 

「……なんで僕がおじさんの隣なのさ」

「タバコの一つでも吸えたら楽だったんだが……車内禁煙らしいからな」

「人数が多いんです、我儘言わないでください浅羽隊員」

「まだ結構スペースありますよねぇ!?」

「ん、ハルマサ降りたいの?」

「そうは言ってないかなぁ!?」

 

 騒がしくなる車内で、静かに一人目を瞑る雅にその席の対面に座っていたカルロッタが尋ねる。

 

「どうかいたしましたか?」

「いや……少々昔を思い出していただけだ」

 

──私、英雄になる

 

 幼きあの日。夕陽に照らされた公園。そう宣言した私の頭を撫で白い髪の青年は言った。

 

──なら、俺はその隣だな。赤に青、丁度いい組み合わせだろ?

 

 そう言って二人は笑い合った。旧都陥落のあの日に。

 

 記憶の片隅に残るものに蓋をする。僅かな笑みは消し、柳へと視線を向ける。

 

「もう暫く到着まで時間が掛かります。どうやら治安局による避難誘導と、その道路規制で渋滞が起きてるようで」

「そうか」

 


 

157:zzzを救いたい転生者

ターゲット視認、ホロウ中央エリアだ

 

158:zzzを救いたい転生者

狙撃できないか?

 

159:zzzを救いたい転生者

この距離じゃ無理だ。ロボットの姉さんじゃないんだから

 

160:固形蛇

こちらスネーク、ホロウ東エリアに到着、中央に向かう。オマケもつれてな

 

161:パパラッチ

まだこっちは道路規制に捕まってる

 

162:フェンリル

仲間つれて中央にいる。俺が真っ先に到達しそうだな

 

163:悪魔も泣き出す男

こっちも中央。カリュドーンの子もほぼ全員こっちだ。パエトーンの案内付きでな

 

164:zzzを救いたい転生者

西エリアはヴィクトリア家政全員に俺たちフィランソロピー隊員だな

 

165:zzzを救いたい転生者

こうしてみると大集合だな、ほんとにここまでの戦力が必要か?

 

166:白い悪魔

まあ、多少予定より多くなったのは否定しないけど。この作戦で肝だったのはブリンガーと星見雅を会わせないことだった

 

167:zzzを救いたい転生者

原作だと妖刀の力をねらってたしな

 

168:zzzを救いたい転生者

だから分断して時間稼ぎ。その間にブリンガーを捕縛及び鎮圧、と?

 

169:白い悪魔

そう。ホントは逮捕できるのが理想だったけど逃げられたしね

 

170:フェンリル

悪いな、逃げられて

 

171:白い悪魔

いや、予想はしてたから平気。だからここからは第二プラン。

 

172:zzzを救いたい転生者

ここで倒す気か

 

173:実力派エリート

こっちもホロウに向かってるよ、もう少し時間掛かる

 

 


 

「追いかけっこはもう終わりにしましょうや、長官」

 

 リンドウはコンテナだらけのホロウ内で、ブリンガーと対面していた。リンドウの後ろには朱鳶に青衣も控えており、例えリンドウを何らかの方法で倒したとしても後はない。

 

「チッ……」

 

 忌々しそうに顔を歪めたブリンガーはしかし、まるで勝ち誇ったように笑った。

 

「こうなる事を俺が予想してなかったとでも思ってるのか?だとしたらマヌケだな」

 

 懐から取り出されるは手のひらに収まるサイズの注射器であった。しかし、それを見るリンドウの様子に揺らぎはない。むしろそうしてくるだろうとすら考えていた。ここで倒すつもりでいたのだから。

 

「こうなった以上、ここで貴様らには消えてもらう!讃頌会を邪魔する奴ら全員纏めてな!」

 

 ん?と眉を動かすリンドウ。僅かな違い、そして今対面する自分達だけに向けられたものだけではない言葉。こちらが作戦を立てていたように、向こうも何らかの作戦をしていたのではないか?そんな疑問がよぎった。

 

──飛行船によるサクリファイスの輸送

 

──衛非地区で起きたクローンを使ったサクリファイスの量産

 

 その真意はまだ明らかではない。何か自分達は見落としている……?嫌な予感はブリンガーが注射器を自らの首に刺し、変貌していくのと同時に、掲示板で知らされた報告によって現実となった。

 

174:電脳少女

ほ、報告ーッ!!!あ、あわわわ!!!

 

175:zzzを救いたい転生者

落ち着け!転生者は狼狽えない!!

 

176:zzzを救いたい転生者

まだ慌てるような時間じゃない、と言いたいがこっちでも異変は見えた

 

177:電脳少女

ブリンガーのサクリファイス化と同時に、西と東、それぞれのエリアで同レベルのエーテル活性上昇を検知!シンプルに言えば特大サイズのサクリファイスが二体現れました!

 

178:zzzを救いたい転生者

ダニィ!?

 

179:悪魔が泣き出す男

こっちでもパエトーン、fairyから聞いた。同時にホロウ領域が膨らみ始めたってな

 

180:zzzを救いたい転生者

待て待て待て!つまりこのホロウにクソデカサクリファイスが同時に三体!?

 

181:白い悪魔

ふっざけ……ヴゥン、落ち着け冷静になれ。

 

182:龍を背負う男

待ってろ、今向かう

 

183:白い悪魔

中央組はブリンガーの討伐!それは変わらない!東と西は倒す事は考えなくていい。今はとにかく足止め!くそっ、一般隊員だけじゃ対処できない。致命的にネームドが足りない!

 

184:zzzを救いたい転生者

この前の事件で何人かネームドが負傷したので痛いな……

 

185:zzzを救いたい転生者

おい、第一部隊が確か装甲車引っ張ってきてたろ!持ってこい!

 

186:電脳少女

fairyさんと連携取れました。fairyの言葉をそのままここで言いますね

『中央エリアのエーテル活性が上昇。ゼンレス限界間近残り10分。零号ホロウ特殊エーテリアス、コードネーム・ニネヴェと同等クラスになると予想されます』

 

 

 




 雨がぽつりと、港を染め始めた夜。
 遠くからバババ……と静かに、しかし確実なヘリのローター音が鳴っている

──我らは歩兵隊~

 陽気な歌を歌いながら、ヘリを操縦する男がいた。
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