もしも35話の決戦でマジアベーゼが死亡していたら   作:黄鶯

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ロコ×ルベ ゲリラライブ feat.マジアマゼンタ

 

 

「オラオラオラオラァ!!さっさと出てこいよトレスマジア!!」

 

トレスマジアの3人は、エノルミータの魔力を元に現場へと急行した。

そこではレオパルトが道路の中央から、辺り一面に向かって銃火器を乱射していた。

周りの建物はいくつか崩壊しており、かつてエノルミータが内乱を起こしていた時のような有様になっていた。 

 

「街が酷い事に……!サルファ、防御をお願い!」

「任しとき」

 

サルファはバリアの準備を進めながら声を張り上げる。

 

「随分と乱暴な歓迎やないの!何か悪い事でもあったんかいな」

「…………」

 

レオはサルファの煽りには乗らず、威嚇射撃をしながらビルの間へと移動していく。

 

「待ちなさい!」

「待てー!」

「2人ともちょい待ちィ!こん流れ前にもあったやろ!」

 

アズールとマゼンタがそれを追いかけ、サルファも周囲を警戒しながらその後を追う。

3人が路地裏に入ったところで、レオパルトは突然振り返り、銃を発射する。

 

「チッ!2人とも退いとき!」

 

サルファは2人を追い越し、それを防御魔法でブロックする。

しかしその瞬間、3人の背後に踊る影があった。

 

 

「ヴォワ・フォルテ!!」

 

 

ワープゲートから出現したロコムジカだった。

 

「危ない!きゃあっ!!」

「なっ……アズール!ぐあっ!!」

 

アズールはマゼンタを庇い、後方に吹き飛ばされる。そのまま、サルファと背中合わせに衝突し、倒れ込んでしまった。

 

「アズール!サルファ!」

 

「おっと、てめーはこっちだよっ!」

「きゃっ!」

 

2人に駆け寄ろうとするマゼンタを塞ぐ様に、足元からルベルブルーメが現れる。

ビルの間の日陰を利用し、潜伏していたのだ。

意表を突かれ一瞬硬直したマゼンタにミドルキックを食らわし、ロコが出てきたワープゲートの中に蹴り込んだ。

 

「じゃ、そっちは任せたわよ」

「逃がさないわ!!」

 

そのままロコとルベルは同じゲートの中に消えていく。そのままゲートは閉じ、アズールが振るった剣は空を切るだけに終わった。

 

「マゼンタ!!……分断されたわね。急いで決着を付けて助けに行かないと……」

「ああ。こいつら、いつになく本気や。油断したつもりはあらへんけど、こっから全力で行くで」

 

2人は胸元の変身アイテムに触れ、共に詠唱する。

 

 

真化(ラ・ヴェリタ)

 

 

変身アイテムから光が溢れ、2人をそれぞれ包み込む。

それが解けると、2人は新たな姿へと変身した。

 

真化。

魔力を操る者たちの切り札ともいえる形態。通常状態とは比べ物にならない程の魔力が2人を覆った。

 

2人は、路地裏に入ってきた方向とは逆に抜け出そうとしているレオパルトを即座に追いかける。

ビルの間を抜けると、そこはまた別の道路であった。ぐるりと辺りを見回すも、レオパルトの姿は見えなかった。

 

「レオパルト、一体どこに……」

「アズール!」

 

「え……」

 

サルファが叫ぶと同時、ビルの屋上から巨大なドールハウスがアズールの頭上目掛けて落下してくる。

ドールハウスは怪物の口の様に真ん中からぱっくりと開き、アズールが反応する間もなく彼女を飲み込んでしまった。

ドールハウスは縮小しながら、いつの間にか姿を現したネロアリスの手元へと戻っていく。

 

「オイ、今すぐアズール返せや。そしたら一発ぶっ飛ばすだけで済ましたるわ」

「…………」

「何とか……言えやコラァ!!」

 

サルファは叫びながら自身の周りに浮遊する拳をアリスに向けて発射し、自身も殴りかかろうとする。しかし、拳がアリスに届く前に、横から飛来したハート形の手榴弾に迎撃される。

 

「ぐっ……!こんの!!」

「…………」

 

