ハッピーエンドを目指して   作:上条@そぉい!

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前々からこの三人の協力プレイ、見たかったんですよね


英雄の証

 ホロウ内西エリア、既にそこが港区であった事が分からないほどに原型が無かった。

 肩を揺らし息を切らす執事とメイド達。その背後には既に多くの兵士達が倒れている。

 

「参りましたね……」

 

 目の前を悠々と泳ぐ怪物を睨む。ここは陸。泳ぐと言う表現はおかしいかもしれないが、地面に身を沈めその上にあるものを薙ぎ倒しながら進む怪物のそれは陸を泳ぐ巨魚だった。

 

「だる……」

「ど、どうしましょう……」

 

 今回連れてきたエレンやカリンもその素振りこそないが疲弊が見えてきている。そして、それはライカンやリナも同様である。まだ余力こそ残しているが、あまり楽観視もできない。そんな状態。

 体の大半を地中に隠す巨大なサクリファイス。そのせいでこちらの攻撃があまり通らず、ものともしないまま泳ぐだけで此方に齎す被害は甚大。

 

『大丈夫ですか!?』

「……無事ではあります、があまり余裕はありません」

 

 耳元に取り付けた通信装置越しに聞こえる活発そうな少女の声に返事をする。雨で滴る水が頬を通る感覚すら煩わしく感じる。

 

「応援はまだでしょうか」

『少し待ってください……え?増援!?今すぐお願いします!』

 

 通信先で誰かと会話するエネは慌てたように誰かに頼むと、此方に吉報を届けた。

 

『一人、来ます!』

「一人、ですか」

 

 吉報というには余りに小さい。しかし、明らかな兆しだ。ありがたく受け取るとして……この相手をどうしたらいいものか。此方の攻撃が通らない。

 

『え?嘘でしょ、あの人来るんですか!?い、いや、大丈夫なんですかそれ……?へ?もう一人?今は居ないはずじゃ──』

 

 通信先で騒がしくなるエネに構う暇はない。既に相手は再び動き出している。相手に攻撃の意思があるのか定かではないが、今乱雑に動くだけでも此方にとって脅威だ。

 

「離れて!」

 

 ライカンの掛け声一つでその場にいたヴィクトリア家政のメンバーは散り散りに離れる。その数秒後、地面をバキバキと破壊しながら通過する怪物。

 

──っと、ちょいとゴメンな!

 

 突如、そんな泳ぐ怪物の背ヒレに上空から落下してきた人が手に持つ巨大な顎のような生き物を押し付けたのを見た。

 

『GYAA!?』

 

 初めて聞いたサクリファイスの悲鳴と共に、背ヒレの一部を引きちぎる男は暴れ狂う怪物の背中から投げ出され、そこらに転がるコンテナの一つに背中から叩きつけられる。

 

「な──」

 

 大丈夫か、そんな風に駆け寄ろうとするライカンだったが、何事もないように立ち上がる姿に言い掛けた言葉が止まった。

 

「やっぱ捕食なら硬さを無視できるか。かと言って全部捕食するのは現実的じゃないなぁ……」

 

 そこに居たのは、中央エリアで戦っていたリンドウその人であった。

 

「貴方は、他の場所にいた筈では」

 

 もしや他のエリアで何かあったのか、そう考えるライカンだったが軽い調子で答えるリンドウ。

 

「いや、向こうは後から増援があった。むしろ人手不足のこっちをカバーしに来たんだよ」

 

 虚狩りにうちの実働部隊エース実力派エリートが揃ってりゃ俺はいらんでしょ、と頰を掻きながらリンドウはボヤく。

 

「それは……ありがたいですが」

 

 どうにもこちらに対抗手段がない。そう続けるライカンだったがリンドウの顔に憂いの色はない。相手を指差し言うのだ。

 

「確かに、倒すのは骨が折れそうだが……ほら、相手もこっちを敵と認識したらしいぜ」

 

 今まで無軌道に泳ぐだけだったサクリファイスはその動きを止めた。その巨体を持ち上げそのギョロリとした瞳が此方を見下ろしていたのだ。

 リンドウの捕食攻撃が痛手になったわけではない。感覚としてはタンスの角に小指をぶつけた程度。しかし、それがサクリファイスの癪に触ったのだ。

 

「ん……?」

 

 行動を注意深く観察していたリンドウとライカンは、体を起こし陸に顔を覗かせた形のサクリファイスがそのまま動かない様子に違和感を覚え始めたその時だ。

 カパッと此方を向いたまま口を大きく開いた瞬間、目も眩むほどの閃光が口から迸った。

 

「な──」

 

 回避。いや、無理!?