爆撃による土煙が晴れると、アリスの姿は消えており、代わりに緑色の軍服が姿を現した。

レオパルトだ。

サルファは内心の動揺を押し殺し、目の前の敵を見据える。

 

「いつに無く必死な目付きでどないしたん。可愛い顔が台無しやで?」

「ハッ、心にも思ってねぇくせによ」

「いやいや、いつもやったらもっとお気楽な面引っ提げて、隣の総帥はんと元気にはしゃいどるもんやから」

「……ッ!テメェ……」

 

エノルミータに先手を取られ、未だに平静が取り戻せていないサルファは口撃によって主導権を握ろうとしていた。

案の定、マジアベーゼの話題を出すだけでレオパルトの動揺を引き出すことが出来た。

時折見せていたエノルミータの謎の技術力から、マジアベーゼの復活等も想定していたが、改めて確信した。

 

マジアベーゼはあの日、間違いなく死んだ。この手で殺したのだと。

 

「ま、別にいつも通り適当な塩梅で逃げてもらって構いまへんえ。ここで街に八つ当たりしたところで、あんたんとこの総帥はもう……ッ!?」

 

爆音が響く。間一髪でその場から飛び退くサルファ。

直後、レオパルトの操る特大の銃によって道路の中央には巨大なクレーターが作られる。

 

「テメェの方こそ、今日は随分煽りがしょっぺぇじゃねえの。イラついてんのか焦ってんのか知らねぇがな」

「……」

 

サルファが想定していたよりも、レオパルトは冷静であった。

新たな手榴弾を手に取り、クレーターの上をゆっくりと歩く。

 

「……アタシよ~、ベーゼちゃんが居なくなってからず~っと考えてたのよ。このひたすらモヤモヤしてイライラする気持ちをどーすれば良いかって、ず~っと考えてた」

「……そんで?」

「ま、まだ何にも答えなんて出せてねぇからよ~……とりあえず」

 

安全ピンを口で引き抜き、サルファ目掛けて放り投げる。

 

「テメェを完膚無きまでにボコってから考えることにするわァ!!」

「返り討ちにして同じ所送ったるわ」

 

再びこだました派手な爆撃音が開戦の合図だった。

 

 

□ ■ □ ■ □

 

 

「きゃっ!いたたた……ここは?」

 

ルベルに蹴り飛ばされて入れられたワープゲートの先は、どこかの廃墟であった。魔法少女とエノルミータの争いが絶えないこの街では、この様な場所は珍しくない。

先程の場所とそう遠くは離れていないだろうが―――

 

「マジアマゼンタ、アンタには今日ここで消えてもらうわ」

「悪く思うなよ。新総帥の意向なんでな」

 

―――目の前のロコムジカとルベルブルーメを搔い潜って2人と合流するのが至難の業であることは、マゼンタにもすぐにわかった。

 

(アズールもサルファも居ない……あたし一人で何とかしないと!)

 

「さ、始めるわよ。ロコムジカ、ライブ・オンステージ!」

 

ロコムジカが右手のマイクで叫ぶと、マイクから音符型の魔力弾が発射される。それと同時にルベルは地面へと姿を消す。

 

「マゼンタスピア!はあっ!」

 

勢いよく飛び出し、音符を迎撃しながらロコに斬りかかっていく。ロコはそれを躱しながら繰り返し音符攻撃を放ってくるが、マゼンタにとってはどれも大したスピードではない。

それと同時に、視界の端にルベルの影を捉える。自身の影に近づかれない様に牽制を入れつつ、ロコに更に接近する。

 

「やあっ!」

 

マゼンタスピアによる横薙ぎを、ロコはバックステップで躱す。それと同時に、背後から襲いかかるルベルのクナイをマゼンタスピアで受け止める。

そのままクナイを弾き、突きを繰り出すが、影に潜まれ躱された。

 

1vs2の戦いでも、マゼンタは全く怯まない。

アズールとサルファが加入するまでは常に一人で街を守ってきたマゼンタにとって、人数のハンデは障害にはなり得なかった。

 

(影の能力が厄介だからルベルブルーメの方を先に倒したいけど、影に潜んでばかりだからロコムジカを狙わざるを得ない……)

 

「逃がさないんだからぁ!」

「ちっ……めんどくさいわね……!」

 

(マジアマゼンタ、こんなのでもやはり強い。ロコとのコンビなら大抵の魔法少女は即狩れるってのに……!)

(何なのこいつ……ロコにばっかり攻撃してくるんだけど)

 

ロコは舌打ちを一つすると、その場で大音量のシャウトを放つ。

 

「きゃあっ!!」

 

マゼンタは咄嗟にガードするが、音波の衝撃は逃がしきれない

両脚が宙に浮き、地面を転がる。

 

「いたた……次は当たらないからねぇ!」

 

マゼンタはすぐに復帰し、もう一度ロコに向かって突撃する。

マゼンタは、以前の戦いで身に着けた本人の魔力で傷を癒す魔法によって、真化は出来ずとも他の二人に引けを取らない程の強みを手に入れたのだ。

 

「たあっ!」

「くっ……!」

 

ガキン!!

 

マゼンタの鋭い一突きを、ロコはマイクで受ける。

ロコは、自身の歌声をマイクを媒介に増幅して攻撃する。即ち遠距離攻撃を主体としている。故に近接攻撃にはさほど強くなく、近接戦闘を得意とするマゼンタの攻めに対しては防戦一方であった。

マイクでスピアの刃先を上向きに弾くが、マゼンタはその勢いを逆に利用し、回した槍の柄でロコの鳩尾に一撃を入れる。

 

「痛っ……」

「この野郎っ!!」

 

ルベルが影から飛び出し、マゼンタを側面から襲う。マゼンタはそれにいち早く気づき、後方に飛び退くことで回避する。

 

「また距離取っちゃった……早く二人を倒して合流しなきゃ……!」

 

「ロコ!大丈夫か」

「痛った~……ちょっとルベル!サポートが遅いわよ!」

「ハァ!?ちょっと心配したらこれかよ!テメェの事はテメェで何とかしやがれ!」

「何ですって~!」

 

「な、何で急にケンカしだすのぉ……?」

 

唐突に始まったロコルベのいつものやり取りにやや困惑するマゼンタ。

そんな中、ルベルはロコと言い争いながら、策を思案する。

 

(近接じゃ恐らく分が悪い。だが、動きは読みやすい。アタシらの攻撃を処理しながら真っ直ぐ突っ込んでくるだけだ。なら……)

 

ルベルは小声でロコに何かを伝える。ロコは突然落ち着いたルベルにやや面食らいながらも、その指示を脳内で反芻する。

2人は改めてマゼンタに向き直った。

 

「さぁ、仕切り直しよ!ロコムジカ、ライブ・オンステージ!!」

「今日はそれ毎回言うの……?」

 

ロコのシャウトとマゼンタのツッコミから、戦闘が再開される。

ロコは一定の距離を保ちながら音符の攻撃を繰り返す。それと同時にロコの足元の影から複数のクナイが飛び出してくる。

 

「もう!逃げないでよ!」

「そっちこそ、避けんじゃないわよ!」

 

マゼンタはそれらを悉く避け、槍で叩き落としロコに迫る。

 

「ほんとすばしっこいわね……ルベル!」

「分かってる」

 

 

突如マゼンタの背後にルベルが現れ、手元のクナイでマゼンタスピアを弾く。

 

「えっ!!どこから!?」

 

ルベルは、新人三人(マジアベーゼ達)と戦った時に、マジアベーゼのハサミの影に潜んだのと同じ要領で、自ら投げたクナイの影に潜んでいたのだ。

ルベルに気を取られたマゼンタには隙が出来る。ルベルが素早く足元の影に潜むと同時に、ロコムジカの音波攻撃が直撃する。

再びマゼンタは吹き飛ばされ、そのまま廃ビルの壁に身体を預ける事となった。

 

 

「いてて……なんの!まだまだ……」

「いや、終わりだ」

「!?しまっ……」

「影繰り」

 

マゼンタの影からルベルの影が伸びる。二つは細い糸状の影で繋がれており、さながらルベルがマゼンタという人形を操っているようだった。

 

(いつの間に!?……そうか、さっきと同じ、今度は吹き飛ばされたあたしの影に潜んで……!)