 予備動作なしの不意打ち。今更阻止もできない、その閃光は此方にすぐ到達するだろう。せめての防御としてその肩に担いだ大剣をシールドに変形させ、その背後にライカンを押し込み構えるリンドウ。

 

──轟ッッッ!!!

 

 軌道上のあらゆるものを消し飛ばしながら飛来する熱線が迫り来る。

 

「やば──」

 

 終わった、そう思った。

 

──うむ、タイミングバッチリであるな!

 

──タイミングバッチリすぎて私たちがやばいじゃんこれ!?

 

 そんな熱線の前にひらりと着地したのは、つるりとした丸い形状の鎧をした男と、赤いマフラーをした少女であった。

 

──任せるがいい、こんな時の切り札がある。

 

 裂帛の気合を込めた雄叫びを上げながら、懐から取り出されるは小振りのナイフ。それを地面に突き刺す。

 

 すると、地面からボゴォンッ!!とせり出す大きな墓石のような石壁が熱線の盾となり、その形をドロドロの赤く熱された液体に変えながらも防御に成功していた。

 

「まさか、ハベルか!?」

 

 どうしてここに、その想いが疑問となって口に出た。しかし、それを気にしたふうもなく豪快に笑い飛ばすハベル。

 

「あぁ、絶対寿命縮んだ……て、そんな事言ってる場合じゃないや。ねぇ!そこの人!」

 

 赤いマフラーの少女、柚葉がリンドウに手を振り、尋ねる。

 

「なんでこのホロウにミアズマがあるの?ここラマニアンホロウとは違う筈だよね?」

「なんだって?」

 

 ミアズマ……?あり得ない。ミアズマはラマニアンホロウにだけ確認されている特異的なエーテルであった筈。

 

「しかも、ラマニアンホロウの比じゃないくらい濃いんだけど……」

「嬢ちゃん、それは本当か?」

 

 思わず力強く両肩を掴むリンドウに、困惑した様子で頷く柚葉

 

「え、あ、うん。何度もラマニアンホロウに行った事あったからすぐ分かったよ?」

『ちょっと待ってください。と言うことは──』

 

 その話を聞いたエネが通信で言葉を漏らす。fairyとデータ共有しながらこのホロウ全体の通信、データ分析を担当しているエネにとってこの情報はとんでもないヒントだ。

 

『なるほど……何処か既視感があると思ってたんですよ!』

「何かわかったのであるか、エネ?」

 

 その様子に声をかけるハベルだが、頭がフル回転しているエネにその声は届かない。

 

『相手の仕掛けた罠、わかったかもしれません』

 

 その言葉はこの戦場における光明だった。だが、それを話すよりも先に再び口から熱線をチャージし始めるサクリファイス。

 

「おい、また来るぞ。ハベル、頼めるか」

「むむ、すまん。さっきのは再チャージに時間がかかるのだ」

 

 と、なると逃げるしかないか。とその場を離れようとしたその時だ。カッッッ!と閃光がサクリファイスの瞳の前で炸裂し、怯んだサクリファイスはあらぬ方向へと熱線のビームを空振りした。

 

「ごめん、遅くなったかな」

 

 瓦礫を退けながら現れた男に、フィランソロピーに関わりのある二人は目を剥いて驚く。それもそのはず。この場にいるはずの無い男だからだ。

 

「ナゼルか!?なんでここに!?」

「いやー、連絡員に補給を頼もうと思ってホロウを出たらこの事態になってるって聞いてさ。急いで駆けつけたんだ。他のエリアにも一人、俺の仲間が行ったよ」

 

 ヘリで来たんだけど、途中で下ろしてもらったんだ、と語る男。赤く中世にでも出てきそうな美麗な赤い騎士のような装備に、背中に背負うのは身の丈よりも大きい細身の剣、いや太刀。鞘や鍔には赤い竜の鱗が素材そのままに使われていた。

 

「っと、こうして話してる暇はないよね」

「ああ、これなら倒すのも無理じゃない」

 

 サクリファイスが潰された視界を取れ戻し、こちらをギラリと睨む。それを睨み返すように対峙するその場にいるメンバー達。

 

「さぁ、一狩り行こうか!」

 

 三人の狩人が一斉に飛び出した。

 

「私達も行きますよ!」

「はい!」

「了解、ボス」

「ええ」

 

 それに続くようにそれぞれが駆け出したヴィクトリア家政。反撃の狼煙は既に上がっている。




【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避けること

掲示板ネームギルドナイト
ゲーム『モンスターハンター』より登場。ナゼル。
防具はギルドナイトSシリーズ、武器は飛竜刀【楓】。この世界ではフィランソロピー『ダークウォール調査隊』のメンバーとして所属。
装備は彼がこの世界に来るより前、ゲームとしてプレイしていた頃のもの。
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