 

拘束は全く動かせない程ではなかったが、次の攻撃を避けるまでの猶予は与えられなかった。

 

「ぐぐぐ……放してよぉ!」

「ロコ!!長くは持たねぇ!!」

「分かってるわよ!さぁ、とびっきりのファンサービスを食らいなさい!」

 

ロコの持つマイクに魔力が集中する。

 

「ヴォワ・フォルテ!!」

「きゃあああっ!!」

 

全身に衝撃が走る。頭の奥までギンギンと響くような音波攻撃が、マゼンタの身体を襲う。

ロコの攻撃を完璧に食らったマゼンタは、その場に力なく倒れた。

 

「これでとどめよ!ルベル!」

「ああ」

 

ルベルがロコのスカートに吸い込まれ、それと同時にロコの魔力量が跳ね上がる。

 

「「フォルティシモ・カノン!!」」

 

直撃したヴォワ・フォルテのダメージが予想以上に大きく、到底避けることはできなかった。

 

 

□ ■ □ ■ □

 

 

(痛い……痛いよぉ……)

 

ロコ、ルベルのフォルティシモ・カノンによって、背後の廃ビルの足元が倒壊し今にも倒れそうになっている。そして瓦礫にマゼンタの足が挟まり、血が流れている。

 

(それに今日のエノルミータ、何か変だよ……)

 

最近のエノルミータは、いつも現れてはエッチな事をして帰っていく、何が目的なのかよくわからない組織だと常々感じていたが、今日は何かが違う。

 

(理由は、やっぱりマジアベーゼを倒したから……?新総帥の意向ってもしかして…トレスマジアへの復讐ってこと……?)

 

ロコとルベルがゆっくりと近づいてくる。

瓦礫から何とか足を引き抜き、立ち上がろうとするも足が縺れる。

 

(足が、思うように動いてくれない……)

 

藻掻いている内に、2人はマゼンタの前で立ち止まった。

 

「ねえ」

「……!」

「そんなに睨まないでよ。まあいいわ」

 

ロコはしゃがんで、倒れたままのマゼンタを見下ろす。マゼンタは倒れたまま何とか体勢を整えようともがく

 

「変身アイテム、渡してくれない?」

「え…?」

 

問答無用で酷い目に遭わされると思っていたマゼンタは、少し戸惑った。

 

「おいおいロコ、アタシらの目的はトレスマジアの壊滅だろ?無理やり奪って終わりでいいだろ」

「でも、魔法少女狩りの時みたいに、相手が動かなくなるまでなんて面倒でしょ?だからこれは、ロコ達からの最後の警告ってとこね」

 

(か、壊滅……!やっぱり酷い目に遭わされるよぉ……!)

 

マゼンタは一瞬怖気づき、しかしすぐに考えを改める。

 

(でもトレスマジアの壊滅が目的なら、あたしだけじゃなくて皆が危ない……それに変身アイテムを取られちゃったら、もうこの街を守ることができない……!)

 

「嫌……だ!」

 

気付けばマゼンタはそう口走っていた。

 

「ふーん、そう。じゃあ仕方ないわね……ルベル、やっちゃいなさい」

「え?あ〜……いやお前がやれよ。お前がやだって言われてんだし」

「何よ。自分で偉そうな事言っておきながら、いざやるとなると人任せってわけ?」

「い、いつもトドメはお前だっただろうが!!何で今日に限ってアタシなんだよ!!」

 

「ま、またケンカ……?」

 

またしても唐突に始まる口喧嘩。これは先程と違い、本当に口喧嘩しているだけであった。

マゼンタはまたしてもついツッコミを入れてしまう。二人がしばらく言い争った後、ルベルがこちらに向かって来る。

 

「しゃーねぇ。アタシがトドメさしてやるよ。悪く思うなよ」

 

ルベルの握った四芒星型のクナイが、マゼンタの胸の中心にある変身アイテムへと吸い込まれていく。

マゼンタは思わずぎゅっと目を瞑った。




もう少し緊張感のあるタイトルにしたかったです
あとマゼンタ真面目に戦わせてもらえたらかなり強い説支持者です
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